センスのいい大工さん

世の中はGW真っ只中ですが、西宮市内で現在進行中の現場(M邸)では、GW期間中も毎日現場で大工さんが仕事をして下さっています。
(↑毎日毎日お疲れさまです。
  そして近隣の皆様、あらかじめお断りしたとは言え、
  連日お騒がせして申訳ありません。ご理解ご協力深く感謝申し上げます)

この現場の木工事をお願いしているのは明石市の大工さんで、西田さん(西田建築工房)という方です。
仕事をお願いするのは今回で2回目です。
前回は神戸市内でのリフォーム、今回は住宅新築工事の大工手間請けをお願いしました。

僕が独立した後にこれまで関わりを持った大工さんはおよそ20名くらいだと思います(それ以前に勤めていた工務店の時を含めると合計50名くらいかな?)が、西田さんはその中でもトップクラスのいい職人さんです。
いい大工さんと知り合ったなぁ、と内心とても喜んでいます。

どこがいいのか?
一言で言うと、【センス(または勘)がいい】のです。

僕が大工さんに期待する能力は以下の3つです。

1. ムクの木材を見る目・使うセンスを持っていること
  ※この場合の【センス】とは洋服のセンスなどとはほぼ無関係です
    木材のどの部分を選んで使うか、どの面をどう見せるか、
    どういう方向に向けて使うか、というような勘所がわかる
    ということです
2. 材料を無駄に扱わないこと
  (小さな材料も簡単に捨ててしまわずに、大切に使う)
3. 現場内をきれいに維持して仕事をしてくれること
  (廃材をごみ袋に入れる時、分別してくれることも含む)

この3つを同時に兼ね備えている大工さんは滅多にいないのですが、西田さんはその滅多にいない大工さんの一人です。

最近の大工さんで一番多いのが1.の能力が無い職人さんですが、そういう大工さんは仕事を見なくても話をしただけですぐにわかるので、よほどの事情が無い限り今後も僕から仕事をお願いすることは無いと思います。
(だからあまり僕の知っている大工さんの中にはこういう人はいません)

なかなかできないのが2と3です。

職人さんはプライドを持って仕事をする人たちなので、とにかく横から口を挟まれることを一番嫌がります。
自分の思うように仕事をしたいわけです。

で、そのような環境を整えてあげる(=口を挟まない)と、大工さんは気分良く仕事をしてくれるわけですが、放っておくと現場が一向に片付かなかったり、ゴミだらけになったりします。
どこまでこちらがサポートするか、どこまで口を挟むか(そしてどう伝えるか)、というさじ加減が現場監督としてはとても難しいところなのですが、やはり現場が雑然としていると、いい建物には仕上がりません。

僕のこれまでの経験で言うと、大工としての腕がいい(仕事がていねい)、という人はかなりたくさんいます。
こういう人を探すのはさほど難しくありません。

でも、一流の職人というのは腕がいいだけではありません。
センスが違います。
(前の会社の僕の上司も、いつも同じことを言っていました。)
センスがある大工か、そうでないか。

「センスって何やねん。
 そんな説明ではわからんぞ」

と言われそうですが(笑)、一流の職人を知っている人にはわかると思います。
無理やり説明しようとすると、上記の1~3が全てできる人、と言うしかありませんが。
(実はもっともっと深いところがありますが、それはここで表現しきれません)

これは何も大工だけに限った話ではないので、自分にとっても耳の痛い話です(笑)。

【他人の振り見て我が振り直せ】

ですね。

念のために書き添えておきますが、今回僕があなたにお伝えしたかったのは、
「昨今、センスの無い大工が多い」
という批判ではありません。
(そんなことは、わざわざ口に出して言う必要の無いことですよね?)

そうではなくて、
「今お願いしているのが、とてもいい大工さんなんですよ!」
ということを敬意を表してお伝えしたかったんです。
だから、記事の題名は 【センスのいい大工さん】。

その点だけはお取り違えないようにお願いします。
(まぁセンスのいい人には、↑こんな説明自体不要でしょうが)

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世界に、300年先も美しい風景を

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