月別アーカイブ: 2011年1月

100年前に・・・

先日、兵庫県淡路市のT様邸古民家改修計画現場へ行った時のことです。

T様との打合せが終わり、これから改修計画を立てる建物の材料や状態を見ていました。

もともとしっかりした建物であることは、以前調査した折にわかっていたのですが、床の間の材料を良く見ていると大変珍しい玉杢の材料が使われているのに気付きました。

現場がちょっと暗かったことと埃をかぶっていたので、樹種の特定まではできなかったのですが、ケヤキかタモと思われる表情の、上品な玉杢の床框でした。

T様がおっしゃるには、この家は100年前に地元の名家からここへ移築されてきた建物だとのこと。

それを聞いて、なるほどなぁ~と合点がいきました。

僕らは古い建物を観るとき、まず材料を観ます。

それから建物全体の構成や細部の仕事やデザインを観ます。

 

建物が残されるか否かにおいて、もっとも大切なのは材料の良し悪しと全体の構成です。

材料は良いけれど、全体の構成が悪い・・・という残念な建物は、近年建てられたものの中には割と多いのですが、100年くらい経過している建物の中にはほとんどないですね。

昔の職人さんは基本をきっちり抑えていたからでしょう。

近年は設計者と施工者の分業が進んできたことや技術が進んだ弊害で、建物をつくる上での基本が軽視されているように感じます。

そうすると、基本構成が全然できていないのに、材料だけはものすごく立派・・・というバランスの悪い建物が増えてしまうのです。

・・・と、話がそれてしまいました。

T様のお宅は、100年前に移築されようとしている時点で、すでに最低でも50-60年は経っていたでしょう。

(材料から推測する限り、200-300年経っているようには見えませんでしたので)
こうやって大事に大事に使われ続けてきた建物を今からまた再生しようとしている。

とても大切なことですね。

初めて知りました・・・

実は昨年の今頃から話題になっていたのですが、今回ようやく納得がいった課題がありました。

一昨年の秋、現場で大工さんが埋木(うめき)をするのに材料を手配することになり、
「梅の木がいちばんエエねんけどなぁ・・・」
と言うので、ボランティアで民家再生をしている兵庫県赤穂郡の現場で枝払いをした梅の木の残骸から太目の枝を持って帰ってくることに。

僕が持って帰ってきて大工さんに梅の枝を渡すと、大工さんはしげしげとその太い枝(もちろん皮付き)を見て、

「さとうさん、これ、桜の木ぃちゃうの?」

と言うのです。

赤穂の現場ではこの梅の木に付いた梅を収穫して、仲間のSさんが梅酒を漬けたりしているので、僕は絶対に間違いなく梅だと何度も主張したのですが、いろんな大工さんがその枝の皮付きの枝を見るたびに、
「これは絶対桜だ」
とほぼ全員が言うのです。

しかもみなさん東風で仕事を頼んでいる大工さんですから、この道30年以上のベテランの木造大工ですよ。

今まで、誰一人としてこの枝を見て梅だと言った人はいませんでした。

でも、絶対に梅なんです。

なにせ、この枝をもらってきた赤穂の現場には桜の木なんて1本も生えていないのですから。

おっかしいなぁ~と思いながら1年以上も悶々としていたのですが、先日ふとあることに気付いて調べてみたところ、
「ははぁ~なるほど!」
と思い至りました。

実は、桜と梅はどちらもバラ科サクラ属の木なのです。
知ってました?

これなら間違えてもしゃあないか・・・と思いました。

梅の木と桜の木は、立ち木の状態であれば枝の形が全く違うのでどちらが梅か?桜か?ということは一目瞭然ですが、枝を短く伐って樹芯の色を見るとどちらもほぼ同じ褐色をしていて見分けがつきません。
樹皮も見た目はよく似ているんですよ。

おもしろいもんだなぁ・・・と思いました。 

奈良市O様邸 木工事進行中

奈良市のO様邸で、木工事が進んでいます。

毎日毎日寒い中、まだ開口部にサッシが入っていないので職人さんは大変です。

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上の写真は1階のリビングの端に立って、南面の吹抜けと開口部を見上げたところです。
構造材はほとんどが奈良県吉野産の杉。
写真に写っている丸太の梁は国産の赤松です。

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この写真は同じ空間を2階に上がって見下ろしたところです。 
南側に吹き抜けと高い窓があるので、冬の昼間には室内の奥の方まで直射日光が射しこみます。

