旬伐り、葉がらし、天然乾燥の原木で家をつくる」カテゴリーアーカイブ

24歳の棟梁~小さな小屋の墨付けと刻み

東風で一番若い大工/24歳のU君に、今、小さな小屋の棟梁を務めてもらっています。

建築金物や冬用タイヤ・農機具などをしまっておくための3坪くらいの小さな小屋を、東風事務所の裏庭に建てる予定です。
昨日工場へ行ってどんな様子か見てきたのですが、一生懸命墨付けと刻みの作業を進めていました。

小さい小屋とはいっても、平面的に真四角の建物ではなくて、桁が途中で折れ曲がる変形5角形の平面になっていて、桁の継手やレベル・柱と桁の仕口がちょっとややこしいことになります。

↑ どうやら車知栓を使うほぞにするようです。

↑ 桁の金輪継ぎ

屋根は杉皮で葺き、外壁は杉板を張る予定です。
予定では今月末に完成するはずなんですが、さて無事に納まるでしょうか。
見守ってみたいと思います。

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新築 石場建て伝統構法の土壁づくり/動画を公開しました

約3年前に撮影した映像をようやく編集・公開しました。

石場建て伝統構法住宅の新築工事中に撮影した映像で、左官の荒壁塗りつけに関する一連の流れがわかるように編集したものです。
ご興味がある方に広く見て頂けると嬉しく思います。

左官工事を手掛けてくれたのは、約30年の付き合いの山本左官興業(京都市)のみなさまです。

I edited the video of the work of applying rough wall soil on the base of bamboo komai at the new construction site of a traditional Japanese house.
It was the plasterers of Kyoto City who were in charge of the plastering work.


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樹齢140年の吉野杉 製材しました/奈良県石場建て伝統構法、天然乾燥、和風住宅

今年の2月に奈良県吉野町で伐採見学会を行いましたが、その山で伐った木が下りてきて、4/22(月)に製材を行いました。
製材をお願いしたのは、ここ数年いつも製材をお願いしている奈良県桜井市の森口製材所さんです。

原木はこんな大きさです。↓
長さは6m~7.5mでした。

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太さが実感できるように、靴を一緒に置いて写真を撮ってみました。
樹齢は140年、奈良県吉野町川上村産の杉(いわゆる吉野杉)です。
今回は1番玉が2本、2番玉が2本、合計4本を製材しました。

製材してみる前から当然わかってはいましたが、目が詰んで通直で、と~っても美しい木でした ♪
↓  ↓  ↓

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↑ これは1番玉。 長さ7.5mです

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こんな感じの目の詰み具合です。

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どれだけ美しい木でも、やはり芯の方へ近づけば、節(=枝の跡)が出てきます。
この木はきちんと枝打ちが施されていたようです。

これはもう一本の一番玉の木です
↓   ↓   ↓

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今回の原木は、すべて板に挽きました。
用途はすでに決まっているのですが、どんな風に使われるのか?は、また夏ごろにこのブログでお知らせしますね。
どうぞお楽しみに。

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吉野川上村にて木材伐採ツアーを開催/石場建て伝統構法、天然乾燥、和風住宅

 
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昨年(2018年)末に開催すべく企画していたところ、都合により中止になってしまいましたが、参加したかったと多数のありがたいお声があり、再度企画しました。
場所は吉野郡川上村です。
ご興味のある方はぜひご連絡ください。

以下ツアーのご案内です。

林業家 福本正文さん(吉野チェーンソーアートスクールの校長先生)は林業家歴30年の超ベテランの方です。
伐採のことはもちろんですが、土のこと、水のこと、風のこと、光のこと、そしてそこに住む動物のことなどを熟知し、山を守り育てています。
それは200年~300年前に植えられた木を今伐採し、300年後に刈り時となる苗木を植えるという通算6世紀分の時間の中で仕事をすることです。
スピードを求められる現代においてとても特殊かもしれませんが、いま私たちに必要なことは未来の環境を想像するのも大切なことかもしれませんね。
今回は吉野の山がブランドになるように先人たちがどのように育ててきたかを聞き、今後の課題などをトークセッションしてみたいと思います。

【開催日】2月23日(土)

