月別アーカイブ: 2008年5月

見られるかなぁ・・・

今日(5/8)から、京都市東山区の建仁寺で、国宝・風神雷神図(俵屋宗達筆)が一般公開されているようです。

会期はたったの1週間・・・(5/14まで)。

見られるかなぁ・・・、今の自分のスケジュールを考えると難しそうだけど、見てみたいなぁ・・・。



どうしてもっと長い間公開してくれないんでしょうね?

まぁきっと何か理由があるんでしょうけれど、1週間しかなかったら、絶対会場は大混雑するに決まってるじゃないですか。
絵の劣化を防ぐためとか、管理上の問題とか色々あるんでしょうけれど、国宝なんですからもっと考えてほしいよなぁ・・・。

この種のネタはついつい愚痴っぽくなってしまいますが(←ナンダカンダ言って、正直なところ僕はごっつぅ見たい!)、きちんと見せない国宝級の文化財がこの国には多すぎます!

長谷川等伯の松林図(国宝)も国立美術館蔵のくせにめったに見せないし、飛雲閣ほか超重要建造物も、申請しても見せてくれない・・・。

智癪院蔵の国宝・長谷川等伯の楓図みたいにすれば、ちゃんと常設でいつでも公開して下さっている事例もあるのに・・・、と不満タラタラ。



でもやっぱり「観たい!」からこそ、こんな愚痴も言いたくなるんでしょうねぇ~。
運営される側のみなさま、ご苦労様です&ありがとうございます。

でも、もっと気軽にいつでも魅せてもらえるようになると、もっとありがたいなぁ・・・。

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シャンペンシャワー

オーベルジュ土佐山

実は3月の末に2日だけお休みを頂いて、家族で高知県へ旅行に行っていました。

鉄道が大好きな息子が小学校へ入る前に(←現在小1)、JRに乗り倒す旅をしようということで息子に聞いたところ、
「JR四国へ行って、南風とか、しおかぜとか、マリンライナーに乗りたいッ!」
というので土佐へ行ってきました。

ちなみに、『南風』『しおかぜ』『マリンライナー』というのは全てJR四国にしか走っていない特急の名前です。
JR九州にはもっとたくさんの独特な特急があります。

で、そんな息子の話はこのブログでは脇に置いといて、このとき泊まったのがオーベルジュ土佐山というホテルです。

僕はあまり期待せずに行ったのですが、行ってみたらここは建物がとても素晴らしかったです。
地元・土佐の株式会社 細木建築研究所という設計事務所の手による設計でしたが、細かいところまできちんと気が配られたセンスのいい設計で、とても勉強になりました。

で、そのオーベルジュ土佐山の客室に浴室がついていたので入ってみたのですが、シャワーに使われていたのがグローエ社の商品でした。

グローエはデザインに優れた水栓メーカーとしてご存知の方もいらっしゃると思います。
僕も何度かクライアントのお宅に使わせてもらったことがありますが、実際にシャワーを自分で使ってみたのは実は初めてです。

で、このシャワーはヘッド部分で水流の切り替えがいろいろできるようになっているんですが、シャンペンシャワーというモードがとってもやわらかい水あたりで気持ちいいんです。
メチャメチャ欲しくなってしまいました(笑)。

最近は、上述のグローエの他にも、ドンブラハ、リラインス、ハンスグローエなど気の効いたデザインの水栓を好んで使いたいという方が多いですね。
確かに美しいデザインの水栓は、カタログを見ているだけでも楽しいです。

ユーロの値上がりで欧州メーカー勢は軒並み値上げをしているようですが、見た目のデザインもさることながら、シャワーヘッドの水流の感じも選択の際の要素のひとつに加えられてみてはいかがでしょうか?
(ホンマに気持ちいいですよ♪)

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森の仲間

ゴールデンウィークもついに今日で最終日となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
僕は相変わらず、ゆるゆると静かに仕事をしております。

お休みモードということで少しリラックスして、木や竹を使って森の動物たちを作っている方の作品をご紹介します。

下の写真は先週行ってきた奈良県宇陀市室生区にある、ふるさと元気村で見かけた竹を使った昆虫の作品です。

森の動物1

 ↑ のこぎりくわがた。
今にも動き出しそうですね。

森の動物2

 ↑ こちらはサワガニ。
軽快な足取りやはさみの感じなど、サワガニの特徴をよく捉えていますね。

上の作品は竹造形作家の峙(そわ)博泰さんの作品です。

下の写真は、春先に吉野で頂いた、チェーンソーアートの梟(ふくろう)です。
奈良市内でご自宅を建てられる予定のOさんのお義父さん・福本雅文さんの作品。

なんとこれ、吉野杉の丸太からチェーンソーだけで削りだして作っているんですよ
(はじめてみた時はおどろきました!
 っていうか、今見ても信じられない・・・)

