お客様の幸せのために」カテゴリーアーカイブ

京都のもみじ

昨日は京都市右京区の現場で朝から調査をしていました。

朝一番で京都の庭師の方に現場へ来ていただき、作庭計画の打ち合わせをしました。
この現場はもともと隣家の広い庭の一部(以前は茶室や石塔があったらしい)として使われていた土地だったので、敷地内には既存の大きな木がたくさんあります。
その既存の樹木を活かしながら、どのようにアプローチの動線を設定するのかというところが一番の問題だったので来ていただいたのです。

周囲の景観(隣家の塀・周囲の山と緑)を自宅の景観の一部としてうまく取り込み、同時にこの家が出来上がったときには付近一帯の景観に寄与してより美しい家並みとなるように、という外と内との関係性をベースに考えながら塀の高さやデザインを提案して下さったところはさすがでした。

そして敷地内のアプローチの動線決定においては、既存の門(←この門が非常にすばらしい)、敷地内の既存の植栽を活かして導き出した動線の1ヶ所にだけちょっとしたアクセントを加えて、石灯篭と植え込みを配置してはどうかという提案は、僕の頭の中にも鮮明なイメージを伴って飛び込んできました。

控えめでありながら訪れた人の中に深く印象に残る、とてもいい庭になりそうです。

庭師が帰られた後、お昼過ぎには天気が良くなり、
新緑のもみじがとてもきれいでした。
冒頭の写真はその美しさをあなたにもおすそ分けしたい、
と思って撮ってきた写真です。
(画像をクリックしていただければ拡大表示できます)

GW期間中はこの現場の図面をがんばって描きます。

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四半敷きの謎

僕には、10年ほど前から疑問に思っていてどうしても釈然としないギモンがあります。

建築の土間の仕上げで
【四半敷き】 ← しはんじき と読みます
というやり方があります。

よくお寺などで見かけますが、タイルや石、敷き瓦などを45度振った角度で敷き並べて張る仕上げ方法のことです。

↓こんなんです。よく見るでしょ?

一般には、【四角いタイルや石を45度の角度で張って仕上げた土間】であれば四半敷きというようですが、どうもその【四半】のもともとの意味するところがわからないのです。
※四半というのは1/4のことです。
それは間違いありません

ちょっと下のイラストを見てください。
四半敷きには下記の2通りの割付けの仕方があります。

A

B

AとB、2つの違いがわかりますか?
一番大きくは目地の位置が違うのです。

Aが正しいとすると、四半の意味するところは【角度が四半=1/4】
つまり180°÷4=45°ということです。

一方、Bが正しいとすると、四半の意味するところは
【貼り始めのタイルが1/4枚のもの】ということです。

もう一度AとBをよ~く見てください。
その上で、下の絵を見てください。

左右入れ替わってしまいましたが、左(緑)がB 、右(ベージュ)がAの拡大図です。
Bは1/4枚、Bは実は1/2枚の大きさであることがわかると思います。

僕は10年ほど前に現場を施工してもらったタイル屋さんから、
「四半敷きはホンマは貼り始めに四半=1/4枚のタイルを入れるからこそ、四半敷きなんや」
と言われ、そうなんや~とその時は納得しました。

しかしその後、事あるごとにお寺などで四半敷きをチェックしている(もう10年になる・・・)のですが、タイル屋さんが言ったようにB(緑)のやり方で割付けしてある事例は非常に少ないのです。

まぁ、BはAに比べると仕事が一段高度になるので職人さんは嫌がるでしょうから、そういった事情で事例が少ないのかもしれませんが。

でも、180度の1/4が四半と考えるのは元々の意味からしてちょっと不自然なように思うし・・・。
もしどなたかご存知でしたら教えていただけるとうれしいです。

今年の秋に京都で竣工予定の現場の土間には、四半敷きの敷瓦をやってほしいとクライアントから要望されています。
それまでにはっきりすればいいんですが・・・。

まぁ、きっとこんなことにこだわらなくてもいいんでしょうけどね(笑)。

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昭和の日

※あらかじめお断りしておきますが、今回はかなり個人的なネタです。

4/29
去年までは、みどりの日。
今年からは、昭和の日。
こんなに簡単に国民の休日(祝日?)の名称が変わってしまっていいのでしょうか?
いずれにしても、今日は僕の誕生日です。

