月別アーカイブ: 2005年2月

【木の家-9】あなたの家から考える地球温暖化~その3・太陽光発電パネルと床暖房のランニングコストと実際

前回は、太陽光発電パネルの普及のために、なぜ政府が助成金を出して援助しているのか、というお話をしました。

(前回、および前々回の記事をまだ読んでいらっしゃらない方へ。
誠に申訳ありませんが、このページの下にある2/19付の”その1”、2/22付の”その2”の記事を読んだあとでこの記事を読んで頂いた方が、よりよくご理解いただけると思います。お試しください。)

さて前回お知らせした通り、床暖房、太陽光パネル、ヒートポンプという、最近ハヤリの住宅設備機器3種目について下記の疑問に僕自身が計算(シミュレート)して得た結果についてご紹介したいと思います。

Q1  床暖房は電気式、温水式、蓄熱式などいろいろあるが、イニシャルコスト・ランニングコストを考えると、結局どれがオトクやねん!?
 
床暖房の熱源には、大きく分けると
 
  1 電気式・・・床板(または床板の下)に熱源となる発熱シートや電熱線を仕込んでおいて、通電すると発熱することによって暖を採るタイプの床暖房
2 温水式(灯油・ガス・ヒートポンプ等)・・・床板(または床板の下)に直径1cm程度のパイプを張り巡らせ、その中に温めた不凍液を循環させて暖を採るタイプの床暖房
 
の2種類があります(※1)。
そしてこれ以外に、安い深夜電力を使って発熱させた熱を採りこんで(蓄熱して)おいて、昼間には電源を切って余熱で過ごす、という蓄熱式が電気式のオプションとして考えられます。(※2)
 
今回僕が行ったシミュレーション結果について結論だけ申し上げると、下記のようになります。
 
  結論その1-1 イニシャルコストは電気(非蓄熱式)が一番オトク!
結論その1-2 ランニングコストはヒートポンプ(電気)の温水(蓄熱式)が一番オトク!
 
イニシャルコストとは、建築時(リフォームの場合には、設備導入費)にかかる費用(取付工事費用含む)のことです。
ランニングコストとは、設備導入後、月々負担するエネルギー消費料金のことです。
(さらに詳しい比較資料については、今日の記事の最後にご紹介しますので、ゼヒこのまま最後まで読んで下さい)
 
※ 1 実はこれ以外にも、太陽熱で床暖房を行うOMソーラーシステムというやり方もありますが、これは若干性質が違うので今回の比較においては採り上げないことにしました。
※ 2 灯油・ガスの温水式床暖房に関しては、深夜使っても昼間使ってもエネルギー消費にかかるコストは変わりませんので、蓄熱式を選択する場合には、電気式に限って比較検討しました。
 
 
 
Q2  太陽光発電パネルって値段がエライ高いけど、ホンマに元とれるんか?
 
これは条件付ですが、“元は取れます”
僕のシミュレーション結果では、約15年間使えばイニシャルコストは回収でき、16年目以降は儲かる(というかエネルギー消費コストを削減できる)という結果が出ました。
 
 
さてその条件とはナニ?というと、こういうことです。
 
  条件1-1 電気料金(1kwあたりの電気料金)が現在と同じ水準のままか、または現在よりも高くなると仮定した場合
  (つまり、将来原油価格の暴落等、何らかの理由によって、電気料金が現在よりもメチャメチャ安くなった場合には、このシミュレーション結果は若干違ったものになる、ということです)。
条件1-2 少なくとも15年間は、太陽光発電パネルのエネルギー変換効率が急激に劣化しない、と仮定した場合(※3)。
 
(さらに詳しい比較資料については、先ほど同様、今日の記事の最後にご紹介します)
 
※3 参考までに、現在販売されている太陽光発電パネルは、25年くらいは有効に使える、と言われています
 
 
Q3  エコキュートってヒートポンプを使った電気式温水器やろ?最近はやってるけど、ホンマにトクなんか?

これもオトクです。
はっきり言って元は取れます

しかし、ヒートポンプというのは耐用年数があり、約15年も使えばコンプレッサーがつぶれますので、機械自体を入れ替える必要があり、そのコストもかかります。
今回のシミュレーションでは、その機械導入にかかるコストも考慮しましたが、結果は『オトクだ!』ということになりました。
 
        *        *        *        *        *
 
 
 
以上が簡単なシミュレーションの結果報告です。
しかしこれは比較検討した上での最終的な結論をご紹介しただけです。
 
 
 
『オトクなんは分かったけど、ホンナラ一体ナンボちゃうねん!?』
(標準語訳:お得だっていうことはわかりましたが、それでは一体いくらくらいのちがいがでてくるんですか?)
 
