畳の縁

8/22(日)の午後、飛騨市での研修を終えた後に、1人で高山市に行き、久しぶりに吉島家住宅(国指定重要文化財)を見学してきました。

吉島家は築年数こそさほど古くはない(築後約100年)のですが、木造建築の世界では最高峰の完成度を誇る住宅建築として大変有名な建物です。

その上、どれだけハイシーズンに行ったとしても、ほとんど見学者がいない、という点も特筆すべきですが(笑)。



僕が初めて吉島家を見たのは、今から18年前のことです。

正月しんしんと雪が降る中を、3日間朝から晩まで通いつめて、震えながら主な座敷を隅々まで実測したり、スケッチをしたりして自分なりに調べました。

それからも何度か吉島家を訪れていますが、何回行ったかは忘れました・・・。



久しぶりに訪れた吉島家では、いくつかネタになりそうなものがあったので、数回に分けてお話したいと思います。

今日は畳の縁(へり)について書いてみます。



下の写真は、吉島家の2階の一番奥の座敷の畳の縁です。

何の変哲もない縁ですね(↓)。


畳の縁


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



最近は和室のない家が増えているので、設計していても
「畳の縁の色・柄をどうしますか?」
と聞く機会も減りました。

しかし、畳を入れるお宅で畳の縁のサンプル帳を持っていくと、おとなしいグリーンやグレーの薄く柄の入った縁を選ばれ、「どっちにしようかなぁ~」と悩まれるケースが多いです。
きっと、マンションなどで一般的に使われている畳の縁が、グリーンとかグレーの柄入りのものが多いのがその原因でしょうね。



そこからいろいろとお話をして色や柄を決めていくのですが、僕がおすすめする色は大体決まっていて、黒無地、こげ茶無地、黄色無地のいずれかです。

でも圧倒的に黒無地が多いですね。
特に茶室などでは、まず黒です。
柄の入った縁は、まずお薦めしません。

理由は単純で、部屋の空気が締まらないから。



黒/こげ茶の選択は、床柱や床脇などの材料との取り合わせや、使われる予定の座卓、隣接する部屋との連続感や目的などから総合的に判断して助言を行います。

黒や茶だと縁の存在感が強すぎて馴染まない、という方には黄色の縁をお薦めします。

理由は、黄色の縁だと使っているうちに畳表が日に焼けて、縁の色とイグサの色が近くなってくるからです。



最近は床の間を持たない、座敷というよりは畳ルーム、みたいな部屋を作りたいというケースも多いので、そういう時は縁無しの畳(琉球畳)を所望される方が多いですね。

実は琉球畳の表はただ単に縁がない、というのではなくて、普通の畳表とは織り方も目も全く違います。

で、普及価格帯の畳の価格と比べると、同じ面積で普通の畳の約3~4倍くらいになります。
琉球畳の方がずっと高いのです。

これを言うとみなさんビックリされますが、実はそうなんですよ。



畳の話は、実はもっともっとたくさんあるのですが、尽きなくなってしまうのでこの辺でやめておきます。

明日は吉島家で見た別のネタをもとに書いてみたいと思います。



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