屋根のスカイライン/天然乾燥材でつくる伝統構法の家@京都市

昨日はとても暖かい日でしたね。

どうやら花粉がたくさん飛んでいたようで、くしゃみや鼻水がひどくなりました。
これからしばらくは悩まされそうです。

青空には瓦と漆喰の組合せが映えます。

軒先に雨樋が無いので、屋根の一文字瓦のラインがすっきりきれいに見えました。

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京都市N邸にて

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→ http://www.mokuzo-architect.jp/works_kyoto1.html

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世界に、300年先も美しい風景を

玄関の格子戸/天然乾燥材でつくる伝統構法の家@京都市

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昨日、京都市N邸の木製建具吊込み作業を行いました。
上の写真は夕方に撮った、玄関の片引き格子戸の写真です。
靴脱ぎ石も座り、養生されて見えなかった式台も姿を現わし、土間も仕上げてきたので、一気に玄関らしくなってきました。
(↑ このあたりの写真はまた後日)

と思いきや、現場はまだ土壁が乾いていないので、木製建具がすぐ狂ってしまう状況です。
よって、全ての建具は一旦建具屋さんが持ち帰って預かってくれています。
(当然、この写真の建具も持ち帰りです)

この家ももう少しで完成です。

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古い石を使いましょう/天然乾燥材でつくる伝統構法の家@京都市

古材の再利用、と言えば古民家の黒く煤けた梁や柱などを思い浮かべると思うのですが、石も忘れてはいけないものです。

石は木に比べると、目に見えて古びたような感じは出にくいものですが、それでもやはり新しく切り出してきた石と使い古された石とを比べると、表情が全く違います。

stone
上の写真は京都市N邸の玄関に据える予定の靴脱石で、以前Nさんのお宅の敷地内に建っていた家で使われていた古い白御影石で、表面は叩いて仕上げられています。
写真ではよくわからないと思うのですが、長年のうちに角張ったところが無くなって丸みを帯び、色もこなれてとても柔らかい雰囲気になっています。

きっとこれが玄関土間に座ったら、いい感じになると思いますよ。

錆御影や鉄平石など、鉄分を含有しているために錆が出てくる種類の石などは、古びているととてもいい表情になってきます。

大きな石はとても重いので、運ぶ時にワイヤーを使ったりすることで傷がついて、表情を損ねてしまうことがあるのですが、古い石が座るとドシッとして落ち着いた雰囲気になりますね。

あなたのお宅にも、庭に埋もれた古い石があったら、積極的に使ってみられてはいかがですか?

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階段の手摺/天然乾燥材でつくる伝統構法の家@京都市

京都市N邸では階段の手摺が取付きました。

実は先週のNさんご夫妻との打合せを行うまでは、玄関につける手摺を丸太で作ろうかと考えていたのですが、実際に丸太を現場に持ってきてやってみたら室内の雰囲気に合わなかったので、玄関の手摺は中止に・・・。

そこで階段の手摺を北山杉の小丸太にすることにしました。

stairs_0213_1

北山杉の磨き丸太は自然の木の皮をむいて磨いたものなので、根元の方(1階の上り口)ではちょっと太目ですが、末口(2階の上がりきりの部分)では細くなっています。
stairs_0213_2

上の写真は中間付近での手摺の拡大写真です。
ご覧のようにこの木は小さな入節が多いのですが、わざとこういう木を選びました。

和室の床柱などでもそうですが、つるっとした節の無い木は表情に乏しいので、象徴的な存在になる木の場合には、わざと小さな入節や筋(絞り)が入っているものを用います。

このような小さな入節はエクボと呼ばれて、床柱などでも割と好まれます。
人間と一緒で、床柱にエクボがあると微笑みかけているかのような愛嬌があってなかなかいいものです。

