月別アーカイブ: 2010年1月

土壁仕上 下地窓

京都市N邸の現場で土壁が仕上ってきている、ということを先日書きましたが、2階の壁の一部に左官屋さんが円形の下地窓を作ってくれました。

とってもいい感じで仕上っているのでご紹介します。

下地窓


 


 


 


 


当初は、このような下地窓を設けるつもりではなかったのですが、竹小舞下地を編み上がるころにクライアントのN様が現場を見られて、

「せっかくこれだけちゃんと竹を編んでくださったのに、壁が出来上がってしまったら全く下地が見えなくなってしまうのは惜しい」

と仰って、じゃあどこか塗り残しましょう!ということになり、空調などの関係で支障のない部分の下地を塗り残すことになりました。



最初から下地窓にする予定で作る場合には、こういうところの壁下地(竹や縄)はもっときれいに仕上げられた材料で下地を編むのが定石なのですが、今回は編みあがってから塗り残そう、ということになったので、フツーの下地がそのまま露出しています。

「ちゃんとこうやって編んだんですよ」というのが後世の人にしっかり伝わる、
という意味ではとてもいい形になりました。

円形の縁は一般に貝の口(かいのくち)または蛤端(はまぐりば)と呼ばれる形で、ぬるっと丸みを帯びた仕上げ方をしています。



最終的にはこの壁の裏に照明器具を置いて、スイッチを入れると下地窓から明かりが漏れるという形で仕上げることになっています。



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土壁が仕上ってきています

京都市N邸の現場では、左官職人による土壁の仕上工事が進んでいます。

今回左官工事をお願いしているのは、僕が15年ほど前からお世話になっている山本左官工業さんという京都市内の左官屋さんですが、とても丁寧な仕事をして下さっています。


壁0128_1


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



2階寝室の壁です。

まだ乾いていないので緑っぽい色をしていますが、乾いたら土色になります。
中塗り仕上げです。



壁0128_2


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


熟練職人のHさんが仕上げている最中の写真。

一見顔はちょっとコワモテですが(笑)、とても細かな気配りをして下さる丁寧な職人さんです。
Hさん、いつも助けて頂いてありがとうございます。



この写真はまだ仕上の最中なのでコテムラがありますが、きちんと仕上った壁には全くコテムラがありません。

壁が仕上った部屋に入ると、勝手に背筋が伸びるようなピリッとした緊張感が漂っていますが、乾いてくるともっとむっくりした感じになってきます。

あの雰囲気は、やはり写真では伝えられません。
来月開催を予定している完成見学会で、みなさんにもぜひ現場で感じ取って頂きたいと思っています。



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ペアガラスが結露!

先日も書きましたが、このところ土壁を乾かすためにちょくちょく現場に泊まり込んで夜通しストーブを焚いています。


実は昨夜も現場に泊まったのですが、土壁が乾くときに放出する水分量がものすごいため、建物のすべてのガラスがびっしりと結露します。

結露


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


このガラスはもちろんペアガラスですよ。



ちなみに、今朝の京都はかなり冷え込んだようで、昨夜降った雨で路面が凍結しまくっています。

みなさん、安全運転で行ってくださいね。



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外部足場 外れました

京都市N邸の現場では、外壁の漆喰も仕上がり、ようやく外部足場が外れました。

写真を撮ってきましたのでご紹介します。


外観1


 


 


 


 


 


 


外観2


 


 


 


 


 


 


外観3


 


 


 


 




1階の外壁板張りがまだ少し残っていますが、これは脚立と足場板で簡単な足場を組んで工事する予定です。



実は昨夜から僕は現場に泊まり込んで土壁を乾かすための番をしていました。
(このブログの投稿も現場からしています)

夜、ライトをつけた外観がとても良かったので写真を撮りたかったのですが、三脚がなかったので撮れませんでした。

また竣工したときに撮ってご紹介しますね。



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壁土の違い

京都市N邸(伝統構法)新築工事現場では、中塗り土を使った底埋め作業が進んでいます。

昔ながらの土壁を作る工程では、大きく分けて

○ 下塗り(荒壁)用の土
○ 中塗り用の土
○ 上塗り用の土
  (またはしっくいの他、化学系仕上材である繊維ジュラク・珪藻土などなど)

