家のこと」カテゴリーアーカイブ

車椅子利用者を想定した洗面ボール

昨日は西宮市内に2世帯新築住宅を計画中のYさん+Kさん親子(←あやうくKYさんと書きそうになりました。汗)と一緒に、大阪市内のABC商会さんへ一体成型型の洗面ボールを見に行きました。

数年前からこの商品をカタログで見て知っていたのですが、実物を見るのは初めてです。
材質は人造大理石でした。


洗面ボール1


 


 


 


フォルムが独特なので、最初は
「これってどうなん?」
と、ちょっと斜に構えたような見方をしていましたが、ショールームの女性の方が説明をしてくださったおかげで、この形になっている理由が良くわかりました。

この形は見た目のデザイン優先で作られているものとばかり(僕が勝手に)思い込んでいたのですが、実はそうではなく、人間工学に基づいてつくられた形なんだそうです。

いろんなディテールについての説明を受けて、なるほどなぁ・・・と感心してしまいました。

この商品、実は価格もお手ごろでなかなか良いです。



いろんな形の商品があって、比較しながら見せてもらいました。


洗面ボール2 


 






今回見た中で、性格が異なる2機種が最終候補として挙がり、
「どちらにしようかなぁ・・・」
とKさんが頭を悩ませていました。

ひとつは、今使いやすい商品。
もうひとつは、5年後くらいにはこっちの方が使いやすくなるかも・・・という商品
( ↑ お体の具合の都合です)

そこでひらめいた僕は
「今回は2世帯住宅ですから、1回にこれ、2階にそっちの商品をそれぞれ設置して、将来状況が変わってきたら1階と2階の洗面台を入れ替えたらどうですか?
そうすれば工事費用はかかるけれど、商品はそのまま使えますよ」
と提案。

そうしましょう~♪ ということに落ち着きました。
2世帯住宅も結構面白いかも、と感じました。

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11/3(土・祝)に静岡で新月伐採現場見学会を開催します

伐採

かねてより、何度か新月伐採についての記事を投稿してまいりましたが、遂に今年の伐採日程が決まりました。
11/3(土・祝)、11/5(月)~11/9(金)の合計6日間に渡って行います。

そして、その初日11/3(土・祝)は伐採現場をあなたにも見ていただけるようにと静岡県静岡市内のSGEC認証林で伐採作業現場の見学会を開催します。

<新月伐採作業現場見学会>

【開催日時】 2007/11/3(土・祝) 10:00~17:00
【集合場所】 JR静岡駅 10:00集合
【伐採現場】 静岡市葵区梅ヶ島
【参加費用】 無料
【問合せ先】 サトウ都市環境デザイン 担当:佐藤仁

umegashimabassai

上の写真は、昨年秋の伐採作業風景です。

当日、現場では、

 ● 木材の伐採とはどのように行われるのか?
 ● 家に使われる木材(柱や梁など)はどんなところで、
   どんな人たちが作っているのか?
 ● 100年以上前に植えられて、今伐り出す木は
    どんな表情をしているのか?
 ● 新月伐採・葉枯らし乾燥とはどういうものか?
    (これから家づくりに取り組むあなたにとっての
    メリットとデメリットとは?)

などについてお話したり、実際に現場での作業を見ていただくことで、山や林業、木の性質などについての理解を深めていただきたいと考えています。

より詳しい情報は、こちらのページにてご確認いただけます。
(参加申込フォームへも上記ページよりリンクしています)

たくさんのみなさまのご参加をお待ちしております。

註:今回の見学会は、完成した家など建築現場へのご案内を
  行うものではありません。
  林業を行っている山へ行って、木を伐採している作業現場を
  見ていただくための機会です。
  ご注意下さい。

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古民家は誰のもの?

