木のこと」カテゴリーアーカイブ

新木場へ行って古材を選んできました

週末の土日は東京へ行っていました。

世田谷区内で7月から着工する、Y邸リフォーム工事の見積り提出・施工者決定、
および古材を見に行くためです。

土曜日には2社から見積り提出を受け、クライアントと共に施工者決定のための協議を行いました。

見積り提出に関することも色々とお話したいネタがたくさんあるのですが、それはメールマガジンとニュースレターでお伝えしたいと思います。
(6/22 21:00に配信予定です。興味のある方はこちらからメルマガ登録をお願いします)

昨日の日曜日には、東京・新木場にある(株)ひでしな商店さんへ行ってきました。

(株)ひでしな商店さんは古材や古建具などの販売をされていて、
ストックヤードと倉庫の中は古材・古建具・民具などで一杯でした。

↑ 写真一番奥で説明をして下さっているのが、
(株)ひでしな商店の小林社長です。
右側に山のように積まれているのが古材です。

今回のリフォームに際しては、構造補強のための柱・梁が数本必要です。
梁には松の丸太を使うことを想定していましたが、柱は樹種も含めて
ストックヤードを見せてもらった時に小林社長と相談したいと思っていました。

行く前から、
「できれば栗の面白い柱があるといいなぁ・・・」
とイメージしていたのですが、行ってみると結構栗の柱や梁がありまして
クライアントにも見てもらった上で、数本の候補の中から選び出したのが
下の古材です。

もともとは桁に使われていた材料で、荒々しくはつったチョウナの痕が
残っていて、とても表情豊かな柱になりそうです。

雨が降って材料が濡れていたのでちょっとわかりにくいのですが、
白太の色目から推測すると、この木はどうやらエンジュのようでした。

画像をクリックしてみると、ハツリ目や木目がよくわかります。

エンジュというのは木偏に鬼と書きます。

信州あたりでは床柱などによく用いられる味わい深い木で、ケヤキや栗とよく似た木目をしていますが、赤身の部分はケヤキよりも黒っぽい色をしていて、しかも白太の部分はそれとは対照的にとても鮮やかなベージュ色をしている、とてもおもしろい木です。

8/2に見学会を開催させてもらう予定の大阪府・Tさんのお宅では、木曽の大工さんが建ててくれたのでエンジュを床柱と落とし掛けに使いました。
(床の間の写真はこちら

そう言えばこの記事を書いていて思いだしたのですが、10年ほど前、京都の鈴木工務店で僕が現場監督をしていた時に担当したアメリカのピッツバーグ大学(Pittsbergh univ. PA USA)日本教室でもエンジュを床框として使いました。

話が脱線してしまいましたが、もともとは梁だった古材を柱として使うのは、割とよく用いる手法です。

5年ほど前に当方でやらせていただいた I さんのお宅でも、
松の古材の梁を柱として使いました。

I さんのお宅では、息子さんたちがこの柱によく登っていったそうです。
家の中でも木登りができるのは楽しいですね。

僕もエンジュの古材を使うのは初めてです。
どんな表情になるのか、今からとても楽しみです ♪

【お知らせ-1】
2008年晩秋の新月期に伐採・葉枯らし乾燥させた静岡産の
杉・桧を使って下さる方を募集しています。詳しくはこちら

【お知らせ-2】
6/23(火)16:30より、なぐり加工の見学に行きます。
参加されたい方(限定3名)はこちらをご覧下さい

【見学会開催のお知らせ】
2007年に竣工した伝統構法の家で、2年間住んでみた感想を聞く見学会を
8/2(日)に大阪府四條畷市で開催します。詳しくはこちら

あなたはどちらが好きですか?
30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2209年に言ってもらえる家

2008 秋の新月伐採材を使ってくださる方を募集します

静岡で、ここ1-2ヶ月の間に原木の製材を行う予定です。

そしてタイトルにも書いたとおり、この新月伐採材を使ってくださるエンドユーザーの方を募集します。
(誠に申訳ありませんが、同業者の方による買い付けには応じることはできません。
その理由は以下の説明を読んでいただければご理解いただけると思います)