実は、うちのアルバイトスタッフも同じ誕生日だったということがわかり、びっくり。
でも、1970年4月29日生まれで僕と全く同じ名前の佐藤仁さんは、僕を含めて世界中に合計3人いるので、それに比べればかわいいもんですが。
(↑運転免許証を取るときに警察から質問されて判明しました)

ちなみに生年月日の縛りをなくして、僕と同姓同名の【佐藤仁】さんだけだとかなり多いらしいです。

以前、mixiで
「佐藤仁さんだけのオフ会を東京でやるんですが、来ませんか?」
というお誘いを見知らぬ佐藤仁さんから受けまして、え~っ!!!て。
正直、かなり引きました。
もちろん、丁重にお断りしました(笑)。


とまぁ、そんな話題は置いといて。
僕の一番古くから(小学校3年生以来)現在まで付き合っている友人・Kが今日メールをくれました。
K、毎年毎年ありがとう。

そこには、僕らの母校(静岡市の千代田小学校)が今年創立100周年を向かえ、校庭にあった大きな遊具(というより山です。高さ5mくらいあります。名称:千代田城)が老朽化により取り壊されたということが書かれていて、ちょっぴり寂しくなりました。

でもあれは今作ったら安全面でかなり問題かも、というような遊具のような気がします。



静岡といえば、本当は先週製材(←昨年秋に新月伐採・葉枯らしした杉)の立会いのために静岡へ行く予定でしたが、製材所の都合で延期になり、どうやらGWの休日に行かないとアカンようです。
まだはっきり決まっていませんが、5/4か5/5になりそう。
製材の様子はまたご報告しますね。

と、今日は全くの個人ネタでした。
たまには大目にみてやってくださいな。

GWは仕事です!

このところ、


「やっぱり休みが必要かも・・・」


と思われるような体のシグナルがチラッチラッと顔をのぞかせます。
で、GWは少しくらい休もうか・・・とちょっと弱気になっていたのですが、今日決心しました。



GWは仕事っす!
(って、力入れて自慢できることでは決して無いと思うのだが・・・)

ここでやっておかないと5月の中旬~6月中旬に自分の首を絞めることになる、というのが一番大きな理由です。

ただ、6月下旬から7月中旬ごろに、固めて休みを取ります!
(↑これも今日決めました)
誰が何と言おうと実行するでぇ! お~っ!
(だから誰も聞いていないって・・・)



ということで、その節はみなさまご理解・ご協力のほど、
よろしくお願いいたします。


m(_ _)m



なんかGWモードの気の抜けた投稿になってしまいました。
それではみなさん、僕の分まで楽しい休暇をお過ごし下さい。



【ヒトリゴト】
おかげさまで目の傷はようやく完治して、
無事コンタクトレンズを装着できるようになりました
(結局2週間もかかってしまった)。
ついでにメガネも新調しました。
いくら普段はほとんどかけないとは言え、もう10年以上使っていたメガネですからね。

最強の武器

昨年の末、いつも懇意にしている木製建具屋さんにお願いをしました。

「お客さんに框組戸とフラッシュ戸の違いを説明をする時に
 いっつも困るんですよ。
 写真を見せるしかなくて、いまひとつピンと来ないんですよね。
 小さなものでいいので、申訳ないんですがサンプルを作っていただけませんか?」

というお願い。

特に急ぎの用ではなかったので、頼みっぱなしでそのままになっていました。
しかしそれを建具屋さんがちゃ~んと作ってくれました。
しかも、僕がお願いしたものから30倍くらいパワーアップして(!)。

あまりに素晴らしいのでご披露します。

塚本建具-1

← これがその説明用建具セット一式
  (合計6枚)
  手前に置いているのはA3大の図面です。
  (大きさが良くわかるでしょ?)

塚本建具-2

← そしてこれら6枚の建具セットは
   持ち運びやすいように
   キャリングケースに
   納まるようになっています。

塚本建具-3

 

← 建具サンプルその1/框組格子戸
  材料:米ヒバ
  透明ガラス、型ガラスの違いがわかる
  ように、3種類のガラスが入っています

塚本建具-4

 

← 建具サンプルその2/框組硝子戸
  材料:ピーラー(米松)  

塚本建具-5

← 建具サンプルその3/
  スリット入りフラッシュ戸
  材料:シナベニヤ

塚本建具-

← 建具サンプルその4/紙貼り障子
  材料:赤杉 (吉野産の杉の赤身)
  僕が一番好きな建具です

塚本建具-7

←建具サンプルその5/めくらフラッシュ戸
  材料:シナベニヤ

塚本建具-8

 