 
 
っていうところがわかりませんよね?
そこまで突っ込んで詳しく知りたい!という熱心なあなたには、私から特別にダイレクトe-mailで詳細資料を直接お送りします。
本当はここで公表しても構わないのですが、僕も自分で苦労して導き出した結果ですので、もしネット上で安易に流用されたりするとちょっと残念です。
そこで直接僕にメールを下さった方にだけ、解説を付けて詳細な計算表を差し上げたいと思います。
事情をご理解いただければ幸いです。
 
 
 
さて、詳細なシミュレート計算資料を見たい!という方は、
  件名 : ブログ見ました
本文 : あなたのお名前(必須)、シミュレート計算資料送付希望

と書いていただいて下記までご連絡ください。
 
 
 
メール送付先 : サトウ都市環境デザイン 佐藤仁
 
↓   ↓   ↓   ↓   ↓   ↓
 
 
 
 
こちらより折り返しメールにてお送りします。
最後まで読んでくださってどうもありがとうございました。

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【木の家-9】あなたの家から考える地球温暖化~その2・太陽光発電パネル助成金の意味

※この写真は、兵庫県で僕が設計した『但馬の家』
 に取り付けた太陽光発電パネルです。
 最後に大事なお知らせがありますので、ぜひ終わりまで読んでください。
 
 
 
前回は、太陽光発電パネルの普及のために、政府が助成金を出して援助している、というお話をしました。

(前回の記事をまだ読んでいらっしゃらない方へ。
申訳ありませんが、まず下にある2/19付の記事を読んでから、またココに戻ってきてください。)

ではなぜ政府がそこまでして助成するのだろうか?ということをお話しします。
ついでに言うと、このような省エネルギーや、地球温暖化を防ぐ(つまりCO2排出量の削減の)ために有効な活動に対する助成は他にもあります。
太陽熱で暖房を行うOMソーラーシステムなどもその対象になっています。

まず、先週発効された京都議定書には、下記のような内容が定められています。

・1990年のCO2排出量を基準として、2008年~2012年の年平均5.2%削減を目標に掲げ、日本やカナダに6%、欧州連合(EU)に8%、米国に7%(※)の削減をすること。
→ つまり、今から3年後~7年後の4年間に排出するCO2の年間平均総量を、
日本は6%削減しなさい、と言われているわけです。

(※)ちなみに一番負担の大きい米国は、「や~めた」と言ってそそくさと逃げていきました。
これが「米国は京都議定書に批准しない」という意味です

では、現状はどうなのか?
1990年のCO2排出量を100とすると、2003年度のCO2排出量は114.。
なんと!6%減るどころか、逆に14%も増えてしまっているのです!
つまり、目標達成のためには20%削減しないといけない・・・。
これは大変なことです。
じゃぁ、もしこれが達成できないとどうなるか?

その場合には、約束したCO2排出量にはまだ余裕がある国からCO2排出権を買ってもいいよ、ということになっています。
今、その相手として有望なのがロシア。
もし京都議定書の約束が守れない場合、ロシアのCO2排出量は基準値を下回るだろうという予測のため、ロシアに下のような話を持ちかけることになります。

 
日本:「あのさぁ、うちCO2作りすぎちゃったんだよね。
このままだと京都議定書の約束守れなくなっちゃうから、
   おたくが持ってるCO2捨ててもいいよ、っていう権利売ってくれない?」

ロシア:「ああ、エエよ。でもちょっと高いでぇ~」 ← なぜか関西弁?

日本:「えっ?高いの? ちなみにいくらくらい・・・?」

ロシア:「う~ん、そやなぁ。数千億円ってところでどうや?」

日本:「(絶句)・・・」

このような事態が目と鼻の先にぶら下がっているわけです。
そりゃあ必死こいてCO2削減のために頑張らんとアカン!というわけで政府は助成金を出してでも対策を講じているのです。

ロシアに捨て金払うくらいなら、自国のみなさんの設備を充実してもらって、少しでもCO2を減らしてもらおう、ということですね。

 
 
ところで、私が昨年設計した『但馬の家』は、太陽光パネルだけでなく、エコキュート・蓄熱式床暖房などを備えたローコストのオール電化住宅です。
導入にあたっては、いろんなシミュレーション(コスト試算)をしてみました。
 
 
 
・ 床暖房は電気式、温水式、蓄熱式などいろいろあるが、イニシャルコスト・ランニングコストを考えると、結局どれがオトクやねん!?
・ 太陽光発電パネルってエライ高いけど、ホンマに元とれるんか?
・ エコキュートってヒートポンプを使った電気式温水器やろ?最近はやってるけど、ホンマに得なんか?
 
