初釜

昨日は初釜に行ってきました。

いつも茶道の稽古をして頂いている草志舎さんで、今年初めての稽古として行われた初釜です。

僕は初釜に出るのは初めてだったので勝手がよくわからなかったのですが、茶道教室の先生と生徒さんとで一緒に作って下さった美味しいお料理をみんなで頂いて、その後濃茶・薄茶を頂きました。



今回は初釜ということもあり、先生が自ら濃茶を点てて下さったのですが、その立ち居振る舞いや、一つ一つの所作に移る時の間合いの取り方にとても品があって、ただただ感服・・・。

所作とか間合いというのは、表現するのがとても難しいのですが、それによって相手に与える印象や心地よさみたいなものが全く違ってくるものなんだということを強く感じました。

「自分もああいう立ち居振る舞いができるだろうか?」
「まわりのみなさまに心地よいと感じて頂けるような間合いの取り方ができているだろうか?」
と考え出すと誠に情けなくなってくるのですが(恥)、これから自分でもそういうことを意識して行動するようにしたいと思いを新たにすることができただけでも、得たものは大きかった。

ちゃんと実践しないと。



年初にいい機会を与えて頂いてありがたいなぁ。



 

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杉板の撥水・防汚

杉板塗装

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年末に 現場でクライアントのN様が、室内の壁面に張る予定の杉板にご自身でオイルを塗られました。

どちらか気に入った方を塗ってもらうつもりで、当日は2種類の材料を用意しておきました。



一つは写真右側の桐油(きりゆ)。
これはこれまでにも、うちの現場ではよく使っているものです。

もう一つは写真左側のキヌカという商品。
昨年末にメーカーからお知らせをもらって初めて使ってみた材料ですが、これなかなかスグレモノです。

米糠から精製した油脂だそうで、何よりも早く乾くというのがとてもいいです。

桐油は価格も安くて撥水効果は高いのですが、乾燥に約1週間かかってしまうのが難点。

その点、このキヌカは2-4時間程度で触っても問題ない程度にまで乾燥し、1日あれば完全乾燥に至るとのこと。
しかも塗ってもほとんど表面の質感が変わらず、塗ったか塗らないかよくわからないほど控えめなのがいいです。



結局、今回は洗面・脱衣室の壁面に張る板への塗布材だったため、撥水効果が高いと思われる桐油に亜麻仁油を混ぜたオイルを塗って拭き取った仕上となりましたが、今後、現場でこのキヌカの出番が増えそうです。

塗布にも特殊な道具や難しい技術は必要ないので、どなたでも塗れると思いますよ。
無垢材の質感を損なわずに防汚・撥水処理をしたい方にはお薦めの塗料です。




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貫伏せ

京都市N邸の現場では、年末から土壁の下地処理工程である
【貫伏せ(ぬきぶせ)】に取り掛かっています。

さすがに現場はまだ動いていなくて、初出は明日(1/5)からなのですが、
年末の貫伏せ作業の様子をご紹介します。

貫伏せ0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


↑このような(貫が露出している)状態のままでは、この上から土を塗り重ねても
 
貫のところで壁が割れてしまいます。
 
その割れを防ぐための下地処理が【貫伏せ】です。

 

貫伏せ1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


↑まず貫の上に、フノリを混ぜた漆喰を塗りつけます。
 わかりやすく言うと、これは接着剤の代わりです。

 

貫伏せ2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


↑ のり漆喰の上から中塗り土を塗りかけます。

 

貫伏せ3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




↑中塗り土を塗った上から、割れ止めのために寒冷紗(かんれいしゃ)という
 白い布をあてて土の中に塗りこめます

 

貫伏せ4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




↑これで貫伏せが完了です。
 
(色が濃いところが貫伏せを施したところ)



この貫伏せ工程は、まだ2階の半分くらいしか完了していませんが、年始は6日から左官屋さんが入って、引き続きこの貫伏せ作業をしていく予定です。



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所信表明

年輪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きれいな年輪でしょ?
静岡の杉の木で、推定樹齢は約110年です。