← 建具サンプルその6/
  框組板戸(雨戸式)
  材料:杉

デザイン、材料、構法の違いが良くわかるように、それぞれ別の材料(樹種)で作り分けてくれました。
もう感激!これから大活躍してくれることでしょう。

ついこの前の日曜日に、現場で西宮のクライアントMさんと打ち合わせをしたときにも早速活躍してくれました。
何よりも話が早いしわかりやすい!
百聞は一見に如かず、ですからね。

これを作って下さったのは、株式会社塚本建具の塚本さんです。
僕は塚本さんと知り合ってからまだ5年くらいしか経っていませんが、この方は間違いなく世界でもトップレベルの建具屋さんです。

会社の規模は決して大きくありませんが、技術力、センス、勘所、仕事の確実性など、僕は全幅の信頼を置いています。
(同じように感じているのはきっと僕だけではないと思いますが 笑)

本当はここで塚本さんの連絡先などをご紹介したいのですが、ここに掲載してしまうと
「上の建具セット、うちにも作ってくれ」
という人が絶対に出てきて、塚本さんを困らせてしまうと思うのでやめておきます。
(塚本建具さんにはホームページもありません)

ちなみにこの建具セットは、うちともう一社、塚本さんのご友人の設計事務所の方のために作って下さったそうです。

塚本さん、本当にありがとうございました。

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山つつじ

金曜日に、神戸市北区で基礎工事中の現場へ行ってきました。
(↑そろそろこの家のプロジェクト名決めないと・・・)

クライアントのSさんご一家は現場のすぐ近くにお住まいになっていることもあり、毎日朝晩、現場の前を通っては楽しみに様子をご覧になっていらっしゃるようです。
現在は基礎工事の配筋作業工程が進行中です。

Sさんからいただくメールの文章からは、ひしひしとその喜び・興奮がにじみ出ていて(というか、むしろはじけ飛んでいる感じ♪)、設計者としてはメールを読んでいてとてもうれしくなります。
Sさん、いつもどうもありがとうございます。

現場からの帰途、飲み水を採りに六甲山へ寄ってきました。
春になってから湧き水の湧水量も冬場に比べてずっと増えました。
川の水も増えていて、自然の息吹を感じます。

今は新緑がとてもきれいですね。
山のもみじや、街中のけやき、くすのきなど黄緑色の新しい葉が目に鮮やかで、山の色もいろんな緑が入り混じり、強いエネルギーが迫ってくるようです。

山道を走っていると、ふわふわと浮かぶような山つつじの軽やかな紫色をよく見かけます。
下の写真は水を汲みに行く場所の近くに咲いていた山つつじです。

この山つつじについて少し詳しく知りたいと思ってWEB検索していたところ、すごい山つつじの場所を見付けました。
さながら桃源郷ですね。
ココ、いつか行ってみたいなぁ~。

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安定供給のために

昨年夏以降、木材価格が世界的に上がってきています。

個別の樹種によってその価格上昇要因は異なりますが、全体的な概況は下記のようなものです。

○ ロシア産赤松の出荷量 減(資源政策による)
○ 中国・インド・中東諸国での木材需要拡大
○ ユーロ高

木材だけでなく、金属・原油等の資源高騰により、各建材メーカーも昨年夏以降相次いで価格改定を実施してきていますので、建築資材の価格は全体に値上げの方向で推移しています。

そして、値上げだけで済むならまだ状況はマシな方で、品物によっては「品薄でいつ入荷するかわからない」という商品もあります。



このような世界的な品薄・価格上昇の影響を受け、昨年末には国産木材丸太市場でも単位体積あたりの木材価格が上昇し始めました。

今まで世界中から輸入することで入手していた商品が入荷しなくなってきた
→ 国産材に切り替え始めた
→ 引く手あまたになって国産木材価格が上昇
という流れは当然ですね。

現在のところ、うちの主な取引先(←各種建材は別。国産ムク木材に限る)は、木材の価格を据え置いたままで販売してくれているので、安定・安心して供給ができますが、今後は少しずつ価格が上がっていくでしょうね。

ここで商魂たくましいセールスマン(というか2流の営業マン)は、
「今のうちに早く買っといた方がお得ですよ」
などとまくし立てるのでしょうが(笑)、僕はそんなことは言いませんし、またそのような目的でこの記事を書いているわけではありません。

