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製材を行いました

1/22(木)に、兵庫県三田市の西本製材所さんで京都市N邸の木材の製材(修正挽き)を行いました。

この材料は、
 ○ 2007年11月に静岡で伐採
   → 2008年6月に静岡で第1回目の製材
   → 今回(2009年1月)に製材
という経過を経ています。

先々週はこの材料を出すために、僕は大工さんと2人で静岡へ1週間行きっぱなしだったのです。

製材2009-1

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は修正挽きを行う前の木材です。
9割が杉、1割程度が桧で全て静岡産の木材です。

製材2009-2

 

 

 

 

 



↑ こんな台車に乗せて製材していきます。

胴差

 

 

 

 

 

 

 

↑ この写真に写っているのは、長さ7.7M×巾300mm の杉です。
一般の市場では、この長さでこの巾の1本ものの材料を探すのはかなり難しいです。

もちろん、伐採直後のボトボトかつ節だらけの材料であればいつでも調達できるでしょうが、一年で一番いい時期に伐り、天然乾燥させてある素直な美しい杢目の国産の杉となると、入手はとても困難です。

この写真では杢目が写りこんでいないのでお見せできないのが残念ですが、2008年6月に行った製材直後のこの材料の表情はこんな感じでした。

この杢で7.7mかつ巾300というのがいかにすごいことか、お分かりになる方はかなりの事情通ですね。


 

大黒柱と通し柱

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


他にも、今回立ち会ったときに大黒柱と通し柱も挽いてもらいました。

上の写真の左側が大黒柱(長さ6.6m 220mm角)
右側が通し柱(長さ6m 150mm角)です。

大黒柱はもっと太いものもあったのですが、杢目がおとなしくて割れも少ない素直な材料を選んでこれにしました。

この木は2006年の秋に伐って2007年の初夏に製材後、和歌山の友人・東さんが好意で預かってくださっていたものです。
東さん、本当にありがとうございました。
おかげさまで素晴らしい材料が採れましたので、ぜひ一度見に来て下さい。



この物件で使う木材は総数約400本になるので、今回ご紹介したのはごくごく一部です。

これらの材料は2月5日から西本製材所さんのご協力を得て、約4ヶ月かけて大工が手刻みで加工し、5月下旬に京都で上棟の予定です。

また順次ご報告しますのでどうぞお楽しみに。

 

【お知らせ】
2/4(立春)より、事務所名称を
サトウ都市環境デザイン→木造建築 東風(こち)
に改称します。
「なぜ東風か?」はこちら

 



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現物の迫力

今日は朝から現場に行って、午前中だけ建前のお手伝いをしてきました。
久しぶりの手刻みの現場で、楽しかったですね。
やはりプレカットとは違って、とてもいいものです。

当然のことながら、この建物はうちの事務所で設計をしたので、建物の形は隅々まで大体自分の頭に入っていて、イメージ通りのものが目の前で出来上がっていく過程を見ているわけなのですが、やはり現物の迫力は違います。

何よりも
1. 木材の表情と香り
2. 職人の技術が凝縮している仕口(しくち)と継ぎ手(つぎて)
に圧倒されますね。
ここが木造の醍醐味です。

まぁ、僕なんかが口で言うよりも、実際に画像を見てもらった方がよく伝わると思うので、現場で撮ってきた写真を掲載します。
(すべての画像はクリックすると拡大表示できます)

柱に貫(ぬき)を通しているところです。
最近は土壁をつけるケースが少ないので
こんな作業風景を見ることはめったになくなりました

貫が通し終わりました。

通柱を貫く胴差のヤトイが抜けないように、車知(しゃち)栓を打ち込んで留めています

窓台の下端に車知栓を打ち込んでいる大工さん

鼻栓

通し柱と胴差し(どうざし)を緊結する仕口
ヤトイを込栓(こみせん)と鼻栓(はなせん)で結い、引き抜きに抵抗するように組んでいます。


吹き抜けにかかる、交差する丸太梁。
材料は木曽のヒバ(あすなろ)で、とても目の詰まった美しい材料です。そして、それを仕上げた大工さんの技術とセンスが素晴らしかった。

いくら設計をしていても、実際の建物がどう出来上がってくるか?というのは、やはり材料の持つ力や美しさ、実際に手を下してその木材を刻む職人さん達によって全く変わってきます。

ここは、残念ですが設計者の力の及ばないところです。

いかに職人さんに腕を震わせたくなるような設計をするか、というのが木造建築物における設計者の実は一番の腕の見せ所なのですが、それを感じさせないように建物全体をバランスよく仕上げることができて、材料の美しさと職人の技が引き立つ建物になってくれれば大成功だと僕は考えています。

このあたりの感覚は、ちょっと伝わりにくいでしょうね(笑)。

この現場を担当しているうちのスタッフも、
このところ水を得た魚のようになっています。
やはり木造は現場に全てがあるなぁ、と感じます。

最後に、とてもいい機会を与えてくださった建築主のTさんと、
素晴らしい仕事をしてくださった職人さんたちに感謝。

今週末の上棟式とその後の宴会が楽しみです。

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北海道から大工さんが来ました(その1)~京都・北山杉磨き丸太の現場

北山杉

 

 

 

 

 

 

 

 
昨日、北海道の大工さん3人が京都の建物を観て勉強する、という研修旅行に来ていたので、一日ご案内していました。彼らは、僕が理事をつとめているNPO法人・日本民家再生リサイクル協会の北海道在住会員である、武部建設の若手大工さん。
武部建設は民家の少ない北海道で、民家再生や古材の再利用に積極的に取り組んでいる、貴重な会社です。
そこの若手大工さんに、
「京都の建物がどんなものか自分の目で見て学んで来い!」
という社長の心意気により、今回の研修旅行が実現したのです。

いろんなところを駆け足で回ったのですが、その道中、京都の周山(しゅうざん)街道沿いに、北山杉磨き丸太を作っているところがありましたので、彼らと一緒に見学してきました。

北山杉-2

 

 

 

 

 

 

 

 
北山杉の磨き丸太は、ちょうど冬の寒い時期に作られます。
まず、
1. 秋に杉の伐採を行い、木の中に含まれる水分を抜くために1ヶ月余り山の斜面に倒したままにしておきます。
2. 次に水分が抜けた杉の木を山から降ろしてきて、
3. 荒皮(ゴツゴツした樹皮)をむき、
4. その後うす皮(荒皮の下にあるヌルヌルした薄い皮)をきれいに取り除き、
5. 最後に水と砂を使ってていねいに人の手で磨かれて仕上げられます。
これ(特に5.)を冬の寒~い時期に、外でやるのですから、大変つらい作業です。
こうして美しい磨き丸太が作られます。

北海道の家づくりと関西の家づくりでは、やはりまず使われる木材(樹種)が違います。
関西では建築資材として主に、杉・ヒノキ・松などが使われますが、
彼らの話を聞いたところでは、北海道ではエゾ松・ナラ・唐松・ヒバなどが多いそうです。
やはり木材を見つめる彼らの目はものすごく真剣で、とても真摯な姿勢を感じましたし、同じ木造建築であっても地方によって異なる大工仕事の事情(材料・工法等)の意見交換ができたのは、僕にとって大きな収穫でした。

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