傑作ができる機会

今日、新築の計画案を持って神戸市北区のクライアント(以下Sさん)のご自宅へ打合せに行ってきました。

Sさんに図面を描いてプレゼンテーションするのは今回が初めてでした。
(これまでに何度かSさんと会った際には、話を聞いたり現場を見ていただいたりというところで止まっていたのです)

今週僕はとにかくバタバタしていて、体調もあまり良くなくて、プランを練る時間も極々限られた時間だけしかとれませんでした。
しかし、Sさんご夫妻の要望を整理して頭に叩き込み、敷地の特性を活かしたプランを作ることに集中すると、自分としては過去最高の出来と断言できるほどのいいプランができました。

そして今日、プレゼンテーションを行ったところ・・・。
何と!
初めての提案図面でプラン(基本的な間取りや建物の形)が決まってしまったのです。
僕にとってこんなことは初めてでした。
Sさんご夫妻も今回ご提案したプランを大変気に入ってくださった様子で、

「テレビの位置とか、食器棚の位置とか、細かいところは少し調整していかないといけないけど、基本的にはこのままのプランでOK。
この家は楽しそう♪」

と言ってくださいました。
(Sさん、どうもありがとうございました)

帰りがけに車を運転しながら、

「どうして今回のSさんの家のプランは、こんなに早く決まったのだろう・・・?」

と考えてみました。
通常、基本プランが決定するまでには、2~3ヶ月で延べ5~6回の打合せを要します。
(↑僕の場合は、です。全ての建築家が必ずしもそうだとは思いません)
すると、いくつかSさん特有の条件が重なったことがその理由ではないか?と思えてきました。

それは、

 ○ 夫婦間で、家づくりに対する自分達の考えを、よく話し合っていて、
   各自(夫・妻)のこだわりや希望を、お互いがきちんと認識し合っている
 ○ 上記のような話し合いを重ねてきたことにより、自分達の家に必要なもの
   と不要なものをはっきり認識していて、家の機能や間取り決定に対する
   優先順位が非常に明確になっている
 ○ 夫・妻2人とも家づくりをとても楽しんでいる

というものです。

おそらくこの家は、僕にとっての最高傑作の一つになると思います。
まだ始まったばかりですが、今からとっても楽しみです。

コルビュジェが彼の代表作・ロンシャン教会の図面を4日で描き上げたというのは建築設計業界では有名な話ですが、確かに傑作というものは考え抜いて時間をかけまくって作ればいつか出来る、というものでもないなぁとも思いました。
(そうやって出来る場合も、確かにあると思います)

でも、優れた建築(←図面ではありません。実際の建物です)というのは時間と手間と情熱をかけなければ決して出来ません。
(お金をかければいいものが出来る、などということは絶対にありません)
Sさんの家はまだまだ始まったばかりですので、これからどれだけ煮詰めて味わい深いものに育てていくか、が大事です。

Sさん、貴重な機会を与えてくださってどうもありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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世界に、300年先も美しい風景を

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