当方ではあなたの大切な家作りに応えるために、市場価格に不必要に踊らされないような木材供給先の確保・山での立木買い(新月伐採~葉枯らし~天然乾燥)による家作りを実現できる体制を整えていくべく、少しずつ準備を進めています。

これまで僕がこのブログを通じてでお伝えしてきたことを読んでいただいているあなたには、きっとなんとなく伝わっていますよね。
来週の水曜日には、昨秋伐採した杉丸太の製材をしに静岡へ行ってきます。
見学ご希望の方はさとうまで遠慮なくご連絡下さい


来年以降をどうぞお楽しみに。

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頑固な眼科医

先週末から眼科に通っています。

原因は花粉と黄砂のせいだとおもうのですが、毎年3月・4月はハードコンタクトレンズユーザーの僕にはメチャメチャ厳しい毎日が続きます。
埃などが目に入って、もう痛くて痛くてたまらないのです。
毎日20回くらい泣いていました。

そんな状況が20日くらい続いて、ついに我慢しきれず眼科に行きました。
(↑もうちょっと早く行け)

しかし、眼科に行っても痛いのが治るわけではありません。
治してもらうために行ったのではなく、眼球に傷が入ったりしていないかどうかを診てもらうためです。

阪急川西駅前のいつもお世話になっている眼科に行ったのですが、この先生は腕は確かにいいのですが、無口で弱ります。
状況をきちんと説明してくれるわけではなく、
「こうしなさい」
と、無表情でボソッと言うだけです。
(ちょっと怖い・・・)



2回目に行った時にはようやく眼球の写真を見せてくれましたが、細かい点状の傷がた~くさん眼球にありました。
つまり心配したとおり、眼球に傷が入っていたということです。

1回目の診察のときよりはよくなっている、ということでしたが、まだ眼鏡の処方箋も作ってくれない(←すりガラスを通してみているような状態だから)、コンタクトレンズも装着してはいけない(←これは言わずもがな)と言われ、また3~4日足ったら来なさい、と帰されました。

ということで、今はメガネで毎日生活しています。
僕にとって目は、体の中で一番大切な部位ですから、何を言われても
「ハイ」
と言うしかありません。

早く治ってくれないかなぁ・・・。

ようやく一段落

ようやく事務所の中が片付きました。

4/1から開始した事務所内の引越しが、今朝一段落。
なぜ今朝か?というと、今日の昼に来客(←クライアント)があるからです。
(↑こんなことでもなければ、僕の性格だといつまで経っても片付かない・・・)
それに合わせて無理やり片付けましたが、でもおかげでやっと環境が整いました。

ホームページの管理を行っているソフトの設定もようやく今完了して、このブログの更新日時も最新の日付(=今日)に合わせてアップしました。

ふう~。

塗師屋造り

前回の記事でも書きましたが、4/5(木)・6(金)の2日間に渡って、能登震災の支援ボランティアのため、石川県輪島市へ行ってきました。
行ったボランティア活動の内容については前回の記事を参照していただくとして、今日は輪島で感じたこと・学んだことについて書いてみたいと思います。

僕は超朝型人間で、毎朝だいたい4時ごろ起きてしまう(←目覚ましは使いません。勝手に目が覚める)のですが、輪島でもやはりいつも通りAM3時に起きてしまいました。
一緒にボランティア活動を行った協会の仲間と民宿の大部屋で雑魚寝状態だったので、電気を点けたりするわけにもいかず、1時間くらい朝風呂に入ったり(笑)布団の中でごろごろしたりしていたのですが、どうしても寝られません。
そこで、明るくなり始めた6時前に散歩へ出ることにしました。

註:ここから先の画像は、すべてクリックすると拡大表示できます

↑これは輪島市内・朝市通りの裏の路地に面した民家の軒先に下がっていた唐辛子です。
黒塗りの構造材、白塗りの漆喰壁をバックに、わら縄と唐辛子の色がきれいでした。

輪島市内では、神社の門の揚屋(あげや)や曳家(ひきや)をして建物を守ろうとする風景が何ヶ所かで見られました。
こういう光景を目にすると、復興に対する地域の皆様の力強いエネルギーを感じますね。

輪島といえば、やはり朝市と漆器です。
上の写真は漆を掻いた後の漆の木です。
工房長屋という施設の店先で見かけたので写真を撮りました。

僕はこの掻いた後の漆の木が大好きです。

我ながら、これはあまり品のいい趣味ではないと思いますが(笑)、このような漆を採取した後の漆の木を、一度建物に使ってみたいというアイデアを僕はずっと以前から持っています。

