すごくいい記事を読みましたのでご紹介します。
日経BP社のECO JAPANというサイトの中にある
命の水を再生する「森は海の恋人」
という記事で、前編と後編の2部に分かれて連載されています。
岩手県気仙沼の牡蠣養殖をされているみなさまが、以前から取り組まれている植樹活動に関するインタビュー記事です。
漁師の利益を守るための活動を記事にしたものではなく、
森・川・海と連なる命のつながり
子供たちへの環境体験学習会開催と教育の重要性
なども考えた包括的な活動で、素晴らしいと思いました。
もし興味があれば読んでみてください。
詩人・熊谷龍子氏の詩から誕生したという、「森は海の恋人」というキャッチフレーズが素晴らしいですね。
月別アーカイブ: 2008年6月
お清め
ブログの更新がす~っかり滞ってしまい、申訳ありません。
現在、目前の業務に追いまくられててんてこまいしております(汗)。
特に問題が噴出したりしたわけではなく、ただ単にいろんなことが重なってきただけで体調も崩しておりませんのでご心配なく。
ただ、当分はこのような状態が続きそうで、ブログの更新ペースもかなりノ~ンビリしたものになりそうですのであらかじめお断りしておきます。
22(日)に、滋賀県大津市の現場で着工前の土地のお清めを行いました。
今回は神主さんなどは呼ばずに、この物件の施工を担当してくださる梓工務店の伊東社長がお酒とお塩を現場に撒いて、工事の安全を祈願。
その後、クライアントの T さんとともに、近隣のみなさまにご挨拶をして回りました。
昨日、無事建築確認も降りたので、11月末の竣工に向けてこれから工事がスタートします。
構造材をこれから2ヶ月かけて手刻みしてもらい、上棟はお盆過ぎの予定です。
2007秋伐採の新月材を製材しました
6/11(水)~13(金)の3日間、静岡へ行って製材に立ち会ってきました。
今回製材したのは、2007年11月上旬の新月期に伐採した杉と桧です。
この材の提供に協力してくださったのは、こちらのグループの林業家の方です。
(ややこしい注文に丁寧に対応してくださり、本当に感謝しています!)
11月~3月までの4ヶ月間は山で葉枯らしをし、3月に玉切り・造材(その1 その2)しました。
製材には杉山製材所さんとひかる製材さんの2社にご協力いただきましたが、今回は長材を挽いたひかる製材さんでの作業を報告します。
(以下、全ての画像はクリックすると拡大表示できます)
上の写真の製材の台車に乗っているのは、長さ9.3m、樹齢85年生の杉です。
人間の大きさと木の長さを比べてみて下さい。
上の写真は、製材をしている最中です。
左に立っているご夫妻が、今回京都でこの材料を使ってご自宅の新築をされるNさんです。
人間の大きさと比べると木の太さがよくわかるでしょう?
今回採れた材料の中で一番美しかったのがこの7.3mの杉です。
赤みの色も鮮やかで節も少なく、杢目が芯に通って偏りが無い、すばらしい材料でした。
この材料はリビングの上部・吹き抜けに面した梁として使う予定です。
Nさんに木材のことで静岡へ来ていただくのは、今回で2回目です。
Nさんは昨秋のこの木を伐採する際にも、わざわざ京都から静岡の山へ来ていただきました。
それが1回目。
で、今回の製材が2回目です。
実はNさんの家の作り方は、現代の一般的な家づくりと比べてとても特殊なやり方をしています。
ちょっとその違いを比較検討してみました。
下の表をご覧下さい。
| 一般的なやり方 | Nさんのお宅の場合 |
木材の長さ | 市場に出回っている規格寸法の製材品を何本か継いで使う | 材料を継がずに、1本ものの材料で組めるように、好きな長いままの材料をとってもらうように林業家に依頼 |
伐採時期 | いつ伐採したものかは不明 | 1年を通じて一番いい伐採時期だけを選んで伐採 |
伐採時の | 不可 (今は立ち会わないのが当たり前) | 可 (実際に立ち会ってみると感動~) |
製材時の | ||
木材の | 誰が育てたものかは不明 | 生産者と実際に顔を合わせて話ができる |
製材を終えてクライアントのNさんに感想を伺ったところ、このように(↓)おっしゃっていました。
「原木から製材する過程を実際に見ることができて、本当に贅沢なことをしているんだと感じた」
「木を育ててくれた林業家や製材をしてくださった方に会って話をし、関わってくださる方々の顔がここまで見えるというのがとても貴重な機会で、信じられないことだった」
この静岡の木は、決してブランド品ではありません。
同じ静岡県内産でも、天竜杉は全国でも名前が通ったブランド品として有名ですが、今回の木材は静岡市内の木で全国的には全く無名の普通の木です。
品質だけを追求していけば、吉野杉などのもっと素晴らしい材料はどこにでもあるでしょう。
でも今回のやり方で一番重要なのは、
〇 木を作ってくれた人(林業家・製材関係者)とユーザー(住み手)とが
顔を合わせる機会をつくったこと
〇 伐採時期・葉枯らし乾燥期間・生産者を完全に限定したこと
(木をいい状態で使うためには伐採時期を選ぶことが
と~っても重要です)
〇 家の大きさに合わせて木材の長さを山で切り揃えたこと
という3点です。
本当は全ての家がこうやって作られるべきだと僕は強~く思うのですが、時間も手間もかかるので現実的にはなかなかそうもいきません。
なぜなかなか難しいのか?については、また改めて別の機会に書いてみますね。
あなたはどちらが好きですか?