ということなどです。
そのシミュレーション結果を次回第3弾としてご紹介します。
必見ですよ!

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【木の家-8】あなたの家から考える地球温暖化~その1・木の家と古民家再生

地球温暖化防止に関する、【京都議定書】が2/17(木)に発効されました(※)。
と聞かされても、

 

「イマイチ、ピンとこない・・・」

 

のではないかと思います。
そこで、あなたの家にある身近なものを見つめなおすことから、地球温暖化に関連するコトを考えてみていただきたいと思い、今日から3回に分けてご紹介します。

 

 

 

<木造住宅は、二酸化炭素(CO2)の貯蔵庫>
京都議定書の目的は、
『今後CO2の発生量を目標値以下に抑えて、地球温暖化を阻止しよう』
ということを各国が協調してやろうということです。
大気中のCO2は地球温暖化を促進させる物質だから、それを減らすようにすれば温暖化が進まなくなる、という理屈です。

 

さて、木造住宅は当然のことながら木でできています。
木を燃やすとどうなりますか?CO2が発生しますよね?
ということは、木造住宅は(未来には放出するかもしれない)CO2を(現在は)固定化して貯蔵している、と言えます。
今使われている木造住宅も、いつかは燃やされるかバクテリアに分解されて土に還ることになりますが、少なくともそれまでの間は大気中にCO2を放出することなく、固定しつづけているという状態を維持するわけです。
ですから、木造住宅を潰さずに長い間使いつづける、ということはそれだけで地球温暖化の防止に貢献していると言えるのです。

 

古民家再生も、同じ理由でCO2削減には貢献していると言えます。

 

 

 

ところで現在、太陽光発電パネルを導入しようとすると政府が抽選で助成金を出していますが、あれもCO2を削減するためです。なぜか?というと、

 

1. 太陽光発電パネルで電気が供給できれば、電気を作るために石油エネルギーを燃やす必要はなくなる。(=CO2排出量が減る)
2. また、地域住民の反対にあう原発も作らなくてよくなる。
3. でも太陽光発電パネルはまだあまり普及していないので、市場価格があまり下がっていない。

 

じゃあ太陽光パネルが普及するように、政府が助成金を出してやろう。
そして大量に生産して、もっと価格が下がるように頑張りなさい!というのが太陽光発電パネルの助成金です。

 

 

 

ではなぜ、政府がそこまでして援助するのでしょうか?
それはまた次回のお話にしましょう。

 

 

 


※1997年に京都市で開催された、「気候変動枠組み条約第3回締約国会議」(地球温暖化防止京都会議、COP3)。
2001年に世界最大のCO2排出国である米国が批准(ひじゅん)しないことを表明し、

 

「何を言っているんだ!」

 

と非常に腹立たしい限りですが、昨年ロシアが批准することを表明して無事発効の時を迎えました。
地球温暖化→海面上昇によって、イヌイットの方々は氷の氷解による転落事故の増加に、モルディブでは水没の危機などに直面しています。

 

地球温暖化の各国の責任比率(CO2排出量により算定)なども含めたこれまでの経緯は、詳しくは下記ページに詳しく解説されています。ぜひ一度ご覧になってみてください。

 

    ↓    ↓    ↓    ↓    ↓    ↓

 

    http://www.omplan.co.jp/main/watch_kp.html#1
        (※OM計画株式会社のホームページ)

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携帯電話と電車と心臓ペースメーカー

昨日、阪急電車に乗って京都へ行きました。

 

 

 

僕は兵庫県の伊丹市に住んでいるので、京都まで行くためには

 

阪急伊丹線 → 阪急神戸線 → 阪急京都線

 

と3本乗り継ぐのですが、神戸線に乗った時、席が空いていなかったので吊革につかまって立っていました。

2日前から読み出したマーケティングに関する本に熱中していたところ、20歳くらいの女の子が携帯電話を片手に僕の後ろを通り過ぎて、少し行ったところで立ち止まり、吊革につかまりながら携帯メールを打ち込み始めました。

 

 

 

その時女の子の目の前に座っていたおじさんが、かすれた声で

 

「ケータイの電源切ってくれ!」

 

と言ったのです。

僕は熱中していた本を読むのを止めてそちらの方を見ると、僕は血の気が引きました。

そのおじさんの首からは、下のように書かれた手のひらくらいの大きさのカードを下げていたのです。

 

【 私はペースメーカーを使っています 】

 

