11/21(火)に新月伐採を実施します【見学可能】

梅ヶ島

11月21(火) に、静岡市の山奥・梅ヶ島(うめがしま)という所で樹齢100年超の杉の木を新月伐採します。
↑11/21は新月(しんげつ)の日です。

僕のいとこが静岡で林業家として活動しているのですが、昨年彼の森がSGECという森林認証制度の認定を受けました。
その彼の森で、新月の日に樹齢100年超の杉の木を伐採します。

樹齢100年超というと、西暦1800年代末期に植えられた木です。
明治維新後ちょっと経過したあたりの時代ですね。

新月の日は、地球と月の位置・引力の関係から、木材の中の含有水分量(含水率と言います)が一番少なくなります。
その含水率が一番低い時を狙って伐採すれば、乾燥しやすく、腐りや虫の害なども少ない良質な木材が得られる、と言われています。

今回伐採する木材は、伐採後来年の2月ごろまで山で葉枯らし(はがらし)乾燥+天然乾燥させ、来年の秋以降にうちで設計させていただく家を建てる方に使っていただくための柱または桁用の木材に充てます。

葉枯らし乾燥というのは、伐採後、枝や葉っぱをつけたままで山に2~3ヶ月放置し、木材の中の水分を自発的に抜かせて乾燥させるやり方です。
伐採された後も葉っぱがついたままだと、木材は葉っぱを通じて呼吸し、木材中の水分を少しずつ吐き出していきます。
それと同時に根っこから水分を吸い上げようと頑張るのですが、伐採されてしまうと根から水分を吸い上げることができないため、木材中の水分は抜ける一方。
それで少しずつ木材が乾燥していくというわけです。
(こう書くと、ちょっと残酷な感じがしますね)

最近は納品・工期短縮(=効率化)のため、葉枯らし乾燥が行われるケースは稀です。
通常は伐採直後に枝を落とし、幹をぶつ切りにして麓へ降ろし、製材した後、80℃~130℃の人工乾燥炉に入れて2~3週間で強制的に木材中の水分を抜いて木材を使います。
この工程を木材の人工乾燥といいます。

この人工乾燥に対して、時間をかけて(最低1年以上)ゆっくりと乾燥させる方法を天然乾燥(葉枯らし乾燥は天然乾燥の過程の一つ)と言いますが、天然乾燥させると本来の木の色艶がそのまま残ってとても美しい木材が得られます。
人工乾燥させると、どうしても日焼けしたような色になってしまって、少し木が黒ずみます。
並べて比べてみると、その差は一目瞭然です。
まぁ、なかなか比較して見る機会が無いので、実感していただくのはちょっと難しいのですが。

人工乾燥すると、木の脂分が抜けます。

乾燥過程を終えた後の人工乾燥炉に実際に足を踏み入れてみるとわかるのですが、乾燥炉の床は木から抜け出した脂でヌルヌルしています。
そして人工乾燥された木材を実際にのこぎりで切ってみたり、のみで刻んでみるとわかるのですが、人工乾燥された木材はサクいというか粘り気がありません。

一般には、人工乾燥による強度低下・耐久性の低下は全く問題ないとされていますが、僕はちょっと懐疑的なスタンスです。
(↑こう言う人たちは、僕だけではなくかなり多くいらっしゃいます)

と、前置きが長くなってしまいましたが、実際に自分の現場で使う木材は、3年以内(2009年秋以降)には全ての構造材を新月伐採 + 天然乾燥材100%でやりたいなぁと考えています。
それに向けた準備・実験として、今月末の新月の日に伐採をすることにしたわけです。

今年切った木材は、来年の秋まで乾燥させて、太さ8寸角・長さ6mの通し柱や、長さ9mの一本ものの桁として使うつもりです。

伐採には静岡のスタッフのみなさんのご協力が必要なこともあり、残念ながら平日の実施となりますが、もし立ち会いたいという方は見学していただくことができます。

見学をご希望される方は、さとう(info@mokuzo-architect.jp)まで
【新月伐採見学希望】と書いてメールを送って下さい。

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5 thoughts on “11/21(火)に新月伐採を実施します【見学可能】

  1. 応援団のK

    佐藤さんこんにちは、やっと体力回復しました。
    新月伐採・・・期待しています。
    製材した時の分止まりには影響がないのですか?

    返信
  2. さとう

    Kさんコメントありがとうございます。
    体調崩されていたんですか?
    お大事に。
    歩留まりの問題など、不透明な部分だらけです(笑)。
    なにせ自分のお金で原木を買うのは初めてですから。
    でも、とりあえず自分でやって失敗もしてみないと何にも前に進みませんので。
    今年は半ば実験みたいなもんですね。

    返信
  3. 応援団のK

    エッ? 自分の資金で買うんですか? 凄い!
    実は、親父は終戦直後に山を買って、(土地ではなくて山に生えている木を全部買うのです)伐採して製材所に売る仕事の方が儲かるからと、そんなことをしていました。 ある日、索道(知っていますよね。ロ-プウエイの荷物バ-ジョン)での作業中に谷底めがけて落下して、九死に一生を得た運の強い人なんですが、とにかく、親父から色々聞いています。
    早い話が、木も目利きで無いといけないそうで、ある意味バクチなんだそうですよ。
    体力が激減した原因は、もちろん、あの「お祭り」です。
    栄養ドリンクを50本入りの大ケ-スで買って来て飲みほしました!

    返信
  4. さとう

    木を買うのに目利きとしてのの能力が必要だということは良くわかります。
    僕が独立するまで勤めていた工務店の社長は、原木買いする人だったので、一緒に製材の現場に立ち会っていましたから。
    どの木を買うか?ももちろんですが、
    どこに鋸を入れるか? また、
    どんな大きさ(巾・厚み)の木材をいくつ木取りするか?
    によって、製材後の木材の価値は全く違ったものになりますね。
    おっしゃる通りある意味バクチですが、とてもスリリングです。

    返信
  5. 応援団のK

    スリリング・・・製材所でのことは矢野棟梁(顔わかりますよね?)から聞いています。
    原木の丸太を挽くのに西条では1時間1万円するんだそうで、ぐずぐずしているとすぐにコストに跳ね返るんですが、でも、納得の挽き方をしたいのでジレンマがあるそうですね。

    返信

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