木 製材」タグアーカイブ

2008 秋の新月伐採材を使ってくださる方を募集します

静岡で、ここ1-2ヶ月の間に原木の製材を行う予定です。

そしてタイトルにも書いたとおり、この新月伐採材を使ってくださるエンドユーザーの方を募集します。
(誠に申訳ありませんが、同業者の方による買い付けには応じることはできません。
その理由は以下の説明を読んでいただければご理解いただけると思います)

今回製材しようとしている原木は、2008年晩秋の新月期に伐採した樹齢120-130年の杉・桧で、一般的な住宅約2棟分の量があります。

しかし、これらの杉・桧はすぐには使えません。

これから約2年間かけてゆっくり自然乾燥させ、2011年に着工する現場で使うようになります。

これらの木材は、
2008年に、伐り旬である晩秋(11月下旬)の新月期を選んで伐採

4ヶ月間、山の斜面で葉枯らし乾燥を行って、この春に山で造材

ようやく麓に降りてきた木材です。

これは建材に用いる木材としては一番いい状態で仕上がる、極めて自然で無理のないやり方です。
それはなぜかというと、木が本来持っている性質・能力を最大限引き出すことを大切にしているからです。

東風で依頼している木材は、生産者である林業家を限定して、市場に出回る前に山で買い付け、指定した長さに玉切りしてもらって作っています。

ですから、一般にはほとんど出回らないような長い1本ものの材料(7~9m)をふんだんに使うことが可能です。

上記のように、今回の木は木材を贅沢にしかも理想的な状況で生産してもらっている上質な材料ですが、
【作り手=林業家にとっても幸せで、お客様にとっても幸せ】
となるような関係を実現することも、この取り組みの大きな目的の一つです。

そのために中間業者を一切入れずに東風で取引を一元管理し、山~製材~材料の保管・管理・運搬までを全て東風が責任を持って行っています。

<林業家の幸せを実現するために・・・>

作り手である林業家には、永続的な林業経営を続けていくのに必要な適正利潤が得られる価格をつけてもらって購入します。

そしてエンドユーザーと林業家とを製材の現場で引き合わせ、顔が見える関係を築きます。

意外と知られていないんですが、林業家にとって、自分の作ってきた素材=木材を実際に使ってもらえる方(エンドユーザー)の方に会うことができるケースというのは、本当に本当に稀な(というか今まではありえなかった)ことなんです。

だから、エンドユーザーが誰なのかがわかるというだけでも、林業家にとっては嬉しいことなんです。

<エンドユーザーの幸せを実現するために・・・>

このように生産過程にこだわって作っている木材は、現在一般の市場には出回りません。
なおかつ生産者の顔が見え、産地偽装などもない安心できる材料を入手するのは通常のルートを通じて行うと価格が大変高くつくばかりでなく、現実的にはほぼ実現不可能です。

そして原木の状態から美しい建材になる瞬間の製材工程に立ち会うことは、とても感動的でスリリングです。

これだけクオリティが高く、付加価値も高い材料を、東風では通常よりもかなり安い(しかし妥当な)価格で販売します。

購入を前向きに検討して下さる方(2組限定)のご都合に合わせて製材のスケジュールを調整し、静岡市内で製材立会い見学を実施したいと思います。

下記に掲載した写真は、昨年の6月に行った製材の時の写真です。

写っている人の大きさと木の大きさを比べて見て頂けると、木の太さ・長さがよくわかると思います。

ぜひ画像をクリックして拡大してご覧下さい。

↑ これは長さ9m、桁用の杉材です。

↑ 太さがよくわかるでしょう?

↑ とてもおとなしくて上品な木目が出ました。
こんなに長くて美しい木は、普通、市場では入手できません。

↑ 赤身の大きく張った、節の大変少ない8m材(!)です。

当初は東風スタッフだけが立ち会って製材をしてしまおうかと思っていました。

しかし昨日色々とスタッフと相談しているうちに、
「やはり使っていただく方に製材の感動をぜひ味わっていただきたい!」
と思うようになり、告知してみることにしました。

この記事を読んで興味を抱いた方は、お気軽に東風/佐藤仁までご連絡下さい。

ただし、本当に使っていただける方にぜひ見ていただきたいと考えているので、
「購入するつもりはないが、見学だけしたい」
という方は、大変申訳ありませんが連絡しないで下さい。

