お客様の幸せのために」カテゴリーアーカイブ

2013年、始動。

あけましておめでとうございます。
本年があなたにとって素晴らしい1年でありますよう、心よりお祈りしております。

年末になると、毎年素晴らしいカレンダーを贈ってくださる友人が2人いらっしゃいます。

お一人目は、滋賀県大津市在住のMさん。

Mさんが贈って下さるのは、万葉の世界を描き出した叙情的な
大変美しいカレンダーです。

(↓)ぜひクリックしてご覧下さい。
額田王と大海人皇子が互いに送った恋歌も書かれています

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このカレンダーは、万葉集の歌を題材にした味わいのある絵を、
草木染めの布の上に置いて作られています。
(実際のカレンダーは印刷です)

東風で木を伐採時期を決定するときには、伐り旬だけでなく
月齢(新月期)も考慮して決めているのですが、このカレンダー
には、毎日の月の満ち欠けの様子がイラストで描き添えられて
います。

僕が草木染が好きで、伐採時に月齢を気にかけていることを
知って、ここ数年毎年毎年贈ってくださるのです。

Mさん、どうもありがとうございます。
いつも大切に使わせていただいています。

もうお一方は、北海道で古民家再生に取り組む武部建設の武部さん。

武部さんが贈って下さるのは、北海道の自然と野生動物を写した
写真を大きく掲載したカレンダーです。

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                       題:雪浴(クマゲラ)

北海道は、僕が思春期を過ごした第2のふるさとです。

雪国の厳しさと、春を迎えた時の喜び、雄大な北海道の自然が
このカレンダーには納められています。

武部さん、毎年贈ってくださり、ありがとうございます。

どちらも東風の事務所内に吊って使わせていただいている、
大切なカレンダーです。

毎年、年末になるとこれらのカレンダーを架け替えて、
年が明けるとめくって使い始めるのです。

今年も本日、1ページめくりました。

今日はまだ僕が1人でゆっくり図面を描くくらいですが、
明日・明後日は京都と奈良でお客様との打ち合わせが
あります。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

伐採した桧を見に、今年最後の山へ/木造専門建築家、原木からつくる木の家

2012年、最後の現場です。
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2日間、静岡の山奥・葵区梅ヶ島へ行っていました。

目的は2つ。
今月中旬に林業家に伐採してもらった桧を見ることと、在庫の木材を整理することです。

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1日目。
夕方から雪が降り始め、茶畑もうっすら雪化粧。

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茶畑の脇に立つ栗の木。

秋にはたくさん実をつけた栗の木も、今ではすっかり落葉して
冬の佇まいです。

2日目の朝。

昨夜雪を降らせた湿度が山にまとわりついたのか、
あたりは朝から一面の深い霧。

すぐ目の前の木ですら、少し霞んでいます。

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ここの標高は約550m。
北東向きの急斜面・尾根付近に植林されている桧の山です。 

長谷川等伯筆・国宝 松林図屏風を思わせる雰囲気です。

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この桧が植えられたのは、今から約90年前。

地盤は割れやすい石交じりの砂地で、水はけが良く痩せていて
しかも北向き斜面なので、植物にとっては非常に育ちにくい条件です。

上の画像を見て頂くと良くお分かりになると思うのですが、樹芯
付近の年輪の幅が特に細かく、ほとんど数えられません。

この年輪の詰まり具合からは、植林後1020年のこの木が若い時に
とても苦労して育った木であることがよくわかります。

大事に大事に使ってあげないといけないなぁ・・・と
責任のようなものを感じます。 

 

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この桧は割と太くて通直だったので、根元の1番玉を使って
長さ7m×240×240の大黒柱を採ることにしました。

樹皮から見るところ、製材したら節は出てくる木ですが、
まっすぐ伸びた素直な良い柱になりそうです。


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先ほどの木の根元の部分を接近して写したもの。
年輪の詰み具合や木の太さがわかるように自分の手を
一緒に撮影しましたが、年輪の偏りもなく、とても素性の
良い木です。

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上の画像は、先ほどの木とは別の木ですが、この木は
根元付近の曲がりが大きかったので、化粧丸太梁として
使う予定です。