この材料は、いつも大変お世話になっている京都市上京区の中儀銘木店さんで買ってきました。

stairs_0213_3

上の写真は、手摺の北山杉小丸太を受ける腕木(うでぎ)です。

ホゾの部分は柱に飲み込ませて鉛直方向の荷重を支えるように設計しています。

当初の設計では、手摺も杉の角材でつくり、手摺を支える腕木も既成の金物を使う予定でしたが、丸太が入って腕木も木製にすると雰囲気がかなり変わりました。

この腕木は赤松の柾目の古材から採ったものです。

とてもとても重い木だったので、きっと大工さんの刃物が刃こぼれしてしまったのではないかと思うのですが、とても丁寧に造り出してくれました。

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内子町で講演

愛媛県の西部に内子町という町があります。
なまこ壁や漆喰で仕上げられた重厚な外観を持った家並みが続く美しい町ですが、伝統的建造物郡保存地区(伝建地区)に指定されているので、ご存知の方も多いでしょう。

その内子町で、2/19(金)に僕が講演をさせて頂くことになりました。


講演のタイトルは
『伝統的な日本の木の家づくりと手仕事』

です。



内子町のような素晴らしい町並みが残っているところで、僕のような未熟者がお話できるようなことはあまり無いのではないかと思うのですが、僕が一方的にしゃべりまくる講演というような形で終わらせてしまうのではなく、僕の話をきっかけにして、現地で頑張っていらっしゃるみなさまのいろんな想いをお互いに高めあうような機会にしようと思っています。



内子町へは、僕も学生の時に2度行ったきりで、今回の訪問が実に17年ぶりです。

現地では内子町総合観光センターのご担当の方が、内子町内のいろんなところを案内して下さるそうです。
(どうもありがとうございます)

僕も講演において現地のみなさまの励みになるようなきっかけを提供することで、少しでもお役に立てるように準備したいと思っています。

内子町のみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

雨落ち/天然乾燥材でつくる伝統構法の家@京都市

昨日は京都市内も雨が降ったり止んだりの天気でした。
今日も一日雨のようです。

雨の日は空がどよ~んとしていて気分がトーンダウンしますが、昨日の雨に際して現場では雨の落ちる位置を測ることができました。

下の写真は、屋根を流れてきた雨が軒先から落下してくるところの様子です。

雨

 

 

 

 

 

 

 

 
京都市N邸では、南側の屋根の軒先に雨樋をつけません。

理由は2つあります。
その1 : 近隣の大きな街路樹から飛んできた落ち葉が軒樋に詰まってしまうと
掃除が大変だ(というかとてもしきれない)から
その2 : その方が美しいから

軒樋をつけない場合には、軒先から地面に落ちてくる雨を何らかの方法で受け止めてあげる必要があります。

定石的なのが雨落ち(あまおち)を設けてあげる方法です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は、京都市右京区の妙心寺・大心院の雨落ちです。

軒先から雨が落ちてくる位置に大きな溝を作り、その中に大き目の石を敷き詰めて水を排水します。

上の写真で言うと、軒内の土の部分と、白砂の枯山水との間に敷き詰められているグレーの川石(巾約数十センチ)の部分が雨落ちになっています。

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春と雪

このところ寒いですね。

北日本、および日本海側では大雪になっているようですが、雪かきなど大変ですね。
御見舞い申し上げます。
昨日の朝は伊丹でもうっすら白くなりました。



今朝、久しぶりに朝の散歩へ行ってきたのですが、道中で梅が咲いていたり、桜が密かにつぼみをちょっと大きくさせていたり、椿が咲いていたりと、こんなに寒い中でも割いている花があるんですねぇ。

うちの事務所の前の庭では、蝋梅が黄色い花を咲かせていて、近寄るととてもいい香りがします。



2/4(木)は立春でした。
大雪が降っていても、暦の上ではすでにもう春になっています。

昨年の立春に事務所名を改称してから1年経ちましたが、この1年は自分にとっていろいろと大きな年でした。

そして今年の9月が来ると、僕が独立して事務所を立ち上げてからちょうど10年になります。



10年ってあっという間ですね。

これからの10年はどんなことが起こるんだろうか?と思うとドキドキします。



どうぞあなたにも、これから春のいい風が吹きますように。



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 あなたはどちらが好きですか?
 30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2210年に言ってもらえる家