スケジュールの調整後、購入予定者の方の同意が得られたら、製材の見学会も開催したいと考えていますので、そうなったら改めてみなさまにご連絡します。

実際に使って頂ける方にぜひ見ていただきたいので、具体的なスケジュールはまだ決めていませんが、7月か8月には実施したいと考えています

お申し出頂いた方と調整を行って、その方のご希望を最優先させて製材の日程を決める予定です。

どんな方と出会えるか、今からとても楽しみです。
ご連絡は東風/佐藤仁までメールにてお願いします。

 

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

静岡に来ています

昨日から静岡に来ています。

現在、準備を進めている京都市内の伝統構法型新築住宅・N邸の木材の運搬作業の段取りをするためです。

静岡へ来てみると、ちょうどいい具合に昨秋に伐採した新月伐採材が山から搬出され、土場に整理されているところでした。

 

出材0424‐1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


土場に積まれた2008年晩秋伐採の新月材。
4ヶ月間の葉枯らし期間を経て、ようやく山から降りてきました。



今回出てきた木はどれもおよそ樹齢120~130年くらいの大きな木で、北斜面の標高900mという厳しい自然条件のもとで育った木のため、とってもおとなしくて目の詰まり方が良く、美しい材料です。

見ていて惚れぼれします ♪


出材0424‐2








こんな太い材料がゴロゴロしています。



出材0424

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


上の写真を見てもらうとよくわかるのですが、目の詰まり方が均一で細かく、申し分ない材料です。

このグレードなら吉野杉と比べても遜色ありません。
最高の材料です。



今回出てきた材料は来月から順次製材にとりかかっていきますが、この中でも特に長い材料(6m~9m材)は6月ごろに静岡市内で製材の見学会を行う予定です。

ぜひたくさんの方に製材の醍醐味を体験していただきたいと思っているので、また近々お知らせしますね。
どうぞお楽しみに。



(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

低炭素と木材の色


低炭素

これからの社会に欠かせないキーワードですね。
今朝も新聞を読んでいて、このことが書かれていたのでふと思い出して記事を書いています。

今は構造用木材の乾燥というと、人工乾燥がほとんどです。
率で言うと、90%以上って感じではないでしょうか?

一般に広く行われている人工乾燥には、たくさんの重油を燃焼させます。
つまり、木材を乾燥させるために、たくさんのCO2を排出しているという、奇妙な構造になってしまっています。

そんな中、何度も申し上げていますがうちでは天然乾燥に取り組んでいます。
言葉では何度もご説明してきたのですが、順を追って写真で説明したことが無かったなぁ・・・と思ったので一度書いてみますね。



まず、1枚目の写真は伐採です。

これは2007年11月末に行った新月期の伐採の時の写真です。
うちではまず伐採時期を11月の新月期に限定します。
この木は樹齢120-130年の杉の木です。

 

低炭素2

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



次に、伐採した木をそのまま4ヶ月間山の斜面に放置します。
これを【葉枯らし】と言います。
その様子が下の写真です。

 

低炭素1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






幹に枝葉を残したままで放置すると、木は葉の部分で光合成します。
すると樹芯に残っている水分や養分を消費するので、木材の乾燥が進みます。
同時に木の色も変化します。
発色がとても良くなると言われています。

(注:うちで過去に行った伐採の際には、全て4ヶ月の葉枯らしを行っていて、その樹芯の色は確かに素晴らしい色が出ています。
しかし、逆に同じ木を葉枯らししていないとどうなるのか?という実験をしていないので、葉枯らしをすることでどれだけ樹芯の発色が変わるのか?という正確なところは掴めていません)



3枚目の写真(↓)は、伐採直後の木の木口の写真です。
伐ってみて判ったのですが、この木は植林された木ではなくどうやら実生(みしょう)の天然木だったようで、年輪の中心部の詰み具合(年輪の間隔)が植林の木とは全く違います。

画像をクリックして拡大して見て頂くと、僕の手の大きさに比してその年輪の細かさが良くわかっていただけるのではないかと思います。

 

低炭素0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







4枚目の写真(↓)は、2007年3月に撮った写真で、上の木とは別の木です。

上の写真と樹芯(赤身)部分の色を比べてみて頂くと、木材の乾燥が進んでいる様子が良く判ると思います。

(上の写真はまだ多くの水分を含んでいるボトボトの状態。
 一方、下の写真は4ヶ月の葉枯らし期間を経た後のため、
 木材中の水分をかなり消費して、乾燥が進んでいます。)

 

低炭素4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



この写真を見ると、色がくすんでしまっていてあまり美しくないように見えますよね?