今からお伝えする記事の内容とこの写真との間には特に関連性は無いんですが、今日の記事を投稿するにあたって、なぜかこの写真が頭に浮かんだので使いました。



年頭にあたり、自分自身のこれまでを再度見つめ直し、今年の指針を考えてみました。
今年の9月で事務所を立ち上げてちょうど10年を迎えます。

 

そんな節目も意識してか、自分自身で決めた指針・・・(↓)、

 

今年は1年間にお引き受けする物件数を、これまでよりも少なくします。
(おいおい、大丈夫か? なに言うてんねや?と突っ込まれそうですが)

 

 

 

どういうことかお話ししますね。

 

わざわざ改めてBlogでんなこと言わなくてもいいかな、とも思うのですが、自分自身の決意表明の意味もこめて書きます。

 

 

 

実は数年前からいろいろ思うところはあって、身近な人には軽く相談したりしていたのですが、自分が木造専門の設計者として

 

【他の人ではなく、自分でなくてはできないこと】

 

にもっともっと注力して業務を行うべきなのではないか?と感じていました。

 

 

 

社会に貢献する、みなさまのお役に立つという観点から考えて、今自分が向いている方向・姿勢は本当に正しいだろうか?ということについて、これまで何度も自問してきました。

 

そうやって日々の業務に取り組んできて、この年始にようやく確信に至ったのです。
やはり他の人にもできることは自分が手がけるべきではなく、他の方にお任せすべきだと。

 

そうすると、自分が先輩から受け継いだものや与えられた現在の環境・育ててもらった能力を、より自分が必要とされる分野に注力することができるし、自分が必要とされる分野(=自分でなくてはできないこと)で社会に貢献していく方がみなさまのお役に立てると思うのです。

 

 

 

誤解されないように申し上げておきますと、今までやっていたことが正しくない、という意味ではありませんし、180度方向転換するわけでもありません。

 

木造専門でやっていくことも変わりませんし、新月期の伐採材を自社で作っていくこともこれまで通りやっていきます。

 

基本方針として変えるのは、自社で施工まで手がける物件を増やし、設計のみを引き受ける物件を少なくするということです。



少し具体的に説明しますね。

これまで木造建築 東風では【設計を本業とする建築設計事務所】としてのスタンスを主としてきました。

しかし今後は【自社で設計から施工までを一貫して行う工務店】へとシフトすると言った方が近いかもしれません。



設計だけをお引き受けして施工は他社にお願いする場合だと、どうしてもやりきれない部分があります。

 

第3者として現場を監理するという立場からすると、それは決して悪いことではありません。

しかし現在の自分の能力をより高く発揮できるのは、設計から施工までを一貫して自社で行い、材料の調達・管理や使い方にまで責任を持ったやり方だと確信するに至ったからです。



しかし、施工まで自社で行うとなると、今以上にたくさんの手間を各現場にかけていかなければならなくなります。

 

そうすると、現在の事務所の体勢ではお引き受けできる物件数を減らさざるを得ない、という冒頭の結論に至ったわけです。

 

より高いサービス、より良い商品、より深い満足度を提供し、社会に貢献したいと考えて判断したことですので、ご理解をいただければ幸いに存じます。

 

 

 

ただ、設計監理のみの業務は絶対に引き受けない、ということではありませんのでご安心下さい。

 

遠隔地などで、自社で施工管理を行うのは「お客様にとってもメリットが少ない」と判断した場合には、今までどおり設計業務のみをお引き受けし、施工は他社(工務店さん)に引き受けていただくというこれまでの形も引き続き行っていきます。

 

今後ともどうぞよろしくお願いします。




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2010年 あけましておめでとうございます

新年、あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。



このブログも開設してから満5年が経ちました。
(最初に投稿したのは2004/12/29)

早いものですね。



今朝は久しぶりに早朝の散歩へ出かけてきました。

初日の出の写真を撮ろうと思ったのですが、
雲が出ていたのと寒かったのとで諦めて帰ってきました。

でもちょっと面白い写真が撮れたのでご紹介します。


元旦の満月


 


 


 


 