今、兵庫県佐用町平福という町で、築250年経過している町家を調査しています。
平福は昔の因幡街道の宿場町で、夢前川(ゆめさきがわ)沿いに
土壁塗りの土蔵が立ち並ぶ美しいまちなみが有名なところです。

「できればなんとかこの家を残したいのだが、どうだろう?
 構造的に、もつだろうか?」

というクライアントのご要望に応えるべく、建物全体の調査をしているというわけです。
この家のオーナーは、とある事情でずっと以前に関東へ移り住んでしまい、もう長い間空家になったままです。

空家になると家の傷みはドンドン進行するのですが、ご多分に漏れず、正直言ってこの家もかなりひどい状態です。
再生に耐えうるかどうかは微妙な情勢です。
11月に3回にわたって現場で様々な調査を詳細に行い、現在はそのデータをまとめているところです。

その第3回目の調査を今週の火曜日に行ったのですが、その時にとても印象深い出来事がありました。

その日は、一番肝心な柱の足元(柱が地面と接している根元の部分)が腐ったり虫に喰われたりしていないかどうかを調べるために、朝からまず職人さんに現場へ来てもらって、床組みの解体・撤去を行っていました。

床下に隠れて見えなくなってしまっている部分を見るためです。
もしここが傷んでいると、もう再生は難しくなってきますから、一番重要な部分です。

畳をめくり上げ、床板を外し、根太や大引(おおびき)といった床組みの構造材をガンガン解体している時でした。
あるおじいさん(70~80歳くらいに見えました)が、ふらふら~っと家の中に入ってきて、なにやら僕らのグループの一人に話し掛けているのです。

興味本位で工事を見に来て世間話をする人は結構いるので、そんなひとの内の一人だろうと思い、僕は自分の作業に没頭していました。
しばらくすると、そのおじいさんは帰っていき、職人さんによる床組み解体の作業も終わり、僕の調査も終わりました。

すると、先ほどおじいさんと話をしていたU氏がそのおじいさんとのやり取りを話してくれました。

おじいさん:「あんたたち、何をしているのかね?」

 U 氏  :「今、この家の調査をしているんですよ」

おじいさん:「この家は潰されてしまうのかい?」

 U 氏  :「いえ、まだわかりませんが、できれば何とか残したいと思い、
        それが可能かどうか、調査をしているところです」

おじいさん:「そうかい。それでちょっと安心したよ。
        実はワシはこの近くに住んでいる者じゃが、ワシは小さい頃
        この家でしょっちゅう遊ばせてもらったことがあるんじゃ。
        今は荒れ果てているが、昔はキレイで立派ないい家だったんや。
        それで今、前を通りかかったら、畳を運び出したり床を解体して
        いるのが見えたから、もしかしてこの家を潰してしまうんじゃないか
        と思い、心配になって覗いてみたんじゃ。
        確かに今はいろんなところが傷んだり腐ったりしてしまっているが、
        何とか残してもらえるといいなぁ・・・。」

そのおじいさんは、そんなやりとりを残して帰っていったそうなのです。

この家は確かにオーナーの所有物なので、解体するのも再生するのもオーナーの意思一つです。
そして、維持していくためには多額のお金がかかり、自治体も補助してはくれません。
その金額は数千万円(家が1軒建つ金額)です。
ですから、気持ちとしてはなんとか残したいと言っても、住む予定も無い家にそれだけの投資をするというのは、オーナーにとっても非常に苦しい決断だということはよくわかります。

しかし、同時にこの町に住んでいるたくさんの人の人生に何かしらの形で関わってきたという意味では、もうすでに一人だけの財産とは言い切れない存在になってきてしまっているのです。
過去250年という町の歴史を、いつも変わらずに黙って見守ってきた、貴重な存在なんだということをひしひしと感じ、何とか残してあげたいという気持ちがより強くなりました。

最終的な結論は、来週現地でこの民家のオーナーに調査報告を行った上で、オーナーが判断されることになります。

 

 

 

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照明デザイン

岡崎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年の春に、僕の前の職場(鈴木工務店)の仕事を設計スタッフの一人としてサポートしていた現場があるのですが、その現場が竣工したので観に行ってきました。