という3種類の材料を何工程かに分けて塗り重ねていくことにより、土壁を作っていきますが、実は下塗り/中塗り/上塗りでそれぞれ土やスサが違うのです。

今日はその土の違いを写真でご紹介します。

今回のN邸現場では上塗りをせずに中塗りで仕上げてしまうやり方をするので、残念ながら上塗りの画像はお見せできません。

でもまたどこかで写真を撮ってきたらお見せしますね。


荒壁0121


 


 


 


 


 


 


 


 


上の写真は下塗りの土(荒壁)が乾燥した状態です。


中塗り土0121


 


 


 


 


 


 


 


 


そしてこの写真は、中塗り土が乾燥した壁の写真です。

2枚を見比べて頂けるとお分かりかと思うのですが、下塗り土の方が粒子が粗く、スサも長いものを使っています。

それに比べて中塗り土は粒子も細かくなり、スサも細く・短いものを使っている様子がお分かりになるかと思います。

一言に土壁と言っても、実はいろいろなんです



上塗り用の土(水捏ねじゅらく)となると、さらに粒子が細かくなり、スサも微細なものになりますが、それはまたいつかの機会にご紹介しますね。



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軒樋への落葉 解決策

落ち葉よけネット


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


落ち葉よけネット2


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


大屋根の軒樋に落ち葉が溜まって、きちんと排水できない、しかし掃除しようにも足場がないので掃除できない、何とかして~という方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?

軒樋の中にネット状の部材を丸めて設置し、樋の中に枯葉などのゴミが溜まるのを防ぐ商品は数社から販売されています。

上の写真もそのうちの一つで、これはパナソニック電工社製の落ち葉よけネットを使いました。

お悩みの方は設置を検討されてみてはいかがでしょう?



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外壁漆喰塗り仕上着手

外壁漆喰0118_1


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



京都市N邸で、いよいよ本日から外壁の漆喰塗り仕上げに着手しました。

本当は先週やりたくて準備も整っていたのですが、寒波襲来により1週間延期せざるを得ませんでした。

塗り壁材は凍ててしまうともう駄目なんですよね。
室内ならば氷点下に下がることもまずないし、必要なら暖房をつけておけば問題ないのですが、外壁はそういうわけにいきません。

よって泣く泣く1週間延期した、というわけです。


外壁漆喰0118_2


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


外壁漆喰0118_3


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


明日も引き続き漆喰の仕上作業を行います。

いよいよ外観がほぼ完成します。

明後日、また現場へ行くので、出来上がった姿を撮ってきてまたアップしますね。
どうぞお楽しみに。



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悩ましい桜

昨日は奈良県のお客様に声をかけていただいて、土地を購入すべきかどうかの判断をするために打合せをしてきました。

周辺は閑静な住宅街で緑も多く、住環境としてはとてもいいところです。
土地もゆったりした広さがあって、のびのびとしたご提案ができそうです。

明日香野


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



ただ、ちょっと悩ましいのが敷地に生えているこの桜。

枝の張り具合から見ても、結構な年数を経ていると思われるのですが、この敷地の一番陽当たりの良い場所に生えているのです。

以前から、毎年春にこの桜が咲くとご近所のみなさまの目を楽しませてきたのだろうと思われるような、とても目立つ位置に生えているんですよね。

このまま残すと、リビングの陽当たりに影響を及ぼして毛虫も落ちてくるし、かと言って伐ってしまうと、この木やご近所のみなさまに気の毒だし・・・と思って難しいところです。

うまく残して魅力的な提案ができるといいんですが、これからしばらく頭を悩ませてくれそうです。


薪ストーブ


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


上記現場からの帰路、久しぶりにTさんのお宅にお邪魔してきました。
上の写真はTさん宅でお使いのExtra Largeサイズの薪ストーブです。

Tさんのお宅では、夜になると
「カリカリ、カリカリ」
と木をかじるような音がする、と昨夏にお聞きしていて、その後害虫駆除の専門家に見て頂いていたのですが、僕自身がなかなかお伺いできないままになっていました。

(ちなみに、上記の「カリカリ」の原因はコウモリだと判明し、白蟻などではなかったので一安心)



