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土壁のリサイクル工程

土壁は究極のリサイクル材でしょうね。
ロスがほとんど発生しませんし、リサイクル時のエネルギーコストも非常に少ない。
10日ほど前に兵庫県で行ったJMRAのボランティア活動で、土壁の再利用に向けた準備作業を行ったのでご紹介します。

土壁0


 


 


 


 


 


 




上の写真は2005年に行った、古い土壁の解体作業風景です。
このときは築後70年くらい経っていると思われる建物を解体し、土を土嚢袋(どのうぶくろ)に入れて取り置いておきました。

この土を2008/4/19・20の2日間に引っ張り出してきて、壁土作りの準備作業を行いました。
ます、塊になっている土をたたいてほぐした後、石やゴミを取り除きます。

ゴミや石を取り除くためには、下の写真のようにふるいにかけます。
(以下、全ての画像はクリックすると拡大表示されます)


土壁1


 


 




これはものすごい土ボコリが立って、近くには寄れない状況でした(苦笑)。
作業してくださったみなさん、どうもありがとうございました。
( ↑ ボランティア活動です)


土壁2


 


 




上の写真はふるいにかけて選り分けられた土。
右がふるいを通った後の細かい土。
左がふるいを通り抜けなかった粗い石やゴミなどです。


土壁3


 


 


 


 


 




ふるいを通った土の粒子はこんな感じ( ↑ )


土壁4


 


 


 


 


 


 


ふるいを通らなかった土の粒子はこんな感じです( ↑ )。
2枚の写真を比べると、その違いがよく判るでしょう?

今回の作業はここまでで終わってしまいましたが(←量がすごいので2日間でも半分も終わりませんでした)、このふるいに掛けられた土に稲藁などのすさを加えて水で練り返し、3~6ヶ月くらいじっくり寝かすと発酵して粘りのあるいい壁土が出来上がります。



実際に家をつくる時に土壁を塗りつける作業はこんな感じ( ↓ )です。

土壁5


 


 


 


 


 


 


 


 


この写真は2006年に大阪府で新築したTさんのご自宅の工事中写真ですが、この工法で家をつくると、ものすごく工事現場のゴミが減ります。
そして出てくるゴミも処分時に特別なエネルギーを必要としないものばかり。

以前もこのブログで書きましたが、やはりこれからはこういう家づくりのスタイルを増やしていくべきだと僕は思います。

ゴミになるものはわざわざ作らない、使わない。
自然界にあるもので作る。
この実現には知恵と工夫と建築主の理解が必要ですが、理解のある人は少しずつ増えてきていると感じます。



今回ふるいを通らなかった砂利はぬかるみの埋め戻し用土として、ボランティア活動を行っている現場内に撒きました。
リサイクル率はほぼ100%。
使用した石油エネルギーは0。

まぁ、ビジネスベースでこれと同じやり方はコスト面(人件費)の問題があって現代ではなかなか難しい(※)ですが、土がリサイクルに適していて、地球環境に負荷を与えない、とても優れた材料であることは間違いありません。

※ ビジネスベースでこれを行う場合は、電動でふるいにかける機械を使うようです。
  まぁ、電動か手動かの違いはあっても、原理は一緒ですよね

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ボランティアの恩恵

 

 

以前からこのブログにも何度か書いていますが、僕はNPO法人・日本民家再生リサイクル協会の活動に理事として参画しています。
ボランティア活動をしていると、いろんな楽しいことがたくさんあるのですが、中でも 【人脈ができる】 という恩恵はかなり大きなものです。

現在大阪府で計画中のTさんの家は、長野県木曽のヒノキを使って建てる新築物件なのですが、先日そこで使う床板にと唐松(からまつ)のフローリングを探していました。
関西では唐松が採れないので、僕はこれまで唐松のフローリングを使ったことがありません。

唐松の産地は信州が有名です。
インターネットで調べてみるといろんな会社が唐松のフローリングを販売していました。

そのうちの数社に連絡をして、製品の規格(厚み・巾・長さ)と価格を知らせてもらうように、うちのスタッフが連絡してくれました。
ついでにカットサンプルも送ってくれるように、と依頼したので、各社カットサンプルを送ってくれました。

上の写真がそのカットサンプルの山です。
うちの事務所の応接間は和室なので、畳が写っています

送ってもらって実物を見て驚いたのですが、各社かなりバラツキがあるのです。

価格や大きさ(製品の巾・厚み)はもちろんのこと、材料の比重、年輪の詰み方(細かさ)、木目、など、本当にピンからキリまでありました。
(注:ここで当たり前のことをお伝えしておきますが、各社が送ってくれたのは、全て信州産のムクの唐松のフローリングです。そして当然のことながら、製品のグレードは1等材程度で各社共通。それなのにバラツキが大きい・・・。ナゼ?)

