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事務所にヌカドコ?

建築とは全然関係ない話で恐縮ですが・・・。

昨日、糠床が届きました。
漬物大好きな僕は、以前から
「ヌカドコが欲しい・・・」
と思っていたのですが、無精者なので絶対に腐らせてしまうと思い、躊躇していました。

しかし、このブログを読んで下さっている中将さんなどから、
「手を入れない時は、冷蔵庫に入れておけば2週間くらい大丈夫!」
と聞いて一気に火がつき、2週間ほど前に東京出張で実家へ帰った折、母親に相談。

本当は0から自分でヌカドコを作りたかったのですが、
「美味しく漬かるようなヌカドコになるまでに時間がかかる」
と母に諭され、ヌカドコを作ってもらいました。

で、昨日届いたのがこのヌカドコです。

実は漬物用のホーローの容器は、自分で2年位前に買っておいたものです。
ようやく日の目を見ることができました。

早速今朝も手を入れて糠をかき回し、ナスを1本漬けてみました。
5:30に入れたのですが昼ごろまで漬けておいてみようと思います。

胡瓜・生姜・ナスなど、いろんなものを少しずつ試してみます。
これで漬物に困らないと思うと、より一層ビールが美味しくなってきます(嬉)。

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東風

今日は立春です。

皆様、昨晩は太巻きを食べられましたか?(笑)
( ↑ 関西出身の方は、これが昔からの全国的な風習だと思っていらっしゃる方が結構多いようですが、違いますよ♪
 東日本から来た僕も、最初は「何これ?」とびっくりしました。)



本日より、サトウ都市環境デザインは

  木造建築 東風(こち)

と名称を変更します。



年末にじっくりスタッフとこの名前を考えて内定し、
その後内々でいろんな方にご意見をお伺いし、
お正月の年賀状で「改称します」ということを発表しました。

その後たくさんのみなさまから温かい応援のメッセージを頂いております。
どうもありがとうございます。



新しい事務所の看板の字を書いて下さる方とそのご家族のみなさまにも、とってもいい名前ですねと褒めて頂き、とても嬉しく感じております。
(新しい看板はみなさまのご協力を得て、ゆっくり製作しています。
 今しばらくお待ち下さい。)

【 東から吹く風 】
という名に恥じないように、今後もより一層皆様のお役に立てるよう励みます。

スタッフ共々、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

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不便さと魅力

 土曜日に、神戸市S邸へ行ってきました。

9月下旬の風雨がきつかった日に、木製窓の部分から雨が染み出してきたとのことで、その漏水対策とともに一年検査を行いました。

建築主のSさんに
「一年住んでみていかがですか?この家は」
と聞いたところ、
「普通の家ではできないことがいろいろできて楽しんでいます♪」
とおっしゃっていました。

冬の吹雪の日には、木製建具の隙間から雪が入ってきて、室内に少し雪が積もったこともあったとか。
また、間仕切りがほとんどないこの家に長男の友達3人が泊まりに来たことがあったそうですが、泊まりにきた、というより合宿という雰囲気だった、とおっしゃっていました。

確かにこの家は体育館みたいな雰囲気がありますから、その話を聞いて妙に納得してしまいました。

レンジフード


 


 


 


 


 


 


 


 


いろいろ室内を見て回った後、上の写真のキッチンのレンジフードについて聞いてみました。

この家はキッチンがアイランド型で、リビングの中にボンとキッチンが置いてある感じです。
当初はグリーン排気というレンジフードを予定していたのですが、価格が高くて断念。
そしてデザイン上もあまり金属は見せたくないという配慮から、小型の壁掛け型レンジフードをアイランド用に改良して付けてしまいました。

全ての煙を逃さず吸い取っているとは言えないが、まずまずきちんと機能してくれているようで安心しました。



作る前からわかりきっていたことですが、この家は個性がものすご~く強い家です。
Sさんだからこそこんな家ができた、という感じですね。

この家にうちのお客さんを何組かお連れしたことがあるのですが、みなさん口を揃えておっしゃいます。
「あの家は別格だ」と(笑)。
でも建築に要したコストとか、床面積などの規模はごくごく一般的なんですよ。



個性が強いと言うことはそれだけいろいろと使いにくいところもあるのですが、その反面とても魅力的です。

世界的な名作住宅として名高い、アメリカ・ピッツバーグにある落水荘(Falling Water)という建物も大変美しくてすばらしい建物なのですが、その魅力の反面、やはりいろいろと住む上では不便なことがあります。

