地震被災民家修復支援への取り組み

昨日、東京都内で日本民家再生リサイクル協会の理事会があり、出席してきました。

今回の理事会ではいろいろ重要な議決事項があったのですが、その中の一つとして現在準備をすすめているプロジェクトに 『地震被災民家修復支援』への取り組みがあります。

阪神大震災に始まり、中越での地震、能登の震災など、ここ十数年で非常に大きな揺れを伴う地震が頻発しています。

これらの地震は、建築基準法上で言うと『極めて稀に(数百年に1度)起こる地震』と規定されています。



大きな地震が来ると建物はそれ相当のダメージを受けるわけですが、同じ木造住宅建造物であっても、在来工法型のものと伝統構法型の建物とでは根本的に構造が違うので

○ そのダメージを受けた建物を修復して使っても良いのか?
○ それとも危険なので壊さないといけないのか?

という判断を下す基準は全く異なります。



しかし、現在建築士会などによって広く行われている応急危険度判定と言われる判断基準などでは、在来工法型木造建築物と伝統構法型木造建築物とを「双方とも同じ木造建造物」だとひとくくりにされてしてしまっているケースをよく見かけます。

伝統構法型の民家がちょっと傾いただけで
「危険。倒壊の危険性があるので建物から避難してください」
という趣旨の紙が貼られてしまって、本当に安全か危険かの詳細な検討がなされないうちに歴史の深い伝統的な建物が解体処分されてしまうということが起こっています。

本当はまだ使えるはずの伝統的な民家を1棟でも多く救って残していこう、そのために必要な専門知識をもった経験豊富なスタッフを震災直後の被災地に迅速に派遣して、被災地の皆様の支援をしようという仕組みの整備が、今協会内で議論されています。

震災被災地では日々の生活に困られる方も多くいらっしゃるので、民家を残すための支援というのは本当に微々たるものかもしれませんが、協会に関わるみなさんの豊かな経験と特殊な技能を活かした社会貢献を実現する制度として、社会の役に立てるといいなぁと思います。



誤解の無いように申し上げておくと、我々の協会では安全かどうかの調査・判断をして、どのくらい費用がかかかるとかどんな方法での修復が必要なのか?というような相談を受けるのみで、その後の実際の工事などは地元の方に引き継いでもらってください、というスタンスで支援を行います。

「うちで被災住宅を直します」、というような営利目的で現地に乗り込むのではありません。

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