長さは7mで伐る予定。

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桧を育てるための人工林の中にも、広葉樹である
こんな楢(なら)の木が立っていました。

心ある林業家が、山のことを考えてちゃんと残したんでしょうね。
観ていてうれしくなりました。

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東風(こち)の家づくり youtubeチャンネル/和風、木の家、木造専門の建築家

東風でこれまでに撮った動画をyoutubeにアップしています。
(東風サイトのトップページにもリンクのバナーを貼りました)

ちなみに、今アップされている動画は以下のとおりです。

  ○ 人工林と天然林の違い
  ○ 土壁のつくり方
  ○ 化粧なぐり作業
  ○ 実大建物 振動実験
  ○ (原木の)製材
  ○ (原木の)玉切り
  ○ 新月伐採

興味のある方は覗いてみて頂けると嬉しく思います。
これからもボチボチ増やしていきますので、よろしくお願いします。

→ 木造建築 東風(こち)の Youtube チャンネル

天然林と人工林の違いを動画で見られます/木の家、和風モダン、木造建築東風

森林には、大きく分けて天然林と人工林の2つがあります。
東風は建築屋ですから、人工林(=針葉樹林)にはよく足を
運ぶのですが、天然林に行く機会は、実はそれほど多くありません。

人工林と天然林に優劣があるわけではなく、目的や役割が
違うのですが、天然林に足を踏み入れると、人工林には
ない自然のエネルギーというか、満ち満ちている生命力と
いうか、そういう目に見えないものをひしひしと感じます。

言葉でうまく表現できないのが残念ですが、来年の4/20(土)に、
標高1700m付近に広がる天然林(奥山)まで歩き、その場の
エネルギーを全身で感じてもらえるツアーを静岡市で行うことに
なりました。

当日は、現地の林業家が案内と解説をしてくださいます。
 

主催は日本民家再生協会(http://www.minka.jp/)です。
(木造建築 東風は企画・運営面で協力しています)

申込受付け開始は年明けになりますが、天然林と人工林の違いを
みなさまにご理解いただくためのビデオを作製したのでご紹介します。
もしよろしければご笑覧下さい。

ぜひ参加してみたい!天然林に行ってみたい!という方は
4/20の予定を今から空けておいて下さいね。
受付け開始したら、また改めてみなさまにお知らせします。 

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来年の年末から、東風のお歳暮は桧のまな板にします

唐突ですが、思いついたが吉日、ということで公約しておきます。

少し前から考えていたんですが、来年の年末から東風のお歳暮は桧のまな板にします。
あらかじめまな板用の木(ヒノキの幅広/柾目板)を製材しておかないといけないので、
残念ながら今年はできませんが、今シーズン伐採する桧から作り始めることにしました。

毎年、新しい桧のまな板で新年を迎えてもらえたら気分がいいだろうなぁ、と思いまして。
再来年のお正月、新しい桧のまな板で新年を迎えたい方は、どうぞこちら(↓)へ(笑)。

 30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2212年に言ってもらえる家

四条畷市/伝統構法・和風の家で薪ストーブの位置変更&美しい夜景

先週の土曜日は、5年前に竣工した大阪府四條畷市のT様宅へ1日行っていました。
以前からお使いいただいていた薪ストーブを別の位置へ設置し直すためです。
朝7:30から晩の20:30までずうっと現場にいたのですが、久しぶりにじっくりと家の様子を観ることができました。
特に夜景は今まであまりきちんと観たことがなかったような気がするのですが、いろいろと再発見がありました。

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作業の本題、薪ストーブの移設。
薪ストーブ屋さんは3人がかりで、何とか一日で仕上げてくれました。

今回のストーブに関する工事は、京都の京阪エンジニアリングさんが手がけてくれました。
まず煙突を外し、煙突の塗装がはげていた部分を塗り直し、新しく煙突を設置する位置で屋根に穴を開け、板金屋さんと手分けしながら煙突設置や防水作業を進めてくれました。

