樹齢

ここ数日、ようやく早朝の散歩ができる余裕がでてきて、できる限り散歩に出かけるようにしています。

毎朝散歩に出かけて目に止まるのは、僕の散歩コースになっている公園の中の桜の木の変化です。

すでに葉を全て落として枝だけになっている木がほとんどですが、まだ半分くらい葉を残している木もあり、木もそれぞれ個性があるなぁ・・・というようなことを感じつつ、テクテクゆっくりと歩きます。

僕が歩いている瑞ヶ池公園の中には老齢の桜の木はないのですが、樹齢20年前後と思われる木々と、50年前後と思われる木々が目に付きました。

散歩をしていると脳が活性化するのでしょうか、以前観たモノ・コトの記憶がフラッシュバックしてくることがしょっちゅうあるのですが、昨日も桜の木を見ていて若い木と古い木(年数のいった木)ということについて感じたことを思い出しました。

建築資材として使う針葉樹は、若い木であれば樹齢40年前後から出荷されます。
産地や生育条件によっても異なりますが、一般に樹齢40年くらいの木ではまだ若すぎて、柱くらいにしか使えません。
このくらいでは若すぎて、まだ(出荷用材としては)伐りたくないな、というのが本音です。
まだまだ木ができていない、という感じです。

樹齢60年くらいになってくると、同じ柱用材としても少し格が上がってくるとでも言いましょうか、赤身も張ってようやく少し落ち着きが出てきます。
人間で60歳と言えば、もうそろそろ第1線からは退くような年代になりますが、木としてはまだまだこれからが本番という感じです。
4寸角程度の柱として使うのには、ちょうどこのくらいの樹齢が使い易いですね。

そして樹齢80年-100年くらになるとようやく伐りごろという感じになり、表情も頼もしい感じになります。
人間で言うと50歳前後の感じかな。

そこから先は120年、150年、200年、300年とだんだん風格が出てくるのですが、このあたりの感覚はなかなかお伝えするのが難しいですね。
写真をお見せしてもきっと伝わらなくて、やはり実物を目の前にしないとわからないと思い、今回のお話ではあえて木の写真を使いませんでした。

普段から林業家とよく話をしたり、一緒に山に入ったりしていると、やはり彼らの想いが言葉の端々や行動・姿勢などからにじみ出てきます。

100年生以上の古い木を日常的によく扱う林業家と接していると、やはり東風としてはこういう人たちの想いを活かしてあげられるような家づくりをし続けていかなければいけない、と強く思います。

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なんだかすごく伝わりにくいことを書いてしまって恐縮なのですが、でも日本の林業のためにはこういうことを1人でも多くの皆様にご理解頂きたいと常々想っています。

来年からは、こういうことをみなさまに実感して頂けるような機会をもっと積極的に提供していくつもりです。

まずは来年2月ごろに行う予定の製材の見学会がそれに当たるかなと思いますが、その前に12/11(土)-12(日)明石市K様邸の完成見学会でも、樹齢110年の大黒柱を見ることができます。

ぜひご参考になさってみて下さい。

あなたはどちらが好きですか?
30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2210年に言ってもらえる家
 

2 thoughts on “樹齢

  1. 南会津とんぼ

    本当にそうですね。
    何かと、価格競争、安売り競争ばかりに注目が行きがちですね、今の日本。
    でも、「きちんとした」仕事をされている方を、真面目に応援していかないと、どの分野でも、「本物」が無くなってしまいますね。
    「使い捨て」より「愛着を持って使い込む」です。
    家も、何世代にわたって、修繕しながら住み繋ぐ文化が残ってほしいなあ~。
    佐藤さん、がんばってください!!

    返信
  2. さとう

    とんぼさん、こんにちは。
    とんぼさんのブログ、毎日楽しく拝見していますよ。
    コメントありがとうございます。
    今回は林業関係者のことを採り上げましたが、材木屋さんにも応援したい人がたくさんいるんですよね。
    みなさん厳しい経営状況の中、奮闘されています。
    荒波に翻弄されないように、しっかり心に羅針盤を持って舵を取らないと・・・と昨日もある材木屋さんと話をしながら決意を新たにしたところです。
    応援して下さり、ありがとうございます。
    ご期待を裏切らないよう頑張ります。

    返信

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