美しいバラにはトゲがあると言いますが、やはり便利さと美しさは相反するものなのだろうな、と家を作っていていつも思います。

肝心なのはそのバランスをどこで取るか?というサジ加減なんでしょうね、きっと。

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植栽の効果

京都会館


 


 


 



昨日は午後から京都に行っていました。

京都市内で来年から着工する予定のN邸の確認申請に先立った、京都市の条例に適合しているか否かを届け出るためのいろんな書類を提出するためです。

その1つ、埋蔵文化財を守るための届出を行うために、まず最初に埋蔵文化財保護課のある京都会館に行きました。



京都会館は1960年に昭和の建築家・故前川國男氏が設計を手がけたものです。

京都会館も含め、この人の建築は鉄筋コンクリート造が多いのですが、僕はこの人の建築が好きです。
(なぜでしょうね?自分でもよくわかりませんが)



でもこの建物、単体で京都の街中にドーンと建っていたら、きっとちょっと違和感があるでしょう。
岡崎の割と空間が開けたところにあるのでいいのかもしれません。

上の写真で見るように、この京都会館は大きく育った街路樹のけやきに遮られていて、その外観を直接街中にさらけ出していません。
(画像をクリックすると拡大表示して見ていただくことができます)
鉄筋コンクリート打放し仕上の無骨で無機質な建物なのに、とてもやさしい印象を与えるのは、きっと街路樹のけやきがこの建物と一体になっているからでしょうね。



京都会館で文化財保護課に書類を提出した後、京都市役所までトコトコ歩きながら街中のいろんな建物を見るともなしに見ていました。
普通の商店でも個人宅でも京都の建物は見ているといろいろと楽しいです。

住まわれている方の美意識が高いんでしょうね、きっと。

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景観を守るために その2

現在、京都市内でN邸の建築確認申請を出す準備を進めています。

この物件の現場は左京区(銀閣や詩仙堂などがある区域)内にあるのですが、左京区の東の山の中腹には、あの有名な大文字があります。

毎年8/16に行われる五山の送り火を賀茂川べりから観る景観を守るために、賀茂川と大文字を結ぶエリア内の建築物を作る際には、その視線を遮らない高さであることを証明しなさいという申請手続きがあります。
(ちなみに、京都市内では同じような規制の対象となっている区域が他にもたくさんあります)

僕も今回はじめてその申請を行うのですが、
「なかなかやるなぁ~」
と感心したのでちょっとご紹介しますね。



まず、申請に必要なデータは下記の通りです。

〇 計画地(現場)の正確な位置(緯度・経度)
〇 計画地地盤の標高 (← 海抜××m)
〇 計画している建物の最高高さ
〇 大文字と賀茂川の緯度経度・標高

京都市役所の市街地景観課に行くとパソコンが置いてあって、そのパソコンのプログラムを使って計画地の正確な位置は割り出せるようになっています。
これで大文字までの水平距離、賀茂川までの水平距離もあっという間に算出してくれます。

当然のことながら、賀茂川べりの標高と大文字の標高もこのパソコンに入力されていますから、あとは現場の標高がわかれば、断面図を描いて大文字を邪魔しない高さかどうか?ということを証明する資料は作成できるわけです。

そこで
「じゃあ現場の正確な標高はどうやって測るの?
 いちいち測量士さんに頼まないといけないの?」
という話になりますよね?

ここからがなかなかスゴイところなんですが、実は京都市内のそこら中の道路に下のような小さなピンが埋め込まれています。

景観1


 


 


 


 


 


 


 


 


ピンだけ拡大するとこんな感じ(↓)
直径は3cmくらいの小さなものです

景観2


 


 


 



で、このピンの位置・標高が全て記録されているのです。

ですからこのピンの高さと現場の地盤レベルとの差を測れば、それで正確な標高が割り出せる、というわけです。



技術的にはなんら大したことのないレベルですが、そこまで一生懸命になって景観を守ろう!としている姿勢がすごいと思います。
いやぁ~感心しました。

おそらく他の都市でも同じようなことは行われていると思いますが、人知れずひっそりと頑張っているいい取り組みだなぁと思ったのでご紹介しました。



ちなみに、上記のピンの画像を拡大してみていただければお分かりになると思いますが、このピンは国土交通省のものです。

ですから、もしかするとあなたの街にもあるかもしれませんよ。

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景観を守るために

すっかりブログの更新が滞ってしまいました。
楽しみにしていてくださる皆さん、ゴメンナサイ。

先週末に京都市内へ行った折、岩倉の円通寺へ行ってきました。

円通寺

 

 

 

 

 