【集合場所】
電車の人は12:00に近鉄吉野駅改札前に集合
→ ピックアップして下記 道の駅に行きます
車の人は12:30に道の駅 杉の湯川上 集合
(〒639-3553 奈良県吉野郡川上村迫695)

【参加人数】20名程度

【参加費】¥500

【当日スケジュール】
道の駅から車移動20分
→ 伐採場所まで登山30分
→ 伐採見学1時間
→ 下山30分
→ 道の駅まで移動20分
→ お茶を飲みながら意見交換1時間程度
合計3~4時間程度

主催 (株)木造建築東風
奈良県御所市東名柄22-1
TEL:0745-66-2645
FAX:0745-66-2646

※伐採見学会は終了しました。
 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

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事務所応接用の座卓を作る-その1/古民家再生、リノベーション、和風木造

2週間ほど前から、事務所の和室で使う予定の座卓を
東風のベテラン大工・上田さんに作ってもらっています。
材料は安く仕入れたチークです。

本当は国産材を使いたかったのですが、試作用として買ってみた板で
「失敗してもいいや、やってみよう♪」
というノリで始めてみました。

でも、少し変わった感じにしたいなと思っています

cheek_table_01

上の写真がそのチークの板です。↑

見てもらうと一目瞭然なのですが、この板には朽ちて抜け落ちた穴がいくつかあります。
しかもこの写真には写っていないのですが、過去に一度使われた跡がある古材でした。
これらが”欠点”とみなされるので、価格が安かったのです。

この2枚はもともと1枚の分厚い板でしたが、10㎝の厚みで板幅は70㎝。
あまりに厚すぎ&重すぎて大人の男性2人でも持ち上げられない(=動かせない)
というシロモノだったので、2枚におろして(=製材して)もらったのです。

製材した後の板の厚みは48mmくらいになりました。

cheek_table_02

いろいろ検討して、こんな向きに2枚を並べて作ってみようと決めました。↑
最終的には四角い形に仕上げるので、その大まかな位置決めをするために
黄色のマスキングテープを貼っています。

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で、2枚の板を合わせる加工をするために、まずはケガキという作業をします。↑
少し重ね合わせて、他方の板の縁の形をもう1枚の板に描き写します。

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描き写した形に沿って、ジグソーという道具で板を切っていきます

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大まかに2枚の形が合うように切れたので、仮に合わせてみたのが下の写真です。

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少しテーブルっぽく見えてきました。

つづく。

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石場建て伝統構法(工法)の建て方、ドローン撮影/和風建築、新築、天然乾燥

2017年5月に行った、石場建て伝統構法住宅の【建て方作業】
の様子をまとめた動画を作って頂いたので、お披露目させて頂きます。

【建て方作業】とは、柱や梁(はり)など建物の骨組みとなる
構造材を、現場へ搬入し組み立てる作業のことを言います。
木造住宅を建てる中では、最もダイナミックで緊張感のある
工程の一つです。

大工さんなど木造住宅にかかわりの深い方々はよくご存じでしょうが、
一般の方にも【建て方作業】がどのようなものなのかをお伝えしたく、
今回、動画の撮影・製作をお願いしました。

動画の撮影をプロの方にお願いしたのは今回が初めてだったのですが、
空中からの撮影にはドローンを使って頂いています。

棟梁を務めたのは、東風でいつも頑張ってくれている39歳の和田浩くんです。

熟練の職人から若い職人まで、東風の大工と親しい大工さんにも
ご協力頂いて、総出で手刻みした後の建て方の様子です。

下記リンクから動画を閲覧できますので、ご興味のある方は観て下さい。
※音楽が流れるので、閲覧の際は音量などに気を付けて下さい。
ヘッドフォンやイヤホンを使って視聴された方が、よりお楽しみ頂けると思います。

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木造建築東風では大工募集中/古民家再生、リノベーション、伝統構法(工法)

木造建築 東風(こち)では、現在、大工さんを募集しています。

ご興味がある方は、下記案内文をご一読の上、ご連絡頂ければありがたく思います。
(連絡方法は最下段に書いておきます)

