月別アーカイブ: 2009年10月

福島県に行ってきました

土曜日から出張中です。
今日は茨城から静岡へ向かっています。

関西へは水曜日の夜に帰る予定ですが、週末に福島へ行ってきましたのでそのご報告を。

11/24(土)は福島県郡山市で開催された、民家フォーラムへ参加してきました。


minkaforum2009 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


会場は国から重要文化財の指定を受けている古い木造の校舎で、約170名の参加者があり、大盛況でした。
企画してくださった地元実行委員会のメンバーの皆様、本当におつかれさまでした。
とってもいいフォーラムでした。

「民家を活かす 地域を興す」と題して行われた今回のフォーラムでは、イギリスでの民家の使われ方の実例報告に関する基調講演の他、各地で民家を活かした事業や町おこしに取り組む方の事例報告も聞くことができました。

古い民家には人を集める大きな魅力があることを再認識し、これからも1棟でも多く古民家を残していく活動に微力ながら尽力したい、という思いを新たにすることができたという意味で、とても貴重な機会でした。



民家フォーラムに参加した後は、福島県南会津町に古民家を所有している、とんぼさんのお宅へお邪魔しました。

 

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南会津の古民家を見るのは僕は初めてでしたが、ここでは冬季には3mもの雪が積もるそうです。
日本有数の豪雪地帯に建つ古民家の軸組みはとても骨太の豪快でした。
ほとんど雪の降らない近畿地方の民家を見慣れている僕にはとても新鮮で、カルチャーショックに近い衝撃を受けました。

 

tombohouse_02

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


週末は紅葉がちょうど見頃で、とってもきれいでした。

 

tombohouse_03

 

 

 

 

 

 

 

 

 


とんぼさんのお宅のダイニングカウンターからは、2枚の大きな透明ガラス越しに、外の紅葉が迫ってきます。

 

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僕がお邪魔している最中にも、何人かの顔なじみの方々がとんぼさんのお宅を訪れました。

上の写真は、近くに住んでいる左官屋さんが里山で採ってきて分けて下さったきのこを、とんぼさんの奥様が乾燥させようとして庭先に置いていらしたところです。

とんぼさんによると、この左官屋さんは釣りも上手だそうで、目の前の川で岩魚を毎年たくさん釣ってこられるそうです。

家の周りには柿やふきなども生えていて、里山の小路の脇にはシイタケ栽培用のホダ木もありました。

農業を営んでいるわけではなく、自分たちで食べるためのシイタケを作るホダ木のようでしたが、そんな風景を目の当たりにして山の幸に恵まれた豊かさを感じ、いろんな思いがじんわりと湧きあがりました。



とんぼさんのお宅を訪問して、いろんなお話をお伺いできたことは、今後の僕の人生に大きな影響を及ぼしそうです。

そのあたりについてはまた追々、機会に応じてお話ししますね。

とんぼさん、奥様、どうもありがとうございました。
また遊びに行かせてくださいね。

 → とんぼさんのブログはこちら



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世界に、300年先も美しい風景を

構造見学会へのご来場ありがとうございました

10/18(日)に、京都市N邸の現場において、構造見学会を開催させて頂きました。

延べで30名以上の方にご来場いただきました。
どうもありがとうございました。



今回は建築業界関係のみなさんの申込が予想以上に多くて、急遽
 建築関係者→ 午前中に開催
 一般の方  → 午後に開催
という風に、時間帯を分けて行いました。



時間帯を分けた理由は、各々お互いに見るところや質問の内容が全く異なるからです。

案の定、専門家の皆様からは、構造計算に関することや工法、材料に関する質問が相次ぎました。



見学に来て下さった方から、新米と枝豆のお土産も頂いたりしてビックリ!
早速美味しく頂いています。
(小西さん、西本さん、ありがとうございました)



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西宮2世帯住宅 小屋組みができました

水曜日に西宮市内で進行中の現場へ行ってきました。

現場がとてもきれいに片付けられていて、大変気持ちが良かったです。
現場がきれい(掃除・整理という意味)ということは大事なことですね。
( ↑ 自戒も込めて書いています。苦笑)