森の動物3

ふくろうは森の神様とか賢者と言われて喜ばれるとか。
(ふくろう→不苦労/福篭:福がこもる、などともじることもあるようで)

芯持ちで未乾燥の杉を使って作られていたので、乾燥したら割れてしまうかも・・・と心配していたのですが、どうやら大丈夫そう。

頂いた時はまだ水分が多くて、畳の上に一晩置いておいたら畳が湿っていました(笑)。

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赤銅の引き手

引手


 


 


 


 


 


上の写真は、古家を解体する前に既存の襖から外した襖の引手です。
クライアントのNさんが購入された土地の既存建物にあったもので、Nさんから一時お預かりしています。

この引手は燻べ(くすべ)と呼ばれる手法で黒く色付けをしたもので、赤銅(しゃくどう)と呼ばれる色です。

上の卵型のものは地金が銅製
下の小判型七宝飾り(?)のものは底が銅製、縁は真鍮でできています。



この手の引き手は専門職にお願いすれば、洗いをかけたり再度色付けをしなおしたりして新品同様にきれいにすることが可能です。
(きれいにするか、それともかすれたままで使うかは好みの問題ですが)

素材のしっかりしたいいものは、長い間にわたって使い続けることができるし、年月を経ることで味わいが出てくるのでいいですね。
持つとずっしりとした重みがあります。

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上棟式

棟札

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日は午前中に上棟式を行いました。

西宮市内の神社の神主さんにお願いして現場まで来ていただき、祭壇を組み立てて祝詞奏上・玉串奉天など一連の儀式を執り行っていただきました。

上の写真は、今回の上棟式に合わせて書いた棟札です。
恥ずかしながら、僕が自分で書きました。
(画像はわざわざ拡大できないようにしています。あしからず)

棟札は、いつ建てたものか?ということが記録として残るように作るものです。
上の写真は表面ですが、裏面には施主・設計者・施工者・協力会社の名前・上棟式を執り行った日などを書いておきます。
最近は棟札を作らずに、幣串のみで済ませる場合もよくあります。

建物が竣工したら、棟札は大屋根の小屋裏にしまっておきます。

上棟式というと神社に頼む、というのが一般的ですが、実は仏式で行う上棟式もありますよ。
僕も一度だけ仏式で行った経験があります。



最近は地鎮祭や上棟式などの神事を行わない方も多いのですが、やはりこういう儀式を行うとなんだか気持ちが引き締まって、なかなかいいものですね。

以前は上棟式の後に、現場で必ず直会(なおらい=宴会みたいなもの)を1~2時間行って、職人も施主もみんなで一緒になって少し話をしたものでした。

この直会を行うと、大工さんと施主さんとが直接話をする機会が得られるので、建築主さんは「こういう大工さんがこれからうちを建ててくれるんだ・・・」
大工さんにとっては「この人のために家を建てるんだ」
と、お互いの人柄などがなんとなく判るので僕はとてもいいと思うのですが、飲酒運転の取締りが厳しくなった2002年以降は、こういった直会を行うことはほとんどなくなりました。

ちょっと(というか、かなり・・・)残念です。
まぁ、確かに帰りはみんな飲酒運転でしたけどね。
何かいい方法を考えてみようかな。

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人を育てる

棟梁

最近、『棟梁 技を伝え、人を育てる』という本を買って読みました。

著者をご存知の方も多いと思いますが、建築界での第1号人間国宝であった宮大工、故・西岡常一棟梁の唯一の内弟子、小川三夫さんです。

小川さんの本はこれまでにも読んだことがありますが、今回はこの本の「技を伝え、人を育てる」という副題に惹かれて買いました。

口述筆記形式の本なので非常に平易で読みやすい本ですが、内容はものすごく深くて重みがあります。
建築の技術的なことも少しは書かれていますが、仕事・人生に対する姿勢、後進育成のために著者が心を砕いてきたことが一杯詰まっています。

読み終えたばかりですが、すぐに再読を始めました。

うちの事務所にもこの春から新卒の女性スタッフが入ってきて、4月末からは毎日朝から晩まで西宮市の現場にへばりつかせています。
竣工までは今後約3ヶ月しかありませんが、建て方から竣工まで全ての工程を
「とにかく見ておけ」
と伝え、このスタッフは一生懸命がんばっています。

棟梁の西田さんも
「あの子、よう動くなぁ」
と感心しています。
(Uさん、今は苦しいけど頑張れよ)