でもそれが製材して仕上げると、こんな色(↓)になるんです。

低炭素5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






新月伐採というと、
「新月の日に伐ればいいのか!」
と勘違いされている方がとても多いのですが、実は【いつ伐るか?】ということ以上にこの4ヶ月間の葉枯らしがと~っても重要です。




葉枯らしを終えたら、角材に製材して雨にあて、乾燥させます。

 

低炭素3

 

 

 

 

 

 

 

 

 


雨に当てる期間は人によってまちまちで、いろんなやり方があるようです。

昨年うちでは3ヶ月程度まず雨に当てて、その後屋根を架けて材料を濡らさないようにしておきました。

しかし、最初から最後までず~っと雨ざらしにして乾燥させるやり方もあるようで、今後もいろいろな方法を試しながら一番いい方法を探りたいと思っているところです。



昨年の11月に伐採した木材の葉枯らし期間がもうすぐ満了します。

3月の下旬にはまた静岡へ行って玉切りに立ち会ってきますが、今年はいろんな乾燥方法を試してみるつもりです。



こうやって乾燥させた木材は、乾燥工程で一切炭素(資源)を消費しません。
そして木材の質も格段に良くなり、発色も大変美しい色が出ます。

ただ難点は、時間がかかることと保管中の管理が難しいこと。



最近は、このような天然乾燥材だけを扱う材木屋さんも少~しだけ出てきていますが、まだまだめったにありません。

僕は木材のもつポテンシャルを最大限引き出したいのでこのような取り組みをしているのですが、これが同時に地球温暖化防止のためにも役立つのですから、絶対に今後はこのような取り組みがもっと広く一般化していくと思います。

でもそうなるのにはまだ5年くらいはかかりそう・・・?




(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

Brothers

brothers

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


上の写真を見てください。
同じような巾の、同じ長さの板が2枚並んでいます。
樹種は杉です。
(静岡県産/樹齢85年の新月材)
※画像をクリックすると拡大表示できます。ぜひご覧下さい。

記事のタイトルから察しがつくと思いますが、この2枚の板はもともと1枚だったものです。
もともとは厚み10cmだった板を、厚み5cm×2枚に挽いてもらいました。

左側の板が木表側(樹芯から見て外側)の板。
右側の板は製材しない限り絶対に見えない板です。

brothers2

 

 

 




↑ 2枚を重ねて木口の断面詳細写真を撮ってみました。
年輪を見ていただくと、もともと1枚の板だったことがよく判るでしょう?
 


冒頭の2枚の板の表情(木目)を見ていただくと、もともと同じ木なのに表情が全然違うと思いませんか?

これが製材の面白さでもあり、難しさでもあるのですが、1本の丸い原木に
 ○ どこで刃を入れるか?
 ○ どんな大きさの材料をとるか?
を決断することで、木の価値が全然変わってきます。



今回は、玄関の式台のサンプルを作るために製材してもらったのですが、製材してみてから
「もしかしてこれって、製材や木のことを皆さんにお伝えするのにとってもいい材料になるんちゃうか?」
と思ったので写真を撮ってみました。

製材ってとっても面白くてワクワクする、スリル満点~♪ の工程なんですが、今年はこの醍醐味を一人でも多くの方にお伝えしていきたいと思っています。

春には静岡でまた長さ10m・樹齢120~130年の大きな原木を製材する予定で、多くの方に見学もして頂けるようにしたいと考えています。

僕がこんなことばかりやっているので、最近は大工さんやうちのスタッフに
「さとうさんはそのうち材木屋でも始めるんちゃうか?」
と思われていますが(笑)、材木屋は絶対やりません。
自分で自分の首を絞めるだけ、というのがよ~く判っていますから。

またお知らせしますのでどうぞお楽しみに。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

板の製材

先週、また製材所に行ってきました。
僕は製材が大~好きなのです♪

今まで見えなかった木の木目や表情が一瞬で目の前に現れてくるスリル。
自分の想像を裏切って、より美しい目が出てきてくれる瞬間。
もう楽しくて仕方ありません。

今回は板材の製材です。
今週の木曜日(2/5)から構造材を刻み始めることになっている、京都市N邸の玄関式台に使う板の厚みや巾を決定するために、いつもの西本製材所へ行ってきました。



