針葉樹を燃やせる薪ストーブの燃料に国産杉桧端材

週末は薪ストーブ周辺の工事のため、昨年夏に竣工した京都市のU様邸へ行っていました。
雨に打たれて新緑のもみじがとてもきれいだったので写真を撮ってきました。

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白漆喰と瓦、杉板ともみじ。
ちょうど雨が降った後だったので、しっとりとした雰囲気が出ていました。

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玄関前のポーチから庭に入る枝折戸越しに見たもみじ。
竣工してまだ半年しか経っていないので、竹垣の竹にも青さが残っていて新鮮です。

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このお宅の暖房は薪ストーブです。
東風では現場で出た端材は全て薪ストーブユーザーのお客様宅へ差し上げています。

せっかく大事に天然乾燥させてつくった木材なので、最後の一片まで有効に使わないと木に申訳ないですからね。
東風ではお客様に針葉樹も安心してガンガン燃やせる、Hampton社製の薪ストーブをお薦めしているのですが、 こうやって木材を最後の最後まで使ってあげられれば、お客様も、林業家も、木も喜んでくれますよね。

 
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天然林ツアー2013.04@静岡

4/20(土)に静岡市葵区梅ヶ島にて、天然林の中を歩くツアーを行いました。

天候もあまり優れず、寒くて標高が高すぎて新緑が出ていなかったのが残念でしたが、霧がでてとても幻想的な雰囲気でした。

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静岡市安倍川筋の最奥、梅ヶ島温泉で天然林ツアーをスタート。

最初に林業家から概要説明を行いました。

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引率・案内をして下さった、梅ヶ島在住の林業家。
鈴木氏と森氏。

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参加者のみなさんへ、林業家から森の説明が始まりました。

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安倍川源流域のサカサ川。
この沢伝いに歩いていきます。
源流域ならでは、水流が少なく優しい水音がとっても心地よかった。

 

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森の要所でいろんなことを参加者の皆さんに話してくれる林業家の鈴木氏。
 
木のこと、動物たちの痕、雨と地表の関係、市民に水を供給する山の力など、初めて耳にする説明に、みなさん興味津々でした。

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これぞ天然林。
生命を終えた樹齢数百年の巨木が自然に倒れ、朽ち果てるまでそこに残って森を更新していきます。

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そこかしこに残る自然倒木。
ここからまた新しい生命が生まれます。
このサイクルを倒木更新といいます。

 

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すごい根曲がり・・・。

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斜面に横たわる倒木が森に新たな空隙をつくり、そこからこぼれた光が地表へ届くことで新たな生命が生まれる。
そのサイクルを説明する林業家の話に、みなさん感心されて聞き入っていました。

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山梨県と静岡県の県境となる安倍峠付近に広がる、オオイタヤメイゲツの純林。

聞きなれないオオイタヤメイゲツというのは樹種名で、漢字で書くと大板屋名月だそうです。
カエデ属カエデ科の木。

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みんなで大切に守っていきたいのですが、残念ながらゴミもちらほら落ちていました。

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オオイタヤメイゲツの次に多かったのがブナ。

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立ち枯れた2本の木。
いつしかこれらの木も倒れて、新たな生命の礎をなっていくのでしょう。

天候にはあまり恵まれず、まだ新緑も芽吹いていないのが残念でしたが、天然林に入って現地で林業家の説明を聞いて森を感じるというツアーを、みなさん楽しんで下さったようで少し安心しました。

今度はもっといい時期にやるのでぜひおいで下さい。

 あなたはどちらが好きですか?
 30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2213年に言ってもらえる家 

天然林のイメージ

4/20(土)に静岡市内の北端部に天然林を感じに行くツアーを開催します。
(目下募集受付中)

主催は日本民家再生協会で、東風のスタッフや懇意にしている地元の林業家が運営のサポートを行います。
定員まであと7-8名となりました。

天然林ってどんなところ?
何が観られるの?

