月別アーカイブ: 2009年12月

職人さんのセンス

建物をつくるためには設計図が必要です。
僕ら建築家の最も端的な(目に見える)仕事は設計図をつくることです。

ですから
「設計図があれば、それをもとにしてつくるのだから誰が作っても同じだろう」
と思われる方も多いと思うのですが、それがそうはいかないのです。

実際に現場で手を下す職人さんのセンスや判断力、提案力、質問力によって、建物の出来具合は大きく変わっていきます。



うちが手がけているような木造建築物の場合、やはり一番大きいのは大工さんのセンスですが、センスのいい大工さんというのは本当に少ないです。

例えば枠の取り付けにしても、ただ図面に書かれている寸法どおりにやっておけばいいというものではなく、木の目やクセを見て使い方を考え、実際に手を下す前に一言相談する。

その小さな積み重ねができる人とできない人とでは、最終的な建物の仕上がりが大きく違ってきます。



木の目やクセというのは、

○ 赤身白太の入り具合
○ 節の有無・大小や、生節/死節の違い
○ 目の詰まり具合、柾目/杢目の向きや勝手
○ 木の元末、木表/木裏、男/女をどのように使うか

などといったところが主な勘所ですが、このようなことを考えながら仕事をしていくと、設計図面どおりに納めない方がいい場合というのもしょっちゅう出てきます。



今、東風で施工中の京都市N邸という現場を手がけてくれている大工さんは、こういったセンスが抜群です。

僕がこれまで付き合ってきた大工さんの中でもトップクラスです。
(もちろん、刃物の切れや腕もピカイチです)

こういう大工さんに手がけてもらえると、木がとても喜びます。



これまで何度もブログでご報告してきたとおり、京都市N邸では木材に尋常ならざるいろんな人の思い(建築主・生産者・設計者etc)が入っていますので、それをきちんと汲んでくれる職人さんに出会えて良かったなぁ・・・としみじみ思います。



もちろんこういった話は大工さんに限らず、左官、屋根、建具、基礎、電気、水道など全ての職種において言えるのですが、建物が出来上がってしまった後ではなかなか目に見えない話で、とかく設計や材料ばかりが取りざたされがちです。

こんなことを書いても実感としてはなかなか伝わりにくいと思うのですが、それでもちょっとお伝えしておきたいな、と思ったので書いてみました。



Sさん、I さん、いつもありがとうございます。
今後ともどうぞよろしくお願いします。



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 30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2210年に言ってもらえる家

Kさん、手作りのお米、美味しく頂いています!

お米


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


10月に兵庫県在住のKさんが、当方の現場/京都市N邸へ見学に訪れてくださった時のこと。

遠路はるばる電車+徒歩でお越し頂いたにも関わらず、手土産にご自身でお作りになった新米5kgを頂きました。



Kさんは、このブログで僕がおにぎりを作っていることを読んで下さったので贈って下さったのです。

頂いた時にはまだ食べかけのお米があったので開封できませんでしたが、最近になってようやくこのお米でおにぎりを作るようになりました。

1日現場で過ごす時には、必ずおにぎりを持って行っているのですが、いつも美味しく頂いております。

Kさん、どうもありがとうございました! m(_ _)m

京都市N邸 裏返しを行いました

京都市N邸(新築伝統構法)の現場では、12/7(月)・8(火)の2日間にわたって土壁の裏返し塗りを行いました。

【裏返し】というのは、竹小舞下地の片面に塗りつけた壁土(荒壁)の裏側から壁土を塗りつけることです。

下の写真のような状態の面に壁土を塗りつけていく工程を言います。

土壁1208_0


 


 


 


 


 


 


 




下の写真は、塗りつける前の土の水分調整をするために、寝かしていた壁土に藁スサを混ぜて練り返しているところです。

土壁1208_2


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 




4月の末から現場で寝かしていた土はこれで全て使いきりました。


当初から予想していた通り、全部使っても少し足りなかったので、足りない分は左官屋さんが持っていた土を足して、混ぜ合わせたものを使っています。

今回の左官工事を担当してくださっているのは、京都市左京区下鴨にある山本左官工業という会社です。


土壁1208_3


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


上の写真は違いがよく判る場所だったので比較のために写してみました。 

手前の壁は今回塗りつけた壁。
奥に写っているのは前回塗りつけた壁です。

奥の乾いた壁の裏側は、今回裏返しをしているので同じように壁土が塗られています。
 
 


