【木の家-5】 災害防止と森林~その2

昨日の続きです。
(今日初めて読まれる方は、下に投稿してある昨日の記事を
まず読んでからにしてくださいね)

昨日は国産木材よりも外国産木材の方が安いので、現在日本国内においては、安い外国産木材の方が多く使われている、ということをお話しました。
すると


下記のような現象が起きてきたのです。

(外国産木材に比べると)国産木材の方が高い

↓  ↓  ↓

国産木材が売れない

↓  ↓  ↓

林業が事業として成り立たなくなる

↓  ↓  ↓

廃業する林業家が増える

↓  ↓  ↓

山に手を入れなくなる

↓  ↓  ↓

山が荒れる
(間伐をしなくなり、大きな木が育たなくなる。同時に、枝打ちをしなくなるため、商品価値の低い木材が増える。)

では山が荒れ、大きな木が育たなくなるとどうなるのでしょうか?

山には大きな木が広く・深く根を張ることで、地中に空気を多く含んだやわらかい土が育つようになります。
すると、保水力(山に水を蓄えておく力)が上がり、大雨が降っても河川が簡単に増水するのを防ぐことができます。
山の斜面で受けた雨水を、山がいったん吸収(保水)し、少しずつ河川に流していく、
ということを山が自然にやってくれるからです。
しかし、放置された山はこういう保水機能が低下してきます。

すると大雨が降ったりしたときに、簡単に土砂崩れが起きたり、地すべりが発生したりするようになるのです。
事実、昨年秋に甚大な被害をもたらした台風23号がやってきた際には、
兵庫県豊岡市近隣の山で何ヶ所も地すべりや土砂崩れが発生しました。
円山川の堤防が決壊した原因がこれだとは断定できませんが、
その影響は少なからずあるのではないかと思います。

自然災害で経済的にも打撃を受けるのは、個人はもちろんのこと、自治体も大変な負担を強いられます。
これを未然に防ぐための一助となり、林業家の廃業を食い止めることができれば、
同時に地域経済の活性化にもつながります。
2006年度に兵庫・奈良・滋賀各県で導入される予定の森林環境税の課税には、
こういったウラの事情もあったのです。

現在、国内の林業家の方々は非常に厳しい経営状態に苦しんでいます。
しかしこれからは、これまでのように

「安ければいい」

という基準だけで商品を選ぶのではなく、

「自分が今この商品を買うこと(お金の使い方)が、社会にどのような影響をあたえていくのか?」

ということも考えながら、お金を使っていこうという考え方が広がってきています。
市民バンクが増えていることなどもその動きの現れですよね?
国産木材をどんどん使うようになって、林業が活性化すれば、それは長い目で見ると
自分たちの生活を災害から守ることにもつながるのです。
そして何より、やはり国産木材で(それも近くの山の木で)建てる”木の家”は、
香りもよくとっても気持ちがいいものです。

あなたが今回の記事を通じて、ちょっと山や木のことに関心を向けていただけたらすごく嬉しく感じます。(さとう)

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世界に、300年先も美しい風景を

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