僕が行った時には大工さんの屋根仕舞が終わっていて、2階の空間の骨格がおよそ見えるような状態でした。


西宮1014_2


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



写真の丸太梁は2階リビングの室内に化粧材として見えてきます。
すでにところどころ筋交いが入っています。



屋根のルーフィング(防水層)はすでに葺き上がり、板金屋さんが屋根を葺くための墨出しや割付をしていました。

西宮1014_1


 


 


 


 


 


これから年末の竣工に向けて、いろいろと確認作業が続きます。

現場にちょうど現場監督さんと大工さんがいたので、木工事の納まりについて協議しました。

図面だけでは真意が伝わりにくいところもいくつかあって、具体的に話せるといろんな検討事項が浮かび上がってきます。

設計は完了しているので、大どんでん返し!のようなことはないのですが、施工中にはディテールの変更などによる問題が常に出てくるのでその都度対応していかなくてはなりません。

次は内装出入口枠の納まり標準図(原寸図)を書いていくことになりました。



伝統構法 鼻栓【お知らせ】
10/18(日) 京都市内で新月伐採材を使った
伝統構法の家の構造見学会を行います。
詳しくはこちらをご覧下さい


 ↑ おかげさまでたくさんの方から参加お申込を頂いています。
  どうもありがとうございます。
  伝統構法に対するみなさまの関心の高さが伺えます。

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京都市N邸 屋根の断熱工事

京都市N邸で屋根工事が進行中です。
下の写真は大屋根の野地板張りおよび断熱材充填工事の様子です。


断熱材1015_1


 


 


 


 



↑ 通常の約2倍の背の垂木の側面を一部欠き取って、
  垂木と垂木の間に化粧野地板を上から落としこんでいきます


断熱材1015_2


 


 


 


 



↑ 垂木の上に載っている板(手前に見えている板張りの部分)は
  外壁よりも外になる部分で、断熱はしません。
  板が落とし込んである範囲にだけ、断熱材を充填します。

  この現場では屋根の垂木を少しむくらせています。
  屋根をむくらせると、外観に硬い感じがなくなり、ふっくらと柔らかくなります。
  画像をクリックして拡大表示していただくと、垂木がゆるやかに曲がっている
  様子がお分かり頂けると思います。
  


断熱材1015_3


 


 


 



↑ 白く見えているのが断熱材です。
  化粧野地板と野野地板との間に挟まれているような形になっています。



このように面倒な工事をするのは、屋根の垂木や野地板を化粧として見せる形にするためです。

天井を張らずに屋根の構造をそのまま見せると、デザイン面でいやらしさがないダイナミックな空間ができるので、なかなか好評です。



ただこういったデザインは、美観上は魅力的ですが、暖房効率が悪かったり、梁の上に埃がたまりやすい、などのデメリットも確かにあります。

そこはいつもクライアントのみなさまと協議しながら、1軒ずつ個別に納まりを協議して決めていきます。



伝統構法 鼻栓【お知らせ】
10/18(日) 京都市内で新月伐採材を使った
伝統構法の家の構造見学会を行います。
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瞑想を習ってきました

日曜日に奈良県の室生にあるゆらきへ行って、以前から興味のあった瞑想の手ほどきを受けてきました。

当日指導してくださった天野雅道さんは、熊本を拠点にして活動されている方だそうで、僕は初めてお会いしました。

天野さんは年齢も僕と1歳しか違わず、ハキハキと何でも気さくに話される方で、僕の知人に容姿がとても似ていたこともあって、親近感が沸きました。



瞑想と聞くと、なんだか妖しそう・・・と思われるかもしれませんが、座禅と同じようなものではないかと思います。

瞑想の目的は、静かな場所で心を静めて、自分の意識を徐々に内面に向けていって脳波を「ある状態」にもっていく、ということのようです。



「ある状態」というのは、誰でも日常的に経験しているのですが、簡単に言うと「目覚めた直後のボーっとした状態」のことです。

そう聞くと、そんなに妖しくないでしょう?(笑)

(注:ここまでの説明は大きくは外れていないと思いますが、
   正確には間違っている可能性があります。
   あくまでもこの説明は、僕自身の理解であると受け取ってください。
   指導された天野さんがこの通りに説明されたわけではありません)



