京都市・杉赤身の階段/数寄屋、和風、伝統工法、木造建築 東風

6月に上棟した京都市U様邸新築工事現場では、内装工事が急ピッチで進んでいます。

今回の現場では、大工の鮫島さんから
「構造材の刻みを行った後、上棟までに全ての内装部材の加工もあらかじめ済ませてしまう」
と提案があり、いつもと違うやり方でやってみたのですが、これが功を奏して現場の進み具合が通常よりもかなり早いです。

今後はこのやり方で行こうかと思うのですが、その反面、現場内には材料が山積みです(苦笑)。

↓ 2階の床板を張る、鮫島稔さん。
  今回の床板はいつも通り、杉板厚み35mmの本実加工した無垢フローリングです。

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階段の段板は、巾240mm× 厚み40mmの杉1枚板です。
赤身の張った、きれいな板です。

↓ 若手大工の井野さん。
  このときは書斎入口の建具枠と壁下地を起こすところでした。

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↓ 下の画像はリビングに面したL型の階段設置中の写真です。
  材料は全て杉を使っています。

  杉の中でも赤身が張った大径木から採った材料を使っており、
  杉独特の穏やかでかつメリハリのある木目が美しく見えるように
  と配慮したデザインにしています。

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この階段は、U様邸の中でも象徴的な存在になりそうです。
少し先になりますが、また完成したら画像をお届けします。
どうぞお楽しみに。

↓ 階段部材の刻み・加工から設置までは、全て大工の鮫島透さん
  が手がけてくれました。

  下の画像は、階段の側桁を設置しようとしているところです。

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今日は尼崎で見学会の最終日です。

午後からは、にわか雨の予報。
昨日も昼過ぎにざっと強く降ってくれたおかげで、大変過ごしやすくなりました。
毎日夕方に降ってくれるといいんですけどね(笑)。

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尼崎市・8寸角桧 大黒柱の家見学会/和モダン、伝統工法、木造専門の建築家東風

今日は雨の予報です。
少しは暑さが和らいでくれるといいんですが・・・。

さて、明日と明後日は尼崎市内のH様宅にて完成見学会を開催する予定です。

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↑1階LDKと大黒柱。

大黒柱は桧の8寸角。
棟木まで1本で到達する長さにしています。
床板は桧の幅広フローリング(厚み40mm)
写真の窓枠で区切られた薄暗いところがキッチンです。

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↑ 吹抜けから見通した2階内観の様子。
大黒柱に刺さっている地棟も桧です。

一般的には丸太梁には松を使われることが多いのですが、東風ではいつも桧を使っています。
木材表面の肌理の細やかさ・美しさが松と桧では全く違うためです。
現場を見て頂ければ、そのあたりも良くお分かりになっていただけると思います。

見学会の詳細についてはこちらをご覧下さい。

明日の土曜日はご来場予定者が少なく、今のところ、ゆっくりご覧になっていただけると思いますよ。
日曜日も見学は可能です。

まだまだお申込を受付けています。
たくさんのみなさまのご来場、お待ちしております。

※見学会は終了しました。
 たくさんのみなさまにご来場いただき、心より感謝申し上げます。

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京都市・玄関式台ちょうなで名栗加工/和風、数寄屋、伝統構法の木造建築東風

京都市左京区内で工事中のU様邸・玄関の式台に使うための材料に、いつもの原田さんに化粧なぐり加工を施してもらいました。

クライアントのU様にも立ち会ってお見せしたかったので、原田さんには1時間ほどかけて上京区にある中儀
(なかぎ) 銘木店さんへ来て頂きました。

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手を下す前に、材料をじっと見つめる原田さん。

この板は和歌山県産の杉の板です。
一番玉(木の一番根っこ)の原木から採りました。
北斜面に生えていた木なので目(=年輪)が詰んでいて、杢が中心部にぎゅっと集約されたきれいな板です。

