ようやく落ち着きました

こんにちは、さとうです。

すっかり更新が滞ってしまいました。
なんと1ヶ月更新なし!
このブログ始まって以来のワースト記録ではないかと思います。
大変失礼致しました。

現場が2つ(大阪市内と奈良市内で)完成して、ようやく少し落ち着きましたので、今後はちゃんとこまめに更新していきます。
どうぞよろしくお願いいたします。


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上記の写真は神戸市内で工事中の現場です。

4月下旬に上棟した後、急に多くなった雨に泣かされて工事が遅れてしまいましたが、約1ヶ月かかってようやく屋根仕舞が完了しました。

今日は現場でシロアリ予防工事を行っております。
うちで防蟻工事をいつもお願いしているのは、阪神ターマイトラボの水谷さんです。
良心的な価格と、高い安全性(※)と提案力に高い信頼を寄せています。

阪神ターマイトラボさんでは、薬剤の使用量を可能な限り少なく抑えるだけでなく、薬剤を使う場合であっても人間が食べても安全な構造の薬剤を使ってくれるなど、一味違う専門家です。
また、薬剤に頼らない防蟻方法の提案・コンサルティングをも行ってくれるので、大変頼もしい存在です。

本日上棟です

このところ、あまりの激務でスタッフ共々フラフラです(苦笑)。
ブログが更新できず、完全に止まっていました。
すみません。

現在、奈良市・大阪市・神戸市と、3つの現場が同時進行中です。
上記以外に設計物件も4件動いているので、お待ちいただいているクライアントの皆様には大変心苦しく思っております。
大変申訳ありません。

GW明けまではこの状態が続きますので、これからは当面の間、文章量を通常よりもかなり減らして更新していくようにします。

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昨日(4/16)より、神戸市内で建て方作業が始まりました。
築40年の既存建物を一部残した計画です。

本日は上棟です。 

100年後かな、それとも200年後かな

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上の写真は、3/31に静岡市内の山中に植えた、樹齢2年の杉の苗木です。
3/30-31の2日間は、東風スタッフ総出で静岡へ行っていました。 

1年前に竣工した、京都市・N様邸に使わせていただいた杉の木の多くはここから伐採したものなのですが、そのN様ご夫妻が新しい苗木を植えに京都から静岡まで足を運んで下さいました。

今回植樹して頂いた現場は90年生の杉が主に残っている林で、3年前に間伐によって一部の木を出材しています。

現在は樹齢90年の杉と、樹齢2年の苗木とが共生している状態の林になっているわけですが、これから50年、100年と経過したら、

2011年(現在)  ・・・樹齢90年 と 樹齢2年
2061年(50年後)・・・樹齢140年 と 樹齢52年
2111年(100年後)・・・樹齢190年 と 樹齢102年
2211年(200年後)・・・樹齢290年 と 樹齢202年

ということになりますね。

でもおそらく40-50年先の2061年までには、樹齢140年になる杉も間伐して出材するでしょうから、そのころには世代交代によって今回植えた苗木が主役となっていくかもしれません。

いずれにしても僕はもう生きてはいないでしょうが(いや、生まれ変わってるかも?笑)、将来この木がどんな風に育って、どの家に使われていくのかを想像すると、とても楽しみです。

植樹を終えた後、N様はご自宅に使われた木材を90年前(1920年)に植えてくれた林業家のお墓参りまでして下さいました。
N様、ありがとうございました。

当日は大変いいお天気で、静岡市内ではちらほらと桜も開花し始めていて、これからが春本番といったところ。 
帰り際にちょっと足を伸ばした久能海岸からは、富士山がきれいに姿を見せてくれました。

最近、つくづく感じます。

僕はこの仕事をしていて良かったなぁ・・・と。
素晴らしい方々に次々とめぐりあえて、お客様は大変喜んで下さる。

僕も受けた恩をみなさまへ還元して、微力ながら自分の役目をきちんと果たしていかなくては、と思いを強くする毎日です。

基礎工事進行中です

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神戸市内で進行中の I 様宅では、現在基礎工事が進行中です。
上の写真は先週末の様子ですが、掘り方・地業工事が完了し、これから墨出しをして鉄筋の組み立てに移ろうとしているところです。

白っぽく見えているのはポリエチレン製の土間シートで、これは基礎の下から室内へ上がってこようとする湿気を遮断する役目があります。

周辺のグレーに見えている、少しへこんだ部分には外周部の型枠墨出しをするため、捨てコンクリ-トを打設してあります。

当初の計画では、地盤改良剤を投入して既存の砂を撹拌・混合し、表層改良を行う予定でしたが、解体・掘り方工事を行う中で、現場の砂がとても良質な山砂であることがわかってきたので、地盤改良剤を混入するのはやめました。

改良剤を用いなくとも、少しずつ締め固めることで、木造住宅の積載荷重に耐えうるに充分な地耐力が得られることが明白だったからです。

地盤の改良方法はその土地の地質によって事情が変わってくるのですが、地盤改良剤を土に混ぜて撹拌する表層改良の場合に用いる改良剤はセメントのようなものなので、改良後の土はカチンコチンに固まってしまうだけでなく、アルカリ性の性質を持つようになってしまいます。

カチンコチンになってしまった改良体(←改良された土のこと)は基礎の下に埋まっているわけですが、将来、何らかの事情で建物を解体せざるを得ないという状況になった時、その改良体もハツリ機などで壊して撤去することになります。

