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何も無いのがデザイン

天井

上の写真は東京都世田谷区で進行中のY邸リフォーム現場の寝室の写真です。

この部屋には、普通の個室なら99.9%以上の確率であるはずの何かがありません。
さて何でしょう・・・?

正解は、天井の照明器具です。
写真に写っていないのではなくて、本当に無いのです。

ではどこに照明器具を設置するのか?というと、ここ(↓)です。

天井照明2

矢印の細い板の上に、薄型の照明器具を置きます。

器具の手前には7cmくらいの立ち上がり(幕板)があるので、器具は前からも下からも全く見えません。

僕は照明器具というのは、
「視覚的には見えないけれど、でも必要なだけ明るい」
というのが、建築のデザインとしてはベストだと思います。

もしそれができない場合、やむなしの次点は、
「器具の姿自体が美しい」
ということで欠点をカバーする、という方法。

一般に、
間接照明=高い
というイメージが先行していると思います。

でも、間接照明もやり方によっては決して高くつかないものです。

他の物件でも、僕はこんな風にして(↓)間接照明をよく仕込んでいます。

天井照明3天井照明4

try & error

梅雨が明けてから、毎日暑いですね。
昼からの日差しと地面からの照り返しは強烈です。
みなさま、ご自愛下さい。

今週は、木・金・土の3日間、神戸市北区で施工中の現場へ行って、照明器具の点灯テストを繰り返しました。

点灯テストは日没を待たないと作業ができないので不便です。
今は日が長いので、19:00以降にならないとまともにテストできません。
現場ではカッターとクリッパーを手に電線(VAと言います)の皮をむいたりして、にわか電気屋になった気分です

今回点灯テストを行ったのは、間接照明によって照らされる部屋の器具です。
実際に間接照明用の蛍光灯を3台現場に持ち込んで、仮設電源に接続して点灯テストを繰り返します。

今回の現場では、

 〇 2層吹き抜けリビングの天井面
 〇 玄関
 〇 寝室

を間接照明によって照らします。
天井面には器具を一切設置しません。

照明器具本体と光源を見せずに、垂木と野地板(=木部)をきれいに見せ、部屋全体にやわらかい光が広がるように、照明器具の配置をいろいろと替えてみて試します。

結局、当初考えていた案ではうまくいかないことが判明し、何度も繰り返したテストの結果、クライアントのSさんにも夜間に現場へ足を運んでいただいて点灯状態を確認してもらい、ようやく最終案が固まりました。

間接照明は、光源の設置位置・照らされる天井と光源との距離・光源の数量によって部屋の雰囲気ががらっと変わるので難しいです。
直接照明なら、僕も勘で大体わかるんですけどね。

照明デザイナーさん達は場数を踏んでいるのでこんなことはしなくても大丈夫なのでしょうが、僕はまだ間接照明をやり始めてから日が浅いので、毎回現場でトライ&エラーの繰り返しです。

最終的に自分が納得する配置を決めるまでは、夢の中でも
「照明計画どうしよう~」
とドキドキしてしまって、たびたび目を覚ます有様です(笑)。

だから3日レンチャンで現場に行ったりするわけなんですが・・・。

でも、Sさんの家もようやく照明計画がおよそ決まって一安心です。
( ↑ 光源の隠し方など、ディテールはまだ原寸図を描いて詰めないといけませんが)

家のデザインに合った、控えめで美しい照明になりそうで自分でもちょっとうれしくなっています。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

照明デザイン

岡崎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年の春に、僕の前の職場(鈴木工務店)の仕事を設計スタッフの一人としてサポートしていた現場があるのですが、その現場が竣工したので観に行ってきました。

京都市内のあるゲストハウスですが、この仕事には、クライアントの関係で東京の某照明デザイン事務所が関わっていました。
(いい仕事をされていたので本当は事務所名などご紹介したいのですが、諸般の事情により伏せておきます)
主要な部屋の照明デザインをその事務所が担当していたのですが、かなりいい出来栄えです。
写真のとおり、とても雰囲気のある美しい空間が出来上がりました。



今後の照明デザインに対する考え方を一新しようか・・・というぐらいのインパクトがありましたが、やはり住宅(=生活のための空間)ではなかなかここまでやり通してしまうと、クライアントの同意(←理解・・・ではないと思います)が得られないことには難しいだろうなぁ・・・と思いました。
なぜかというと、照度が低いという問題が頭をもたげてくるからです。



一般に、雰囲気のある部屋にしようとする場合、部屋全体の照度を落とす必要があります。
具体的な手法としては、

 ○ 蛍光灯ではなく、白熱灯を使う
 ○ 直接照明ではなく、間接照明を使う
 ○ 後付け型の照明器具ではなく、照明器具を建築化照明として考える

というようなやり方を用いていきます。

   ↓    ↓    ↓

すると当然のことながら、部屋が暗くなります。

   ↓    ↓    ↓

当然、本を読んだり、書き物をしたりするのには向かない部屋になります。
(このような部屋で読み書きをする場合には、局所照明で机の上やテーブルの上だけを明るくできるように計画します)



「それでもいいから、やっぱり美しい部屋にして!」



というクライアントからのご要望があれば喜んでやらせていただきますが、まぁそんなクライアントはごく稀でしょうね。

数十年後に建てる予定の自宅でやってみようかな。

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