すぐに僕も自分のポケットから携帯を取り出し、電源を切ったのは言うまでもありません。

その後、おじさんは十三(じゅうそう)駅で降車するまで、緊張した面持ちで常にあたりの様子をうかがい続けていました。

 

 

 

後になって考えると僕が乗っていたのは最後尾・最前の車両ではありませんでした。

そのおじさんもそのいずれかの車両に乗っていれば、もう少し安心して座っていられることができたのかもしれませんが、きっと普段電車に乗り慣れていないのか、または急いで乗り合わせたため、携帯禁止車両にまで行き着くことができなかったのでしょう。

まぁ、そんなことはさておき、自分の携帯が鳴る前に気付いてよかったです。

 

しかし自分も電車に乗り慣れていて頭では分かっていても、実際にペースメーカーをつけておられる方と同じ車両に乗り合わせたのは初めての経験でした。

おじさんもきっと、身の縮まる想いで電車に乗っていたであろうことが表情から読み取れました。

非常に気の毒に感じるとともに、自分の身の回りのことにもっと気を配らなければいけない、と強く感じた光景でした。

自分にとっては何気ない日常であっても、他の誰かにとっては身の危険が転がっているのかもしれないという事実に直面し、考えさせられました。

 

あたりまえのことですが、少なくとも最前・最後尾の車両では、携帯電話の電源を切りましょう。

【木の家-7】 あなたは民家バンクをご存知ですか?

今朝(2/9)の日経新聞に、
 
『 壊してもいい木造2階建て住宅譲ってください 』
 
という記事が載っていました。
広告主は防災科学技術研究所(茨城県つくば市)。
兵庫県三木市に造った世界最大級の振動台に移築して、耐震性を調べる実験材料に使いたいそうです。
 
この記事を読んですぐに僕の頭には、NPO法人・日本民家再生リサイクル協会(以下JMRA)で情報管理している民家バンク登録物件のことが頭に浮かびました。
しかし、探している建物の条件には、
「築25~50年以内であること」
という条件がついており、民家バンクは使えないのです。
なぜなら、民家バンクに登録されている物件は、築後70年以上経過したものがほとんどだからです。
 
 
 
もしチャンスがあれば、民家のような伝統工法で組まれた木組みの家の耐震試験とその解析を上記の施設でやってみてもらいたいと思いますが、それはまた別の機会に考えたいと思います。
 
 
 
話をJMRAの民家バンクに戻します。
 
JMRAでは一軒でも多くの民家を、壊さずに使いつづけてもらいたい、という思いから、民家バンクというシステムを運営しています。
様々な事情により民家を手放したい、という方がいる一方で、
民家を持っていないが、ぜひ欲しい、住んでみたい、という方もおられます。
こういう方々の橋渡しをし、建物は無償で提供しよう(※)というのが民家バンクの趣旨です。
興味のある方は、NPO法人・日本民家再生リサイクル協会事務局(03-5216-3541)までお問い合わせください。
 
現在、100軒程度の再生可能な民家が登録されており、引き取り手を待っています。
 
 
 

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ボランティアでの古民家再生計画

僕が理事を務めている、NPO法人・日本民家再生リサイクル協会で、これから約5年間かけて築100年のかやぶき民家をボランティアで再生します。
 
場所は兵庫県西部(もうほとんど岡山)です。
 
第1回目のイベントへの参加申し込みを現在受付中です。
詳しくは、日本民家再生リサイクル協会近畿地区ホームページにて公開していますので、ぜひ一度ご覧になってみてください。
 
 

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【木の家-6】 愛嬌のある家

昨日、兵庫県養父市にて施工中の新築住宅の現場、【但馬の家】に行ってきました。
2004年の夏に着工したこの【但馬の家】も、あと一週間くらいで完全に出来上がりますが、昨日は施主であるAさんといっしょに2人でガレージの枕木を据え付ける作業をやりました。
写真のように、たくさんの枕木を土間に敷きならべて、カスガイで止めていくというものです。

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実はこの枕木はすべて、以前この敷地に建っていた、Aさんのおばさんにあたる方の家を解体した際に残しておいた柱や梁などです。
解体された家は俗に言う【古民家】ほど古くはなく、築後約40年という、ごく一般的なちょっと古い木造住宅でした。
ですからこれは一応使い古された【古材】なのですが、【古材】というと一般には

黒光りした太くて大きく貴重な古い木材

というようなイメージが浸透していますので、それらとは区別する意味で僕は【解体材】と呼ぶことにしています。
このような、築造年数があまり経っていない解体された木材の再利用も、これからはきちんと考えて取り組んで行かなくてはいけない問題になるでしょう。
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ちょっと話がそれてしまいました。
普通こういった作業は、

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