京都市内のあるゲストハウスですが、この仕事には、クライアントの関係で東京の某照明デザイン事務所が関わっていました。
(いい仕事をされていたので本当は事務所名などご紹介したいのですが、諸般の事情により伏せておきます)
主要な部屋の照明デザインをその事務所が担当していたのですが、かなりいい出来栄えです。
写真のとおり、とても雰囲気のある美しい空間が出来上がりました。



今後の照明デザインに対する考え方を一新しようか・・・というぐらいのインパクトがありましたが、やはり住宅(=生活のための空間)ではなかなかここまでやり通してしまうと、クライアントの同意(←理解・・・ではないと思います)が得られないことには難しいだろうなぁ・・・と思いました。
なぜかというと、照度が低いという問題が頭をもたげてくるからです。



一般に、雰囲気のある部屋にしようとする場合、部屋全体の照度を落とす必要があります。
具体的な手法としては、

 ○ 蛍光灯ではなく、白熱灯を使う
 ○ 直接照明ではなく、間接照明を使う
 ○ 後付け型の照明器具ではなく、照明器具を建築化照明として考える

というようなやり方を用いていきます。

   ↓    ↓    ↓

すると当然のことながら、部屋が暗くなります。

   ↓    ↓    ↓

当然、本を読んだり、書き物をしたりするのには向かない部屋になります。
(このような部屋で読み書きをする場合には、局所照明で机の上やテーブルの上だけを明るくできるように計画します)



「それでもいいから、やっぱり美しい部屋にして!」



というクライアントからのご要望があれば喜んでやらせていただきますが、まぁそんなクライアントはごく稀でしょうね。

数十年後に建てる予定の自宅でやってみようかな。

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ボランティアによるかやぶき民家再生プロジェクト 第3回の報告

バタバタしていたら、ブログの更新がすっかり滞ってしまいました。
楽しみに読んで下さっているみなさん、ゴメンナサイ。
またいつものペースに戻していきたいと思います。

先週末の連休の2日間(9/23、24)にわたって、兵庫県西部某所にて、

【 ボランティアによる茅葺民家再生プロジェクト
  第3回~増築棟の解体作業ワークショップ 】

が、NPO法人・日本民家再生リサイクル協会 近畿地区の主催で開催されました。
プロジェクトリーダーとして、僕も参加してきました。

このプロジェクトは、過去何回かこのブログでもご紹介しているので、もうご存知の方も多いと思います。

簡単に言うと、

【 ボランティア(=素人)だけで、民家再生をやってしまおう! 】

という、なんとも無謀だけれど、とんでもなくオモシロソウなプロジェクトです。
(初めての方へ:このプロジェクトについてはこちらで詳しく紹介しています)

今回は、母屋の隣りに増築された部分の解体・撤去作業を行いました。

上郡-3-屋根めくり

 

(↑)まず、屋根の波板鉄板を、一本ずつていねいに釘を抜いて外していきます。

上郡-3-波板の整理

(↑)外した波板は、きちんとまとめて整理しておきます。
これをまた後で使うためです。

上郡-3-構造

(↑)屋根が解体され、骨組み(構造体)が見えてきました。

上郡-3-壁壊し

(↑)土壁も、土を落として、下地の竹(小舞)と土とに分けます。

上郡-3-解体した壁土

上郡-3-壁土の保管

(↑)土も将来の再利用に備えて、土のう袋に詰めて保管します。

上郡-3-解体木材

解体され、取り外された構造材(柱や梁)は、釘抜きをしたあとで
雨がかからない小屋にきちんと整理して保管します。

そうやって作業を進めていって・・・・

上郡-3-下屋解体前

今回の作業を始める前には、この(↑)状態だった建物が、
2日間・延べ約35人のボランティアのみなさんのご協力のおかげで(↓)・・・

   なんと!!!

上郡-3-解体完了

こんなになっちゃいました!

すごい!