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写真奥でチョウナを振り降ろしているのが原田さん。
手前で板を抑え付けているのは、中儀銘木店の小西さんです。

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なぐり加工が完了した時の状態です。
今回は板の見付部分
(画像で言うと右端部)は、なぐってしまわずに皮付きの状態で磨き仕上としました。

7/21(土)-22(日)の2日間、尼崎市にて完成見学会を開催します。
下の画像は、リビング上部吹抜けにかかる丸太梁と手摺の工事中の様子です。

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見学会の詳細についてはこちらをご覧下さい。
たくさんのみなさまのご来場、お待ちしております。

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尼崎・手刻み×面格子×漆喰 和風の家完成見学会/伝統工法、木造建築東風

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2011年の秋に墨付け工事に着手した尼崎市のH様邸がようやく完成しました。

丁寧な木造手仕事の魅力を皆様に体感して頂きたいと思い、クライアントのH様に完成見学会の開催を打診したところ、「どうぞ、どうぞ」と快諾のお返事。

大黒柱は8寸角/樹齢130年の桧で、構造材は樹齢100年超の大径木を2008年晩秋の新月期に伐採した天然乾燥材です。
30代前半の若い棟梁が4ヶ月かけて刻み、構造材の緊結には金物を一切用いずに、長ホゾと栓を使って組み上げています。
緩やかな弧を描くムクリ屋根と木製の面格子の外観に、付近を散歩される皆様も現場の様子をしげしげと眺めていかれます。

一度にたくさんのご来場者がおいで頂いて混乱することがないように、時間帯ごとにご予約を承って対応させて頂きます。お申込の際には、見学ご希望時間帯をお申し出下さい。(お子様をお連れ頂いても大丈夫です)

※完成見学会は終了しました。
 ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。

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尼崎市・外壁漆喰と木製面格子、杉板張りの和風住宅/数寄屋、伝統工法の木造建築東風

久しぶりの更新です。
楽しみにしてくださっているみなさま、大変申訳ありません。
  
尼崎市で工事中のH様のお宅では、外部足場も外れ、通りに面した2階の開口部に木製面格子が取り付けられました。

外観の雰囲気がぐっと良くなり、現場の前を歩いていかれるみなさまの中には、立ち止まって眺めていかれる方もちらほら。

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2階の外壁は漆喰のコテ押えですでに仕上がっていますが、1階の外壁は杉板張りでまだ仕上の途中です。
出来上がったらまたご報告しますのでどうぞお楽しみに。

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裏側はすでに杉板が張れています。

外壁に張る杉板は、東風ではいつも奈良県吉野の吉野中央木材さんに発注しています。

吉野杉の赤身だけで採った板を、自社の乾燥庫で低温人工乾燥させてつくってくれるので、色や質感もあまり損なわれずに含水率を下げることができて、いい状態で材料を張れるので大変助かっています。

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漆喰壁と木製額縁、瓦の和風住宅/数寄屋、伝統工法、木造建築東風

尼崎市・H様邸では、2階外壁の漆喰コテ押さえ仕上げができました。

白壁と杉の窓額縁のコントラストがとっても映えてます。

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しっくい壁が仕上がってからというもの、目の前の道を歩いていく皆さんが立ち止まって眺めていく姿をよく見かけるようになりました。

どこといって奇抜なところなどない、おとなし~い姿・形をした家なんですが、周辺のまちなみからちょっと浮いてしまっています(笑)。

 

 

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京都で手刻みの真っ最中

京都市・U様邸の加工場では、構造材の刻みが進んでいます。

今回大工工事を引き受けてくださったのは、京都で長年数奇屋の仕事に数多く携わってこられた鮫島さん。
鮫島さんとは、僕が京都で勤めていた鈴木工務店でご一緒させてもらったご縁です。
数年前に建てた京都市の石場建て木造住宅・N様邸でも、現場の大工工事は鮫島さんが手がけてくださいました。