要所要所で僕も写真を撮ったり、作業をサポートしたりしながら監督していたのですが、同時に僕が外壁の杉板を張り直したり屋根の板張りをしていたので、板金屋さんからは「大工さん」と呼ばれるし(←面倒だからと否定しなかった僕も悪いのですが・・・)、なんだか不思議な立ち位置でした(苦笑)。

さて、そんなこんなで職人さんたちが作業を進めて下さっている間、ちょっと暇をみつけると、写真を撮りながらいろんなところを観ていきました。

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上の写真はリビング上部の吹抜けの入隅に設置した照明器具です。

当時、照明器具の作家さん(女性)に依頼して作ってもらった、つるを網んだような照明。
土壁に落ちる影がきれいでした。

実は吹抜けの四隅にそれぞれ異なったデザインの小さな照明器具を配置しています。
全て作家の方が考えてつくって下さったものです。

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リビング上部吹抜けの見上げ。
縦長の大きなまゆのような証明器具も、同じ作家さんの手によるものです。

各所に仕込んだアッパーライトが、幾重にも重なった木組みをほんのり照らして、いい具合に効いてました。

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今までまじまじと観た記憶がなかったような(恥)、玄関の夜景。
自分でお客様にご提案しておきながらこんなことを言うのもナンですが、なかなかいいなぁと思ってしまいました。

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2階から吹抜けに架かる梁ごしに観た階下のリビング。
梁は木曽の大工さんが提案してくれた、ヒバ(あすなろ)の太鼓摺りです。
普通、関西ではこのような丸太には赤松を使うことが多い(というか、8割以上は赤松)のですが、所変われば品変わるという具合で、

「ヒバでどうか?」

と大工さんから言われた時は、

「う~ん・・・、どんな感じになるんだろう・・・。
 想像できないけど、そう言って下さっているんだから
 一度ためしにやってみようか」

というような感じでしたが、これが大正解。
この物件をやってから、東風では丸太梁に桧を使うようになりました。

(↑さすがにヒバは関西では入手が大変)

これまで東風の現場をご覧になった方はご存知かもしれませんが、
赤松に比べると桧やヒバの丸太は表面の肌理が細やかで、上品な感じがします。

そしてなによりも、桧は乾燥が早い!
松よりもずう~っと早く乾きますから使いやすいし、入手しやすいのも助かります。

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無垢一枚板・松の座卓/京都数寄屋風の木製格子の家、木造専門建築家・東風

今日は、外構の打合せで尼崎のH様邸へ伺ってきました。

尼崎の家並みの中でぽつんと1軒、京町家みたいな家ができちゃったからか(→外観はこちら)、ご近所さんや散歩をされる方々の注目の視線がすごくて、窓の障子を開けられないので塀か植栽をしたい、と奥様が仰ってこられました。

最終的にどうするのか、についてはまだこれから打合せをして検討していくところなので、また改めてご紹介しますが、今日はH様宅の座卓を写真に撮ってきましたのでご紹介します。

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ちょうどお子様が勉強をされていたので、一緒に撮らせてもらいました。

この板は国産の松の赤身だけで採った一枚板ですが、ご覧のように中央付近に
割れがあったり、節があったりするので、銘木屋さんが格安で分けてくださいました。

分けてくださったのは、いつもナグリや面皮柱などでお世話になっている、
京都の中儀銘木店さんです。

中儀さんの倉庫に数十年寝ていたものだそうで、充分枯れて(=乾いて)
いたんですが、それでもさすが松なので、この1枚だけでもかなり重いです。

天板の大きさは 板巾800mm × 長さ1600mm 厚み30mm

脚はこのH様宅の解体前のお宅で使われていた、モアビの大きな敷居を
製材し直して小割にしたものを使いました(↓)。
モアビも赤みが強い色合いなので、松の赤身とよく合いました。

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一番玉の木で、根杢が強くて鉋で仕上げるのが大変だった、と大工のヒロシ君が
言っていましたが、とてもいい座卓になってよかったです。

