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京都市・面皮柱+なぐり、和風手刻み伝統工法の家 完成見学会/(株)木造建築東風

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今年の春から墨付に着手した京都市左京区のU様邸が完成します。

クライアントであるU様のご厚意により、このたび完成見学会を開催させて頂けることになりました。

ご案内が直前になってしまいましたが、木造建築がお好きなみなさまに、丁寧な手仕事の魅力を体感して頂きたくご案内致します。
建築関連業社の方々も、大歓迎です。
もしよろしければどうぞいらして下さい。

大黒柱は8寸角/樹齢130年の桧で、構造材は樹齢100年超の大径木を2008年晩秋の新月期に伐採した天然乾燥材です。
(伐採した時の様子はこちらの記事でご覧になっていただけます)
長年京都で数奇屋の仕事に携わってきた大工が構造材を刻み、構造材の緊結には金物を一切用いずに、長ホゾと栓を使って組み上げています。

緩やかな弧を描く日本瓦葺きのムクリ屋根や、無垢の杉板張り+白漆喰仕上げの外壁に、付近を散歩される皆様も現場の様子をしげしげと眺めていかれます。
今回の現場では、玄関の柱に京都らしい面皮柱を用いました。
このお宅のこれまでの工事中の様子はこちら

見学会は終了しました。
たくさんのみなさま、ご来場ありがとうございました。

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京都市・面皮柱と中塗土壁の玄関/木の家、数寄屋、木造専門の東風

京都市内のU様邸では、大工工事も完了し、左官工事が行われています。

U様邸の一般の部屋の壁は、全てほたて漆喰ライトという材料を使って仕上げています。
北海道のホタテの貝殻を砕いたものを原料にした壁材です。

ただ、玄関だけは少し違った材料で仕上げました。

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完全には乾ききっていないので、まだ湿った壁の色になっていますが、左官屋さんといろいろ相談して、ほんまもんの土を塗って仕上げています。

下の写真は壁の仕上材の塗り見本をかなり至近距離で撮影したものです。

右側(緑よりも右)が、現代の和室などで一般的に良く使われているせんいジュラク壁

左側(ガムテープより左)が今回使ったホンマの土です。

どちらも少し表情を出すために、
左官屋さんに頼んで細かいスサを混入してもらっていますが、右のせんいジュラク壁の方がザラザラしていて表面に凹凸があり、左の土壁の方がペタッとしたマットな感じに仕上がっているのがお分かりになると思います。
(下の画像をクリックしてみてもらうと、もう少し拡大できます。)

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今回、U様邸の玄関では、京都らしいしっとりとした雰囲気が出るようにと考えて、四角く製材した角柱ではなく、丸太のような丸みが残った杉の面皮柱(めんかわばしら)と磨き丸太ばかりを使いました。

↓ 磨き丸太と土壁

  丸太の筋のように影が見えるところは柱の表面が凹んでいます。
  これを【絞り(しぼり)】と言いますが、U様邸では
  天然の絞りが
控えめに入った木を選んで使っています。

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  天然の絞りに対して、人造の絞り、というのもあるのですが、
  それを書き始めると長~くなってしまうので今回はやめておきます。

  壁の色にムラがあるのは、乾き始めているところと
  まだ濡れているところがあるためです。 

↓ 面皮柱(めんかわばしら)と土壁

  タテに建っているのが面皮柱です。
  木目(もくめ)が出ているところは、表面を削って平滑に仕上げている【面】の部分
  一方、壁際の木目が無くて少しベージュ色が濃いところは、木の皮をむいただけの【皮】の部分
  1本の柱に面と皮とが共存しているので、面皮柱といいます。

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これらの磨き丸太と面皮柱は、いつもナグリ加工などでお世話になっている、京都の銘木屋/中儀銘木店さんが用意してくれました。
中儀さんの面皮柱は、市場で仕入れてきたものではなく、全て自社の山で生産したものばかりなので、履歴や木の素性、育った環境などもはっきりしているし、よく目が詰んだものばかりなので品(ひん)が良いです。

面皮柱や磨き丸太は、角柱と違って角が立っていないので、室内が柔らかな雰囲気になります。 
 
その面皮柱の繊細な表情を引き立てる壁として、しっとりした雰囲気の土壁を採り合わせたくて、今回は土を塗って仕上げてもらうことをU様にご提案したところ、この組み合わせになったというわけです。

もちろん、少しザラザラしたせんいジュラク壁でもいい雰囲気になるし、実際巷間ではよくやられていますが、土壁のしっとり感は、せんいジュラク壁には出せない良さがあります。

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