瞑想中は外界の音も聞こえていて自分の意識もはっきりしているんですが、体が少しずつ傾いたりしてきて、時間の感覚や体の感覚が普段とは違ってきます。

僕はあぐらをかいて座ったまま、体がべたっと前につんのめるように呼吸をする度ごとにゆっくりと倒れていきました。



僕が瞑想の手ほどきを受けたいと思った理由は、以前から興味があったからというのが一番ですが、もう一つ理由があります。

それはあまりに目まぐるしく過ぎ去っていく毎日に流されずに、もう少し大局的な立ち位置に自分の意識を置いて、落ち着きをもって物事が判断できるように自分の意識の状態を改善したい、というものです。



実際に天野さんから手ほどきを受けてみて、これから少しずつ自分でも実践していこうと思いました。




伝統構法 鼻栓【お知らせ】
10/18(日) 京都市内で新月伐採材を使った
伝統構法の家の構造見学会を行います。
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家の中から空が見えると気持ちいい

先日、クライアントと打合せをしていた時に
「家の中から空が見たい」
と言われました。

以前、神戸のSさん宅にお邪魔した折に部屋の中から空が見えたのが気持ち良かったから、とその方は仰っていました。

そう言われて半年以上前に撮った写真があることを思い出したのでご紹介します。


空が見える家 


 


 


 


 


この写真はSさんのお宅のリビングから見える風景です。

吹き抜けに面して大きな窓を設けているので、一日中部屋の中から空が見えます。



まぁ、このお宅の空の見え方はちょっと極端としても(笑)、家の中から空が見たい、というとなんだか無茶な要求のように思いますが、そんなことはありません。

トップライトを設けなくても、1階にいて2階の窓越しに空が見えるというのはとても気持ちがいいものですよ。

小さくてもちょっとした吹き抜けがあれば、割と簡単に実現できます。



そう言われて初めて気付いたのですが、うちで設計したお宅はほとんどが空が見える窓を持っているのです。

これから家づくりに取り組まれる方は、このことを頭の片隅に置いておかれるといいかもしれませんね。



伝統構法 鼻栓【お知らせ】
10/18(日) 京都市内で新月伐採材を使った
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10/18 新月伐採×伝統構法の家 構造見学会を開催します

クライアントのN様のご厚意により、10/18(日)に現在施工中の伝統構法型住宅・京都市N邸の構造見学会を行うことになりました。


N邸建方_3


 


 


 


 


 




 



道路側から見た建物全景。
見学会当日までには、いくらか屋根の瓦も葺けていると思います。


N邸建方_2


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 





建方当日の様子。
上の写真は通し柱の足元ですが、石場立てになっている様子がお分かりになると思います。


N邸建方_1


 


 


 


 


 


 


 


 





 


上の写真は通し柱と胴差(2階床を支える梁)の仕口の写真です。
長ほぞに鼻栓を差して木組みだけで緊結しています。



この現場は、2007年11月の新月期に伐採し、自然乾燥させた木材を使っています。


木造2階建ての石場立て型伝統構法で、構造材の緊結に金物は一切使っておらず、足元も石に載っているだけの構造です。

耐震偽装問題後に改正された現行建築基準法になってからは、京都市内で初の新築伝統構法物件だそうです。

壁は昔ながらの土壁+竹小舞でつくり、屋根には日本瓦を葺きます。




このような形で建物を作る機会は、近年大変少なくなっていますので、興味のある方はぜひご参加下さい。


見学会当日は時間の許す限り、ご参加いただいたみなさまのご質問にお答えし、皆様のお役に立ちたいと考えております。


同業者の方も見学可能です。
遠慮なくご参加下さい。

※同業者の方へ:参加お申込の際、建設業に携わっていることを明記しておいてください。
        お申込人数が多かった場合、別時間帯にさせて頂く場合もあります。



開催場所:京都市左京区 
      ※お申込いただいた方に現場の地図をお送りします
開催日事:2009年10月18日(日) 13:00~16:00


参加お申込はこちらからどうぞ

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【伝統木造建築物の耐震診断と耐震補強設計勉強会】 第1回に参加してきました

昨晩(10/05)、大阪市阿倍野区内で開催された、【伝統木造建築物の耐震診断と耐震補強設計勉強会】に参加してきました。

この講座は、伝統的な木造建築物の設計などに携わる専門家向け(建築士の資格を持っている方を対象)のカリキュラムで、全6回にわたって毎週1回ずつのペースで連続講座を持つものです。