1.現在、東風の仕事を毎日手掛けてくれている大工さんは、合計6名です。
(写真左下に、一人だけ大工さんではない人
=私が写っていますが・・・)

cochi_carpenters

2.東風で手掛けているのは、個人の注文住宅がほぼ100%です。
物件は全て木造建築です。
RC造やS造はお引き受けしていません。

今年と来年は石場建ての新築住宅か
古民家の再生工事がほとんどです。
構造材の緊結に金物を使わない家づくりがしたい方、
ご連絡をお待ちしています。

3.ゼネコン・ハウスメーカーの下請け工事はお受けしていません。
ほぼ100%元請け工事です
お客様の顔やお人柄を直接ひしひしと感じながら仕事ができます。

4.雇用形態は手間請負ではなく、常傭です。

5.1人前にできる人/見習いの人
  力量の応じて給与(手間)が変わりますが、どちらでも構いません。

6.常に無垢材を扱う大工仕事です。
新建材や合板などは、ほとんど扱いません。

7.できるだけ長~くお付き合いできる方を探しています。

8.工場は奈良県吉野町にあります。
事務所は奈良県御所市東名柄にあります。
今年と来年の現場は、奈良、大阪、兵庫です

9.これまでに手掛けた仕事はホームページを見て下さい。
新築物件
http://www.mokuzo-architect.jp/works.html

リフォーム・古民家再生物件
http://mokuzo-renovation.com/works.html

一度話を聞いてみたい、と思われた方は、以下の方法でご連絡ください。

電話 0745-66-2645
(留守のこともあります)
FAX 0745-66-2646
メール info@mokuzo-architect.jp
FB のメッセンジャー、コメントなど

どうぞよろしくお願いいたします。
木造建築 東風(こち) 佐藤仁

追伸 設計・監督スタッフも募集中です!

詳しくはこちらをご覧ください(↓)
http://www.mokuzo-architect.jp/dentokohoblog/archives/680

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石場建て新築工事・荒壁が乾きサッシを据付中/木造和風建築、奈良県葛城市

奈良県で工事中の、石場建て伝統構法新築住宅・H様邸。

夏前に塗り付けた土壁が乾いたので、サッシを取り付けています。
構造材に巻いていた養生紙も順次めくっていって、木材の表情も見えてきました。

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屋根には、ゆるくむくりをつけています。

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リビング吹き抜けの梁。
あまり重層させずに、あっさりした木組みにしています。

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通し柱を貫通する、胴差の長ホゾ+鼻栓

年内には内部の造作工事を一区切りつけて、中塗りまで仕上げます。
そこから3か月寝かせて壁を乾燥させ、最終の仕上げを行う予定です。

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静岡の山に入る/旬切り、伐採、天然乾燥、伝統構法(工法)、石場建て

2016/9/29(木)に静岡へ行ってきました。

静岡へは急用ができてしまって行ったのですが、
せっかく行くので無理を承知で
「今年伐る予定の杉の山に入りたい!」
と林業家にお願いすると、快諾してくれました。

大変暑い日で、しかも山に入る時間帯からずっと雨が降る
予報だったのですが、奇跡的に天候が持ってくれて、
下山するまでの3時間あまり、まったく雨に降られずに済みました。

今年の晩秋に杉を伐ってもらうのは、静岡市葵区梅ヶ島(うめがしま)
というところです。

標高は約600~650mくらい、西北向きの斜面で、樹齢はおよそ80年。
柱用の杉材を200本くらいお願いする予定です。

車を降りてから、かなり登る(歩く)と聞いていたので、覚悟して山に入りました。

一度谷へ降りて川を渡り、そこから尾根を1つ越えて、さらに上へ登ります。
道中は最初のうちはずっと桧や杉の人工林でした。

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ちょっと休憩した時、杉の木の幹に、小さな小さなキノコが寄生しているのを発見!

