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木取り

先週末、京都市N邸で各所カウンター用材の木取りをしました。

木取りとは、板などを見て
○ どこからどこまでを使うのか(長さや巾など)
○ どの向きで使うのか(木表/木裏、反り/むくり勝手)
などを決めて、墨付けをすることです。

 

リビングカウンター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は長さ3m、巾約50cmの杉の一枚板です。

この板は、リビングにテレビを置く棚の天板や底板として使うことになりました。



ダイニングカウンター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


上の写真は、対面式キッチンに取り付ける、ダイニングカウンター用の板です。

椅子を置いているような向きで使うのですが、仕上ると椅子の反対側に I 型キッチンが設置されます。

この板も杉の木の1枚板で、巾は50cmありますが、写真で言うと右側の白太の部分を落として、巾約45cmにしてから使うことになりました。

下足箱カウンター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の板は下足箱の天板を兼ねた玄関飾り棚の地板として使うことになりました。
この木も巾は50cmほどあるのですが、両側の白太の部分を切り落として赤身の部分だけを使います。



勘の鋭い方はもうお気づきでしょうが、実はこれらの木、全て1本の木から製材した共木(ともぎ)です。

この木を伐採する時には、建築主のN様ご夫妻がわざわさ静岡まで見に来てくださり、N様の目の前で伐採しました。

今から2年前、2007/11/06のことです。



この木はこの年に伐採した木の中では一番大きな木で、伐採を開始してから24番目に伐った木です。

この家の各所の主な幅広板はほとんどこの木から採ったものですが、市場で木を買うとなかなかこういったつくり方はできません。

原木を山で買って行う家づくりの特権です。



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階段の側桁に

側桁

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は、うちで2007年晩秋の新月期に静岡で伐採した杉の木からとった板です。

長さ4.5m、巾250mm、厚み40mm と少し巾の広い板ですが、これを京都市N邸の階段の側桁に使うべく、現在現場では、若いけれども抜群に腕のいい大工さんが刻んでくれています。



見ての通り、赤身が張ったなかなかいい木目の木ですが、これは構造材の梁を採るべく製材した時の切り落とし材です。

きっとピリッとした階段に仕上ると思うのですが、今から出来上がりが楽しみで仕方ありません ♪



このお宅では階段がリビングから見えない位置にあるので、当初はもっと節がポコポコあるような普通の並材を階段用の材料として使う予定だったのですが、たまたまこんな木が出てきて使うことになり、階段の踏み板も(これまたたまたまですが)ほとんど節の無い1枚板ばかりで全部揃ったので、一気に階段の格が上がってしまいました(笑)。

毎回2階に上がるのが楽しみで嬉しくなるような階段になってくれるといいなぁ、なんて親心のような気持ちを抱いています。



仕上に向けて工事が順調に進んでいますが、だんだん嫁入り前の娘の父親のような気持ち(?)になってきました。



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荒壁乾燥中

土壁1118_1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


現在、京都市N邸(伝統構法)の荒壁を一生懸命乾かしています。

開口部にはビニールシートを貼り、室内でストーブを焚いて、温度を上げています。
当初は扇風機も使っていたのですが、どうやらやはりストーブ(しかも灯油式の一番原始的なタイプ)が最もよく効くようです。

 

土壁1105

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


上の写真は、塗りつけた直後の写真。
土が水を含んでいてべちゃべちゃです。

 

土壁1118_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この写真は土を塗ってから約2週間経った状態です。
乾燥して干割れが出ています。

 

ところどころ茶色くなっているのは、竹小舞下地を編んでいる藁縄のアクです。
もう少し乾燥したら、裏返しを行います。

夏場ならもっと早く乾くのに・・・と日増しに寒くなる気候を思いながら、いろいろと悪戦苦闘しています(汗)。



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建方 1日目

昨日もお伝えしたとおり、京都市内で石場立て伝統構法型木造住宅の建方作業に入っています。

1日目の様子をご報告します。

 