さすが、大人数で協力すれば、とんでもないことができるものです。
ついでに全員で記念撮影。

上郡-3-全体写真

このポカンと空いた中庭状の広いスペースで、来年の春には
地元のみなさんと一緒にバーベキューをしようという計画が持ち上がりました。

区長さんもたいへん乗り気で、

「早くこの村に移り住んでくれる人が出てこないかなぁ~」

などと期待してくださっています。
帰りがけには、近所の農家のおばちゃんが、いつものようにたくさんの野菜を
おすそ分けしてくださいました。
(↑おばちゃん、どうもありがとう)
地域の皆様に少しずつ受け入れてもらえていることを、ひしひしと実感しています。

この地域も、ご多分に漏れず過疎化に悩んでいます。
だから、新しい、若い人に村へ入ってきて欲しいと考えています。
しかしその一方で、素性のわからんあやしい人に入ってきてもらっては困るし・・・
というジレンマを抱えています。

このあたりのビミョーな気持ちとうまくお付き合いしながら、
ゆっくりと地域の皆さんと一緒に交流が図れたらいいなぁ、
と思いつつ、このプロジェクトを進めています。

参加してくださった延べ約35人のみなさん、どうもありがとうございました。
宿泊された方だけで行った夜の飲み会、とっても楽しかったです。
また来年、一緒に楽しくやりましょう。

<注意!>
今回のプロジェクトは、建築のプロフェッショナルが綿密に準備をし、
現場で一緒に指導をしながら作業を行っているからこそできることです。
このような作業には、大変大きな危険が伴います。
決して簡単に真似をされることがないようにお願いいたします。

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リフォーム物件のイメージパース

7月から内部解体工事に取り掛かっていた、
築40年の木造住宅リフォーム物件

  【小花の家】

の内観イメージがほぼ固まってきました。
今回の現場から、サトウ都市環境デザインでは、主にイメージパース
(3D)を用いて、クライアントや現場サイドとの打合せを進めるように
移行していくつもりです。

以前から、プレゼンテーション用にはイメージパースを作成
していましたが、実際の現場打ち合わせ用には、まだ2D図面を
使っていました。

 

もちろん2D図面も必要ですが、全体のイメージをつかみやすくする
ためには、立体的な3Dイメージパースの方が圧倒的にわかりやすく
クライアントさんとの打合せも格段にスムーズに進みます。
今回のクライアントであるI さんご夫妻にも、大変好評だったようです。

参考までに、そのうちの何枚かをご紹介しますね。
(絵をクリックすると、拡大表示されます)

 

小花の家-玄関内観イメージ

 

 

 

 

 


  玄関ホール見返し

 

小花の家-リビング内観イメージ

 

 

 

 

 


  リビング・ダイニング

 

小花の家-キッチン内観イメージ

 

 

 


 

 

 リビングからキッチンを見る

 




これはどうやって作るのか?ということを簡単にご説明しますね。



現在、建築関係者のほとんどはコンピューターで図面を描いています。

その作図に用いるソフトをCADソフトというのですが、このCADソフト
にも色々あって、【モデリング】という機能を持ったものがあります。
このモデリング機能を使うと、コンピューターの中に立体的な模型を
作ることができるのです。

立体模型ができているわけですから、あとはその模型の中に
入っていけば、

 ○ 室内のあらゆる地点からの眺め
 ○ 好きな高さ(視点)からの眺め
   (寝転んだ時の視点、立った時の視点、
    天井裏から見下ろした時の視点など)
 ○ 実際に見える外観のイメージ

などを自由に、しかもあらゆる角度から見ることができます。



もちろんコンピューターですから、色のイメージも変えられます。
実際の色や質感は、やはり現物のカットサンプルを用いて
最終確認をしていただくことになりますが、おおまかなイメージは
大体これで把握していただくことができます。



これまでは、どうも

 【 建築の図面 】

と聞いただけで

 【 あっ、もう私にはわからない・・・。お、お任せします 】

という感覚が、一般の方には少なからずあったと思いますが、
コンピューターのおかげでこんなにわかりやすく表現することが、
できるようになってきています。



以前、このブログでも書きましたが、
図面というのはコミュニケーションツールです。
極論を言えば、意思の疎通や確認・伝達のために必要な
書類】ですから、 ← あくまで極論ですよ