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1時間半ほど歩き続けて、ようやく伐採予定地へ到着。

全身汗だくになりましたが、幸い山蛭(やまひる)にかまれることもなく
たどりつけました。

杉の人工林は思ったよりも小さな範囲で、どうやら記録が間違っていた
のか、杉よりもヒノキがずっと多い林でした。

しかしその杉林を斜面に沿って横へ抜けると、筋状に広葉樹林がありました。

下の写真は、人工林と広葉樹林の境目です。

写真左半分は人間が針葉樹を育てるために木を植えた人工林。
右半分は人の手が入っていない広葉樹林です。
植生の様相が全く違うのがお分かりになって頂けると思います。

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広葉樹林は見ていてもとても楽しいです。

高齢になって枯れてしまった木が倒れて、地表面で朽ちていく様や
その後に芽生えた若木がすぐ隣で大きく枝を張っていく様が同時に見られます。

生と死が同時に存在していて、
木の枝ぶりも針葉樹のようにまっすぐ画一的ではなく、ぐにゃぐにゃ曲がっているので、
生命力を強く感じます。

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広葉樹林を少し登ると、とても美しい二股株立ちの木に出会いました。

サワグルミの木だそうです。

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もしこの木も伐るのなら、ぜひ譲ってほしいとお願いしましたが、

帰ってきて調べてみると、とても柔らかい木だとのことなので
さてもし伐るのであればどうやって使おうか・・・と考え中。

立ち姿が端正で非常に美しいので、製材せずにこのまま大黒柱にでもしようかな。

サワグルミとの出会いは全く予想外でしたが、とても豊かな気持ちになりました。
今年の伐採が楽しみです。

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荒壁塗付け@大阪府堺市/石場建て伝統構法の長屋門、数寄屋、手刻み、和風

4月に上棟した大阪府堺市の長屋門。
5月の中旬に荒壁(あらかべ)をつけました。

一口に土壁と言っても、大きく分けて3層(かそれ以上)によって構成されています。
簡単に言うと、3層とは下塗り・中塗り・上塗りの3つの層のこと。
荒壁はその中でも一番最初に塗りつける下塗りのことを指し、壁土の粘度も一番高い(=ネチャネチャの)土です。

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塗りつける直前の荒壁用壁土はこんな感じです(↑)。

壁土は最初赤茶色なんですが、水とワラスサを混ぜて寝かせておくと、徐々にこんなダークグレー色に変色します。
子供の時にドブで遊ばれた記憶がある方は多い(最近は少ない?)かと思いますが、あのドブの匂いがします。
(最近、ドブで遊んでいる子供を見かけない気がします・・・。そんなことありませんか?)

今回の壁土は、この敷地にもともと建っていた長屋門を解体した時に発生した100年前の壁土を50%、そして今回新たに購入した壁土を50%ずつ混ぜ合わせ、約3ヶ月寝かせました。
そしたらこんな色です。

古土を使わずに新しい土100%で寝かせる場合はもっと長い時間寝かせるんですが、古土を混ぜると早くこんな色になります。
(何でそうなるのかは知らないので、どなたかご存知でしたら教えて下さい・・・。
ずっと前から不思議で不思議でしょうがない~!)

ちなみに寝かせてから1.5ヶ月くらい経った時の状態はこんな感じ(↓)。
寒くて気温が低かったせいもあるのでしょうが、使うのにはまだちょっと早いかな・・・という印象です。

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この寝かせた壁土を一輪車に積み込んで、練り返して職人さんに渡すしんどい力仕事は新米の仕事。
先輩にヤイヤイ言われながら、重たい壁土をパスします。

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塗りつけている最中の動画も撮ってきました。
こちらです(↓)。

そして、塗りつけた土を裏側から見るとこんな感じです(↓)。
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竹小舞の間から、
「にゅ~っ」
と土がはみ出して、竹小舞に絡み付いている様子が良くわかりますね。
こうならないと、壁としてもしっかりしないんですよね。

20年ほど前、阪神淡路大震災の被害を受けた、大きなお屋敷の現場で長屋門の再建築をしたことがあるんですが、その時の壁土がものすごくしっかりしていて、どついてもどついても全然土が落ちなかったのを良く覚えています。

そうかと思うと、安普請の長屋の壁土などはチョンチョンとたたくと、ものの見事にバサッと全部落ちたりします。

やはり手間を惜しまずにやった仕事は違うなぁ・・・と身にしみて感じましたね。


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荒壁を全部塗りつけた現場の状況がこちら。

ここから土が乾くまで、しばらく現場はお休みです。

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