土壁1208_4


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



この写真は1階の外壁面です。
この裏面には壁土を塗りつけて裏返しをしています。

裏面の新しい土の水分を、乾いた部分が吸い取って染みてきている様子がよくわかります。
 
以前ブログでもご紹介しましたので覚えていらっしゃる方もおられると思いますが、この壁の中には下の写真のように竹小舞下地を編んでいますから、竹の部分は水分が染みとおらずに間の空隙に入り込んだ土を伝って、水分が出てきています。


 


土壁1208_5


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 





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いちょうの製材をしました

昨日、京都の製材所/丸萬さんにて、いちょうの製材をしてもらいました。

京都市内で施工中のN邸現場のお隣にお住まいの奥様が、庭に生えていたイチョウの木を伐採され、それを短く切ったものを製材してほしいと頼まれていたためです。


いちょう


 


 


 


 


 


 


 


丸萬さんは僕が京都で会社勤めをしていた時にお世話になったことがあり、今回製材をお願いしました。

このイチョウの持ち主の方は裏千家流の茶道を習われていて、イチョウが裏千家の紋であることから、製材して採れた木を使って炉縁(ろぶち)や風炉先屏風、結界などを作りたい、と所望されました。

もともと庭木で枝が張っていたことなどから、節の無いおとなしい目の木材は採れないかも・・・と予想していたのですが、想像していたのよりもずっといい目の木が採れて一安心。

これからゆっくり時間をかけて乾燥させた後、再度加工して使われることになります。
道具に仕立てられるのが楽しみです。



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外部足場が外れました

西宮1207 











西宮市で施工中の現場Y+K邸2世帯住宅の外部足場が外れました。

今までは養生用のネットシートに覆われて外観が見えなかったのですが、昨日現場へ行った時には、上の写真のような姿が見えていました。

どの現場も一緒ですが、外部足場を外した直後というのは、なんだか建物が一気に完成したかのように晴れやかな気持ちになります。

昨日はちょうどお天気もとても良かったので、より一層晴れやかに見えました。


この現場は外構以外は年内に竣工予定で、現在たくさんの職人さんが入って最終の仕上工事にとりかかっています。



施工をしてくださっているのは蓑代工務店さん

いろいろとお気遣い大変だと思いますが、今後ともよろしくお願いします。



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人との出会い

10月末におじゃました、福島県南会津のとんぼさんのブログに、とってもいい記事がアップされています。

ぜひご覧になってみてください。




とんぼさんのブログ/ 南会津、骨董、古民家再生(改修)、囲炉裏
「わざわざ」



旅の目的
価値観の変化
魅力的な地域づくりとは?

何となく、心のどこかで意識してはいたけれど、改めて文章にして頂いたおかげで、そうだよねと腑に落ちました。



とんぼさんと知り合ったのは、僕のブログをとんぼさんが見つけて読んで下さったのがきっかけでした。

南会津へお邪魔してから、自分の中でいろんなものが少しずつ影響を受けて変化しています。

とてもいい出会いに感謝。



歳を重ねるごとに思うのですが、生きていると世の中で出会う人がだんだん変わってきますね。

お互いに噛み合わない人との出会いが減っていくと言うか、
「この人と出会えて良かったな」と感じる機会が増えていくというか。

不思議なような、当然のような・・・。
ほんと、おもしろいです。



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夜の東山で

昨日は京都市N邸の現場に遅くまで居残って、明日(12/7)からの左官工事のための準備(養生)作業をしていました。

普段、このシーズンは紅葉見物のための車で道が渋滞するので、できるだけ東山エリアを避けて通るのですが、昨晩は21時ごろになっていたので

「さすがにこの時間なら東山通りも空いているだろう」

と思い、軽トラックを運転しながら東山通り(東大路)を南下していくとビックリ!