 【 誰にでもわかりやすく 】

ということが一番重要なのだと思います。
建築業界には、まだまだ不透明でわかりにくいことが
たくさんありますが、少しずつ改善していけるように努力して
いきたいと思います。

みなさま、これからも叱咤激励よろしくお願いいたします。

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メルマガ【古民家にならうこれからの家づくり】読者からのご意見を紹介します

さて、今日はあなたにちょっと考えてみていただきたいことがあって、
記事を書いてみます。

僕は、【最低目標200年!古民家にならうこれからの家づくり】という
メルマガを発行していますが、実は築200年超の古民家(古い町家)
にお住まいの上記メルマガ読者の方から、下記のようなメールを
頂いたのです。

 

この方は中井将一郎さんという奈良県御所市にお住まいの方です。
(↑ご本人に実名での公開のご承諾を頂いております)
先週、このブログで、滋賀県の古い神社の建物を見に行って、200年
・300年残る建物とは?ということについて僕の意見を投稿しました。

上の記事の内容は、僕のメルマガでこれまでにお伝えしてきたことの
核となる考え方の話ですが、どうもそれだけではない、もうひとつの側
面があるのではないか?という、大変示唆に富んだご意見を頂いた
ので、ご紹介します。
できれば、下の文章をお読みになっていただく前に、上記のブログ記
事を読んでいただけると、よりよく理解していただけるかと思います。

 

               → → → 再度、そのブログ記事はこちら

 



それでは、以下に中井さんから頂いたメールの抜粋をご紹介します。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

<前略>
佐藤さんがブログに書いておられる「家を長持ちさせる仕掛け」論に
ついて。
私は今までもHPでそれらを読んで、非常に共感し、かつ深い感銘を
受けて、連絡させていただいたわけですが、どうしても、そうとも言え
ないケースがあるんです。

 

相当立派な古民家で「建築屋さんに相談して、結局建て替えました」
という例が多いんです。
「多い」というのは想像が入ってますが、少なくとも私は2軒、そうや
ってつぶされた家を知っています。

 

どちらのケースも、施主は迷っているんです。
奈良県のある家でのケースでは、空き家になった土地と町家を買い、
古い家にも郷愁があったものの、
「代が絶えた家は縁起が悪い」という、建築会社の薦めで建て替えた
そうです。
およそ、建築家の言葉とは思えませんが。

 

解体の前日、頼んで中を見せてもらいました。
幕末明治あたりの町家で、4間取りでしっかりしており、
はっきり言って京都あたりでたまに見た、長屋なんかを改装したペラ
ペラの再生町家より、よっぽど可能性のある家だと思いました。
(決して京都や長屋を馬鹿にしているわけではありませんので・・・)

 

もう一つは、施主は代々その家に住んでいる方で、いわゆる大店の
町家でしたが、知人の建築家に相談し、費用やメンテを考えると新築
した方がいい、というようなことを言われたそうです。
できた家は、ハウスメーカが建てたような家でした。
傷みがどの程度だったのか分からないので何とも言えませんが。

 

細かいいきさつはもっと複雑だったのかもしれません。
でも、きちんと「木」を見られる見識と眼力、倫理観を持った建築関
係者が、ちまたではいなくなっているんじゃないか、と思うわけです。
「普遍的な付加価値」さえ見いだすことのできない、あるいは欲にか
られて目をつぶってしまう、というような建築屋さんが多くては、先人
の努力も、佐藤さんの「仕掛け」も、報われません。
はっきり言って、ダメ建築屋の淘汰からやらなければいけないんじゃ
ないか、とさえ思ってしまいます。(後略)

 

      <以上、中井さんからのメールの抜粋>

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

中井さんは先述したように、ご自身も大変古い町家に住んでいます。
そして今後も大切にして住んでいこうという強い気持ちをお持ちにな
っています。

 