って、言葉を重ねても良くわからないですよね?
そこで、これまでに天然林で撮ってきた写真をアップしてみました。
(撮影地/長野県水木沢天然林、奈良県春日山原生林、秋田県白神山地)

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こんな風景の中に身を置いて、風の音を感じていると、脳波が明らかに変わります。
標高1700mまで登るので、山桜も楽しめるかな?というのが僕の密かな楽しみ。
もしよろしければ、東風日本民家再生協会までお申込み下さい。

開催日は4/20(土)です。

4/14(日)兵庫県丹波市で再生古民家の完成見学会を開催します

兵庫県丹波市において昨年から工事を進めてきた、H様 + Y様邸2世帯住宅となる、築80年古民家再生工事が完成しました。

建築主様のご厚意により、完成見学会を開催させて頂けることになりましたのでご案内致します。

施工は(有)すぎもと工務店様が手がけて下さいました。

こちらのお宅の再生工事前の課題は、以下のようなものでした。

 ● 親世帯と子世帯が同居できる間取りにしたい

 ● 冬は寒く、暗い室内を、暖かく・明るく快適に過ごせるようにしたい

 ● 築後80年を経過した家を、これからも長く住み続けられるように手入れをしたい
   (耐震補強・通風・湿気の問題など)

お父様と息子様はお二人とも農家。
生活と農が密接に結びついているご家庭です。

今回の再生工事にあたって、上記の課題は以下のように改善しました

 ○ これまでは居室として使えなかった2階の断熱性能を高めて
   居住性を改善し、2階全域を子世帯の生活空間とする

 ○ 大型の薪ストーブを導入し、主な生活空間の2/3を 1台で
   暖めることで、厳しい冬を快適に過ごせるようにする

 ○ 傷んでいた構造部材は補強・入替を行い、土壁を増設し、
   耐震性能を向上

何点か写真をご用意しましたのでご覧下さい。

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建物外観/外壁は杉板を新たに張り替え、
開口部にはアルミサッシ(ペアガラス)を設置しました

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2階居室/天井が低くて圧迫感のあった2階の納戸は、
天井を取り払って開放的にし、屋根下に遮熱層を設けて
快適な温熱環境を実現しました

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家族全員が集う居間は間接照明を設置して
温かな雰囲気に仕上げました

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洗面化粧台は、木とタイルでかわいい感じにつくりました

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玄関土間に大型の薪ストーブを設置しました。
これ1台で家の約2/3が快適に温まります

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床板には杉の厚板(30mm)を使用しています
見学会当日は、住まい手であるY様ご夫妻から、
住み心地や再生工事前後での生活の変化などについて、
直接お話を伺うことができる大変貴重な機会です。

すでに建物内では建築主様の新生活が始まっているため、
1時間あたり1組限定で見学して頂きます。

先着順で定員(8組)に達し次第、受付を締め切らせて
頂きますので、どうぞお早めにお申込み下さい。
(完全予約制です)

【開催日時】 4/14(日) 10:00-17:00
        (最終組入場16:00)
       お申込の際、来場希望時間を必ずご記入下さい
       
【開催場所】 兵庫県丹波市内
       ※お申込頂いた方に住所をお送りします

お申し込みはこちらのページからお願いします。

4/20(土)、静岡市葵区で標高1700mの天然林を全身で感じるためのツアーを行います。
地元の林業家に案内して頂き、森の中の植物や生態系のことなど、
いろんな話を聴きながら、1日森の中を歩いて標高1700mの天然林
を目指します。

天然林の中に身をおいてみて初めてわかる素晴らしい感覚を、
ぜひ体感していただきたいと思って企画しました。
下の写真は、ブナの木立を見上げたものです。

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こんな景色を観に行きたい方はこちらからアクセスしてみて下さい。

雑誌・チルチンびと最新刊に掲載して頂きました

昨日3.11は東日本大震災が起こった日。
もう2年も経つのですね。

被災され、今なお大変な思いをされて毎日を過ごされている方々へは心よりお見舞いを、
そして残念ながら命を落とされた方々のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

昨日、風土社さまより出版された雑誌・チルチンびと 75号の中で、木造建築 東風を採り上げていただきました。

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今回採り上げていただいたのは、東風スタッフのOさんがチルチンびと編集部様にあてて、東風の資料を送ってみてくれたことがきっかけでした。