本当に、えらいちがうのです。

しかし正直なところ、インターネットで探したフローリングの販売元の製品は、どれも使いたくないようなグレードのものばかりでした。
( → 全てがそうだとは思いません。
きっと、たまたまうちの事務所であたった会社が悪かったのでしょう)
そのくせ大名商売をしているような会社もあったりして、幻滅していました。

そこで、前述の日本民家再生リサイクル協会で一緒に活動している、
田(でん)空間工作所の本城さんに

「どこか唐松のフローリングを販売しているところでオススメの会社あったら紹介してよ~」

とお願いしたところ、すぐにメールで2社紹介してくれたので、早速連絡をとってサンプルを送ってみました。

すると・・・。

ここがバツグンにいい商品を作っているのです。
しかも格安で!
これからドンドンここの唐松のフローリング使おうかなぁと思ってしまいました。
(しかし、なんで同じ信州の唐松ムク材にこれだけのバラツキが生じるのか、どうもよくわかりませんが・・・)

インターネットのおかげで検索できる情報量が格段に増えたとは言え、やはり商品の質感や細かい仕事の内容まではどうしても伝えにくいですよね。
そうなってくると、最後はこういう人脈が活きてくるんだよなぁ、と改めて感じました。

僕は上記協会の理事を4年間務めていたおかげで、全国各地にこういうネットワークがたくさんできました。
まさにボランティアの恩恵です。

本城さん、どうもありがとう!
再度ご紹介しておきます(↓)。

○ NPO法人・日本民家再生リサイクル協会のホームページはこちら
○ 長野県で木曽の木を使った家づくりを実践している、
田(でん)空間工作所のホームページはこちら

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ボランティア活動を通じて得られるもの

僕は、特定非営利活動法人・日本民家再生リサイクル協会の理事を務めさせてもらっています。

 

今となっては正直に言ってしまいますが(笑)、当初僕がこの協会に入ろうと考えた動機は、

「もしかしたらこの協会を通じて、仕事(建築設計)の依頼が来るかも♪」

という、ヒジョ-に不純な動機からでした(←ゴメンナサイ)。
そうしていろんなボランティア活動に携わっているうちに、そうそうウマイ話があるわけもなく、これは仕事にはならないとよく判りました。
つまり、淡い虚無感が生まれてきたのです。

しかしその一方で、次々に生まれてきたものもあります。
それは

『た~くさんのトモダチ』

です。



僕の年賀状の枚数は年々増えつづける一方なのですが、ボランティア活動に携わり始めてから、毎年3種類の年賀状を作っています。

 1 家族、親族、ごくごく親しい古くからの友人向け
 2 ビジネスの取引先向け
 3 ボランティア活動を通じて知り合った友人向け

の3種類です。
ビジネスの取引先向けの年賀状はあまり増えない(←ダメじゃん?)のですが、3番目のボランティア活動を通じて知り合った友人向けの年賀状が、すごいペースで増えつづけています。

先週末金沢へ行ったのも、上記協会主催のイベント・民家フォーラムに参加するためでしたが、もう少し正確に言うと、

  「フォーラムに参加するため」

ではなく、

  「フォーラムに伴って開催される、懇親会(=飲み会)に参加するため」

というのが、偽らざるキモチです。
何せ、全国各地から当協会の活動に参加している方々が一同に会するわけですから、やっぱり普段なかなか会えない人たちと酒を酌み交わして、いろんな話をしたいわけですよ。
そこで今回も、懇親会会場を縦横無尽にお酌してまわって親交を深めてきたわけですが、僕がボランティアを通じて得ている最大の財産は、やはり

「トモダチ」

です。

特に僕のように、生まれてこの方十数回にわたる引越しをして、全国各地を流転している(と言っても、別に夜逃げしているわけではありませんよ)ような人間にとっては、トモダチが一番大切な財産であり、心の支えなのです。

 

特定非営利活動法人・日本民家再生リサイクル協会のサイトはこちら

 

 

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