実は今日は満月です。

西の空には満月が鈍く輝いていました。
左に見えているのは六甲山系です。

西の空に満月が輝いていて、それと反対の東の空からは初日の出が上がって来ようとしているという状況でしたが、なかなか面白いものだなぁと感じました。


元旦の六甲山


 


 


 


 


 


僕がいつも散歩をする、近所の公園です。
割と大きな池があります。
( ↑ 瑞ヶ池と言います)



昨年は、自分の積年の夢がいろいろと実現した年でした。

今年はどんな年になるんだろう?と考えると、ワクワクしてきます。



でもその前に年賀状書こうっと。

すみません、年賀状これから書きますので、届くのは遅くなります。
(昨日は準備で終わってしまった・・・)



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 あなたはどちらが好きですか?
 30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2210年に言ってもらえる家

むくり天井が張れました

むくり天井2

 

 

 

 

 

 

 

 

 


京都市N邸玄関の天井板が張れました。

 

杉の白太(しらた)小幅板を使い、板と板との間には極細の底目地(そこめじ)をとって仕上げています。
節のない板だけを使っているので、木目がおとなしく、すっとした感じに仕上がりました。
先日ご紹介したように、ゆる~くむくりをつけた天井です。

 

当初は照明器具として小さなダウンライトをつけようかと考えていましたが、この木目をきれいに見せるには、壁面にブラケット型照明器具を設けるのが一番だということになり、クライアントのNさんご夫妻とも相談して、この写真のような位置に照明器具を設置することになりました。
(写真撮影時は工事用の仮設電球を点けています)

 

これから造りつけ家具(下足箱)が設置され、壁が仕上げられていきます。
出来上がりが楽しみです。



さて。

みなさま、本年も大変お世話になりました。
いつもこのブログを覗きに来て下さって、どうもありがとうございます。

 

あなたが読んで下さっているからこそ、僕もこのブログを書き続けていられます。
心より感謝しております。
どうぞよいお年をお迎えください。



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木取り

先週末、京都市N邸で各所カウンター用材の木取りをしました。

木取りとは、板などを見て
○ どこからどこまでを使うのか(長さや巾など)
○ どの向きで使うのか(木表/木裏、反り/むくり勝手)
などを決めて、墨付けをすることです。

 

リビングカウンター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は長さ3m、巾約50cmの杉の一枚板です。

この板は、リビングにテレビを置く棚の天板や底板として使うことになりました。



ダイニングカウンター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


上の写真は、対面式キッチンに取り付ける、ダイニングカウンター用の板です。

椅子を置いているような向きで使うのですが、仕上ると椅子の反対側に I 型キッチンが設置されます。

この板も杉の木の1枚板で、巾は50cmありますが、写真で言うと右側の白太の部分を落として、巾約45cmにしてから使うことになりました。

下足箱カウンター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の板は下足箱の天板を兼ねた玄関飾り棚の地板として使うことになりました。
この木も巾は50cmほどあるのですが、両側の白太の部分を切り落として赤身の部分だけを使います。



勘の鋭い方はもうお気づきでしょうが、実はこれらの木、全て1本の木から製材した共木(ともぎ)です。

この木を伐採する時には、建築主のN様ご夫妻がわざわさ静岡まで見に来てくださり、N様の目の前で伐採しました。

今から2年前、2007/11/06のことです。



この木はこの年に伐採した木の中では一番大きな木で、伐採を開始してから24番目に伐った木です。

この家の各所の主な幅広板はほとんどこの木から採ったものですが、市場で木を買うとなかなかこういったつくり方はできません。

原木を山で買って行う家づくりの特権です。



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主役は建物ではない

今週でいよいよ2009年も終わりですね。
うちの現場は29日まで仕事をしておしまいです。



先週後半から、京都市N邸の現場では玄関の造作工事に取り掛かっています。

この玄関は微妙なバランスを決定するのにいろいろとかなり悩んだのですが、ようやくデザインが決まりました。



当初、この家の玄関はゆるい直線勾配(2寸勾配)をつけた板張りの天井にする予定でした。

しかしこの現場を担当している東風スタッフが、
「玄関の天井を起(むく)らせてみたらおもしろいんじゃないか?」
と言い出して、それならぜひやってみようということになり、原寸型板を作ったり、現場で実際に木を曲げてみたりして、ああでもない、こうでもないと試行錯誤しながら現場のみんなで決めました。