今回製材しようとしている原木は、2008年晩秋の新月期に伐採した樹齢120-130年の杉・桧で、一般的な住宅約2棟分の量があります。

しかし、これらの杉・桧はすぐには使えません。

これから約2年間かけてゆっくり自然乾燥させ、2011年に着工する現場で使うようになります。

これらの木材は、
2008年に、伐り旬である晩秋(11月下旬)の新月期を選んで伐採

4ヶ月間、山の斜面で葉枯らし乾燥を行って、この春に山で造材

ようやく麓に降りてきた木材です。

これは建材に用いる木材としては一番いい状態で仕上がる、極めて自然で無理のないやり方です。
それはなぜかというと、木が本来持っている性質・能力を最大限引き出すことを大切にしているからです。

東風で依頼している木材は、生産者である林業家を限定して、市場に出回る前に山で買い付け、指定した長さに玉切りしてもらって作っています。

ですから、一般にはほとんど出回らないような長い1本ものの材料(7~9m)をふんだんに使うことが可能です。

上記のように、今回の木は木材を贅沢にしかも理想的な状況で生産してもらっている上質な材料ですが、
【作り手=林業家にとっても幸せで、お客様にとっても幸せ】
となるような関係を実現することも、この取り組みの大きな目的の一つです。

そのために中間業者を一切入れずに東風で取引を一元管理し、山~製材~材料の保管・管理・運搬までを全て東風が責任を持って行っています。

<林業家の幸せを実現するために・・・>

作り手である林業家には、永続的な林業経営を続けていくのに必要な適正利潤が得られる価格をつけてもらって購入します。

そしてエンドユーザーと林業家とを製材の現場で引き合わせ、顔が見える関係を築きます。

意外と知られていないんですが、林業家にとって、自分の作ってきた素材=木材を実際に使ってもらえる方(エンドユーザー)の方に会うことができるケースというのは、本当に本当に稀な(というか今まではありえなかった)ことなんです。

だから、エンドユーザーが誰なのかがわかるというだけでも、林業家にとっては嬉しいことなんです。

<エンドユーザーの幸せを実現するために・・・>

このように生産過程にこだわって作っている木材は、現在一般の市場には出回りません。
なおかつ生産者の顔が見え、産地偽装などもない安心できる材料を入手するのは通常のルートを通じて行うと価格が大変高くつくばかりでなく、現実的にはほぼ実現不可能です。

そして原木の状態から美しい建材になる瞬間の製材工程に立ち会うことは、とても感動的でスリリングです。

これだけクオリティが高く、付加価値も高い材料を、東風では通常よりもかなり安い(しかし妥当な)価格で販売します。

購入を前向きに検討して下さる方(2組限定)のご都合に合わせて製材のスケジュールを調整し、静岡市内で製材立会い見学を実施したいと思います。

下記に掲載した写真は、昨年の6月に行った製材の時の写真です。

写っている人の大きさと木の大きさを比べて見て頂けると、木の太さ・長さがよくわかると思います。

ぜひ画像をクリックして拡大してご覧下さい。

↑ これは長さ9m、桁用の杉材です。

↑ 太さがよくわかるでしょう?

↑ とてもおとなしくて上品な木目が出ました。
こんなに長くて美しい木は、普通、市場では入手できません。

↑ 赤身の大きく張った、節の大変少ない8m材(!)です。

当初は東風スタッフだけが立ち会って製材をしてしまおうかと思っていました。

しかし昨日色々とスタッフと相談しているうちに、
「やはり使っていただく方に製材の感動をぜひ味わっていただきたい!」
と思うようになり、告知してみることにしました。

この記事を読んで興味を抱いた方は、お気軽に東風/佐藤仁までご連絡下さい。

ただし、本当に使っていただける方にぜひ見ていただきたいと考えているので、
「購入するつもりはないが、見学だけしたい」
という方は、大変申訳ありませんが連絡しないで下さい。

スケジュールの調整後、購入予定者の方の同意が得られたら、製材の見学会も開催したいと考えていますので、そうなったら改めてみなさまにご連絡します。

実際に使って頂ける方にぜひ見ていただきたいので、具体的なスケジュールはまだ決めていませんが、7月か8月には実施したいと考えています

お申し出頂いた方と調整を行って、その方のご希望を最優先させて製材の日程を決める予定です。

どんな方と出会えるか、今からとても楽しみです。
ご連絡は東風/佐藤仁までメールにてお願いします。

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京都市N邸 刻み開始しました

モルダー完了1


 


 


 


 


 


 