今回挽いてもらったのは、下の杉の板です。
巾は一番狭いところで450mmくらいありました。

式台1






原木から板に製材したのは昨年の7月初旬です。
それから約半年間寝かせて乾燥させました。

乾燥に伴って木は割れたり反ったりします。
この板も素性はとってもおとなしい木なのですが、やはり少しだけ反っていましたので、その反りを落として平滑に面を出すために摺り直し製材をしてもらいました。

製材後、いろんな方向に向けて置いてみてスタッフと検討した結果、下のような感じで使うことに決定しました。

式台2


 


 


左が根元方向(立ち木の状態では下)、右が末口方向(立ち木の状態では上)です。
画像をクリックして拡大表示すると、木目も確認していただけると思います。



この板は杉で柔らかいので、足ざわりは温かみがあって優しいのですが、その反面、傷がつきやすいという欠点があります。

その点を補うために、実はこの板をチョウナではつって化粧ナグリを施そうと考えています。
ナグリ目は人によって好みがあるので、見本を作ってNさんに見て頂いてご了承を頂けたら施すことになります。



杉のナグリの式台は一般にあまり見かけませんが、なかなか味があります。
それから、ナグリ目がつくと、少々傷がついても目立たなくなりますので、使う上で神経質になることもありません。

ナグリ加工は京都市上京区の銘木屋さんにお願いしようと思っていますが、その工程はまたブログでご報告しますのでどうぞお楽しみに。



いつもこのブログを読みに来て下さってどうもありがとうございます。

いよいよ明日は立春。
うちの事務所名も明日から東風(こち)に変わります。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

製材を行いました

1/22(木)に、兵庫県三田市の西本製材所さんで京都市N邸の木材の製材(修正挽き)を行いました。

この材料は、
 ○ 2007年11月に静岡で伐採
   → 2008年6月に静岡で第1回目の製材
   → 今回(2009年1月)に製材
という経過を経ています。

先々週はこの材料を出すために、僕は大工さんと2人で静岡へ1週間行きっぱなしだったのです。

製材2009-1

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は修正挽きを行う前の木材です。
9割が杉、1割程度が桧で全て静岡産の木材です。

製材2009-2

 

 

 

 

 



↑ こんな台車に乗せて製材していきます。

胴差

 

 

 

 

 

 

 

↑ この写真に写っているのは、長さ7.7M×巾300mm の杉です。
一般の市場では、この長さでこの巾の1本ものの材料を探すのはかなり難しいです。

もちろん、伐採直後のボトボトかつ節だらけの材料であればいつでも調達できるでしょうが、一年で一番いい時期に伐り、天然乾燥させてある素直な美しい杢目の国産の杉となると、入手はとても困難です。

この写真では杢目が写りこんでいないのでお見せできないのが残念ですが、2008年6月に行った製材直後のこの材料の表情はこんな感じでした。

この杢で7.7mかつ巾300というのがいかにすごいことか、お分かりになる方はかなりの事情通ですね。


 

大黒柱と通し柱

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


他にも、今回立ち会ったときに大黒柱と通し柱も挽いてもらいました。

上の写真の左側が大黒柱(長さ6.6m 220mm角)
右側が通し柱(長さ6m 150mm角)です。

大黒柱はもっと太いものもあったのですが、杢目がおとなしくて割れも少ない素直な材料を選んでこれにしました。

この木は2006年の秋に伐って2007年の初夏に製材後、和歌山の友人・東さんが好意で預かってくださっていたものです。
東さん、本当にありがとうございました。
おかげさまで素晴らしい材料が採れましたので、ぜひ一度見に来て下さい。



この物件で使う木材は総数約400本になるので、今回ご紹介したのはごくごく一部です。

これらの材料は2月5日から西本製材所さんのご協力を得て、約4ヶ月かけて大工が手刻みで加工し、5月下旬に京都で上棟の予定です。

また順次ご報告しますのでどうぞお楽しみに。

 

【お知らせ】
2/4(立春)より、事務所名称を
サトウ都市環境デザイン→木造建築 東風(こち)
に改称します。
「なぜ東風か?」はこちら

 