ここは市内の便利なところからは離れていて、アクセスが少し不便なので観光客も少なくてお気に入りの場所です。

比叡山の借景庭園として知られているお寺ですが、僕は年に1~2回くらいのペースでたまに行きます。
比叡山の借景庭園には、他にも北区に正伝寺(しょうでんじ)などがあります。
ここも全~然人が来なくて静かなお寺でなかなかいいですよ。



ところで冒頭の写真を見て驚かれた方もいらっしゃるかと思います。
( ↑ そんなあなたは、かなりの筋モンですね)

というのも、円通寺はこれまで一切の写真撮影を禁止していた(僕の記憶の範囲だと・・・)のですが、今回行ったところ、庭園方向に限っては撮影を許可していました。
(建物は撮影不許可)

今回は帰りがけに、玄関でご住職がたまたま話しかけてくださったおかげで、円通寺周辺の景観を守るために、ご住職が過去数十年間にわたって並々ならぬご苦労・ご尽力をなされてきたことを知ることができました。



現在は円通寺から眺める景観を守るために、この一帯には景観規制が掛けられています。
高い建物は建てられなくなり、建物の屋根の色・形などにも制限があります。

ご住職は40年前から円通寺の景観を守るために、いろんな努力をされてきたそうです。



誤解を招く恐れがあるのであまり詳しくは書きませんが、ご住職は

 〇 景観が良くなれば京都に来る観光客も増える。
             ↓
 〇 そうすれば地元の企業も潤って、自治体の税収も増える。
             ↓
 〇 そして税収が増えればさらに景観を良くするための活動にも力が入る

という好循環を起こすことが必要だとお考えになっているようです。
自分とこの景観さえ守れればいいというような偏狭な考えではなく、みんなのための益となる方へ向かうように努力されているところが素晴らしいと感じました。



京都市内で建築する際の様々な規制がありますが、これまでは役所からその規制内容について条項として聞くばかりで、

〇 なぜそのような規制を掛けるのか?
〇 そのような規制を掛けることにどういった狙いがあるのか?

ということにまでは考えが及ばなかったのですが、今回円通寺のご住職のお考えをお聞かせ頂いて、景観問題に対する自分の意識をシフトさせることができました。

ご住職、感謝します。

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一昨日に続いてお茶の稽古のときの話題から。



茶道の稽古に行くと、挨拶をして席入りした後に、まず床を拝見します。

毎回軸と花が飾られていて、どんな内容が書かれている掛け軸か?何の花が生けられているのか?ということを先生から教わります。

今回の花は、漆塗りの花台(というか板)の上に載せた銅製の一輪挿しに凛としたハマナスが生けてありました。



その時先生に教わったのですが、床飾りにも「真行草」の形があるそうです。
ここではあまり詳しく書きませんが、花を生ける器や花台、花の種類と組み合わせや姿形などで真行草をわけるとのこと。

茶室は部屋の広さによって広間と小間とに分類されますが、一般に小間は草(そう)のスタイルで建物が造られるため、床飾りや炉縁なども草のものが用いられます。

草のものとはどういうことかというと、花台には塗り物ではなく素木のものを用いるとか、花器には釉のかかっていない素焼きのもの、または竹篭などを用いるというのが草のスタイルです。



先生からいろんな話を伺っている最中に、僕が作っている建築は基本的に『草』なんだと気付きました。

天井を張らずに小屋組を化粧として見せるデザインや、木に塗装を施さずに素材のまま使うのは『草』のスタイルです。

また1つ謎が解けたような気がします。

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人を育てる

棟梁

最近、『棟梁 技を伝え、人を育てる』という本を買って読みました。

著者をご存知の方も多いと思いますが、建築界での第1号人間国宝であった宮大工、故・西岡常一棟梁の唯一の内弟子、小川三夫さんです。

小川さんの本はこれまでにも読んだことがありますが、今回はこの本の「技を伝え、人を育てる」という副題に惹かれて買いました。

口述筆記形式の本なので非常に平易で読みやすい本ですが、内容はものすごく深くて重みがあります。
建築の技術的なことも少しは書かれていますが、仕事・人生に対する姿勢、後進育成のために著者が心を砕いてきたことが一杯詰まっています。

読み終えたばかりですが、すぐに再読を始めました。

うちの事務所にもこの春から新卒の女性スタッフが入ってきて、4月末からは毎日朝から晩まで西宮市の現場にへばりつかせています。
竣工までは今後約3ヶ月しかありませんが、建て方から竣工まで全ての工程を
「とにかく見ておけ」
と伝え、このスタッフは一生懸命がんばっています。