 


 


今日からいよいよ、京都市N邸の構造材の刻みが始まりました。
1月に静岡から持ってきた材料に修正挽きを行った後、モルダーで仕上げられて製材所に材料が帰ってきました。

とっても鮮やかなサーモンピンク色(?)に仕上がっていて、なんだかとてもビックリです。
( ↑ もちろん、良い意味で)


背割り


 


 


 


 



上の写真は、通し柱に背割りを入れている作業中の大工さん。
今回の現場の刻みは、この大工さんにお任せしています。

今朝は3時間くらいかけて、じっくり大工さんと仕口や継ぎ手などの細かい仕事の方針について、まず打合せを行いました。
隣で話を聞いていた製材所の専務さんも途中で話しに加わったりしながら、ボチボチ進めていきます。


モルダー完了2


 


 


 


 


 


 


 


 


この写真は一旦モルダーという機械で荒削り(と言っても昨今はこれで最終仕上げの場合がほとんどですが・・・)が完了した2階の床梁です。

おとなし~い上品な表情の6Mの梁と通し柱です。
見ていてうっとりしてしまいます。
樹種は全て杉ですが、赤身の部分が大きくて魅力的です。

また進行状況を随時ご報告します。

11/3(土・祝)に静岡で新月伐採現場見学会を開催します

伐採


 


 


 


かねてより、何度か新月伐採についての記事を投稿してまいりましたが、遂に今年の伐採日程が決まりました。
11/3(土・祝)、11/5(月)~11/9(金)の合計6日間に渡って行います。

そして、その初日11/3(土・祝)は伐採現場をあなたにも見ていただけるようにと静岡県静岡市内のSGEC認証林で伐採作業現場の見学会を開催します。


<新月伐採作業現場見学会>

【開催日時】 2007/11/3(土・祝) 10:00~17:00
【集合場所】 JR静岡駅 10:00集合
【伐採現場】 静岡市葵区梅ヶ島
【参加費用】 無料
【問合せ先】 サトウ都市環境デザイン 担当:佐藤仁


umegashimabassai


 


 


 


上の写真は、昨年秋の伐採作業風景です。



当日、現場では、

 ● 木材の伐採とはどのように行われるのか?
 ● 家に使われる木材(柱や梁など)はどんなところで、
   どんな人たちが作っているのか?
 ● 100年以上前に植えられて、今伐り出す木は
    どんな表情をしているのか?
 ● 新月伐採・葉枯らし乾燥とはどういうものか?
    (これから家づくりに取り組むあなたにとっての
    メリットとデメリットとは?)

などについてお話したり、実際に現場での作業を見ていただくことで、山や林業、木の性質などについての理解を深めていただきたいと考えています。

より詳しい情報は、こちらのページにてご確認いただけます。
(参加申込フォームへも上記ページよりリンクしています)



たくさんのみなさまのご参加をお待ちしております。



註:今回の見学会は、完成した家など建築現場へのご案内を
  行うものではありません。
  林業を行っている山へ行って、木を伐採している作業現場を
  見ていただくための機会です。
  ご注意下さい。

【ウヅクリ】って何?

「浮造り」と書いて、「うづくり」と読みます。
上の写真は、現在改修工事中の築110年の古民家ですが、先日現場で材料を見ていてふと思いついたので、今回はちょっと材料のお話をしたいと思います。

浮造りというのは加工の方法のことです。
ちょっと下の写真をクリックして、板の表面をよーく見てください。

よ~く、よ~く見ましたか?

ホンマですか?(笑)
じゃあ、下の2点に気付きましたか?

○ その1:板の黒い部分が筋状に盛り上がり、白い部分が凹んでいる
○ その2:白い部分にスクラッチ状の傷が無数についている

気がつかなかったアナタ!
はい、もう一度写真をクリックしましょう。(笑)
(↑でも、普通は気付かないと思いますので、落ち込まないで下さい)

これは意図的に加工したからこうなっているのです。
どうやってこういう板ができるのか?をご説明しますね。

浮造り加工を施すのは、ほとんどの場合、杉板です。
杉板でも特に、焼杉(やきすぎ)といって板の表面をバーナーで焼いて炭化させたものに使うケースが多いです。

みなさんご存知の通り、木には年輪がありますよね?
一年に1本、同心円状に作られていく年輪のことで、切り株の木口(こぐち)を見るとあるやつです。
年輪とは、夏目と冬目とが1セットになって構成されるものを差します。
下の写真を見てください。
(写真をクリックすると、別ウィンドウで拡大表示できます)