『Architect 各地で活躍中の建築家』 というコーナーの中で、205ページを1ページ使って、東風で設計させて頂いた淡路島のT様邸・古民家再生工事についての記事を掲載して頂いております。

もしよろしければ、書店などで手にとってご覧になっていただければありがたく思います。
快く掲載のご了解を頂きましたT様、ならびに風土社の佐藤様、ありがとうございました。

4/20(土)、静岡市葵区で標高1700mの天然林を全身で感じるためのツアーを行います。
地元の林業家に案内して頂き、森の中の植物や生態系のことなど、いろんな話を聴きながら、1日森の中を歩いて標高1700mの天然林を目指します。

天然林の中に身をおいてみて初めてわかる素晴らしい感覚を、ぜひ体感していただきたいと思って企画しました。
下の写真は、ブナの天然林で撮ったもので、高齢のブナが立ち枯れた写真です。

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こんな景色を観に行きたい方はこちらからアクセスしてみて下さい。

神戸市大きな吹抜けリビングの家/リノベーション工事打合せ

昨日(3/2)は午後から神戸市内のS様宅へ打合せをするために行ってきました。
とっても刺激的で、楽しい打合せでした。

S様宅は2008年に竣工した新築住宅です。

東風で設計させて頂いたお宅の中でも、とびっきり特異な家。
でも、大~好きな家です。

今回はお子様が成長されたことに伴う、増床計画の打合せ。
新築計画当時から、
「将来はこういう風にしましょう」
ということを想定しながら作った家なのですが、それを実際に工事する段階になってきました。

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S様ご夫妻。
打ち合わせの最中、なんだかいいなぁ~と感じて撮ったスナップ。
(掲載の許可はちゃんと頂いています)

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S様宅リビング。

プラン(平面図)をご覧になられた方はみな一様にビックリされますが(笑)、
2層吹抜けがらんどう×1LDKの家。
でも、これがS様ご家族の生き方にピッタリなんです。

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大黒柱の脇に、何やら発見!
手前に見える黒い筒は、薪ストーブの煙突です。
思わず笑みがこぼれました。

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ふきのとう発見、西宮茶道教室にて逆勝手の茶道稽古の建築家

今朝、現場で少~し待ち時間があったので、現場近くの公園に入ってみたら、足元にふきのとうを発見しました。
そういえば今日から3月。
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札幌に住んでいた時(←って言ってもすでに20年以上前・・・)は、減り始めてきた雪を自分(ふきのとう)自身の雪で溶かし、雪の中からピョコピョコ出てくる逞しい姿を見ていたので、それに比べるとこういう芽吹き方は少し違和感を感じますが、それでも春はすぐそこのようですね。

昨日は茶道の稽古で、初めて逆勝手(ぎゃくかって)の点前の稽古をしました。

足捌き、袱紗(ふくさ)捌きから、道具の置き方までいろんなところが逆・逆になっていくので、頭が混乱・・・。
きちんと1月も2月も、結局月1回しか稽古に行けていないのですが、ちゃんと3回行かないと、とても憶えられそうにありません・・・。

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原木買いするとこんな木も混じります。/原木からつくる木の家

昨日は1日中製材所に行っていて、大工さんの木材加工の手伝いをしたのですが、加工しようと思って用意した板の中にこんなものがありました。

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これはおそらく、立ち木の時にキツツキが突付いて木に穴を開けた痕。
その穴から水が入ってきたからでしょうが、傷の周辺の木が傷んで変色しています。

全て製材・加工された製材品を材木屋さんで買っていると、こういうものは不良品として跳ねられてしまうので目に触れることはないのですが、東風では原木で木を買っているので、たまにこういうものに出会うことがあります。

この部分は切って薪ストーブの燃料としてお客様に差し上げるのですが、山の生物の営みを感じます。

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竣工して3年。伝統構法・石場立ての家@京都市

昨日(2013.02.19)は、外構工事のご相談で、京都市N様のお宅に寄せていただきました。
2010年竣工の伝統構法・石場立ての家です。

こちらのお宅は、東風にとって、この上なく大切で思い入れの強い家ですが、
行く度に素敵に住んでいらっしゃるご様子に感心します。

最近飼い始めた犬のなじゅちゃん(メス)が、薪ストーブの前でまったりしてました(笑)。

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薪ストーブの目の前が、彼女の定位置なんだそうです。

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 ↑ 「ん? な~にぃ~?」

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 ↑ 竣工した時に撮った写真は調度品が入っていなかったので少し味気ないものでしたが、