「できない」と言わないこと

僕が大学を卒業して就職してから少したって、自分の師(当時の社長)から教えて頂いたことがあります。

それは、決して「できない」と言わないこと。



工務店に勤務して2年目の冬。
3.5トントラックに材料を満載して、現場のある長野市まで1人で走っていけ、と言われたことがありました。

現場の都合で、どうしても夜に出発して明朝までに到着しないといけない。

しかも天気予報によると、明朝の長野市内は雪。

当時の僕は3.5トントラックの運転すら数回しかしたことがなく、しかも運転するトラックのタイヤはノーマルタイヤという状況で、僕がまず発した言葉は

「社長、無理です。僕にはできません。」



その時、社長に一喝されました。

できない、と言うな!
できない、と自分で言ってしまうとそこで全て終わってしまい、何も前に進まなくなる。
どうしてできないのかという理由を考え、ならば逆にこうすればできるのではないか?と
考えを巡らせろ。
そしてダメだと思ってもとにかくやってみろ。
やる前から無理だと諦めるのではなく、やりながら考えろ!

と。



そう言われて僕は、正直ものすごく怖かった(←雪道&ノーマルタイヤ&3.5トントラックが)のですが、何とか自分を奮い立たせて深夜3.5トントラックを走らせました。

明朝、無事に現場へ到着して荷物を降ろし、その足で京都へ帰ってきました。

この時教わったことは強烈に頭に残っていて、今でもとてもありがたく思っています。



相手の要求どおりでは、どうしてもできないという状況はよくあります。
しかしそこで

○ どうすればできるのか?
○ できないと思っているのは、自分が勝手に設定した枠組の中だけで
  考えているからではないのか?
○ こういうふうに変更してもらえれば概ね要求どおりにできるんだけれど・・・ということを
  相手にぶつけて交渉してみてはどうか
○ ダメだと思っても、まずはやってみる

というふうに少しずつ考えを巡らせて、何とか相手が望む形を実現してあげようと努力する姿勢が大切なんだということを学びました。



あの時、社長はきっと
「こいつにはこれをやらせて自分自身の殻を破らせないとアカンなぁ・・・」
と思って、言って下さったのだろうと思います。

上記以外にも前職場では、大変貴重なこと(精神面・技術面とも)をたくさん教わりました。
僕は本当に素晴らしい上司に恵まれたと、今でも深く感謝しております。




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解体修理現場見学

子安の塔

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


先週の土曜日、清水寺の解体修理現場見学に行ってきました。

日本民家再生協会主催の専門家向け連続講習会のプレイベントとして企画されたもので、現在清水寺で行われている10ヵ年計画の解体修理現場を見学させて頂きました。



冒頭の写真は子安の塔という三重の塔の解体状況です。

江戸時代の大工さんの仕事を目の当たりにできて、とてもいい勉強になりました。



僕自身は社寺建築には携わったことがないので、同じ日本の木造建築とはいえ、住宅とは違った作り方が随所に見られて、得るものがいろいろとありました。




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土壁仕上 下地窓

京都市N邸の現場で土壁が仕上ってきている、ということを先日書きましたが、2階の壁の一部に左官屋さんが円形の下地窓を作ってくれました。

とってもいい感じで仕上っているのでご紹介します。

下地窓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当初は、このような下地窓を設けるつもりではなかったのですが、竹小舞下地を編み上がるころにクライアントのN様が現場を見られて、

「せっかくこれだけちゃんと竹を編んでくださったのに、壁が出来上がってしまったら全く下地が見えなくなってしまうのは惜しい」

と仰って、じゃあどこか塗り残しましょう!ということになり、空調などの関係で支障のない部分の下地を塗り残すことになりました。



最初から下地窓にする予定で作る場合には、こういうところの壁下地(竹や縄)はもっときれいに仕上げられた材料で下地を編むのが定石なのですが、今回は編みあがってから塗り残そう、ということになったので、フツーの下地がそのまま露出しています。

「ちゃんとこうやって編んだんですよ」というのが後世の人にしっかり伝わる、
という意味ではとてもいい形になりました。

円形の縁は一般に貝の口(かいのくち)または蛤端(はまぐりば)と呼ばれる形で、ぬるっと丸みを帯びた仕上げ方をしています。



最終的にはこの壁の裏に照明器具を置いて、スイッチを入れると下地窓から明かりが漏れるという形で仕上げることになっています。


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