○ 冬目・・・冬に引き締められる目(同心円状の黒い筋の部分)
○ 夏目・・・夏に育つ、冬目と冬目の間の肉(?)の部分

夏場には、温暖な気候×豊かな日射のもとで木はドンドン成長(太くなる)します。
ところが冬場にはあまり気温が上がらないため、木は夏目のようにあまり成長せず、引き締まった黒い筋(冬目)ができます。
これを毎年繰り返して年輪が形成されていく、というわけです。

なんだか小難しい表現になってしまいましたが、イッタイ何が言いたいのか?というと、こういうこと(↓)です。

【 木の夏目の部分はやわらかく、冬目の部分は固い 】

ちょっと言い方を変えてみましょうか。

【 木の夏目の部分は削り取られやすく、冬目の部分は削り取られにくい 】

焼杉をうづくり加工する順序はこう(↓)です。

1. まず、杉板の表面にバーナーをあてて、表面を炭化させる
2. 炭化したら、表面を特別な道具でこすって、
やわらかい夏目の部分を削り取る(下の写真参照)
(こうすることで、夏目の部分が凹み、スクラッチ状の傷がつく)

←うづくり加工するための道具

←こうやって杉板にあてて

←ひたすらこすってやわらかい夏目を削り取る

※注:場合によっては1の炭化をしないケース(座敷の天井板や建具の腰板などに使う場合)もありますが、最近ではそういうケースは稀なので、今回は焼杉に限ってご説明します。

うづくりの目的は何か?
それは、

【 杉の木目をより立体的に目立たせること 】

です。
うづくり加工をすると、カンナで削って仕上げただけの板よりも表面に凹凸ができますから、それによって微妙な影が発生します。
それで立体的に木目が浮き上がって見える、というわけです。

こういう微妙な加工には、やわらかい杉の木がうってつけです。
固いケヤキやナラなどではうづくり加工はできません。

また、このうづくり加工、

「サンドペーパーでも同じことができるんちゃうか?」

と思うでしょ?
でも、それができないんですよ。
というのも、サンドペーパーでは刃が鋭すぎて、夏目はもちろん冬目まで削り取ってしまうので凹凸ができないんです。

先人の美意識の高さと繊細さには毎回脱帽、ですね。

木造建築 東風(こち)では、日本の伝統的な技術を活かした、控えめで美しい木造住宅を作り続けています。
詳しくはこちらのホームページをご覧下さい。

塗料による、木材へのガラスのトップコート

塗るだけであらゆるものへのガラス皮膜を作ることができる、という素材を大阪のとあるメーカー(※)が開発されたようで、資料が昨日うちに届きました。

僕がこのガラスのトップコートに期待しているのは、木材の表面にガラス皮膜を作ることができる、という点です。
これがうまくいけば、例えばキッチンのカウンタートップ(天板)などを木材で作ることもできるようになります。



『 さとうさん、うちのキッチンのカウンタートップはぜひ木材でやりたいねん! 』

という要望は以前から多かったのですが、これまでは僕は全て

「水を差すようですが、やめておいたほうがいいですよ。」


とお答えしてきました。
それはメンテナンスの大変さ(しみができやすく、腐りやすい。カビも生える)、衛生面での問題(雑菌の繁殖を防ぎきれない)、ふき掃除が大変、といった要因によるものでした。



まだこの製品を試していないのではっきりしたことは断言できませんが、この商品によってうまく木材の表面をガラス層で(しかも塗料を塗るだけで)皮膜できるとすれば、上記の問題はほとんど解決できます。
ということで、ちょっと楽しみにしているところです。

また一つ、新しい技術革新によって実現できることが増えそうです。
こういう進歩は素晴らしいし、ワクワクしてきますね。



※上述しましたが、自分自身でまだこの商品をテストしていないため、この場でメーカー名・商品名等に関する情報を公開するのは控えさせていただきます。
テストなどを経て、これは自信を持ってオススメできる!と自分でもナットクできたら、その時には改めてご紹介できると思います。
どうしてもその商品について知りたい、という方は個別にご案内しますのでさとうまでメールにてご連絡ください。

