月別アーカイブ: 2010年4月

制震構造?石の鳥居

前回に引き続き、日光のお話です。



日光東照宮の入口に大きな石の鳥居があります。

今調べたところによると、石の鳥居としては日本でも最大級のものだとか。
日本3大鳥居の一つに数えられているようです。

写真に写っている人の大きさと比べてみると、大きさがよくわかると思いますが、高さ約9mもあるそうな。

 

鳥居1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



で、この大鳥居では柱にご注目下さい(↓)。

 

鳥居2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真の赤い矢印のところで、石が継いであります。

僕が小学校6年生の時、修学旅行でここを訪れたのですが、その時のガイドさんの話によると、ここで柱を継いでいることで、地震の時に倒壊しにくい構造になっているのだそうです。

「へぇ~、すごい!」

と、当時僕は子供心に感心することしきりでした。
(今思うと、この話だけはなぜかはっきり覚えていて自分でも不思議なんですが・・・)



で、今。

建築家になり、再度同じ場所を訪れてみて、その説が正しいかどうか?ということを考えてみたのですが、当たらずとも遠からず、といった感じではないかと思います。

きっと、この鳥居が地震で倒れるということは、ほぼ無いと考えて良いでしょう。



理由はこの鳥居の制震構造(←と呼ぶのが適等かどうかは置いといて)が果たしている役割も大きいと思いますが、この日光東照宮のあたりはきっと地盤が強烈に固いだろうと思います。
(↑周囲の環境、徳川幕府がここを選んだことなどから推測して)

同じ地震エネルギーで揺らしても、軟弱地盤なら揺れはより増幅されるし、強固な地盤なら増幅率は低くなります。



つまり、

地盤が固い
→地震時の揺れは大きくなりにくい
→さらに鳥居本体の制震性能が寄与
→鳥居は倒壊しない

ということになるのでしょうね、きっと。



いくら制震構造になっていたとしても、それを超えるエネルギーが入ったら、当然ながら倒壊します。

でも、ここではそれが現実となる可能性はかなり低いだろう、と思われるのです。

 

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桜の生命力

この週末は、日本民家再生協会主催の日本建築研鑽会という講座に参加するため、東京と日光へ行っていました。

あまりにいろいろとネタを仕入れてきましたので、何日かにわたってご報告します。



下の写真は日光東照宮へ至る道すがらに立っていたしだれ桜です。

満開の桜、透き通るような晴天がとても美しかった。
間近に見える山の頂にはまだまだ残雪があり、とても清々しい気分で東照宮に向かいました。


日光の桜1


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



このしだれ桜、風格から結構な齢を重ねている樹だと思われるのですが、ふとその幹を見るとすさまじい生命力を感じずにはいられませんでした。


日光の桜2


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



この樹は、こんなふうに完全に樹芯がなくて、皮だけで立っているのです。

こういった樹はよく見かけますが、老齢のしだれ桜であったということも相まって、すさまじい気迫でした。

強さとはかなさと美しさ。
言葉になりません。

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建築条件付の土地、建築条件を外したら300万円かかる?

近頃、複数のお客様からいろんなご相談を受けていて、思うのは、


「やはりみなさん、同じような疑問で頭を悩ませていらっしゃるんだなぁ・・・」

ということです。

できるだけそういった疑問にお答えできるような記事を、ちょこちょこと書いていこうと思っています。



土地の購入を検討されている方からたまに相談を受けるのが、こんな質問(↓)

「土地の購入を検討しています。
 気に入った土地が見つかったのですが、そこが建築条件付きの土地なのです。
 不動産屋さんに
 『建築条件を外してもらいたいのですが・・・』
 と持ちかけたところ、建築条件を外すのなら300万円払って頂くことになります
 と言われました。
 こんな話ってあるのでしょうか?」

というものです。



実はつい最近来所された方も同じご質問をされましたが、これは結構よくある話です。 

うちの過去のクライアントの中にも、実際に300万円支払って建築条件を外された方がいらっしゃいました。

不動産業界では、どうもこの
『建築条件を外すと300万円』
というのは定説化しているのでは?という気がします。

(すみません、僕は不動産業界の内情に詳しくないのであまりよくわかりませんが・・・)