主に
○ 限界耐力計算の計算方法・考え方
○ 経年による木材の劣化・腐朽などの補修について
○ 伝統木造住宅の耐震設計演習
などを学ぶものです。

第1回目は構造の専門的な単語が目白押しで、ついつい眠たくなってしまうところもありましたが、礎石柱脚部でのすべりのメカニズムを解明するための実験結果のお話などは、とても興味深い内容でした。



今回の講師であった、同志社大学の鈴木祥之先生・広島国際大学の斉藤幸雄先生のお話を聞いていて改めて実感したことがあります。

それは、鉄筋コンクリート造・鉄骨造の建物の設計・構造解析手法は確立されているというのに、未だに木造建築物の構造解析手法や設計手法は確立されていなくて、まだまだこれから研究を進めていく途上にあるということ。

以前から知識としては判っていることですが、研究の最前線にいらっしゃる大学教授の先生方の口から直接こういう事実を聞かされると、不思議な感覚が芽生えるのと同時に、やはり木造は奥が深いなぁと実感します。



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京都市N邸 上棟しました

上棟1004_1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い時間がかかりましたが、京都市の伝統構法住宅が無事上棟しました。

雨に打たれたり部分的に仕口を修正したりしながら進めてきた建方作業だったので、上棟した時はホッとしました。

結局、建方に取り掛かってから上棟まで、延べで合計5日を要したことになります。

 

上棟1004_3

 

 

 

 

 

 

 

 

 



上の写真は、大屋根の棟木(むなぎ)を納める時の様子です。

この棟木は長さ約9m、巾30cmの杉の一本ものです。

このような大きな材料を曲がったりねじれたりしないように乾燥させるのにはいろいろと神経を使いましたが、ねじれは全くなく、曲がりもほんの少しで納まったのでまずまず成功です。

もともとの木の性格がおとなしかったからでしょうね。

 

上棟1004_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は、2階床の高さから棟付近の構造材を見たところです。

家の中心の大黒柱の上に一本ものの地棟(じむね)がかかり、地棟の両側から丸太梁をその上に架け、さらにその上に前述の棟木が載っています。

これらの小屋組みは純然たる構造材ですが、最終的に全て化粧材として見えてきます。

細かく手の込んだ彫刻とか、意図的なデザインなどは全くしませんが、この家の最も重要なデザイン要素の一つです。

部材の太さ、曲がり、木目、向き、取り合せなどを一本ずつ考えて決定してきましたが、最終的に違和感なくまとまりました。

材料が太ければ野暮ったくなるし、細すぎると貧弱になるし構造的にも垂れたりしてくるので難しいのですが、結局はバランス感覚が最終的な判断基準になってきます。



遠い将来自分達が死んでいなくなった後も、この建物を見た大工さんがこの建物に込めた僕らの思いを木材から感じ取ってもらえるように、と考えてつくりました。

設計図書がなくなっても、わかる人には絶対に伝わります。



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西宮2世帯住宅 上棟しました

西宮1003.1 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は、西宮市内で工事中の2世帯住宅/Y・K邸の上棟が行われました。

本当は昨日行われる予定だったのですが、あいにく雨に見舞われ、一日延期となりました。

 

僕が予想していたよりもずっと早く作業が進み、夕方4時に現場へ着いた時にはすでに棟が上がっていて、タチ(柱の垂直)を直しているところでした。


 

西宮1003.2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


上の写真は、2階リビング上部に架かる赤松の化粧丸太梁です。
ゆる~く上品な感じで曲がっていて、節も少なくおとなしい木でした。

出来上がったらきっといい感じで部屋のアクセントになると思います。



今回の現場に入った構造材は、僕が予想していたのよりも良い木が多く、材料を見ていくと少し設計変更が出そうです。

すでに玄関袖壁の脇に立っている桧の通し柱などは、もともと見せずに隠してしまう設計になっていましたが、木目がおとなしくて見栄えがする木なので、設計を変更して木を見せるようにしてはどうか?という話が持ち上がりました。

ポストやインターフォン、照明器具なども絡んでくるので調整・検討が必要ですが、木造の設計というのはこうやって材料によって途中で変更することがしょっちゅうあります。

こういうところは現場が始まってみないとわからない、施工の醍醐味です。



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