随所を漆で仕上げた家の玄関に一本だけ、このように掻き跡の残る漆の木をそのまま1本だけ建てて、漆の強いエネルギーや職人の思いを表現した家をつくってみたいなぁと考えています。
もしそういうクライアントが出てこなかったら、最後に自分の家でやろうかな。

でも、しょっちゅうかぶれたりして(笑)。

僕も今回輪島に行って初めて知ったのですが、輪島には塗師屋(ぬしや)造りという建て方があります。
漆の職人のことを塗師(ぬし)と言うのですが、その塗師が仕事と生活をするための建物です。

今回の輪島での滞在で非常に運良く、ある方のご紹介を得て塗師・大崎庄右衛門さんのお宅におじゃまして大崎さんから漆のお話をうかがうことができました。

大崎さんのお宅も、今回の震災で大きな被害を受けました。
塗師蔵(ぬしぐら※)の壁が落ち、母屋も少し傾きました。
※ 塗師蔵とは塗師が作業をする蔵のこと

上の写真はその塗師蔵の2階でお話を伺ったときの写真です。

実は、この塗師蔵の2階には普段上がることができません。
というのも、塗師蔵の2階は漆の仕上げ塗りおよび乾燥工程を行うスペースなので、チリが一切許されないからというのがその理由です。
「毎朝毎朝、塗師蔵の2階の床を拭き掃除をすることから仕事が始まる」
と大崎さんはおっしゃっていました。
今回はたまたま震災の直後で、壁土などが落ちて室内がまだきれいに片付いていない状態だったので、作業には使われておらず、特別に上がらせていただくことができました。

漆を乾燥させるのに、蔵は温度・湿度の変化が少なくていいそうです。
しかし最近は塗師蔵で作業をする塗師が減ってきて、空調機を使って温湿度調整を行うケースが主流だとのこと。

大崎さんからは、いろいろと漆のことを教えていただきましたが、一番印象的だったのは大崎さんの使われている漆のことです。
大崎さんが使っている漆は、今から約40年前に採取された国産漆(つまり40年間寝かせたもの)で、大崎家では代々このように先々代が購入したものをその孫の世代が使う、ということを受け継がれているそうです。

これはやろうと思ってできることではありません。
林業と同じだなぁ、と僕はその時思いました。

自分が生きる糧は、先々代が購入し準備しておいてくれたものから得る。
そして自分は孫世代のために材料を新たに購入し、それを守り、使わずに育てるだけ。
脈々と受け継がれる伝統、なんとしても守るべきものがそこにはありました。

そんな大崎家は当然のことながら塗師屋造りです。
母屋の構造材には丹念に輪島塗が施されていました。
80年前に建てられた後、漆塗りの面には一切手を入れていないというその輝きは信じられないほど美しかったです。
この家は、竣工当時20回漆を塗り重ねたそうです。

通り庭(土間)の壁面

壁面の貫にも漆がかけられていました。
木材はすべてアテ(能登ヒバ)の木
気の利いた形の金物にセンスを感じました

輪島では木部に漆を塗って仕上げるため、木の使い方が京都などとはちょっと違います。

漆を塗った後美しく見せるためには、見付面に柾目(まさめ)ではなく、板目(いため)が出るように使います。
柾目というのは、平行線状に真っ直ぐな目の詰まった年輪が出るように木取りした木材のことで、一般に柾目の方が上品で美しく高価ですが、柾目に漆を塗ると表情が乏しくなり味わいに欠けます。

そういった事情で、能登では長押なども見付杢で使います。
(白木の文化圏では、一般に長押は見付柾で使う。
面皮の長押などは別だが、面皮長押はその話だけで一本の記事に
なってしまうのでまた別の機会にお話します)
上の化粧貫の写真を見てもらえればよく分かると思います。

またまた長~くなってしまった。
つい、こういう建築関連の伝統技術ネタでは書きすぎてしまいます・・・。

最後まで読んでくださってどうもありがとうございました。

【ヒトリゴト】 日本産の漆と中国産の漆とでは単位体積あたりの材料価格が
7~8倍も違うのですが、双方は同じものではなく、
科学的に成分が違うそうです。ビックリ!
これも大崎さんにおしえていただきました。

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