月別アーカイブ: 2008年10月

不便さと魅力

 土曜日に、神戸市S邸へ行ってきました。

9月下旬の風雨がきつかった日に、木製窓の部分から雨が染み出してきたとのことで、その漏水対策とともに一年検査を行いました。

建築主のSさんに
「一年住んでみていかがですか?この家は」
と聞いたところ、
「普通の家ではできないことがいろいろできて楽しんでいます♪」
とおっしゃっていました。

冬の吹雪の日には、木製建具の隙間から雪が入ってきて、室内に少し雪が積もったこともあったとか。
また、間仕切りがほとんどないこの家に長男の友達3人が泊まりに来たことがあったそうですが、泊まりにきた、というより合宿という雰囲気だった、とおっしゃっていました。

確かにこの家は体育館みたいな雰囲気がありますから、その話を聞いて妙に納得してしまいました。

レンジフード


 


 


 


 


 


 


 


 


いろいろ室内を見て回った後、上の写真のキッチンのレンジフードについて聞いてみました。

この家はキッチンがアイランド型で、リビングの中にボンとキッチンが置いてある感じです。
当初はグリーン排気というレンジフードを予定していたのですが、価格が高くて断念。
そしてデザイン上もあまり金属は見せたくないという配慮から、小型の壁掛け型レンジフードをアイランド用に改良して付けてしまいました。

全ての煙を逃さず吸い取っているとは言えないが、まずまずきちんと機能してくれているようで安心しました。



作る前からわかりきっていたことですが、この家は個性がものすご~く強い家です。
Sさんだからこそこんな家ができた、という感じですね。

この家にうちのお客さんを何組かお連れしたことがあるのですが、みなさん口を揃えておっしゃいます。
「あの家は別格だ」と(笑)。
でも建築に要したコストとか、床面積などの規模はごくごく一般的なんですよ。



個性が強いと言うことはそれだけいろいろと使いにくいところもあるのですが、その反面とても魅力的です。

世界的な名作住宅として名高い、アメリカ・ピッツバーグにある落水荘(Falling Water)という建物も大変美しくてすばらしい建物なのですが、その魅力の反面、やはりいろいろと住む上では不便なことがあります。

美しいバラにはトゲがあると言いますが、やはり便利さと美しさは相反するものなのだろうな、と家を作っていていつも思います。

肝心なのはそのバランスをどこで取るか?というサジ加減なんでしょうね、きっと。

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2種類のおかくず

おがくず

 

 

 

 

 

 

 


今年の春に静岡で製材をしたときの写真を整理していたら、1枚おもしろい写真が出てきたのでご紹介します。

上の写真はどちらも杉の原木を挽いた時に出たおがくずですが、右と左で全然違うのがお分かりでしょうか?

左のものはジト~っと湿った感じですが、右のものはさらさらパラパラって感じで吹けば飛びそうですよね?



これは原木の中の水分(含水率といいます)の違いによるものです。

もちろん、右の乾いたほうが水分が良く抜けていて、左のものは木の中にまだたくさんの水分があるボトボトの状態です。

木を伐採した直後、木の中には水がしたたり落ちそうなほどの水分があります。
そこから葉枯らし乾燥をかけたり寝かせておいたりすることで木の水分は下がっていくのですが、その前にまず
【1年のうち、いつの時期に伐るか?】
ということがとても重要です。



木は生き物なので、春から夏にかけて水をどんどん吸い上げて、光合成を活発に行い、成長しようとします。
そして秋の彼岸を過ぎると成長するのを抑えるようになり、そこから次の春までは水をあまり吸い上げなくなります。

建築用材として使う際には、強度が大きく、狂いの少ない木材が優れています。
最終的には含水率が20%以下に落ちた木材です 。
木材は含水率が低ければ低いほど、強度は逆に上がります。
(不思議ですよね?)

ですから上の写真でみると、左の湿ったおがくずが出る木よりも、右の乾燥したおがくずが出る木材の方が良い、ということになるのです。



来月下旬には、昨年同様また静岡で伐採を行います。

この伐採は出荷できる量が非常に少ないのですが、
〇 1年で一番いい時期に木材を伐採し
〇 理想的な状態でゆっくり乾燥させ
〇 建物にとって一番いい長さ(←継がない1本物)で出材する
という原則をしっかり守って行っています。



なぜこんなめんどくさいことをやるのか?