窓が設置できれば暖かくなりそうですが・・・まだまだ現場は寒いままでしょう。
職人さんが風邪を引いたりしないように祈っております。
いつもおつかれさまです。 

桧の製材を行いました

1/23(日)に兵庫県三田市で桧の製材を行いました。

あいにく見学会への一般参加者申込はありませんでしたが、クライアントの I 様には立ち会っていただいて製材工程をお見せできました。

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上の写真がその桧です。
末(一番細くなっている末端)で直径が30cm強の太さ、長さは6mある原木です。

節の出具合は木によって異なりますが、この木は6mにわたってほとんど節が無い板も取れました。

今回の製材で、長さ6mで巾が8寸(240mm)厚みが40mmの床板を採ったのですが、やはりこのくらいの長さ・巾があると、既製の床板とは全然違います。
 
又近いうちに、普通の床板との違いを見ていただけるような写真を撮ってきてお見せしますのでお楽しみに。 

大人も使えるランドセル

これいいなぁ~!と思いました。
大人も使えるランドセル。

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今から僕もこれが欲しいと思っているわけではないのですが、子供の時のランドセルがこれだったらいいなぁ・・・と思ったわけです。

普通、ランドセルは小学生のうちだけ使ったら、あとはごみ箱行きですよね?
でも多分ここの店のクオリティだったら、中学・高校は使わなくなったとしても、大学・大人になってから使い古されたランドセルを押入から引っ張り出してきて

「これ、まだあったんだ。
また今見てみるとなかなかいいやん。
ちょっと使ってみようかな?」
  
ってなるんだろうな、と感じました。 

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大人になったらこんな風に ↑

クオリティの高さに裏打ちされてこその商品価値ですが、コンセプトがとても良いなぁ、と感心しました。

こういうのって大事ですよね。 

和歌山へ玉切りに

1/19(水)に和歌山へ桧の玉切り立会いに行ってきました。

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玉切りとは、長いままの木材を短く切断する作業のことです。
下の写真を見ていただくとよくわかるのですが、玉切りする前の今回の木材は18m~20mありました。
それを一本ずつ木の太さや曲がり、ねじれ、節の量などを見て
「これはここから6mに。
 あれはここから4mに伐って下さい」
という決断を下し、林業家の方にチェーンソーで伐ってもらいました。

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↑ 上の写真は1番玉の6m材です。
  木は根元に近い方が節も少なく、太さも大きいため当然価格も高くなります。

今回は、6m、4m、3m、2mという長さに玉切りしてもらいました。
当初は11本の原木から材料を採る予定だったのですが、林業家の方のご好意により、合計13本の原木から採らせて頂くことができました。

いよいよ明日は製材です。
どんな表情の板が採れるか、メチャメチャ楽しみです。

残念なことに、今のところ明日の製材見学会への申込はまだどなたからもありません。
みなさん、家は見てみたいけれど製材の見学といってもピンと来ないのかなぁ。

一度見たらものすごく感動するんですが・・・。
せっかくの機会ですから、興味のある方はぜひ観に来てください。

出番を待つ木

年初(1/6-7)に静岡へ行ってきました。

2008年秋に林業家に依頼して伐採してもらった新月材のストックが静岡市内にあるのですが、その状況確認と雨養生をするためです。

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こんな具合で、今静岡市内の山奥に住宅約3棟分の材木をストックしています。
(これ以外にもまだまだあるのですが・・・)

原木をまるごと購入し、伐採から数えて2年、製材してからでも1年以上経っているもので、もちろん天然乾燥材です。

いつか日の目をみるために、今は静かに眠っています。

昨今、材木屋さんでも木材を置いていません。
材木屋さんでもない、工務店でもない東風がこんな量の木材をストックしているのは、冷静に考えると気違い沙汰以外の何者でもないのですが(苦笑)、自分の信念があるので仕方ありません。

