新月伐採(材)の誤解

あなたは「新月伐採」という言葉をご存知でしょうか?

この新月伐採の効能について誤解されていることが多いなぁ、と感じることがたびたびあります。

一般の方(←専門家以外という意味)ならいざ知らず、林業関係者や材木屋さんなどの木の専門家と話をしていてもそういうことがたびたびあるのです。
そこで、新月伐採についての基本的な事柄を簡単にお話してみたいと思います。



【Q1 新月期に伐ると、満月期に伐った木よりも木の中の水分が少ないの?】

これが一番多い誤解です。

よく言われているのが、
「月・地球・太陽の位置関係によって赤道付近に引力が偏り、木の中の水分が少なくなる」
という説明ですが、そんなことはありません。

満月期/新月期の木の中の水分に変化がないことは、いろいろな試験で実証されています。



【Q2 新月期に伐るといい木材ができるの?色艶も変わるの?】

新月期に伐った木材は割れにくい傾向があると言われていますが、絶対に割れないわけではありません。
普通に割れます。

新月期に伐ると、木の色艶が良くなるということもありません。
色艶は主に伐り旬(きりしゅん)という時期(※)を選んで伐ると、いいものが得られやすいようですが、新月期に伐ったからといって特別に色艶が良くなるわけではありません。
※伐り旬は一般的に10月下旬~1月ごろとされています



【Q3 木材は新月の日に伐ればいいの?新月なら1年中いつでもいいの?】

これまた違います。

新月伐採というのは新月の日に伐るわけではなく、下弦の月(下方向に弓なりになった三日月の状態)から新月の前日までの約1週間に伐ることをいいます。
この下弦の月~新月の前日の期間を【新月期】と読んでいます。

そして1年に新月は13回ありますが、そのうちの11月から2月にかけての新月期のみを選んで伐採するのが良いとされています。

 

新月期なら1年中いつでも良い、というわけではないのです。

さらに新月伐採で重要なのは、伐採時期だけではありません。
実は伐採時期と同様に、「伐採後に4ヶ月間葉枯らしすること」がとても重要です。
葉枯らしをしないと新月伐採の効果は得られません。



【Q4 新月伐採材は腐りにくいの?】

新月伐採材の最大の特徴は、「カビ・虫・腐りなどの害を受けにくい材になること」です。
新月期に伐られた後、木の中に残された養分(主にブドウ糖=でんぷん質)は葉枯らしすることで光合成によってゆっくりと消費されます。

ここが新月材の最大の謎なのですが、伐採時には満月期/新月期の材中に残存している養分にさほど大きな違いはないのにもかかわらず、約4ヶ月の葉枯らし期間を過ぎると、両者の違いが鮮明に出るのです。
(ヨウ素溶液反応などの実験により科学的に実証されています)

つまり、
〇 新月期に伐り→葉枯らしを行った木材中には、
  でんぷん質などの養分がほとんど残っていないのに対し、
● 満月期に伐り→葉枯らしを行った木材中には
  でんぷん質などの養分が残ってしまっているのです

でんぷん質=カビ・虫などの餌です。
よって満月期に伐った木材は害を受けやすいのに対し、新月材はこれらの害を非常に受けにくいということが言えます。

ここが新月材の最大の特徴です。



特別な薬品(防腐剤など)を使うことなく、エネルギーも浪費せずに、木の生命力をうまく利用して、腐りにくく虫害を受けにくい木材に仕上げる。
こういうスタイルは、今後多くの人に広く受け容れられていくだろうと思いませんか?

新月材のメカニズムが全て解明されるまでには、物理学の新しい理論の確立を待たねばならないらしく、あと2-3年かかるようです。

現在は否定的な見方をされる方が圧倒的大多数ですが(笑)、僕は直感的に正しいやり方だと感じています。

あなたはどう思われますか?

 

 

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