家の隅々まで自分が充分に納得できるような注文住宅を建てたい!
というような方にとって一番いいのは、下記のようなパターンです。

   建築条件なしの土地を探して買い
        ↓
   自分が気に入った(または信頼の置ける)建設会社・工務店・建築家を
   見つけてきて相談し、そこに建築工事を依頼する



しかし、複数のクライアントの方からお話を伺っていると、建築条件なしの土地で気に入るような物件は、なかなか見つからない!というのが実情のようです。

うちにご相談を持ちかけてこられるクライアントのみなさまも、やはり一番苦労されるのは土地探しみたいですね。

気に入った土地を見つけるのに2-3年かかった、という方は結構いらっしゃいます。



建築条件を外すのに300万円払うというのは、消費者の立場からすると、どうにも納得がいきませんよね?

僕も同感です。

じゃあどうしたらいいの?という知恵まで授けることはできませんし、300万円が妥当な金額なのかどうかも僕には判断がつきませんが、この手の話しはよくあるようです、とだけお答えしておきます。

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無言の先生

工事中の現場が一通り完了し、このところ設計物件が重なっています。
設計・設計・設計・・・の日々です。

東風は設計事務所なので設計は本業なのですが、現場に出られないのもちょっと寂しいです。

でもそう言っているうちに現場が始まると、
「あちこち走りまわらないで、じっくり腰を落ち着けて設計がしたい」
と言い出しそう・・・なんて思うと、勝手なもんだと自嘲。



今日は久しぶりに古民家の調査で兵庫県丹波市の現場へ行きます。

どんな家だろう、どんな材料だろう、どんなことを考えてつくられた家だろう、と考えるとワクワクしてきます。



古い家は昔の大工さんと頭の中で対話ができるから楽しいんですよね。

古民家の調査現場で、じぃ~っといろんなところを見ていると、
「なぜこうしたんだろう」
「どうしてここにこの材料を使ったんだろう」
なんていう疑問が次々に湧いてきます。

それらに仮説を立てては確認し解答を与えていく、という読み取り作業をしているのですが、それが建てた棟梁との対話です。

その人の気持ちになって考える。
同化するような感覚ですね。



どこまでその棟梁の気持ちに近づけるか。
どこまで読み取れるか。

自分の力量が試されている、と感じる時でもありますから気が抜けません。
でもその分、毎回学べることは多いですね。

会ったこともない、無言の先生に対峙している瞬間です。

 

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【専門家向け】 難しい内容ですが、とても素晴らしい講義記録です

最初にお断りしておきますが、今日の内容は非常に高度な専門家向けの内容です。
(一般の方向けの情報ではありません。すみません)

伝統的な木構造の建物を建てやすくするための法整備の実現に向けて、6団体のNPOで協力し合って進めている『これからの木造住宅を考える連絡会』(以下これ木連/呼称:これもくれん)では、2009年から連続勉強会を開催しています。

   勉強会の開催お知らせのページはこちら
   (注:開催が終了した過去のものも掲載されています)



昨夜、加盟各団体の登録メンバーで共有しているMLに投稿があり、2009年7月に東京で行われた講義内容の記録がサイトにアップされたそうです。

   第4回伝統構法を考える勉強会報告  2009.07.18開催
   伝統木造建築における階層性 「階層型建築構法の考え方」
   講師:渡辺 一正 氏 (鳥取環境大学教授)
    ※講義の全容を6ページにわたって紹介して下さっています



僕はこの講義に参加できなかったので早速拝見したのですが、とても素晴らしい講義内容でした。

いやぁ、今となっては参加できなかったのがとっても悔やまれます・・・。

とは言っても、この講義が開催された当時は、京都市N邸の構造計算を仕上げるために心身ともにボロボロになりながら毎日毎日格闘を続けていた時だったので、とても参加できる余裕はなかったんですけどね。