Tさんのお宅では2人のお子様達が満面の笑顔で出迎えてくれて、とても嬉しかったです。

この家も伝統構法で建てたお宅なのですが、年数と共に少しずつ土壁の色が落ち着いてきたように思います。

いろんな種類の木を使っていて竣工当時は木の色がバラバラだったのですが、それぞれが日に焼けて木の色もお互いになじんできて、少しずつ風格が増してきました。

年とともに魅力が増す。
こういうところも木の家の良さですね。



Tさん宅は竣工して3年が経とうとしていますが、幸い土壁のクラックなどは全く無い様子で安心しました。

作り手としては、こういうことって何年経っても気になって仕方がないものなんですよね。



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今からとても楽しみです

火曜日・水曜日と出張で東京へ行っていたのですが、中央線の駅で電車を待っていた時に、線路の向こう側にあった大きなポスターが目に入り、思わず

「お~っ!!!」

と声に出してしまいました。



2月下旬から東京国立博物館で、長谷川等伯/没後400年 特別展が開催されると知ったからです。

しかも国立博物館(東京・京都の両方で開催されるようですが)での展覧会ということは、東京国立博物館蔵(普段は非公開)の国宝/松林図屏風がきっと展示されるに違いない、と思ったからです。



で、早速ホームページで調べてみると・・・やはり思った通り、ちゃんと松林図屏風は全期間を通じて公開されるようです。

→ 没後400年 特別展「長谷川等伯」
  東京国立博物館 平成館 2010年2月23日(火)~3月22日(月・休)
  京都国立博物館       2010年4月10日(土)~5月9日(日)



やはりこれに備えて、等伯の生涯を描いた歴史小説を読んでおかないと、とえらく楽しみにしています。

同時公開される、京都・智積院蔵の楓図の華やかさと松林図屏風の静謐さ(いずれも国宝)の作風のあまりの違いの裏には、等伯とその息子の人生のドラマが関係していると言われますが、そのあたりもじっくり調べた上で臨むつもりです。



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天地の道理と善悪と

年末から読んでいた本を、昨日ようやく読み終えました。
僕は本を読むのが遅いんです。

本を読むのはとても好きなんですが、目が疲れてくるのか、単にこらえ性が無いのか、1時間くらいしか連続で読み続けられないんですよね。


ですから1冊の本をちょこちょこと途切れ途切れに読み続けるのが常です。



で、今回読んだ本の一節に、当たり前だけれど趣のある件があったので抜粋してご紹介します。

この本は孔子が書いた『論語』の内容の一部を説明してくださった講和を
記録して本にしたものなので、とても読みやすい文体で書かれています。



(以下、本文より抜粋)

『五十にして天命を知る』


(中略)天が私たち人間を生かしている。いろいろな生命を産み育て働かせている自然のエネルギーを天命といいます。この働きの尊さを(孔子は)五十歳にしてはっきりと知ったということです。これは大事なことです。


天命や自然は、善悪や毀誉褒貶(きよほうへん)のからくりで動いていません。


川の流れや山の活動を見てください。花が咲き、実り、散る。ここに善悪の概念がありますか。


いい悪いなんて、そんな人間のケチくさい概念は、ここには一つもありません。「いい」「悪い」をいってお互いに競争をし、争いをしていることが、いかにつまらないかということです。



人間世界は「いいか悪いか」という概念一つで、多くの生命を奪う戦争までしています。


ただし「いい悪い」という考えは両刃の剣でもあります。「いい悪い」がなければ、人間は成長できないからです。



ですから「いい悪い」という考えをつねに適当に自分で料理しないといけません。自分が主人公になって冷静に深く考えて「いい悪い」を使うことです。人生は「いい悪い」に使われてはいけません。


しっかりと自分の目を持って、自分はどれがいいかということを、自分で決定していくように訓練していくことです。



これは訓練しかありません。最初からできるのではなく、だんだんできていくことです。人間の善悪の考えをうまく調和しながら、天地自然の自由な活動力に帰依して、自分の人生すべてを解決していくことです。


『論語』に学ぶ人間学(境野勝悟 著)より抜粋

(抜粋ここまで)




数十年、数百年を経た建物を見るときは、ここで言われている「天命」/いわゆる天地の道理みたいなものをまざまざと見せつけられます。

人智の及ばない、自然の力。

だからそれに対抗するのではなく、うまく折り合っていける性格の建物を考える。

時が経っても、価値が変わらないところにはきちんと力をいれ、時代の流行に伴って価値が変化する部分には必要以上にこだわらない。

東風ではそういう考えで建物を作っています。



こういう作り手の考えというのは、きちんとした考えを持った人が作ると、建物を見ただけでそれがわかるんですよね。

伝わってくるんです。



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