30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家、と
「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2208年に言ってもらえる家
吉野へ行ってきました
昨日は奈良県吉野へ行ってきました。
滋賀県で今月末から着工するTさんのお宅の構造材の確認のためです。
案内してくださったのは、T邸の工事を請け負ってくださる梓工務店の伊東社長。
上の写真はTさんのお宅の材料を製材してくださる福本製材所さんで見せていただいた杉の製材品です。
吉野材の特徴は、赤身部分の色の良さと目合い(めあい)です。
見る人が見ればお分かりだと思いますが、とても目が詰んでいます。
この木はちょっと若い木ですけどね。
下の写真は、同じ製材所で乾燥させるために寝かせてあった少し大き目の柱です。
太さは6寸(180)角位だったと思います。
濡れているように見えるのは、木口付近に割れ止め材を塗布しているためです。
材木屋さんでは割れ止め材を杢部分全面にべた~っと塗ってしまっているのをよく見るのですが、僕はどうも木に薬品が染み込んでいくような気がして好きではないので、自分で所有・管理している木にはこれまで割れ止めを一切使っていません。
でもこの程度の控えた使い方なら一度やってみてもいいかな、と思います。
他にも旬切りと色目の話など、福本製材所の社長さんにはとてもいい知恵を教わりました。
福本製材所さんにはとても性のいい杉の梁材が無造作に積まれていて、さすが吉野だなぁ~と惚れ惚れ。
きっとその時の自分は、美しい女性に見とれている時のようなうっとりした目になっていたと思います(恥)。
僕は節の有る無しよりも、性の良さや材の素直さに惹かれます。
節があっても、目が詰んでいて真っ直ぐにすう~っと芯が通っている性の良い材料は見ていて気持ちがいいし、気品があります。
節が無くて杢目が美しいような銘木は確かに素晴らしいですが、そんなものばかり使っていたらとんでもなく高くなってしまうし、そんな選り好みをして作るやり方は少し異常だと思うようになりました。
京都で数奇屋を作る仕事に携わっていたときは、こういうこと(↑)にこだわっていたのですが、自分の価値観が少しずつ変わってきているのを感じます。
それにしても、木を見るのはとても楽しいです ♪
今週は水・木・金と3日間静岡へ行って、昨秋伐採した新月材を製材してきます。
スタッフやお客さんにも静岡へ来てもらって製材を行うのですが、もう今からワクワクしています。
どんな材料が出てくるのか楽しみです。
またご報告しますのでお楽しみに。
うっかり・・・
昨日、京都での打合せを終えて伊丹まで車で帰ってきて、
「あれっ?もしや・・・」
と思い至り確認してみると、どえらいことに気付きました。
普通免許(車)の期限が切れている!
ガ~ン。
誕生日から1ヶ月以上過ぎてしまっていたのでした。
そういえば、3ヶ月位前にハガキを見たような覚えもあります。
もしかして、免許取り上げられてしまうんだろうか・・・とメチャメチャブルーな気でて伊丹警察署へ行き、交通課のおまわりさんに事情を説明すると、
「期限が切れてから6ヶ月以内なので(←というか僕の場合まだ10日しか経っていませんが)、視力・聴力などの検査を明石の免許試験場で受けてもらえれば大丈夫ですよ」
とのこと。
よかった~。
みなさんはこんなことにならないように気をつけて下さい。
景観を守るために
すっかりブログの更新が滞ってしまいました。
楽しみにしていてくださる皆さん、ゴメンナサイ。
先週末に京都市内へ行った折、岩倉の円通寺へ行ってきました。
ここは市内の便利なところからは離れていて、アクセスが少し不便なので観光客も少なくてお気に入りの場所です。
比叡山の借景庭園として知られているお寺ですが、僕は年に1~2回くらいのペースでたまに行きます。
比叡山の借景庭園には、他にも北区に正伝寺(しょうでんじ)などがあります。
ここも全~然人が来なくて静かなお寺でなかなかいいですよ。
ところで冒頭の写真を見て驚かれた方もいらっしゃるかと思います。
( ↑ そんなあなたは、かなりの筋モンですね)
というのも、円通寺はこれまで一切の写真撮影を禁止していた(僕の記憶の範囲だと・・・)のですが、今回行ったところ、庭園方向に限っては撮影を許可していました。
(建物は撮影不許可)
今回は帰りがけに、玄関でご住職がたまたま話しかけてくださったおかげで、円通寺周辺の景観を守るために、ご住職が過去数十年間にわたって並々ならぬご苦労・ご尽力をなされてきたことを知ることができました。
現在は円通寺から眺める景観を守るために、この一帯には景観規制が掛けられています。
高い建物は建てられなくなり、建物の屋根の色・形などにも制限があります。
ご住職は40年前から円通寺の景観を守るために、いろんな努力をされてきたそうです。
誤解を招く恐れがあるのであまり詳しくは書きませんが、ご住職は
〇 景観が良くなれば京都に来る観光客も増える。
↓
〇 そうすれば地元の企業も潤って、自治体の税収も増える。
↓
〇 そして税収が増えればさらに景観を良くするための活動にも力が入る
という好循環を起こすことが必要だとお考えになっているようです。
自分とこの景観さえ守れればいいというような偏狭な考えではなく、みんなのための益となる方へ向かうように努力されているところが素晴らしいと感じました。
京都市内で建築する際の様々な規制がありますが、これまでは役所からその規制内容について条項として聞くばかりで、
〇 なぜそのような規制を掛けるのか?
〇 そのような規制を掛けることにどういった狙いがあるのか?
ということにまでは考えが及ばなかったのですが、今回円通寺のご住職のお考えをお聞かせ頂いて、景観問題に対する自分の意識をシフトさせることができました。
ご住職、感謝します。