設計職希望の経験乏しい若い女性が、いきなり建築現場に放り込まれて大変な思いをするでしょうが、現場から育った人材は絶対に強いものです。

僕も大学卒業後、右も左もわからない状態で現場へ行かせてもらったおかげで今があることを、師に深く感謝しています。
(感謝しても感謝しても、とてもしきれませんが・・・)

建築をつくるとはどういうことか?
僕も後進に伝えていかなくてはいけない世代になってきました。

本の中で小川さんも述べています。

「人を育てることはできない。
 できるのは育つ環境を整えて、機会を与えてやることだ」

全く同感です。
そこから何を学ぶかは本人次第ですからね。

良書です。
自信を持っておすすめします。

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屋根面の断熱と通気

先日書いたように、小屋裏を全て化粧材とするデザインの場合、屋根面の断熱をどうするか?という工夫が必要になってきます。

うちでは垂木を2重にして、野地板の上に断熱材を敷き詰め、さらにその上を空気が通り抜ける仕組みにして熱気が階下へ降りてくるのをできるだけ防ぐようにしています。
(それでも真夏の日射は防ぎきれるものではありませんが・・・)


断熱


 


 


 


 ↑ 上の写真は、化粧野地板の上に断熱材を敷き詰めた様子


通気


 


 


 


軒先の野地板に細いスリットを切って、そこから空気が断熱材の上を流れていくように通気層をとっています。

断熱のことだけを考えると、もっといい方法はいろいろとありますが、デザイン的にも美しく、性能面でもある一定のラインを確保しようとするバランスを考えると、現在のところはこのような納まりを標準としています。

参考まで。

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土壁のリサイクル工程

土壁は究極のリサイクル材でしょうね。
ロスがほとんど発生しませんし、リサイクル時のエネルギーコストも非常に少ない。
10日ほど前に兵庫県で行ったJMRAのボランティア活動で、土壁の再利用に向けた準備作業を行ったのでご紹介します。

土壁0


 


 


 


 


 


 




上の写真は2005年に行った、古い土壁の解体作業風景です。
このときは築後70年くらい経っていると思われる建物を解体し、土を土嚢袋(どのうぶくろ)に入れて取り置いておきました。

この土を2008/4/19・20の2日間に引っ張り出してきて、壁土作りの準備作業を行いました。
ます、塊になっている土をたたいてほぐした後、石やゴミを取り除きます。

ゴミや石を取り除くためには、下の写真のようにふるいにかけます。
(以下、全ての画像はクリックすると拡大表示されます)


土壁1


 


 




これはものすごい土ボコリが立って、近くには寄れない状況でした(苦笑)。
作業してくださったみなさん、どうもありがとうございました。
( ↑ ボランティア活動です)


土壁2


 


 




上の写真はふるいにかけて選り分けられた土。
右がふるいを通った後の細かい土。
左がふるいを通り抜けなかった粗い石やゴミなどです。


土壁3


 


 


 


 


 




ふるいを通った土の粒子はこんな感じ( ↑ )


土壁4


 


 


 


 


 


 


ふるいを通らなかった土の粒子はこんな感じです( ↑ )。
2枚の写真を比べると、その違いがよく判るでしょう?

今回の作業はここまでで終わってしまいましたが(←量がすごいので2日間でも半分も終わりませんでした)、このふるいに掛けられた土に稲藁などのすさを加えて水で練り返し、3~6ヶ月くらいじっくり寝かすと発酵して粘りのあるいい壁土が出来上がります。



実際に家をつくる時に土壁を塗りつける作業はこんな感じ( ↓ )です。

土壁5


 


 


 


 


 


 


 


 


この写真は2006年に大阪府で新築したTさんのご自宅の工事中写真ですが、この工法で家をつくると、ものすごく工事現場のゴミが減ります。
そして出てくるゴミも処分時に特別なエネルギーを必要としないものばかり。

以前もこのブログで書きましたが、やはりこれからはこういう家づくりのスタイルを増やしていくべきだと僕は思います。

ゴミになるものはわざわざ作らない、使わない。
自然界にあるもので作る。
この実現には知恵と工夫と建築主の理解が必要ですが、理解のある人は少しずつ増えてきていると感じます。



今回ふるいを通らなかった砂利はぬかるみの埋め戻し用土として、ボランティア活動を行っている現場内に撒きました。
リサイクル率はほぼ100%。
使用した石油エネルギーは0。

まぁ、ビジネスベースでこれと同じやり方はコスト面(人件費)の問題があって現代ではなかなか難しい(※)ですが、土がリサイクルに適していて、地球環境に負荷を与えない、とても優れた材料であることは間違いありません。

※ ビジネスベースでこれを行う場合は、電動でふるいにかける機械を使うようです。
  まぁ、電動か手動かの違いはあっても、原理は一緒ですよね

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