ですから将来にわたって環境に与えるインパクトを考えると、地盤改良はできればしたくない・・・というのが建物をつくる側としての意見です。
ただ、軟弱地盤の場合は、地震時の揺れや近隣を通る大型車両によって引き起こされる微振動などが増幅されて建物に伝わることになってしまうので、快適性・安全性の観点から、建物の荷重と地耐力のバランスを考慮して地盤の方が柔らかい、という判定結果が出た場合には何らかの改良を施す、ということになります。

地盤改良にはいろんな方法があるのですが、コストだけでなく、改良深度(軟弱地盤の深さ)や現場の地質、搬工事車両の進入経路などによって適切な方法を決定することになり、一概にどれがいいということは言いきれない工種です。

小屋組みの迫力

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上の写真は、兵庫県淡路市で今秋から再生工事に着手する予定になっている、t様のお宅の小屋組みの写真です。
以前にもちょっとご紹介しましたが、このお宅は今から100年ほど前に移築されてきたお宅です。
幾重にも丸太材が折り重なっている様は、下から見上げるととても迫力があります。

もともとこの小屋組みは天井板に隠れていて見えなかったのですが、今回の再生工事へ向けて、t 様のご主人がお休みのたびに少しずつ解体作業を進めて下さっているおかげで、全容が明らかになってきました。

今回の再生工事では、この小屋組みがきれいに見えるようにリビング上部に吹抜けを設ける計画です。

今から竣工した姿を想像すると、ワクワクしてきます。

循環

先日、クライアントのN様(京都市) より大変嬉しい申し入れがありました。

静岡へ植樹に行き、伐採して使わせてもらった木を90年前に植えてくれた林業家のお墓参りをしたい
というものです。
もう僕は、この知らせを受けた時にいたく感動しました。

N様のお宅 は2010年3月に完成しました。
2007年に設計に着手し、N様はその年の秋に静岡へまで90年生の杉の伐採立会いに来られました。
その後伐採した木材はゆっくり自然乾燥させ、工事は2009年から2010年にかけて約1年間かけて行いました。

伐採し、家が完成したら普通はそこで終わりです。
しかし、家に住み始めてからしばらく経って、再び林産地へ足を運んで苗木を植えて下さる。
これは素晴らしいことだと思うと同時に、やはり家をつくるという一連の流れの中では、本来こうあるべきだろうという気持ちも自分の中で芽生えてきました。
N様のおかげです。

もともとこの話は、木材を提供してくれた林業家からN様への
「今年でなくてもいいですから、春になったら山へ木を植えに来ませんか?」
というお誘いから始まったことです。

僕もこれまで伐採や製材にはしょっちゅう立ち会ってきましたが、よく考えてみると植樹を行ったことがありません。
恥ずかしい限りです。

木を伐採し使わせてもらったら、今度は苗木を植えに山へ行く。
そうやって新しい命を育み、次代につなげる。

これからは東風では当たり前のこととして毎年取り組んでいこうと思います。
今回の植樹は今月末に静岡市内で行いますが、林業家のご協力が頂ければ、近畿圏でも行いたいと思っています。

N様、お申し出て下さり、本当にありがとうございました。

高齢の天然木に相対する時

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上の写真は、昨日うちのスタッフが奈良の現場から持ち帰ってきた桧の切れ端です。

写真は3枚の板を並べ合わせて撮影していますが、それぞれの板巾は180mmあって、白太がほとんど入っていない赤身の板です。
これ、実は植林された桧ではなく、高齢(150-200年)の天然木(実生の木:みしょうのき)です。

節はありますが、色・艶・木目など天然木ならではの素晴らしい味が出ています。

これは奈良市で工事中のO様邸で使っている材料なのですが、この木はO様のお義父様(林業家)が伐採され、倉庫でゆっくりゆっくり自然乾燥させた板を加工したものです。

さすが天然木だけあってすごい芳香です。
昨日この3枚だけ持って帰ってきてから、いつも杉の香りが幅を利かせている東風の事務所の中を、桧の香りが席巻(?)しています。

こういう木に相対すると、まず心の中に生じてくるのは畏敬の念です。

この木が生まれたのは19世紀の初頭。

枝の先からポトリと地に落ちた桧の実が発芽し、探しても探しても見つけられないような、小さな小さな芽を出します。

自分よりもずっと背丈の高い下草に日光を遮られ、劣悪な生育環境で駆逐されそうになりながらも必死で生きる実生の木は、数年経ってもなかなか大きくなれません。

その様子は伐採した後に年輪の中心部をみるとよく判ります。

下の写真は静岡で樹齢約120年の実生の杉の木を伐採した直後に撮ったものですが(2009年)、樹芯付近の年輪同士ががとても緻密に近接し、なかなか大きく育てなかった様子がよくお判りいただけると思います。
(ぜひ画像を拡大してご確認下さい)
 
mishousugi
 

このような来し方の木を伐採・製材し、建築用材として使わせていただくというのは、大変畏れ多いことです。

自然の力、木の生命力、人間の一生では及ばない時間の流れなどに思いを馳せるともう言葉になりませんが、用材として使わせていただく際には後世にわたって愛され、できるだけ長く使って頂けるようにと考えて大切に扱うのが我々の使命です。