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瓦の色ムラ

下の写真は、兵庫県南西部にある瀬戸内沿岸の坂越(さこし)という町の家並を
丘の上の公園から見たときに撮った写真の一部です。

よく見ていただくと、手前の家の瓦には瓦一枚一枚に色ムラがありますが、
煙突の向こうの屋根には色ムラが無いのがよくわかると思います。

これは手前の建物の瓦が古く、奥の建物の瓦の方が新しいのですが、新しい瓦もあと数十年経って古くなったらこんな色ムラが出てきて味わい深くなるのか?と思われるかもしれませんが、そういうことにはなりません。

この原因は瓦を焼くときの焼成温度の温度ムラによって発生するものだからです。

最近の瓦はガス窯で焼いているので、温度管理を非常にしっかりやっています。
そのおかげで、瓦の品質(割れ・耐候性など)も安定してきていて色ムラも無くなっています。

すると奥の建物のような、均一な色の「シャキッ」とした色の屋根ができるわけです。
がしかし、見た目にはちょっと味わいが足りないなぁ・・・という感じがしないでもありません。

確かに手前の家の方が、何というか味わいがありますよね?

こういう昔の瓦は登り窯のようなところで薪や炭などを燃やして焼いていましたから、当然火の近くに置いた瓦と火から離れたところに置いた瓦とでは焼成温度が違ったのです。

すると焼成温度が低い瓦は耐久性が低いということになってしまって、割れが入る年数も浅くなる、ということになってしまうわけですが・・・。

僕も、どちらかというと手前の家のような色ムラがある瓦の方が見た目には好きです。
で、一度瓦屋さんに相談したことがあります。

「あんな風に葺けないもんですかねぇ~」
と。

そしたら返ってきた答えが

「あんなんしよう思ったら、焼きの甘い不良品をわざわざ探してきて混ぜて葺かなあかんねんで!
手間はかかるわ、性能は落ちるわで何もエエことあらへんのに何でそんなことせなあかんねん!」

と怒られました(ショボン・・・)。

でも同じようなことを言う方は結構いるみたいです。

で、古い瓦を集めて探してきて葺くというやり方もあるのですが、文化財ならまだしも、一般住宅でそれをやってしまうと保証問題をどうするのか?という議論になるため、現在は難しい状況です。

でも、瓦メーカーさんが4-5種類の粘土を作って色を替え、
『ほぼ』同じような性能
(または一番耐久性の低い瓦がかろうじて最低基準をクリアしている)
で色がまだらになるような瓦を作ってくれたら、屋根の表情もちょっと豊かになるような気がしますが、実際は難しいのかなぁ・・・?

これを読んでくださっているあなたはどう思いますか?
あなたならどっちの屋根が欲しいですか?

もし良かったら、あなたのご意見をコメント欄に書いてみてください。
たくさん意見が集まったら、それを【民意】として瓦メーカーに持って行ってみようと思います。

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