それは、こういう木材は絶対に市場に出回らないからです。
いくらお金を出しても実は買えない木材。

このお話はまた改めて書きますね。
どうぞお楽しみに。

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世間は狭い・・・

大津市内で T さんのお宅の新築工事が進行中です。

今年は台風が来ないので、工事を進める側としては助かります。
でも地球環境面ではちょっと心配ですが・・・。

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現在現場では外装工事が完了しつつあり、雨天の日には内装工事を進めたりしているので、両方が平行して進んでいるような感じです。

上の写真は、2階の寝室からリビング上部吹抜けの方向を見たところ。
中心に立っている柱はこの家の大黒柱です。

吹抜けを通じて南西方向を見ると、外には田んぼが広がっています。
のどかな風景です(↓)。

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実は少し前に、もう10年くらいお会いしていない大学時代の同じ研究室のT先輩からいきなりメールを頂きました。

もちろんすごくうれしかったのですが、「どうして?」と思いメールを読み進めると、なんとこの工事中の現場の斜め向かいの家に、そのT先輩の奥様のご両親が住まわれているというのです。

で、たまたま奥様のご実家に帰られた日(当時は建前直後)、木組みが外からもろに見える状態だったそうで、
「なかなかおもしろそうな仕事をしているなぁ・・・」
と眺めていたとのこと。

現場には施工を担当してくれている梓工務店さんの看板が掲げられているので、T先輩が帰宅してから梓さんのサイトを見てみると、実は設計者が僕だったことがわかり、うちのサイト経由でメールを下さった、というわけです。
(ちなみに、現場にはうちの看板を掲げていません)

世間は狭いですね。



T先輩は、全国的にも名の知れた大阪の建築設計事務所・無有建築工房に勤務されて活躍中です。

T先輩は上の事務所で現代建築の最先端みたいな建物を作っておられますが、昔から木造建築や和風建築も大好きで、学生の時には一緒にバイクでツーリングに行ったりしていました。



ふと振り返ってみると、もう大学を卒業してから15年が過ぎました。
早いなぁ・・・。

15年間、ず~っと木造だけに専念してやってきましたが、まだまだです。
これまで暗中模索で突っ走ってきて、ようやく夜が明けそう、って感じですね。

これからやっと太陽が出てきて、世の中がよく見えるようになっていくのかなと思うとワクワクしますが、金融問題やら環境問題やら、いろんな大きな問題が世の中をにぎわせています。

これから我々の社会は一体どんな方向に進んでいくんでしょうね。

まぁそんな大きなことは考えたって僕1人では何にもできませんから、ただ僕は自分の前にある道をゆっくりゆっくり進んでいくだけです。

 




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植栽の効果

京都会館


 


 


 



昨日は午後から京都に行っていました。

京都市内で来年から着工する予定のN邸の確認申請に先立った、京都市の条例に適合しているか否かを届け出るためのいろんな書類を提出するためです。

その1つ、埋蔵文化財を守るための届出を行うために、まず最初に埋蔵文化財保護課のある京都会館に行きました。



京都会館は1960年に昭和の建築家・故前川國男氏が設計を手がけたものです。

京都会館も含め、この人の建築は鉄筋コンクリート造が多いのですが、僕はこの人の建築が好きです。
(なぜでしょうね?自分でもよくわかりませんが)



でもこの建物、単体で京都の街中にドーンと建っていたら、きっとちょっと違和感があるでしょう。
岡崎の割と空間が開けたところにあるのでいいのかもしれません。

上の写真で見るように、この京都会館は大きく育った街路樹のけやきに遮られていて、その外観を直接街中にさらけ出していません。
(画像をクリックすると拡大表示して見ていただくことができます)
鉄筋コンクリート打放し仕上の無骨で無機質な建物なのに、とてもやさしい印象を与えるのは、きっと街路樹のけやきがこの建物と一体になっているからでしょうね。



京都会館で文化財保護課に書類を提出した後、京都市役所までトコトコ歩きながら街中のいろんな建物を見るともなしに見ていました。
普通の商店でも個人宅でも京都の建物は見ているといろいろと楽しいです。

住まわれている方の美意識が高いんでしょうね、きっと。

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今年の伐採計画

昨年に引き続き、今年も11月に静岡で伐採を行います。

現在日程を調整中ですが、今年は月の満ち欠け(新月期)のいい日を選ぶと共に、伐採に向かない日とされる【大槌(おおつち)・小槌(こつち)】の日を避けてスケジュールを決めるつもりです。

目下のところ、伐採時期として一番有力なのは11月中旬から下旬にかけての9日間ですが、林業家とも相談した上で決定しなくてはなりません。
伐採時期がどうか好天に恵まれますように・・・。