栗の木と民家と枕木と・・・

上の写真は、阪急電鉄神戸線のレールと枕木です。
今日、十三駅で電車をボケーっと待っている時に、枕木がふと目に付いて

「あっ、ブログに書こう~っと」

と思い、撮ってきました。



約1週間前のことですが、NPO法人・日本民家再生リサイクル協会・近畿地区主催の連続講座・きんき民家塾の講義に参加しました。
当日は、筑波大学の安藤邦廣教授をお招きし、日本の民家の成り立ちと社会(歴史)状況について、約3時間お話ししていただきました。
目からウロコの話が続出で、非常に勉強になりました。
(安藤先生、どうもありがとうございました)
その中から、栗の木と枕木についての話をご紹介します。

栗の木というのは、最も腐りにくい木の一つとして知られています。
その強さ・耐久性たるや、桧の比ではありません。
昔から、蔵の土台などには栗が好んで使われています。

応仁の乱(1467年)と同じころに建てられた、現存する中では日本で最も古いといわれる住宅の一つ、千年家(古井家)は、土台はもちろん、柱や床板などあらゆる木部に栗が使われているそうで、以前は栗で作られた民家は珍しくなかったそうです。
しかし、明治維新後、文明開化とともに鉄道が敷かれるようになり、そのレールの枕木として大量に栗が使われてしまったため、現在では栗は非常に希少(=高価)な建材となってしまったそうです。

栗が強くて高価だということまでは僕もよく知っていましたが、そういう歴史的な背景があったことは知りませんでした。



他にも安藤先生のお話の中では、

・かやぶき屋根と化学肥料の話
・応仁の乱と、京都の杉面皮柱の話

などがとても印象に残りました。
興味がありましたら、改めてご紹介しますので、

「どんな話か知りたい」

という方はコメントなどお寄せください。
お待ちしております。

 

京都で数奇屋建築の改修工事-1

数奇屋-ハツリ








今、京都市内で、あるゲストハウスの改修工事に携わっています。
元々は昭和初期に建てられた数奇屋の建物でしたが、今回大規模に手を入れて改修されることになりました。

昨日現場へ行くと、応接間の地棟(じむね)になる梁(松の丸太)が据えられていました(←左の写真)。
小屋組みの構造材として使われる松の丸太は、関西では一般に黒松が多く使われます。
黒松は別名:男松とも言われることがあり、名前の通り荒々しく曲がっていたりしていますが、その分大変粘り強く、横からの曲げ応力に強いです。

実は、黒松の反対に赤松というのもあります。
これは木の肌のきめが細かく、床柱(←皮付きで使われることもある)や床框、床板など、建物の繊細な部分に使われます。

最初の写真は、松の梁に化粧なぐりを施したものです。
チョウナという刃物を振り下ろして、表面をザクッ、ザクッと一刃ずつ削って仕上げるやり方です。



なぐり作業













チョウナを使って、なぐり加工を施しているところ


ちょうな







チョウナとは、こんな道具です。
平刃(写真左)と丸刃(写真右)があります。
これらは仕上げる目によって使い分けます。


はつり






あまり知られていませんが、実は化粧なぐり仕上げには、チョウナ以外にもヨキ(斧)を使うことがあります。
ただ、ヨキを使った場合には、正確には『なぐり』ではなく『ハツリ』と言いますが、栗の床柱などを作るときに、たまにやることがあります。
ちょうなで仕上げるなぐり目よりも、より鋭さというか、勢いのようなものがあって、僕はハツリ目の方が好きなのですが・・・。



※写真は、(株)和風建築社が発行された雑誌、『和風建築』7号の
 特集記事から引用させていただきました。
 ちなみに『和風建築』は1980年代前半に発行された木造建築を学ぶ
 良書シリーズ(全24巻)なのですが、残念ながら絶版となっており、
 入手は大変難しいと思います。
 僕の事務所には全巻揃っていますので、見たいという方には事務所まで
 来ていただければ見せて差し上げることはできます。
 ただ、大変貴重な本なので、貸し出しはしておりません。
 ご了承ください。


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植林と自然林

今はちょうど新緑がきれいですね。
少し北のほうへ行くと、山桜などもまだちらほらと見かけられて、ふわふわとした白い影が山腹に浮かんでいるように見えてきれいです。
若葉が出てきているケヤキやもみじをはじめ、紫色の藤の花も彩りを添えてくれています。

