月別アーカイブ: 2006年1月

現在、引越し中

1/28(土)から、事務所移転に伴う引越し作業に取り掛かっています。
今、事務所の中はエライコトになっています。

今日中には、ある程度落ち着かせる予定ですが、
どうも今週一週間はバタバタの様相です。

今週からは、正式に常勤スタッフを1人迎え入れることができて、
おかげさまでサトウ都市環境デザインも何とか少しずつ成長しています。
これも支えてくださる皆様のおかげと、感謝の気持ちで一杯です。

どうもありがとうございます。

ちなみに昨日は1日大工で終わってしまいました。

杉板で座卓と作業台を製作していたのですが、
昼からシトシト雨がいや~な感じで降り続き、
作業が思うように進まず、難儀しました。

上の写真は、杉の積層材であるJパネルという材料で作った、
打合せ用の座卓です。
今日、桐油を塗って仕上げます。

早いもので、明日からもう2月ですね。
今年も1/12が過ぎ去ろうとしています。
早い、早い・・・。

あえて効率化を求めない

うちの事務所の目の前に、去年までは駐車場だった150坪くらいの土地があります。

『駐車場だった』というからには、当然その後があります。
昨年の夏ごろに、不振だった月極め駐車場営業に地主さんが見切りをつけたらしく、4分割して住宅用分譲地として売り出しました。

昨年末までに4区画の内の2区画に家が建ちました。

そして、残りの2区画のうちの1つに、現在某ハウスメーカーが木造の家を建てています。

僕も建築屋のはしくれなので、当然いろんなところをそれとなく観察しているのですが、この現場を見ていて感心したことがあります。

それは、【 現場作業の効率化に対する努力 】です。

地場の中小工務店のやり方とは違い、あらゆる材料(構造材は言うに及ばず、外壁に張る下地用の構造用合板・間柱・根太・垂木などの下地材全て)を徹底的に工場でプレカットしてきて、あとは現場に搬入したら釘やビスで止めていくだけという、それこそプラモデルのように早く・味も素っ気もなく出来上がっていくのですが、これが

思いっきり早いッ!

のです。

正直、恐れ入りました・・・。<(_ _)>

しかし、あそこまで業務の効率化を図ってしまうと、今度は当然ながら弊害もあります。
現場で取り付け作業をしている大工さんの技量がドンドン落ちていってしまうのです。

材料のプレカット(←工場内での下加工のこと)はコンピューターでプログラミング・自動化された生産ラインに乗せて、あっという間に出来上がります。
正確に・狂いも無く。

それはもちろん素晴らしいことなのですが、しかし現場での職人の仕事が大して頭で考えることも無く簡単に取り付けるだけ、という作業の積み重ねになっていってしまうので、技術力の向上・研鑚という意味では、ここから最悪の悪循環が始まります。

これはもう、一度はまってしまったら絶対に出てこられません。

さて、ここをどう捉えるか、というのがそれぞれの企業理念で異なってくるところでしょうね。

うちも、これからの設計業務システムを構築するためのベース作りに取り組もうとしているところですが、自問自答して答えを導き出す、いい勉強材料をもらった気がしています。

何事も、勉強!×勉強!ですね。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

個人の電気を選ぶ時代が始まりました

僕は坂本龍一氏(以下、教授)の音楽が大好きなのですが、教授のブログでおもしろい活動が紹介されていたので、ご紹介します。

一般に、電力は関西電力・東京電力などの電気供給会社から電線を通じて何の気なしに買って(というか買わされて)いますが、自分で選択してエコロジーな電気を買うことができるという話です。

エコロジーな電気、とは

  風力発電によって得られた電気
  バイオマスの燃焼によって得られた電気
  太陽光発電によって得られた電気
  潮力発電によって得られた電気

などのことです。

しかし、これらの電力は今はまだ関西電力などで供給される電気よりも高いのが現実です。
しかしこれをみんなが買うように(みんなが選択するように)なってくると、技術革新が進んで安くなってくるんですよ、ということです。

液晶テレビでも、携帯電話でも、パソコンでも、発売された当初はとても手が出ないような高価なものだったのに、数年経った今となっては、どれも大変身近な存在になってきていますよね?

それと同じ理屈です。

ただ僕が感心したのは、経済的な負担を伴ってでもこういうものを求めていこう、とするその価値観に対して、です。

詳しくは、CO2free.jp Project のページをご覧下さい。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

コンサルティング

僕の呑みトモダチ・haya34氏に、うちの事務所の今後3年間の大まかな経営方針を決定するためのコンサルティングを依頼しています。

ビジネススクールでの彼のカリキュラムが追い込みに入っているため、今月末まで小休止中ですが、第1回目のブレーンストーミングを、同志社大学BS(ビジネススクール)のブースを使わせてもらって行いました。

経営に関するコンサルティングを依頼するのは僕自身初めてなのですが、非常にいい議論ができていて満足しています。
最終的な結果がどのようにまとまるのか、今から楽しみです。



ココだけの話(?)ですが、第1回目のブレーンストーミングに臨む前は、

「彼とはトモダチなので、もしかすると客観的な視点が少し欠けるかも・・・」

という懸念が少しありましたが、そんなものは全くの取り越し苦労でした(笑)。



彼には ”引っ張りだこのコンサルタント” になる充分な素質があると僕は見ているのですが、彼自身今後の進路についてはかなり悩んでいるようです。

ガンバレ!