個人で木材をストックしておくのは本当に大変なのですが、

「どんな風に使おうか・・・」
「使ったら、お客さんは喜んでくれるかな・・・」
「この木材で建てた家は何年後まで残るんだろう・・・」

なんてことを考えると、もうそんな苦労も吹き飛びます。
今はじっとガマンです。

でも、今週末(1/23)に開催予定の製材見学会では、原木の伐採→製材をして実際に自分の家に使うというプロセスの一端を垣間見ることができます。

昨日、和歌山の伐採現場に行って最終の検品・選木作業をしてきたところなのですが、とてもいい木が出てきたので製材が待ち遠しくてたまりません。

製材に立ち会える貴重な機会です。
興味のある方はぜひこちらのページで詳細をご確認の上、お申込下さい。

木造3階建て校舎に光明か

先ほどこんな記事を見つけました。

現在は木造3階建て校舎を建てようとすると、鉄筋コンクリート造や鉄骨造と同じ耐火性能を求められるために、校舎の木造化が進まない、ということだそうです。

僕も7-8年前に木造校舎のことについていろいろと調べたことがあります。

実は、築60-70年前後の木造校舎というのは各地にちらほら残っているのですが、そのほとんどが公金で建てられたものではなく、地域のみなさんの篤志によって建てられた校舎でした。

そんな校舎は、公立の学校なのにとても良い材料が使われていたり、仕事がとても丁寧だったりして、建設当時のみなさまの意気込みが建物から伝わってきます。

これから木造校舎が増えていくといいな・・・と願って、記事をご紹介しました。

いよいよ今度の日曜日に製材の見学会を行います。

和歌山の桧は香りが強く、製材すると桧のイイ匂いが立ち込めますよ。
詳しくはこちらのページをご確認下さい。

奈良市O様邸 上棟しました

今週は、天気が良いのは大変助かるのですが、寒い日が続きますね。
週末はまた荒れる模様とか・・・。

そんな中、昨年晩秋から基礎工事に取り掛かっていた、奈良市O様邸の建て方作業に月曜日から着手し、無事水曜日に上棟しました。

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奥様のお父様が奈良県吉野在住の林業家である関係で、全て吉野産の杉・桧を使っています。

久しぶりに吉野杉の構造材を使いましたが、やはりいいですねぇ~。
(というかお父様のおかげで、木材のグレードが見積もり時の価格よりも良すぎるものばかりなのですが・・・。)

吉野杉は目合いや色がとてもよく、 やはり国産杉材の中では最高級のものだなぁと感じます。

僕はあらゆる樹種の中でも特に杉が一番好きなので余計にそう感じるのかもしれませんが、とてもいい材料です。

これくらいの材料が使われていれば、この家もめったなことでは潰されないでしょう。 

ところで、1/23(日)に製材の見学会を開催するとお知らせしましたが、この時に製材する和歌山県産の桧は、実はO様のお父様にお願いして伐って頂いた木です。

下の写真の青い服を着ている方が、そのお父様です。

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今から製材がとても楽しみです。

製材見学会に興味がある方はこちらをご確認下さい。 

90年生桧原木の製材見学会 兵庫県三田市にて 01/23(日)開催

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昨年11月の新月期に伐採した、樹齢90年生の桧(原木)を製材する(※)見学会を開催します。
※製材とは・・・丸太を製材機械を用いて挽材(ひきざい)し、角材、板材、割材などを生産すること
 
この原木は和歌山県田辺市山中に生えていた桧を、2010年11月の新月期に伐採したものです。
伐採後、2ヶ月間、山で葉枯らし乾燥していたのですが、今月山から出材し、仕上厚30mmの床板用に製材します。

一般の方が原木の製材に立ち会える機会は非常に少ないと思いますが、原木の製材工程はとてもスリリングです。

ゴツゴツして無骨な表情の丸太から、一瞬にして繊細な美しい杢目を持つ板材を生み出していく製材のダイナミズムを、1人でも多くの方に見て知って頂きたいと思い、見学会を企画しました。

今回挽いた板は、4月に上棟予定の神戸市 I 様邸の床材として使います。

1/23には、合計11本の原木丸太を製材する予定です。
皆様には、I 様邸リビングに使う予定の、長さ6m×巾24~30cmの長尺幅広一枚板を原木から採る作業工程を見て頂く予定です

東風ではいつも内装床材には桧ではなく杉を使うのですが、杉の自然乾燥には長い時間を要します。

かと言って、安易に人工乾燥はしたくなかったので、工期に間に合わせ乾燥時間が短くて済むように桧を使うことをご提案しました。
 
【 日  程 】 01/23(日)
【 現場住所 】 兵庫県三田市内 (お申込頂いた方へ住所をお知らせします)
【 時  間 】 10:30~13:00
【 定  員 】 20名