今年は昨年よりも桧を少し増やそうと思っています。



今年の伐採現場は、昨年の現場よりも標高が高く、斜面も急です。
生育にはより厳しい条件なので、目の詰まった良材が期待できます。

伐採の見学を希望される方はさとうまでご連絡下されば、伐採期間中に現場までご案内します。
(ご連絡いただいた方には、伐採スケジュールが決まり次第、改めてご連絡します)
遠慮なくお申し出下さい。



今年は伐採から製材までの行程を新聞社などに取材依頼してみようかと思っています。
一連の流れを追ってみていただければ、いかにこの過程が意味深く、そしてまたおもしろいものであるか、ということがわかると思います。

何よりユーザー(建築主)にとってのメリットが大きいのです。
それを広くみなさんに知っていただきたいと強く思うのです。

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民家フォーラムが開催されます

11/1(土)-2(日)の2日間にわたり、奈良県宇陀市で民家フォーラム2008が開催されます。
主催はNPO法人・日本民家再生リサイクル協会。

現在、同協会の近畿地区会員が定期的に集まって実行委員会を重ね、準備を進めています。



民家フォーラムは1998年から毎年全国各地で開催されていて、今年で11回目を数えます。

今年のテーマは空家の有効活用。
あえて奈良市内の観光地を避けて、奈良市内から1時間ほどの距離にある宇陀市を開催地として選んだのには理由があります。

人口減少に歯止めがかからない地方都市とそれにより増え続ける空家民家。
そして住人がいなくなれば解体される可能性が日増しに高まっていく古い民家を、もっと有効活用できないものか?という全国の地方都市共通の問題について、みなさんに考えて頂く機会を作るというのが、今回の民家フォーラムの目的です。



1日目のシンポジウムでは、基調講演にカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した映画『もがりの森』で主演を努められた宇多滋樹さんを迎えます。
宇多さんは各地での講演活動の傍ら、奈良市内の町家でカフェも営んでおられて、古民家やまちなみを大切にするNPOの活動にも参画されています。

基調講演の後には、地元宇陀市内で古民家を店舗として使われている方やまちなみを残す活動を陰で支えている方などにご登壇いただき、みなさんにご紹介します。
静かな地方都市での地道な取り組みに、全国各地から来られるみなさんが耳を傾けることで宇陀のみなさんを応援したいと思っています。

当日は、なんと僕が11/1(土)の2人組司会のうちの1人を努めることになっています(汗)。
みなさん、どうぞお越し下さい。

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クライアントの自作家具

先日、兵庫県川西市のクライアント I さんのお宅へ行きました。

I さんのお宅は約3年前に中古住宅を購入→うちでリフォームさせていただいたのですが、
「もしかして雨漏りでは?」
との連絡を受け、早速確認に行ってきました。

漏水しているのではないかと思われる屋根の箇所は、当方のリフォーム工事の時には触らずにおいた既存建物部分でした。

通常の雨の降り方では漏水する可能性が低い箇所ですが、今年のゲリラ豪雨のような叩きつける雨が降った場合には漏水するかもしれない、と思われたので対策を講じ、すぐに処置を施しました。



その時に見かけてビックリしたのが、I さんの自作家具(テレビ用ラック)の塗装です。
(画像をクリックすると拡大表示できます)

塗装


 


 




↑ まるで春慶塗り(しゅんけいぬり)のようです。
 メチャメチャきれいでした。
 I さんによると、使った塗料はオスモ社製の塗料だとのことでしたが、
 下地がとんでもなく平滑に仕上られているからこそ、ここまできれいに
 仕上がったのだろうなぁ、と感心しました。



I さんはリフォーム工事の最中に、解体工事や塗装工事などいろんな作業に積極的に携わって、
「家族が住む家を自分の手でつくる工程を息子たちに見せたい」
とおっしゃっていました。
そんな I さんのお宅の工事中の写真で一番素晴らしい写真がこれです。
(註:この写真は I さんが撮られたものです)

リフォーム工事が完成した後も、I さんはダイニングテーブル、キッチンのカウンター、テレビ台、ご自身の書斎の机などなど、いろんな家具工事に取り組んで家づくりを楽しまれているようです。

行く度にいろんなところが少しずつ魅力的に変化していく I さんのお宅を拝見すると、工事に関わらせてもらったことに対する喜びをじわ~っと感じます。

I さん、ありがとうございます。
これからもがんばって家づくりを楽しんでくださいね。

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