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着物問屋

この週末、丹後に行ってきました。
ホームページを見て下さった方から、
「民家を購入し店舗に改装したいので見に来て欲しい」
との連絡を受けたため、その民家を調査しに行ったのです。

この家は、もともとこのあたり一帯で最も大商いをされていた着物問屋さんだったそうで、それが使われている材料に現れていました。

玄関は丹後あたりの民家によくある形の、太いごひら(←断面が長方形の部材のこと)のケヤキを使った構成で、ちょっと豪華かな?というぐらいだったのですが、中を見てびっくり。
5寸角の桧の通し柱が12本建って、梁や床板には無節のきれいな松の材料が使われ、玄関の式台には巾1尺の桜の上がり框が使われていました。
よっぽど手広く商売していたんだろうなぁ・・・ということが、材料や仕事からよくわかる建物でした。

これまでに20軒くらい丹後のいろんな建物を観てきましたが、この地方の民家は京都の大工のやり方に割と近いところがあります。
外観や構造の組み方は京都とは少し違いますが、内部の造作や材料の使い方などは、京都の流れを汲んでいるようで割とあっさりまとめるケースが多いですね。

2日間かけて構造体を調べて写真を撮って帰ってきたので、これから建築基準法や自治体の関連条例などを調べていって改装方針を考えていきます。

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世界に、300年先も美しい風景を

あえて効率化を求めない

うちの事務所の目の前に、去年までは駐車場だった150坪くらいの土地があります。

『駐車場だった』というからには、当然その後があります。
昨年の夏ごろに、不振だった月極め駐車場営業に地主さんが見切りをつけたらしく、4分割して住宅用分譲地として売り出しました。

昨年末までに4区画の内の2区画に家が建ちました。

そして、残りの2区画のうちの1つに、現在某ハウスメーカーが木造の家を建てています。

僕も建築屋のはしくれなので、当然いろんなところをそれとなく観察しているのですが、この現場を見ていて感心したことがあります。

それは、【 現場作業の効率化に対する努力 】です。

地場の中小工務店のやり方とは違い、あらゆる材料(構造材は言うに及ばず、外壁に張る下地用の構造用合板・間柱・根太・垂木などの下地材全て)を徹底的に工場でプレカットしてきて、あとは現場に搬入したら釘やビスで止めていくだけという、それこそプラモデルのように早く・味も素っ気もなく出来上がっていくのですが、これが

思いっきり早いッ!

のです。

正直、恐れ入りました・・・。<(_ _)>

しかし、あそこまで業務の効率化を図ってしまうと、今度は当然ながら弊害もあります。
現場で取り付け作業をしている大工さんの技量がドンドン落ちていってしまうのです。

材料のプレカット(←工場内での下加工のこと)はコンピューターでプログラミング・自動化された生産ラインに乗せて、あっという間に出来上がります。
正確に・狂いも無く。

それはもちろん素晴らしいことなのですが、しかし現場での職人の仕事が大して頭で考えることも無く簡単に取り付けるだけ、という作業の積み重ねになっていってしまうので、技術力の向上・研鑚という意味では、ここから最悪の悪循環が始まります。

これはもう、一度はまってしまったら絶対に出てこられません。

さて、ここをどう捉えるか、というのがそれぞれの企業理念で異なってくるところでしょうね。

うちも、これからの設計業務システムを構築するためのベース作りに取り組もうとしているところですが、自問自答して答えを導き出す、いい勉強材料をもらった気がしています。

何事も、勉強!×勉強!ですね。

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世界に、300年先も美しい風景を

このところバタバタしていて、すっかり更新をサボってしまいました。
楽しみにいつも来てくださっているみなさん、ごめんなさい。
また、ボチボチ書いていきますので、どうぞよろしく。

今さらですが、映画 『たそがれ清兵衛』 を観ました。

よかったですね。
うまく表現できませんが。

何というか、【 間 】が良かったです。
ローアングルなカメラワークも良かったし、
何よりもやはり、真田広之と宮沢りえの演技がじわ~っときました。
↑僕は、宮沢りえ大好きなんです・・・(笑)。

原作(藤沢周平氏)は読んでいないのですが、最後のしめかたもとても良かったです。
本当の幸せとは何か?というこの映画のテーマが、ストレートに伝わってきました。
観ていない方は、一度ご覧下さい。

映画の中の建築も美しかったですよ。

囲炉裏端で火を前にして家族と話すシーンや、
こんもりしたかやぶき屋根の家、
玄関の式台に腰掛けている清兵衛(真田)と、取次ぎ(←今で言う玄関ホール)の間にきちんと座って話す朋江(宮沢)を引き立てる、舞良戸(まいらど)や障子、衝立などで構成される空間など。