開催・記録・テープ起こし・サイト作成など、多くの皆様のご尽力に支えられて、このような貴重な講義記録に触れることができるのは、本当にありがたい限りです。

関係者のみなさま、どうもありがとうございます。



今週末4/17(土)にもまたこのシリーズの講義が開催されます。

今回の講師は僕も時折興味深く拝見していたブログ、『畑がついてるエコアパートをつくろう』の山田さんが勤めて下さるようで、ぜひ行きたかったんですが打合せのため参加できません。



   第7回 伝統木造が持っている性能を現代に活かす
   「木の家と室内環境を考える」
   講師:山田 貴宏 氏 (ビオフォルム環境デザイン室代表)



まだ定員に余裕があるのかどうかはよくわかりませんが、山田さんに謝意を示す意味でもご紹介しておきます。
(詳しくはこちらをご覧下さい)

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未来年表を作ってみる

誰でも判っている当たり前のことですが、人間は年をとります。

生きている限り、いつかはみんな子供から大人になり、おじいちゃん・おばあちゃんになって死んでいきます。



そんなことは判っているんですが、意外ときちんと認識していないのが、

『子供が中学生になると、自分が何歳になって、うちの親父はその時何歳なんだろう?』
『じゃあ、高校生になったら・・・?』
『下の子供が結婚する頃には自分たちは何歳になっているんだろう・・・?』

という、家族全員の具体的な年齢推移の把握です。



最近、東風である物件の設計の際にこの未来年表(←勝手に名付けました)を作ってみたんですが、一度こういう年表を作って家族の年齢の推移を可視化すると、将来のいろんな現象がいろいろ想定できるようになり、とても便利だなぁということに気付きました。

表自体は excel で簡単に作れるものですが、参考までにPDFファイルにしてみましたので、もし良かったら使って下さい。

こんな感じですね。



【追伸】
ふと思いついて、検索エンジンで未来年表と検索してみたところ、こんなサイトが見つかりました。
ちょっと覗いてみると「へぇ~」という情報がてんこ盛り。
なかなか面白そうです。



 あなたはどちらが好きですか?
 30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2210年に言ってもらえる家

東京スカイツリー

東京スカイツリー


 


 


 


 


 


 


週末は日本民家再生協会の理事会に出席するため、東京へ行っていました。

今回往路は飛行機で行ったので、羽田から高速バスに乗っていると、隅田川越しに工事中の東京スカイツリーが見えました。

上の写真中、左から2本目の高い塔のようなものが東京スカイツリーです。



この東京スカイツリー、最終的には高さ634mになるそうですが、日頃2階建ての木造住宅に携わっていることが多い建築家としては、

「いったいどんな構造になっているんだろう・・・」

と興味が尽きません。

ちょっとだけ東京スカイツリーのサイトを覗いてみると、なかなか興味深いことがたくさん紹介されています。

ついついのめりこんで読んでしまうと業務が進まないので、ちょこちょことしか読んでませんが(笑)。



でも、工事中の現場見学とかあったら行ってみたいなぁ。

最先端の英知を結集して造っているんだろうなと思うと、ぜひその概要を知りたい衝動に駆られてきます。

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読んでます。等伯の本

今週になって身辺が少し落ち着いてきたので、久~しぶりに本を読み初めました。

昨年末から、新聞とか書籍とかの活字の類をほとんど読んでいない(というか読む時間が作れない)という状況が続いていました。

京都の現場も無事終わって、今は束の間現場が動いていない状態になっているので、スタッフも含めてちょっとホッとしている状態です。
今日は近くの瑞ヶ丘公園でお昼にみんなで花見をしました。
(伊丹は今ちょうど満開で、これから散っていくところです)



で読み始めたのが、桃山時代の絵師・長谷川等伯の半生を描いた『松林図屏風』
読み物としてもとても面白く、ぐいぐい引き込まれていってます。

僕は長谷川等伯の絵が大好きで、明日から京都国立博物館で始まる等伯展で松林図屏風(国宝)を見るのが今から楽しみで仕方ありません。

空いている時にじっくり見られるといいなぁ。

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素晴らしい銘木を集めた旧・来住家住宅

来住家

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


昨日は、兵庫県西脇市にある旧・来住(きし)家住宅に行ってきました。

目的は、日本民家再生協会の近畿地区運営委員会に参加するためです。

いつもはこの地区運営委員会も大阪市内の会議室で会議を行っていますが、
「たまには遠出してちょっと楽しみながら会議をやろう」
とのことから、西脇市内でやることになったという次第です。