(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

木出し@静岡

この1週間はブログの更新が滞ってしまいました。
いつも見に来てくださるみなさま、どうもすみません。

静岡の山奥(といっても静岡市内ですが・・・)で木出し作業を行っていたためです。

 

木出し 

 

 

 


↑ 木出し作業を行うために、馬の上に並べた梁
 (すべて静岡産の杉/新月材です)

 

木出しとは、
「この木はリビングの南面の通し柱にしよう」
「この木は大屋根の棟を受ける棟木にしよう」
などと、実際の木の癖や面(つら)などを見て各部材を使う位置や方向を決定していく作業です。

 

今回出したのは、来月上旬から刻みに取り掛かる京都市・N邸の木材(合計約400本)です。
火曜日の早朝にトラックで兵庫県を出発し、金曜日にはストックヤードから搬出したすべての木材を10トントラックに積み込み(結局10トン車1台では載り切りませんでしたが・・・)、土曜日に後片付けをして深夜に帰ってきました。
(帰宅したら日付が変わっていました)

 

静岡で作業をしていたストックヤードや宿泊先は携帯の電波が届かなくて、もちろんインターネット接続もできなかったので、メールがたまりまくりです(汗)。
順次お返事を書いていきますので、しばらくお待ち頂けましたら幸いです。
(クライアントの皆様、ご迷惑をおかけして申訳ありません m(_ _)m )

 

今週も火曜日までは東京出張の後、現場に行ったり製材所を回ったりする予定になっているので僕はほとんど事務所にはいません。
落ち着くのは1月末ごろになってしまいそうですが、今週は毎日ネット接続できる環境にいるのでブログは定期的に更新していきますね。

メルマガも書かなくっちゃ。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【お知らせ】
2/4(立春)より、事務所名称を
サトウ都市環境デザイン→木造建築 東風(こち)
に改称します。
「なぜ東風か?」はこちら

 



(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

製材所へ行ってきました

製材所

 

 

 

 

 

 

 

昨日はスタッフと2人で来春から取り掛かる京都市内の新築住宅の準備で大阪と兵庫の製材所を3軒回ってきました。

昨年夏に現在静岡で製材後、寝かして乾かしている木材を修正挽き(大阪・兵庫周辺では『すり直し』と言うようです)して下さる製材所を探すためです。

現在は無垢の木材の市場流通量が減ってきていて、日本各地で製材所が激減しています。
30年くらい前にはどの市にも平均20軒くらい製材所があったようですが、それが現在では2-3軒あれば良い方、という状況です。
(↑地域差はあります)



そんな中、こちらが持っている材料を製材所に持ち込んで挽いてもらう「賃挽き(ちんびき)」という仕事を引き受けてくれる製材所で、かつ10mの長材を挽ける製材所を探していたのですが、これを探すのはなかなか大変でした。

先週中ごろから1週間くらいかけて何とか上記の条件を満たす4軒の製材所を見つけ、昨日はそのうちの3軒にお邪魔して、価格や納期・運搬などについてお尋ねしてきたのです。

どの製材所さんも快く対応してくださり、ありがたい限りでした。



各製材所をまわってお話させていただく中で、みなさん口を揃えておっしゃっていたのが下記のような思いでした。



「木は生き物なので、反ったり曲がったり割れたりする。
そして木が本来持っている色艶や粘り強さを活かそうとすれば、ゆっくり乾燥させてあげることが必要で、そのためには長い時間(最低1年以上)がかかる。

昨今はそれをなかなか理解してもらえず、接着剤で固めた割れない木材(集成材)や早く乾かす人工乾燥材ばかりが用いられていて、本当に残念だ。」

製材所のみなさんは本当に木のことをよくご存知な方ばかりで、「木が大好き!」というオーラ(?)がバンバン出ていました。



昨日の製材所の中に1軒、とても協力的な条件(←値段ではありません)を提示して下さった製材所があって、多分今回はそこにお願いすることになるんじゃないだろうかと思いますが、来週の月曜日に大阪・南港の製材所にも伺う約束をしているので、最終的にはその後決定することになります。