これを読んであなたはどう思いましたか?
この記事に関して、みなさんがどんな風に感じられたのか?につい
てのご意見・お考えをお聞かせいただきたいので、コメントに書き込
みをしていただければうれしく思います。

 

内容は、賛同意見・反対意見・別の見解・体験談など何でも結構です。
ただ、個人的な誹謗中傷にあたるような表現は避けてください。
「その通り!」だけの賛同でも、大変うれしく思います。

みなさまからのご意見、感想、体験談など、お待ちしております。

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風力発電所に行って感じたこと

風車全景

先週末、京都府伊根町の山中にある、太鼓山風力発電所を見てきました。
上の写真がその風車の一部です。(発電所全体では6基あります)

僕が行った時には、ちょうどかなり強い風が吹いていて、大きな風車は怖いくらいの音を立ててブンブン回っていました。
まず圧倒されたのはその大きさです。
下の写真を見てください。

風車の大きさ

拡大して見てもらわないと判りにくいのですが、その大きさを感じてもらうために、風車の足元に人間を入れて撮影しています。
(上の写真をクリックすると、拡大して見ることができます)

ナント!
この風車の高さは50m、3枚ある羽根の一枚の長さは25mもあるのです。
人間と比較して見てもらえれば、その大きさがよく判ると思います。

風車-発電量

風車の足元にはこのメーターが設置されていて、今まさに風によって発電している状況がよくわかりました。
その脇には小さな小屋(パオ)があり、小さなプレートがいくつか展示されていました。
その中に、故・司馬遼太郎氏の心を打つメッセージがありましたので、ご紹介します。

*     *     *     *     *

二十一世紀に生きる君たちへ

「人間は、自分で生きているのではなく、
 大きな存在によって生かされている。」

この自然へのすなおな態度こそ、
二十一世紀への希望であり、君たちへの期待でもある
そういうすなおさを君たちが持ち、
その気分をひろめてほしいのである。
そうなれば、二十一世紀の人間は、
よりいっそう自然を尊敬することになるだろう。
そして、自然の一部である人間どうしについても、
前世紀にもまして尊敬し合うようになるのにちがいない

                      司馬 遼太郎

*     *     *     *     *

エネルギー問題は、今世紀人類が直面している最も大きな課題の一つです。
建物を作っていく中で利用できる自然エネルギーはたくさんあります。
太陽光(熱)、風力、地熱、バイオマスなどなど。

近いうちに、今注目されている蓄電システム、EaCSSについてお伝えしたいと思います。
これによって、もしかすると電力供給システムが革命的に変わるかもしれない、と僕は期待しています。

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さながら、【劇的!ビフォーアフター】

【 小花の家 】という現場の解体工事に着手しました。
築40年の木造住宅の全面リフォーム工事です。
昨日は、各部屋の天井を落としたり、解体材を処分したりする作業に追われました。
今回はクライアントさんが

『ぜひ自分でなんかやってみたい!』

という思いを人一倍強くお持ちの方なので、解体作業を一緒にやっていただく(※)ことになりました。
↑危険が伴うので、一般には絶対にオススメしません。

上の写真の宇宙服を着たようなアヤシイ人(笑)が今回のクライアントさんです。
すごいホコリとうだるような暑さの中、汗だくになりながら、ホコリが外部に飛散しないように閉めきった室内で天井を落とす作業を行いました。

before

↓   ↓   ↓

↓   ↓   ↓

after

上の写真のように、【 劇的 ビフォーアフター 】でよく見かける、天井が

バッサーっ

と落ちてくるあのシーンをそのまま現場で実際にやってみてもらったわけですが、滅多に経験できないことだからでしょうね、クライアントである I さんは、すごく興奮して

「貴重な体験をさせていただいて、感謝しています」

と熱く語っておられました。
I さん、くれぐれもあまり熱くならずに、気をつけてゆっくり作業を進めましょうね。
バテたりケガをされたりしたら、後がやっかいですから。
とにかく、安全第一です。