4/24の日曜日に、リフォームを計画されているお客さんを案内して、但馬地方へ行ってきました。
信号待ちをしていると、ふと目の前に見えてきた山がとても印象的だったので、思わずデジカメを取り出してパチリ(上の写真)。
濃い緑色の部分が、人工的に植林された杉やヒノキなどの植生部分。
淡い緑色の部分が、おそらく以前から残っている自然林(おもに落葉樹)の植生範囲です。
見た目にもやはり自然林のほうが季節を感じられて美しい、というのもありますが、実は山の動物たちにとっても死活問題、そして山裾に暮らす人間にとっても大きな問題をはらんでいます。

近年、いのししや鹿、猿などの野生動物による、農林作物や人家への被害が増えています。

植林された林では建築用材として使われる針葉樹だけが植えられています。
もともとはどんぐりや木の実などを森に落としていた、様々な広葉樹が山に植生していたのですが、人間の経済活動のためにそれらは伐採され、針葉樹に植え替えられていきました。
すると野生動物たちの食べ物はなくなり、彼らも食べ物を求めて山裾の人家まで下りてくるようになります。
そして民家にお住まいの方々が被害を受ける。
一方で、高度経済成長期に経済的な発展のために着手した林業が、近年の国産木材価格の下落によって成り立たなくなり、山を手放したり、廃業に追い込まれている林業家の方が増えています。
こうして、一部の人が入らなくなった山は下草が伸び放題となり、荒れていきます。
なんとも皮肉な循環(?)が発生しているわけです。

しかし、最近では様々な研究や活動がすすんでいることも耳にします。
自立した生態系を保全するために、わざわざ山の上の方に落葉樹のグリーンベルトを作って動物たちが山里へ下りてこないようにしたり、景観や里山保全の目的で近くの山をボランティアの手で管理したりといった活動も各地で行われるようになってきました。
僕も昨年、里山保全活動にちょっとだけ参加して主催者の方にお話を伺ったことがありますが、とても大変な作業です。

この時期、車や電車の窓から見える美しい山々を見ては、そんなことをつらつらと考えてしまいます。

北海道から大工さんが来ました(その1)~京都・北山杉磨き丸太の現場

北山杉


 


 


 


 
昨日、北海道の大工さん3人が京都の建物を観て勉強する、という研修旅行に来ていたので、一日ご案内していました。彼らは、僕が理事をつとめているNPO法人・日本民家再生リサイクル協会の北海道在住会員である、武部建設の若手大工さん。
武部建設は民家の少ない北海道で、民家再生や古材の再利用に積極的に取り組んでいる、貴重な会社です。
そこの若手大工さんに、
「京都の建物がどんなものか自分の目で見て学んで来い!」
という社長の心意気により、今回の研修旅行が実現したのです。

いろんなところを駆け足で回ったのですが、その道中、京都の周山(しゅうざん)街道沿いに、北山杉磨き丸太を作っているところがありましたので、彼らと一緒に見学してきました。

北山杉-2


 


 


 


 
北山杉の磨き丸太は、ちょうど冬の寒い時期に作られます。
まず、
1. 秋に杉の伐採を行い、木の中に含まれる水分を抜くために1ヶ月余り山の斜面に倒したままにしておきます。
2. 次に水分が抜けた杉の木を山から降ろしてきて、
3. 荒皮(ゴツゴツした樹皮)をむき、
4. その後うす皮(荒皮の下にあるヌルヌルした薄い皮)をきれいに取り除き、
5. 最後に水と砂を使ってていねいに人の手で磨かれて仕上げられます。
これ(特に5.)を冬の寒~い時期に、外でやるのですから、大変つらい作業です。
こうして美しい磨き丸太が作られます。

北海道の家づくりと関西の家づくりでは、やはりまず使われる木材(樹種)が違います。
関西では建築資材として主に、杉・ヒノキ・松などが使われますが、
彼らの話を聞いたところでは、北海道ではエゾ松・ナラ・唐松・ヒバなどが多いそうです。
やはり木材を見つめる彼らの目はものすごく真剣で、とても真摯な姿勢を感じましたし、同じ木造建築であっても地方によって異なる大工仕事の事情(材料・工法等)の意見交換ができたのは、僕にとって大きな収穫でした。