型板を基に、大工のI さんが起こしてくれた天井下地が下の写真です。

 

r天井

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真で見ると、本当に微妙なのでよくわからないかもしれませんが、白い矢印の方向に少しだけ起らせています。
(拡大表示すると、なんとなくわかります)

現場で見ても、パッと見ただけでは気付かないかもしれないような、やさしいムクリです

ここには、おとなしい木目の杉の白太小幅板を長手に張って仕上げます。



建築雑誌などを賑わせている建物の写真では、こういうところでいろんな樹種の材料を使ったり、変化に富むようなデザインを施して建築が目立ってしまうような事例をよく見かけるのですが、東風で作るときには極力建物が目立たないように目立たないように、ということを心がけてつくります。

でも、よ~く見ると、細やかな気配りがしてあって落ち着きがある。
なぜそう感じるのかわからないけれど、これといって何と言うことは無い建物なのに、凛とした品がある。

そういう建物に仕上るように、ということを考えてつくってあります。



それはなぜかというと、建物というのは主役であってはいけない。
あくまでもそこに住む人や家人が飾るものなどが主役となるように、それを後ろからじんわりと引き立てる役目を担うのが建物の役目である、と考えるからです。

料理で言うと、お皿みたいな役目ですね。



またそういう控えめな雰囲気をもつ佇まいの建物でないと、自己主張が強すぎて、鼻について飽きられてしまいます。

つくられた当初は良かったけれど、後年になるにつれて建物の格も落ちるし、家人の趣味も疑われるようになるような建物では残念ですよね。



だから、むくりも微妙でいいんです。
材料もおとなしい、控えめなものがいいんです。



人が住み始めて、家の中でいろんなものを飾り始めて、ようやく建物も活き活きとしてくる。

東風ではそんな建物をつくっています。




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外壁下塗り

外壁1223

 

 

 

 

 

 

 

 

 


京都市N邸では、外壁の下塗りを行いました。

外部を仕上げてくると、なんだか一気に建物の表情が変わります。



1階の外壁には、杉の赤身部分だけを使った羽目板張りで仕上げています。

杉の赤身は色も揃ってきれいなんですが、そういった美的要因だけでわざわざ赤身にするのではなく、水に強く腐りにくいという理由で、赤身部分だけを使っています。

よく、木製のお弁当箱(曲げわっぱ)が秋田杉の赤身で作ってあったり、水を汲むひしゃくの丸い部分を杉の赤身の薄い板で作りますし、茶室の水屋の腰板などにも杉の赤身の幅広板を使います。

杉の赤身が水に強い(腐りにくい)というのは、一般の方にはあまり馴染みが無いかもしれませんが、事実です。



 

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1年検査

大津

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土曜日に、竣工後の1年検査で大津市のTさん宅へおじゃましました。

今日も寒いですが、土曜日も寒くて、早速上の写真のように薪ストーブが活躍していました。



1年検査の時には、たいてい建具に狂いなどが生じていることが多く、微調整が必要になります。

反ったり、傾いたり、きしんだり。
狂うといってもほんのちょっとだけなんですが、やはり木は生き物なので、四季を通じて動くんです。

木ではない昨今の建材メーカー製建具では、こういった狂いもほとんど生じないのですが、でもやっぱり建具は木で作りたいですよね。

汚れも付きやすいし、掃除もしにくいし、利便性においては決して優れているとは言えないんですが、木製建具にはそれを超える魅力があるんでしょうね。



Tさん宅の設計をしている時に生まれた女の子が、もうすぐ2歳になろうとしています。
すっかり大きくなって、よくしゃべるようになっていました。

Tさんが設計の時に仰っていましたが、家の年齢と子供の年齢が同じというのは、何か感慨深いものがあります。

設計者としては、末永く愛される家であって欲しいものです。



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