棟梁の西田さんも
「あの子、よう動くなぁ」
と感心しています。
(Uさん、今は苦しいけど頑張れよ)

設計職希望の経験乏しい若い女性が、いきなり建築現場に放り込まれて大変な思いをするでしょうが、現場から育った人材は絶対に強いものです。

僕も大学卒業後、右も左もわからない状態で現場へ行かせてもらったおかげで今があることを、師に深く感謝しています。
(感謝しても感謝しても、とてもしきれませんが・・・)

建築をつくるとはどういうことか?
僕も後進に伝えていかなくてはいけない世代になってきました。

本の中で小川さんも述べています。

「人を育てることはできない。
 できるのは育つ環境を整えて、機会を与えてやることだ」

全く同感です。
そこから何を学ぶかは本人次第ですからね。

良書です。
自信を持っておすすめします。

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滋賀・三井寺唐院の建具

先週のことですが、滋賀県大津市で近々新築住宅の提案を行う予定の現場を視察に行きました。

現場へ行く前に条例関係を確認しようと大津市役所へ行ったのですが、ちょうど昼休みに差し掛かってしまい、時間が空いたので近くの三井寺(みいでら)へ立ち寄りました。

三井寺へはかねがね行ってみたいと思っていたのですが、機会に恵まれず今回が初めてです。

現在、金堂(国宝)の修理が行われている最中で、外部には仮設の素屋根が掛けられていましたが、中は拝観することができました。

その後、同じ三井寺内にある唐院潅頂堂という建物に差し掛かった折、とても粋な建具を見かけました。
下がその写真です。
(画像をクリックすると拡大表示できます)

柔らかな表情を出すためにわざと太目に作った桟と、繊細な七宝の透かし彫りとの対比が生み出す緊張感、そしてアクセントに菱形に胡粉を塗った軽快なデザインが絶妙ですね。
蝶番にもきちんと心配りがなされていて、ため息が出そうです。

素晴らしいセンスです。
恐れ入りました。
脱帽。

三井寺には、光浄院客殿と勧学院客殿という名建築(ともに国宝)があるのですが、事前申込をすれば拝観許可が降りるということを初めて知ったので、近いうちにぜひ申し込んで拝観させて頂こうと思っています。

一緒に行きたい方、いらっしゃいましたら、さとうまでメール下さい。
( ↑ ちなみに、3名以上のグループでないと受け付けて下さらないそうです)

【お知らせ】
11/3(土・祝)に静岡市の山で
新月伐採現場見学会を開催します。
詳しくはこちらをご覧下さい。

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竣工しました

1月から取り掛かっていた、西宮市内の現場が昨日ようやく竣工しました。
ようやくこれで一息つけそうです。
上の写真は2階のLDKの全景写真で、床板は信州産の唐松、構造材は宮崎の杉です。

今回の現場は、個人的にベストメンバー(各職方)が出揃った感があり、自分自身納得のいくものができました。
大工・建具の職人がとても良かったです。
(西田さん、塚本さん、ありがとうございました。
 もちろん他の職方の皆さんにも大変感謝しております)

現場が竣工したときにいつも思うのですが、僕のつくる建築は写真が撮りにくい・・・。
↑ これって、インターネットサイトを主力営業マンとしているうちのスタイルから考えると、極めて不利ですよね(笑)。

でも、うちに依頼してくださるクライアントの皆さんは、どうやら僕のつくる建築の美しさに惚れて来て下さるというわけではないようなのでいいのかな?
( ↑ 嬉しいような、ちょっとさびしいような・・・)

半年くらい前から、自分自身のデザインスタイルがほんの少しずつ変化してきています。
主として照明の手法が変わってきました。

建物をつくる際の基本的な方針には全く変化はありませんが、全体のデザインとしては、よりシンプルに、木材の美しさが前面に出るような控え目な方向へと向かっていますので、今後はより一層写真ではわかりにくいものになっていく恐れがあります(苦笑)。
見せない×見せない×見せない、という完全な引き算型建築です。

だからこそ木材が浮き出てくるのですが、いくら言葉で言っても無理ですね。
百聞は一見に如かずです。

今月は少しゆっくりします!
(ちょっと休ませてね。
 体が音を上げています)

そろそろ蛍を観に行かないと。
本も読みたいし、映画も観たい。

〇 現在ご依頼を頂いているクライアントの皆様
〇 ここ1ヶ月くらいの間に当方サイトからお問い合わせいただいていた皆様
来週あたりからぼちぼちご連絡を差し上げていきますのでお楽しみに。

ブログの更新、これからは通常通りのペースに戻していきます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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