僕は西脇市へ行くのも初めてで、もちろん旧・来住(きし)家住宅も初めてだったのですが、この家は材料も仕事もすごかったです。

ちょっとご紹介しますね。

 

松葉模様欄間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は離れの書院欄間の組子の写真です。

松葉継(まつばつぎ)模様というそうですが、こんな組子は初めて見ました。
(正直なところ個人的にはあまり好きではありませんが、仕事としてはものすごいと思います)


 

玉杢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は母屋座敷の書院天板のケヤキです。
見事な玉杢(たまもく)が出ています。

この巾でこんな風に玉杢が出るということは、この木はきっとものすごい樹齢を重ねた太くて稀な木だったと思うのですが、よくこれだけの木を探してきたものですね。
原木の時の姿を見てみたいです。

この家では他にも春日杉や屋久杉、楓、桐、肥松、栂、黒檀、鉄刀木(たがやさん)、楠など様々な銘木がふんだんに使われて、とても丁寧な仕事が施されていました。



僕はもともと工務店で数奇屋建築の現場監督を務めていたので、銘木類を集めてきて建物の随所に使っていくという考え方には馴染みが深いのですが、今こういう建物を見ると正直ちょっと引いてしまいますね。

英知と財力を結集した、最高級の日本建築の一つであるということには間違いがないのですが、自分が目指す方向・建物を作っていく上で大切にしたいものとはちょっと違うなぁ・・・という違和感を感じます。

時代の流れなのか、それとも単なる好みの問題なのかはわかりませんが・・・。



しかし、久しぶりにすごい材料と出会えて感銘を受けました。

すみません、かなりマニアックな話題になってしまいました。

 

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地盤調査でビックリ!こんなこともあります

昨日は兵庫県明石市内で、Kさんのお住まいの計画のために地盤調査を行いました。

調査方法は、これまでにもブログで何回かご報告している、いつものスウェーデン式サウンディングです。

標準的には、1つの敷地内で5ポイントにわたって地中へ錐を打ち込み、その落下速度の速い/遅いによって地耐力(ちたいりょく=地盤の固さ)を測定します。



過去に行った近隣の地盤調査結果や周辺の地形・文献などから、おそらくそんなに弱い地盤ではないだろう、と予測していたのに、最初の測定ポイントで錐(きり)がスルスルと怖いぐらいに沈んでいきました。

錐がスルスルと沈む=地盤が弱い、ということを表します。



結局支持地盤に到達したのは、地表面から地中へ10m潜ったところでした。

「えぇ~、そんなに弱いの!?」

と、意表を突かれてちょっと不安&心配になりましたが、他のポイントで調査し始めると、当初の予想通り割としっかりした地盤であるという結果が出てきて、結局は一番最初に潜らせたポイントだけが、他と比べて異常に弱かった、という結果に。

こうなってくると、なぜそうなるのか不思議で仕方ありません。



ところが今回の計画地は、たまたまクライアントであるK様の奥様のご実家の隣だったのですが、お母様が助け舟を出して下さって事なきを得ました。

というのは、そのあたりには昔、大きな井戸があったとお母様が教えて下さったのです。



全体的な地盤の性状としては、このあたり一帯はさほど神経質になる必要が無いだろう、ということはあらかじめ予測していたのですが、この家の荷重の1/8程度が集中的にかかるこの1点(←出隅の通し柱の直下)に昔井戸があったせいで、たまたま局所的に非常に弱い地盤であるということは、地盤調査を実施していなかったら見逃していたことでしょう。

やはり地盤調査は欠かせませんね。

これから家づくりに臨まれる方は、必ず設計に先立って地盤調査をして下さい。
費用は3~5万円程度で済みますから。