全国の製材所のみなさんにとっては、経営状況は大変厳しいと思いますが、何とか頑張って頂きたいと思います。

なぜって、製材所のみなさんがおっしゃっている木の使い方・家の建て方は、最終的にユーザーのみなさんにとっても一番有益な建て方だからです。

それは僕のような若輩者がグタグタ長ったらしい説明をしなくても、現在日本各地で残っている200年前、300年前に建てられて今なお現役の古民家が身をもって証明してくれています。

築200年クラスの古民家って、文化財なんかじゃなくても結構普通に使われて(住まわれて)いるものなんですよ。


 

 

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

11/21(金)-22(土)に静岡で新月伐採見学会を開催します

伐採


 


 


 


 


 





告知が直前になってしまいましたが、11/21(金)-22(土)の2日間にわたり、静岡市内で新月伐採の見学会を行います。
21(金)は静岡市葵区入島にて、22(土)は静岡市葵区清沢にて行われる伐採のに立ち会います。



21(金)は静岡市内の最北端に位置する、標高900mの杉・桧混生林にて、樹齢約110年の木を伐採します。
この斜面では一昨年にも伐採を行ったのですが、北斜面で日があまり当たらないこともあり、木の成長がとてもゆっくりです。

ですから樹齢110年とはいえ木の直径はさほど大きくないのですが、そのかわり目が非常に細かく詰まった良材が採れます。
一般に材木店で販売されているような木材とは全然違いますので、そのあたりも現地でご確認いただければ面白いのではないかと思います。



22(土)は静岡市内で活動されている林業家グループのみなさんが主催される伐採見学会に合流します。
この日はお昼に焚き火などもする予定だそうで、人数も多く楽しい見学会になりそうです。

ちょうど紅葉が見頃の時期を迎えているので、山の美しさも楽しみの一つですね。



10月下旬から1月下旬あたりまでは、木材の伐採に非常に適した時期で林業界ではこの時期を
『伐り旬(きりしゅん)』
と言います。

今回伐った木材は11月下旬から3月下旬までの4ヶ月間、枝葉をつけたままで山に寝かせて木に光合成させながら乾かす「葉枯らし(はがらし)乾燥」を行った後、2009年3月下旬~4月上旬に出材することになっています。



昨年の11月に伐採を行った際の映像をyou tubeにアップしました。
もしよろしければご覧下さい。

 → 2007.11伐採映像@静岡はこちら

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

2種類のおかくず

おがくず

 

 

 

 

 

 

 


今年の春に静岡で製材をしたときの写真を整理していたら、1枚おもしろい写真が出てきたのでご紹介します。

上の写真はどちらも杉の原木を挽いた時に出たおがくずですが、右と左で全然違うのがお分かりでしょうか?

左のものはジト~っと湿った感じですが、右のものはさらさらパラパラって感じで吹けば飛びそうですよね?



これは原木の中の水分(含水率といいます)の違いによるものです。

もちろん、右の乾いたほうが水分が良く抜けていて、左のものは木の中にまだたくさんの水分があるボトボトの状態です。

木を伐採した直後、木の中には水がしたたり落ちそうなほどの水分があります。
そこから葉枯らし乾燥をかけたり寝かせておいたりすることで木の水分は下がっていくのですが、その前にまず
【1年のうち、いつの時期に伐るか?】
ということがとても重要です。



木は生き物なので、春から夏にかけて水をどんどん吸い上げて、光合成を活発に行い、成長しようとします。
そして秋の彼岸を過ぎると成長するのを抑えるようになり、そこから次の春までは水をあまり吸い上げなくなります。

建築用材として使う際には、強度が大きく、狂いの少ない木材が優れています。
最終的には含水率が20%以下に落ちた木材です 。
木材は含水率が低ければ低いほど、強度は逆に上がります。
(不思議ですよね?)

ですから上の写真でみると、左の湿ったおがくずが出る木よりも、右の乾燥したおがくずが出る木材の方が良い、ということになるのです。



来月下旬には、昨年同様また静岡で伐採を行います。

この伐採は出荷できる量が非常に少ないのですが、
〇 1年で一番いい時期に木材を伐採し
〇 理想的な状態でゆっくり乾燥させ
〇 建物にとって一番いい長さ(←継がない1本物)で出材する
という原則をしっかり守って行っています。



なぜこんなめんどくさいことをやるのか?

それは、こういう木材は絶対に市場に出回らないからです。
いくらお金を出しても実は買えない木材。

このお話はまた改めて書きますね。
どうぞお楽しみに。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を