注 : 建築工事現場は非常に危険です。
一般の方が専門家の立会いや指導を受けずに工事に携わることは絶対にやめて下さい。

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兵庫県で古民家再生工事が始まりました

兵庫県龍野(たつの)市で、築約100年の古民家再生のための工事が始まり、昨日現場へ様子を見に行ってきました。
台風が来て大荒れの天気になるのでは?と、朝のうちは気をもみながら車を走らせて行ったのですが、昼過ぎに現場へ着いたころには、もう雨も止んで、晴れ間がのぞいていました。

昨日は、別棟の蔵を解体・撤去したり、不必要な天井・床組み部分を解体・撤去する工事が行われているところでした。

自分の仕事(←ボランティアを除く)として携わる現場としては、久々の古民家ですが、やはりなかなかおもしろいものです。
特に解体作業中は、これまでの家の工事の歴史が一挙に見られるので、大変興味深いです。
一般の方(←建築業関係者以外)は、なかなかこういった現場に立ち会う機会がないと思うので、少し写真を交えてご紹介したいと思います。

(ちなみに、それぞれの写真は小さく表示されていますが、写真をクリックすると別ウィンドウで大きく表示されます。
詳しく見てみたい時にはお試しください。)

最初に、全ての建具を外して、部屋をがらんどうの状態にします。
畳ももちろん上げて、保管場所に移しておきます。
そして壁の上塗り部分をこそげ落としたり、ベニヤ張りの壁・天井なども撤去して、木軸の骨組(←柱・梁など)と土塗り壁だけの状態にします。

次に床をめくっていきます。

古民家ではよくあることですが、床組材である根太(ねだ)とか大引(おおびき)、床束(ゆかづか)など、床下の構造材は人目に触れないため、解体された古材が使われていることが多いです。
上の写真の中でグニャリと曲がっている太い材料(←大引)も、以前は別の場所で使われていた痕跡がありました。

なぜかというと、昔は木材が非常に高価だったため、新しい木材を買ってくるとお金がかかって仕方なかったからです。
近所で家の解体などがあったりすると、材料をもらってきて保管しておき、それを自分の家の建て直しの際に使ったりしていたようです。
人目に触れる柱や梁などには、きれいな新材を使っても、見えない部分の木材には見栄えはよくないが耐久性に問題のない古材を使うというのが一般的でした。

今回のお宅でもご多分に漏れず、床組材はほとんどが解体材を転用したものでした。
解体工事に立ち会っていると、こういう当時の社会情勢や家の歴史を目の当たりにすることができて、とてもおもしろいのです。

この柱は、床下の部分で柱を継いでいたことがわかりました。
これを

【 根継ぎ (ねつぎ) 】

と言います。
この家が建てられたあと、何度か近くを流れる揖保川(いぼがわ)の水害による床下浸水があったようです。
そのせいかどうかはわかりませんが、何らかの事情により、この柱の根元が腐ってしまったので、当時の大工さんが苦労して根継ぎしたのでしょう。

ここにもまた歴史を垣間見ることができます。

解体した木材や廃材を、大工さんが前庭で一枚一枚ていねいに整理してくれていました。
こういう心遣いはとってもうれしいものですね。
今は産業廃棄物処理の際にきちんと分別をしないといけないので、分別はどこでもやっていることなのですが、廃材をきれいに部材別に分けて整理していることは珍しいです。

  『 気は心 』

と言いますが、本当にそうだと思います。
もちろん、僕からも大工さんにきちんとお礼を言って、うれしく感じたこともちゃんと伝えておきました。
僕はこういう小さなコミュニケーションを大切にしていきたいと思っています。

今回の現場では敷地が広いためにこういった整理作業もやりやすかったのですが、なかなかここまできれいにやってくださる工務店は少ないと思います。
本当に感心しました。

大工さん、これからもどうぞよろしくお願いします。

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