僕には、どうしても自分で建てたい家が一つだけあります。

それは、寄棟(よせむね)の茅葺屋根を持った、平屋で30坪くらいの家。
材料をとことん吟味して、どっしりとした構造材を使い、渋~い家を建てたいのです。

自分で本当に納得のいくものをつくり上げるのには、まだまだ修行が足りないようです。
きっとこの夢をかなえるのは、まだまだ大分先になるでしょうね(笑)。

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セルフビルドとコストダウンについて~その3

前回・前々回に引き続き、現在お住まいの家・または中古物件のリフォームにおけるセルフビルドとコストダウンの方法について書いてみます。

(※注:前回、および前々回の記事をまだ読んでいらっしゃらない方は、【セルフビルドとコストダウンについて~その1】【同~その2】を先にお読みください。その方がよりよく理解していただけると思います。)

今回はセルフビルドの目的について書いてみたいと思います。

セルフビルドの目的は3つに分類されます。
それは、


A) コストダウンしたい!

B) 作業を楽しみたい!

C) 建物に自分の思い入れを入れたい!

です。


A) コストダウンしたい! という方へのアドバイス
コストダウンの目的でセルフビルドを行う場合は、プロに頼む仕事(=出費)をできるだけ減らしたい、というのがホンネですよね?
ですから、自分でできる工事量をできるだけ増やせばよいのです。
多くのケースでは、プロがやろうとしている仕事の中で、自分でもできそうな工事(例えば塗装、左官の薄塗り壁仕上げ工法など)のみを建築主がやられているようですが、これだけでははっきり言ってコストダウンできる金額は数万円です。
もっと大きくコストダウンしたい!と思ったらどうすればよいか?
そこから一歩も二歩も踏み込んで、プロがやろうとしている仕事を、素人でもできるような工法・デザインで設計しなおして(←ココが大事)、自分でやってしまえばよいのです。
あなたに時間とやる気があって、指導してくれる人がいれば、たいていのことは自分でできます。
でも、防水・給排水・電気に関する部分は、専門知識や経験がない場合にはやめておかれた方がいいと思います。

B) 作業を楽しみたい! という方へのアドバイス
「木工が好きなんです!」という方に多いのですが、自分で何かを作るのを楽しみたいので家づくりに参加したいという方。
これはもう特に難しいアドバイスなどはありません。
まずリフォームを担当してくれる設計者や施工者の方、そして現場の職人さんと仲良くなって下さい。
そしてわからないことをドンドン素直に質問して、なんでも教えてもらうのです。
材料のこと、やり方のこと、自分がこんなことをやりたいと思っていることなど、何でも遠慮せずに聞いて、情報を仕入れてください。
でもちょっと工夫が必要です。
それは

「すみません、ちょっとわからないので教えていただきたいんですが・・・」


とまず前置きしてから聞くことです。

これは相手にこう(↓)言っているのとほぼ同じです。

「私は素人でどうしたらいいのかわからないので、プロであるあなたに助けてもらいたいんですが・・・」

お客さんからこう言われて、うれしくない職人はまずいないでしょう。
きっと懇切丁寧にいろんなことを教えてくれると思います。

C) 建物に自分の思い入れを入れたい! という方へのアドバイス

これを意識して実行されている方は、まだ少ないかもしれませんね。
ここでちょっと、僕が実際にクライアント(建築主)と一緒になって作った六甲山麓の家で実際にあったことをご紹介します。

六甲山麓の家では、内装工事(木工事から仕上げ工事までの一切)を全て素人(建築主・彼の弟・友達など)だけでやりました。
毎週末(土日)はもちろん、朝から晩まで現場で大工作業です。

幸い、工事中の仮住まいを現場のすぐ近くでしていたので、クライアントの子供(小学生の男の子と保育園に通う女の子)2人や近所の子供達もほぼ毎日、現場へ遊びに来ていました。
つまり彼らは、お父さんが最初から最後まで家を作っているところを実際に何度も目の当たりにしているのです。
こうなると、家に対する家族の思い入れは全く違ったものになってきます。
表現が適当かどうかわかりませんが、入居する前からすでに「家がもう一人の家族」みたいな感じになってきます。

こうなると、その家はきっと後世まで大切に使われつづけることでしょう。

以上、大変長くなってしまいましたが、セルフビルドの目的について書いてみました。
最後まで読んでくださって、どうもありがとうございました。

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