まちなみを守っていくために

昨年の10月にこのブログでもお伝えしましたが、奈良県御所(ごせ)市の中心部には、江戸後期~明治期に建てられた町家がたくさん残るまちなみがあります。

毎年恒例となっている御所のまちなみを広く知ってもらうためのお祭り

【 霜月祭(そうげつさい) 】

が昨年の秋にも行われましたが、その舞台裏事情や御所の街づくりに関する取り組みの一部を採り上げた記事が、元旦の読売新聞に掲載されました。

ご自身も御所の町家に住んでおられる、読売新聞社の記者・中井将一郎さんが記事を書かれているのですが、御所のみなさんの思い入れや熱意が垣間見れてなかなか興味深い記事です。

読売新聞社のホームページで読めますので、興味のある方はぜひ一度読んでみてください。

<シリーズ~輝け わがまち>
町家見直し人波戻る 江戸情緒への誇り重ね<1>
(読売新聞)

 

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

生まれ故郷、静岡にて~森林の話

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

実家への帰省に伴い、帰りに生まれ故郷である静岡へ寄って先祖のお墓参りをしてきました。
上の写真は、東名・富士川SAから眺めた新春の富士です。
とてもきれいでしたよ。
(画像をクリックすると拡大表示できます)

静岡の山奥(もうすぐで山梨県)、静岡市の梅ヶ島というところで、僕のいとこ(1967生)が林業家として一生懸命活動しています。
時間の都合でほんの少ししか話ができなかったのがとても残念だったのですが、いろいろと情報交換ができて、とても有意義でした。

僕が一生、木造建築家として生きることを決定付けたのは、

○ 僕の母親の実家(上述のいとこの家)が代々林業家であったから
○ そしてその林業家が、全国各地で経営上苦しい状況に追い込まれていて、
次々に廃業していく人が絶えないから(←それを何とかしたい)

という事情があります。
(他にもいろいろ理由はありますが・・・。
そのうちの一つはプロフィールをご覧下さい。笑)

今回静岡に立ち寄って上述のいとこと話したのは、森林認証制度や今後の林業経営のありかた、木材の流通や販売経路、木材の乾燥技術などについてのことです。
彼は、2005年末に静岡の他の林業家(計6人)と共同で、彼の森林がSGEC(Sustainable Green Ecosystem)認証林としての認定を受けたのだと話してくれました。

ここで少し森林認証制度についてお話ししておきますね。

森林認証制度というのは、世界的な森林減少・劣化の問題(例:森林経営の悪化による森林荒廃が引き起こす様々な弊害、熱帯雨林での違法な密伐採や減少が引き起こす環境問題)と、グリーンコンシューマリズムの高まりを背景として生まれたものです。
”適切な森林管理”を認証し、その森林で生産された木材及び木材製品をラベリングすることを通じて、持続可能な森林管理を普及させることを目的とした制度です。

日本では、FSC(Fprest Stewardship Counsil)という国際認証制度がよく知られていますが、同じような目的・理念に基づいて、世界各地で様々な認証制度が独自に整備され、お互いに連携していくことでネットワークを広げています。

うちのいとこが認証を受けたというSGECという認証制度は、中小企業が多い日本の林業経営状況に則して、国内で独自に定められた認証制度です。

森林として認証を受けるということは
ある種のブランド化へつながり、
他との差別化を図ることができるというわけですが、
実情はまだまだ理解が得られていず、
認証木材だからというだけで、その価格が一般木材よりも
高値で取引される、というわけではありません。
(→おそらく、近い将来そういう方向になっていくと思いますが)

需給のバランスが取れているということもなく、
現状としては相変わらず需要の低迷による価格の下落に苦しんでいる
というのが実情です。

彼のような林業家たちがこれから実現したいと考えていることは、

○ 不透明な流通経路に端を発する、木材価格のたたき合いの撤廃
→消費者は安く材を入手でき、生産者は適正な価格で販売できる

○ 生産者の顔が見える、安全・安心な製品の供給(トレーサビリティの向上)
→大切に育てた木材を、大切に使ってもらえるお互いの信頼感

○ 森林環境の向上、計画的で持続可能な森林経営

です。

ここ最近、国産材に対する一般社会の認知度・注目度は上がってきており、
一時期に比べると林業家をとりまく社会の状況は良くなってきつつありますが、
末端での実情はまだまだです。

静岡で森林や木材に関する話をいとこと交わして、いろいろなことを考えさせられる機会を得られたことは、自分にとってとてもいいことでした。

これからももっと自己研鑽を積んで、よりよい情報を提供していけるように努力します。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2006 新春  佐藤仁

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を