やはり生活が始まると空間に断然潤いが出てきます。

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 ↑ 左脇に写っているのは、ご主人の趣味であるLPレコードの棚。

ご主人はオーディオや音楽が大好きで、ダイニングカウンターの下にも
びっしりCDが並べられていますが、使われているアンプは何と真空管です。

 

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 ↑ 昨日は定期点検をする目的もあって、2階へもおじゃましました。

上の写真は、たくさん入り節がある北山杉磨き小丸太でつくった階段手摺。

竣工当初に小さな割れが何箇所か入ってしまったので、割れがどんどん
大きくなっていかないように・・・と心配していたのですが、もう大丈夫なようです。

 

住み始められてから数年経った家へお邪魔して、お客様の楽しそうな表情や
暮らしぶりを拝見させて頂くのは、建築家にとって、とてもうれしい瞬間です。

作り手としては、「いい建物ができたなぁ~」と感じる竣工時も、もちろん魅力的
なのですが、やはり建物はお客様のために作っているわけですから、それを
喜んで・気に入って使ってくださっている様子は、何物にも代え難い喜びです。

このお宅の家づくりの全容は木造建築 東風(こち)の以下のページでご覧になって頂けます
→ http://www.mokuzo-architect.jp/works_kyoto1.html

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

高齢・大径木の樹皮と霜/原木からつくる木の家

先日、いつも × いつも東風がお世話になっている、兵庫県三田市の西本製材所に行った時のこと。

その日は、朝から大工さんが墨付け作業を行うことになっており、AM 07:30 ごろに製材所へ着いたのですが、寒い日だったので至るところに霜が降りていました。

西本製材所さんの敷地内には、そこらじゅうに大きな原木がごろごろ転がっているのですが、そんな中でも特に大きな原木は、やはりそれだけ古い(=高齢の)木ということになります。

人間と同じで、木も100年、200年、300年と生きながらえてくると、いろんな傷やシワ・ゆがみやクセなどが表面に表れてきて、樹齢50年程度の若い木では、逆立ちしたって出せない凄みや迫力のようなものがにじみ出てきます。

とかなんとか、つたない言葉で説明しても全然伝わらないと思うのですが、やはりそういう高齢・老齢の原木の表面に、その日の朝は霜が降りていて、しかも朝陽で照らされた陰影が何とも言えない美しい姿になっていました。

そんな一瞬の姿を写してみたのが下の写真です。

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↑ 3本の異なる樹種の原木が並んでいました。
  手前から、樅(もみ)の原木、中央が松、一番奥が桧です。
  どれも全て針葉樹ですが、樹種によって表面の樹皮ってこんなにも違うものなんです。

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↑ これは樹齢約300年の杉の樹皮です。
  杉の樹皮も、樹齢100年ぐらいまでは真っ直ぐきれいに並んでいることが多いのですが、
  これだけ高齢の木になると、こんな風に樹皮の方向もバラバラで、年輪もしわくちゃ×
  入り乱れたようになっていきます。

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↑ これは松の木です。
  この木は伐採されてからかなり年月が経過しているようで、表面の白太
  (辺材)部分が傷んでいます。
  しかしこうやって白太が傷んでいても、芯材(赤身)の部分は全く傷んで
  いないため、製材してあげれば素晴らしい木になります。

  風化して傷んでいる表情の下には、宝石のような美しい木目が隠れている
  のですが、そのアンバランスさ加減を想像すると、この荒れ果てた表情からも
  内に秘めたすごい迫力を感じます。

一般的には、【建築用材としての木】というと、木目や節が見えているものを
みなさんは想像されると思いますが、こういう原木の時に木を見ると、その表面や
形、年輪などから、それまでの木の歴史・育った環境など、実はいろんな情報が
読み取れるんです。

すごくおもしろい世界なんですが、でもそんなことを言っている僕は、ちょっと変人?
マニアックすぎますよね・・・(苦笑)。

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