建方0926_1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

まずはこの家の中心にある大黒柱を立てる作業から始まりました。

この柱は2006年の晩秋の新月期に伐った、樹齢約110年の杉の柱(220mm×220mm)です。
写真を見て頂ければ一目瞭然ですが、当日はカラッとしたとってもいいお天気でした。


 

建方0926_1

 


 

 

 

 

 

 

 

 


上の写真は、この家に8本ある通し柱のうちの1本の柱脚の部分を組み立てているところです。

写真を拡大して見て頂ければお分かりになるかと思うのですが、柱は石の上に載っているだけで緊結にも金物を一切使っていません。

組み始めの段階であれば、かけやという大きな樫の木槌で叩くと、ギシギシと音を立てながら構造体全体が少しずつ右に行ったりして動きます(笑)。

きっと大地震のときには、こうやって前後左右、上下に移動したり跳ねたりしながら動いていくことでしょう。

紙相撲と同じ理屈です。



通し柱は150mm×150mmの杉の通し柱。
柱の左右から刺さってきているのは桧の足固めで、左側が120mm×210mm、右側が120mm×120mmの太さの木です

これらの木は全て静岡の同じ山から伐った木ですが、大黒柱よりも少し若い木で樹齢は約90年。
2007年11月の新月期に伐った新月材です。

 

建方0926_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大黒柱と3本の通し柱=合計4本の柱に囲まれた立体フレームが組み上がりました。

今回の構造材は、仕口の部分の長ほぞが30cmもあってとても長いのと、いちいち貫を入れて編むように組んでいかないといけないので大変です。

暑い中、大工さん達も一生懸命頑張って建ててくれているのですが、なかなか作業ははかどりません(汗)。

現場担当のスタッフと僕も、微力ながら現場で一緒にお手伝いをさせて頂いておりますが、毎日作業が終わるころにはへとへとになって体の節々がギシギシになっています。

担当スタッフは気付かないうちに何度もどこかでぶつけたらしく、脚が青アザだらけになっていました。



しかし、この建て方作業が何とか進められているのも、近隣のみなさまのご理解やご協力のおかげで、大変ありがたく助かっております。

みなさま、本当にありがとうございます。
いろいろとご迷惑をおかけいたしますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



今回の建方の様子は少しずつビデオカメラで撮影して記録しています。
後日編集して、youtubeに投稿する予定ですのでそちらもどうぞお楽しみに。

また明日、続きをご報告します。

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【木の家-6】 愛嬌のある家

昨日、兵庫県養父市にて施工中の新築住宅の現場、【但馬の家】に行ってきました。
2004年の夏に着工したこの【但馬の家】も、あと一週間くらいで完全に出来上がりますが、昨日は施主であるAさんといっしょに2人でガレージの枕木を据え付ける作業をやりました。
写真のように、たくさんの枕木を土間に敷きならべて、カスガイで止めていくというものです。

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実はこの枕木はすべて、以前この敷地に建っていた、Aさんのおばさんにあたる方の家を解体した際に残しておいた柱や梁などです。
解体された家は俗に言う【古民家】ほど古くはなく、築後約40年という、ごく一般的なちょっと古い木造住宅でした。
ですからこれは一応使い古された【古材】なのですが、【古材】というと一般には

黒光りした太くて大きく貴重な古い木材

というようなイメージが浸透していますので、それらとは区別する意味で僕は【解体材】と呼ぶことにしています。
このような、築造年数があまり経っていない解体された木材の再利用も、これからはきちんと考えて取り組んで行かなくてはいけない問題になるでしょう。
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ちょっと話がそれてしまいました。
普通こういった作業は、

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【木の家-2】 TVで放映された木造住宅の耐震実験について

関東に大きな地震が起こる確率が高まっている、という報道が相次いでいますね。某TV局の連続ドラマや、1/15(土)に放映された特番でも採り上げられていました。国民の関心を高めて、危険回避への取り組みを促す、という意味ではとてもいいことだと思います。 しかし、1/15(土)に放映されたTV特番の中で行われていた実験には、非常に違和感を憶えます。あれでは「木造住宅が危ない!」と言っているようなものだ、と受け取られかねません。 あのときの番組をご覧になった方は憶えていらっしゃると思いますが、

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