なんと、東山五条付近の京都市営バスの停留所(清水道)に大行列ができているのです。

清水寺のライトアップ拝観に来られた皆様なのでしょうが、21時の東山五条でバス停に大行列、しかも来たバスは定員オーバーで数名しか乗れませんでした。



近日、清水寺のライトアップを見に行こうとお考えの方は、どうぞお気をつけ下さい。

ちょっとした京都情報でした。

他人の振り見て・・・

昨日、先日来取り組んでいた不動産物件調査が完了しました。

この物件は
○ 敷地と道路との関係(接道問題)
○ 市街化調整区域内である
という条件がいろいろと複雑で、全容を明らかにする調査にも時間がかかりましたが、結果はあまり芳しいものではありませんでした。

今回の調査では主に土地がややこしかったのですが、築40年の建物がリフォームに耐えうるかどうか?というところも調査しました。



このような中古住宅の調査をしていると、実はとっても勉強になることが多いんです。

数十年または百数十年前に
「こうやっておけば大丈夫やろ」
と職人さんが考えて設計した建物が、時間を経ることでどう変化していくか?ということを一瞬のうちに目の当たりにできるわけです。



数十年、またはそれ以上の時間に耐えうるために、やはり一番大切なことは

【基本構造】がしっかりしているかどうか

です。

僕もいろいろ見てきましたが、これ以外にありません。



地盤、基礎、構造計画、材料の吟味、雨仕舞、換気など、そんなに難しく考える必要は無くてどれもみな当たり前のことなんですが、この当たり前のことができているかどうか?が後年になって大きく響いてきます。

デザインも同じですね。
やはり基本が大事です。

手の込んだことをする前に、「まずは基本をしっかりと」です。



他人の振り見て何とやら・・・ですが、僕が今作っている建物も、後年になって

「なんでこの人こんなことしたんやろ?」

と建物を見に来てくれた大工さんに思われないように日々精進しないと・・・と気持ちが引き締められます。



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太陽の力

これまでに何度もご報告しているように、京都市N邸の現場では伝統的なやり方で土壁を塗りつけていますが、その下塗り部分(荒壁といいます)がようやくほぼ乾きました。

来週には反対側からも土を塗りつける「裏返し」という工程にとりかかります。



当初、この現場は6月に着工して、最も暑い8月に荒壁をつける予定でした。
着工前に左官屋さんと工程の打合せをしている時、

「さとうさん、梅雨明けとともに荒壁をつければ、10日くらいですぐに乾きますわ~」

と軽~く ♪ 言われていたんですが、建築確認申請手続に想定外の時間を要したため、結局着工が3ヶ月ずれ込んでしまって涼しくなってから荒壁をつけたものですから、なかなか乾きません。



それでも今年は例年に比べてとても暖かかったし雨も台風も少なかったので、うちの現場としてはとってもラッキーで

「神様ありがとう~!!!」

って感じなのですが、それでもやはりここまで乾燥させるのに1ヶ月かかりました。

しかも、後半の2週間は灯油ストーブを燃やしたり開口部をふさいだりと、いろいろ工夫を凝らして壁を乾かす努力をしたから早まったのですが、これが放ったらかしだったらどうなっていたか・・・と考えると冷や汗モノです。



当たり前のことですが、おてんとさまの力のすごさを改めて感じました。

夏は
「暑い”~、何とかして~」
と頭上の太陽に苦しまされますが(笑)、おかげでこの時期は美しい紅葉も見られるし、いろんな農作物も収穫できるんですよね。

本当にありがたいことです。



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なめこ

静岡の林産地へ行くと、山あいの生活について触れる機会が多く、毎回いろいろと学ぶことがあります。

暖を取ったりお風呂を沸かしたりするのには、今でも当たり前に里山の薪を使っていること。

食べ物は山で身近に採れたり栽培できるものを食していること。

貨幣経済(=食べるため・暖を取るためにはお金が要る)が基本になっている都市部の生活・考え方とは全く違います。


なめこ


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



上の写真は夕方暗くなりかけてから撮ったのでちょっとわかりにくいのですが、なめこを自家栽培しているところです。

もちろん、農家としての売り物ではなく、自分たちで食べるためのものです。

ホダ木として使っているのは、山で伐採してきた山桜。

こうやって作られるなめこは、市販のものと比べると形も不揃いで、大きさもびっくりするほどばらつきがありますが、ものすごく生命のエネルギーを感じます。

スーパーで売っているものとは全然違うんですよね。



以前、製材所の方が林業家に
「家具を作るのに山桜が欲しいっていう作家がいるんだけど、山桜は出ないの?」
と質問したときも、
「山桜はねぇ、なめこを作るのに使っちゃうんですよ」
と答えていました。



海辺でも山辺でも同じですが、【豊かさ】【恵み】とは何なのか?ということをいつも教えてもらいます。

一言で言ってしまうと当たり前過ぎてなかなか響かないのですが、人間も自然の一部なんだということを実感します。

絶対に忘れてしまってはいけない感覚ですよね。



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