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葉枯らし完了

先週末(土曜日)から、また静岡へ行ってきました。

今回は所用があって東京にも寄っていたので長くなってしまったのですが、3/14~18朝まで出張でした。
昨日の朝、3トントラックを自分で運転して、木材を積んで帰ってきました。

↑ 普通、建築家はこんなトラック運転しませんよね?(苦笑)
でもいいんです ♪
僕はこんなんが大好きなので。



静岡での用事は色々とあったのですが、その中の一つは昨秋11月下旬に伐採した約500本の木材の葉枯らし状況の現場確認です。

下の写真の通り、伐採現場(標高900m、斜度40-50度!の北斜面)にはたくさんの杉と桧が横たわっています。

葉枯らし1

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これらの木は全て昨年(2008年)の秋に伐採されたものです。
伐採後4ヶ月経過しているのですが、まだ葉は青々としています。

下の写真を見ていただくと、本当に枝葉がついている様子が良くお分かりになると思います。

 

葉枯らし2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

なぜ伐採後4ヶ月も経過しているのに葉がまだ青いのか?
それは木材の中に保有していた水分が、まだ使われずに残っているからです。

でも、伐採時には潤いたっぷりだった木材も、保有水分を消費して、樹芯の色がかなり変化しています。



下の写真を見比べてみてください。

左が昨秋の伐採直後に撮った写真(2008年11月21日)
右が4ヶ月の葉枯らし期間を経過した現在の状態(2009年3月17日)です。

 

2008伐採葉枯らし3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 


木口に油性マジックで書いた番号「211」も風化して消えかかっています。

 

水を断って、さらに光合成させるなんて残酷なように思いますが、こうすることで木材のもつ生命力をさらに引き出し、色艶もよく耐久性の強い材料に仕上げることができます。

その方が木も喜んでいると思いませんか?



上の写真に写っている211番の木は、年輪を数えてみたところ樹齢129年でした。

ということは、発芽したのは西暦1880年のこと。
明治政府樹立とほぼ同時に発芽した木です。

伐採した木口部分の太さは約80cmもあって、今からどんな部材になるか製材が楽しみです。




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世界に、300年先も美しい風景を

墨付けと原寸図

5月下旬の上棟に向けて、京都市N邸の構造材墨付け作業が本格的に始まりました。

昨日は刻む場所に行って、朝から大工さんと一緒にまずは木出し作業を行いました。
木出しとは、それぞれの木の癖や面(つら)を見て、どの位置にどの向きでつかうかを決定していく作業です。

木出し0220

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずはこんな風に材料を馬(←木で作った台のこと)の上に並べて、比較・検討できるようにします。
写真に写っているのは、背7.5寸と8寸の杉の梁です。

こうやって並べてみると、木目が上品でおとなしい木、少しひねくれたくせの強い木、色の黒い木などそれぞれにいろんな個性を持った木であることが良くわかります。

各々の木の面以外にも、元末(もとすえ)や背と腹を見て木を使う方向を決め、番付(ばんづけ)を打っていきます。

昨日は胴(=2階床)回りの木材を全て出しました。

 

墨付け

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


墨付け作業を行っている大工の西田さんです。

西田さんは墨付け~刻みの工程が大好きだそうで、今回は墨付け用に墨壷の糸も一段細いものに入れ替え、さしがねを墨付け専用の柔らかい地金のものを持ってきていて、準備は万端です。

これから1ヶ月くらいかけてじっくり墨付けを行い、そこから刻みに入ります。



実はこの墨付け作業に入るまでに、この現場を担当するうちの女性スタッフが昨年の末からずっと原寸図を描いてきました。

今日はそのうちの1枚だけをご紹介します。
(もっともっと大作もあるんですが、大きすぎて読み込めません)
画像をクリックすると拡大表示できます。

原寸図

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


最近では現場でもほとんど見る機会がなくなった原寸図ですが、この現場の原寸図だけでも彼女は通算100枚以上描いているでしょう。
本当に熱心に、根気よくていねいに描いてくれています。
( ↑ 当然、上記の中には変更でボツになったものや書き損じなどもありますが)

しかし、この図面が命です。
この図面をどこまで書き込むかによって、建物の完成度がまるで違ってきます。

墨付け作業に取り掛かるまでに大方の原寸図を描き終えることができて、ちょっと一安心です。



設計事務所で今だに原寸図を描いているところはと~っても少ないでしょうね。
しかもうちは原寸図だけは絶対に手描きです。
(本当は一般図も手描きの方が良いんですが・・・)

手描きの意味は描いた人にしか判らないと思いますが、この原寸図はコンピューターで描いたのでは絶対にダメです。

別に、スパルタ式にしごくとかイジワルな意味でこんなことをやっているんではないのですが、こんなご時世だと前時代的だとか思われてしまうんでしょうね、きっと(苦笑)。

でも、こうやって作り込まないとできない建物があることを、きちんと次の世代に伝えていくことが僕の使命です。
なんと言われようと曲げません。



 

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【木の家-2】 TVで放映された木造住宅の耐震実験について

関東に大きな地震が起こる確率が高まっている、という報道が相次いでいますね。某TV局の連続ドラマや、1/15(土)に放映された特番でも採り上げられていました。国民の関心を高めて、危険回避への取り組みを促す、という意味ではとてもいいことだと思います。 しかし、1/15(土)に放映されたTV特番の中で行われていた実験には、非常に違和感を憶えます。あれでは「木造住宅が危ない!」と言っているようなものだ、と受け取られかねません。 あのときの番組をご覧になった方は憶えていらっしゃると思いますが、

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