この木も僕が初めて会った時はすでに板材になってしまっていましたが、原木の
時は直径が軽く1mは超えていたでしょう。

原木の姿も観たかったなぁ・・・と思いましたが、いい形で新しい道を歩み始める
ことができて、木も喜んでくれていると思います。

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サクラノセイメイリョク

最近、また早朝の散歩をはじめています。

自社施工現場が動いている時は、どうしても気持ちに余裕がなくなって
散歩に行けなくなってしまうのですが、今は自社施工中の物件が無いので
落ち着いて散歩に行けます。
( ↑ いいのか、悪いのか・・・苦笑)

事務所のすぐ近くにある公園を一周してくるのが僕のお決まりの散歩コース
ですが、この公園は池をとりまくように桜の木がたくさん植えられています。

春はもちろん満開でたくさんの花見客が来られますが、実はサクラは落葉の
時期にも紅い葉をつけて美しい姿を見せてくれます。

今日は紅葉しているサクラを撮りたいと思ってカメラを片手に歩き始めたところ、
落葉ももちろん美しかったのですが、ある1本の桜の姿に感銘したのでご紹介します。

これです(↓)

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この桜、一目見てお分かりのように全然きれいな形ではないです。
というよりむしろ、はっきり言って不細工です。
(ごめんね、さくらくん)

でも、3本に枝分かれした幹の全てを伐られてしまっても、まだその脇から新たな
枝を出して天へ伸びていこうとする、その生命力に打たれました。

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よし、頑張ろう!と元気をもらった気がします。

ありがとう。
頑張ってね。

  あなたはどちらが好きですか?

 30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2212年に言ってもらえる家

奈良県御所市・平屋建て古民家の軒灯篭/木造専門の建築家(和風・モダン)

今朝早く (といっても、僕は毎日早起きなのですが)、何気なく過去に撮りためた
写真を眺めているうちに、
「おっ♪」
と発見してしまいました!

(↑というより、撮ったことを忘れていました・・・反省)

奈良県で大分以前からご相談に乗ったり調査に伺ったりしている、
築200年以上経過したN様のお宅にて。
( ↑ もちろん、今も現役で住まわれていますよ)

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これは離れ座敷の入側 (縁側と言った方がわかりやすいかもしれませんね) の
軒裏を写した写真ですが、軒裏に鉄製の軒灯篭が吊られています。

この灯篭には電気の配線が無いので、この軒灯篭はろうそくを灯して使うもののようですね。
配線が見えなくてすっきりと納まるのでとてもいいなぁ・・・、今度古道具屋さんへ行ったら
こういう軒灯篭を探してこようかな、なんて眺めていたら・・・ん?

よ~く観ると、軒灯篭を支えてくれていたのは(↓)

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なんと2匹のテナガザルでした。

いやぁ~かわいらしくていいですねぇ。
Nさん、これからも大切に使っていって下さい。

画像が荒れていてすみません。

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天然乾燥中の国産木材/木の家・和風・木造専門の建築家

金・土の2日間は、いつも大変お世話になっている兵庫県三田市の西本製材所さんへ行っていました。

昨年末から今年にかけて伐採した原木を6月に製材し、桟積みして西本製材所さんの敷地内に置かせてもらって天然乾燥させているのですが、今までは木のアクを抜く目的もあって屋根を架けず、雨ざらしにしていました。

現場も竣工して少し時間もできてきたし、そろそろ屋根をかけようということでようやく作業に取り掛った次第です。

屋根、と言っても切妻のような三角屋根ではありません。
金属製の波板を材料の上に載せ、風で飛ばされないよう固定するのですが、波板を打ち付けるための木下地を組み立てたり、それを材料の上に載せたりと結構いろんな作業があります。

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土曜日一杯で、全ての材料に屋根を全部架けるつもりだったのですが、ちょっとだけ残ってしまいました。
もう1日、現場へ行って作業をすることになります。

上の写真は土曜日の作業完了時の様子。

板類はもうすでにいつでも使える状態です。
構造材も、木によっては使えるものもありますが、まだまだ乾燥が必要なものが多いです。

天然乾燥(特に杉)はどうしても時間がかかりますが、仕上がったときはとてもいい感じに仕上がるし、お客様も木も喜んでくれるように思うので、人工乾燥材は極力使いたくありません。

特に東風から林業家に直接依頼して仕入れる原木は、絶対に人工乾燥させないと決めています。

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