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上のお二人が鮫島さんご兄弟。
お二人ともとっても腕の立つ大工さんです。

上の写真は、2本の梁をつなぎ合わせる継ぎ手の加工ができたので、仮に合わせてみているところ。
金輪継ぎ(かなわつぎ)という継ぎ方を追っかけ大栓継ぎ風にアレンジした形にしています。
(鮫島さんが考えました)
構造的にはこれでも充分な強度がありますが、細部がピシッと納まっていないので
もう少し手直ししよう(1ミリ以下)、というような話し合いをしているところを横から撮ったものです。
 
下の写真はその継ぎ手をばらしたところで撮った写真です。 

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下の写真は、土台を刻む鮫島稔(弟)さん。

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端で見ていると、なにげなくスイスイ~と作業が進んでいくように見えます。
そこがすごいんですよね。

下の写真は鮫島透(兄)さんが柱を刻んでいるところです。 

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加工場の一番奥で刻んでいるので、暗くてぶれてしまっています。
すみません。
力を入れずに、刃物の切れ味に任せて刻んでいる様子がよく判りました。

次の写真は、若手大工・井野さんです。 

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2階床梁の刻みをしているところ。
 
彼の刃物の切れ味は素晴らしいです。
傍らで木を削る音を聞いているとよく判ります。
 

下の2枚は加工が済んだ後の材料の写真です。
3人で進めているので(かつ大工の腕が良いので)
かなり早いスピードで進んでいます。

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通し柱と2階床梁との仕口(しくち)部分です。
雇い臍(やといほぞ)+車知栓継ぎ(しゃちせんつぎ)の形です。

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材料はもちろん、東風で独自に伐採・製材し、3年かけて天然乾燥させた静岡の杉と桧です。
樹齢は100年~140年、北向き斜面で育った、大変目(年輪)が詰んで赤身の張ったいい木です。

材料は静岡の鈴木林業さんが出材してくれ、製材を静岡の杉山製材所さんが手掛けてくれました。

先ほども書きましたが、刻んでいる大工の傍らで

鉋や鑿(のみ)で木を削る音を聞いていると、とても
心地よい音がします。
 
刃物が切れないと心地よい音はしません。
また人工乾燥材ではいい音が出ませんし、
表面もきれいに仕上がりません。

何度も何度も山へ行って、自社で独自に原木を購入し、製材→ストック→ゆっくり自然乾燥させて使うまでには、長い時間がかかります。

今回使ってもらっている木も、実は2008年の11月に伐採した木です。
そのときの記事はこちら → 2008静岡 新月伐採

途中で使えなくなってしまう木も出てきますし、これまでもいろんな失敗をしたりして、かなり多額の投資もしてきていますが、こうやってようやく木が日の目を見る機会に出会えると、とってもうれしいです。

あまり大きい声では言えませんが、東風のこの木材は今はまだかなりお買い得の値段で提供しています。
あと1-2年したら、今よりグレードも上がりますが、価格も上がりますよ。

実は今まで東風の木で家を作ってこられたクライアントのみなさまは、大変オトクだったんです。

 あなたはどちらが好きですか?
 30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2212年に言ってもらえる家

今年の原木が届きました

5/7(月)に、今年挽く原木が東風でいつもお世話になっている三田市の西本製材所さんへ届きました。

昨年晩秋から今年にかけて伐った杉・桧です。

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10トントラック満載(多分完全に積載オーバー・・・)です。
今回はもう1台分、合計20トン強の原木をお願いしました。

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産地は和歌山県田辺市。
→ 現地を見に行ったときの様子はこちら

樹齢は約100年ですが、
北斜面で育った木なので、目(=年輪)がよく詰んでいて
決して太くありません。 

今回はこれまでに出荷した在庫を補充する意味で、主に柱材用として
あまり太くない原木を発注しました。

今回の原木を出して下さったのは、奈良県吉野で長年林業を営んでおられる
福本林業さんです。

荷降ろしに立ち会って原木を観ていましたが、福本さんが
「かなり選った中から出しておきましたよ」
と仰っていただけあって、とてもいい木が揃っています。

今月下旬に製材してから、ゆっくりゆっくり時間をかけて
自然乾燥させていくのですが、どんな木ができるか
今からとても楽しみにしています。

いつも東風では割れ止め材を塗布したりしないのですが、
今回の木は割れ止め材を用意しておこうかなぁ・・・と思ったりしています。

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外壁/漆喰塗りの下地

尼崎市の H 様邸現場では、2階外壁の漆喰塗り下地工事が進んでいます。

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まず、道路に面した東面の窓の外部には、左官屋さんがモルタル下地を塗りつける前に、
木製面格子を取り付けるための木製額縁をアルミサッシの外側に取り付けます。

そしてモルタルが瓦の上に落ちて瓦に染みが付いたりしないように、
まずは きちんと養生(↓)。 

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そして、Wラス+フェルト紙の上から、パーライトモルタルを2回塗りつけます。

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長ホゾ+鼻栓に絡むところは、水じまいがちょっと面倒ですが、
うちでいつもお願いしている(株)足立板金ビルドの足立さん
こういうところもとても丁寧に仕上げてくれるので、安心して
お任せしています。

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緑やピンク色に見えているのは養生用のマスキングテープです。
グレー色の部分が防水のための板金部材。

今回左官工事をお願いしているのは、京都・下鴨の山本左官工業さん。
山本さんとは僕が京都の工務店に勤めているときからですから
かれこれ20年来のお付き合いになります。

来週前半には山本左官工業さんが白漆喰金コテ押え仕上げをしてくれます。
山本さんところのスカッ!とした平滑な仕上がりが楽しみです。

またご報告しますね。

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玄関式台-杉のナグリ加工

先週末の土曜日、京都市右京区に行って、尼崎市・H様邸の玄関式台をなぐってもらってきました。

いつもお世話になっている京都市上京区の中儀銘木さんを通じて、これまでにも何度かお願いしているナグリ職人・原田さんがなぐってくれました。

材料はいつもどおり杉です。
厚みは50mm。

今回はクライアントのH様もご家族全員4人で京北町にある原田さんの加工場まで足を運んで下さいました。

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いよいよチョウナによるナグリ作業開始。

端で観ていると、原田さんは何気なくサクサクとなぐっているように見えますが、刃物の切れや力加減、刃の当て方や一目ごとの仕上がり巾など、本当に絶妙な技です。

まずは一番大きい平面をなぐっていきます。
ずっと同じ方向からなぐり続けるのではありません。

なぐることで目を起こしてしまわないように、 木の目を見ながら途中で何度も体の向きを変えてなぐります。

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平の部分をなぐり終えたら、次は側面です。
後ろで板を支えて下さっているのは、原田さんのお父さんです。

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側面もなぐり終えたら、最後に角の面取りです。
面取りもチョウナで一目ずつとっていきます。

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そしてついに完成です。
おとなしくて、なぐる前にはあまり個性的ではなかった板が、ナグリ加工によって
こんなに魅力的な表情に仕上がりました。

鈍い光沢がありますが、表面はハツっただけです。
サンドペーパーもあてていないし、まして何も塗布していません。

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仕上がった後、クライアントのH様ご家族には、靴を脱いで足で
踏んだ時の感触を味わってもらいました。

うちの事務所にもナグリ式台のサンプルを置いていますが、
ナグリの板を踏んだ時の感触はとっても気持ちがいいんです。

H様の息子さんは、その感触があまりに気持ちよかったのでしょうか(?)
ついにべたっとうつぶせに寝転んでしまいました(笑)。

ジャストサイズ!って感じです。

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今回は写真でしか撮っていませんが、過去に原田さんにお願いした折、
動画で撮影したものがあります。
東風のyoutubeページで公開していますので、もしよろしければ
こちらのページで動画も見てください。

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