原木を買う醍醐味

お盆休み、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
今日も高速道路は大変な渋滞のようですね。



先日、神戸市内で新築住宅を計画中の i さんと打合せをしていた時のこと。

ひょんな話から、床板を採るために原木の伐採からやってみますか?と軽くご提案してみたところ、奥様が大変気乗りされて、とんとん拍子で
「やりましょう!」
ということになりました。

通常、新築住宅のご依頼を頂くケースでは、住宅ローンの関係上、1年以内に竣工させなければならないというケースがほとんどです。

その期間内で
伐採→製材→自然乾燥→製品化
という過程を工期の中でやりくりするのは難しいことが多いのですが、たまたま i さんのお宅は竣工までの工期があと1年半あることから、
「構造材の自然乾燥は無理ですが、フローリングなどの板材であれば、伐採から立ち会って自然乾燥させても間に合いますよ」
ということになったのです。

できれば、乾燥に時間のかかる杉よりも、もともと含水率の低い(=乾燥の早い)桧の方が良いかもしれませんね、とお伝えして、今後板のサンプルを見ていただきながら樹種を決定し、原木を買って伐採から製品化までやってみることになりそうです。



原木を買うとどういうメリットがあるか?ということを一言でお伝えするのは難しいのですが、単純に安くなる、ということではありません。

むしろ払う金額は同じでも、商品にムラがあるので、普通は買えない様な良いものも入ってくるが、その反面あまり良くないものも混在してくるという感じでしょうか。



他の話に例えて言うなら、こんな感じです(↓)

20人でパーティーをやる際に、¥20,000-の予算で魚を買ってくるとします。

スーパーや魚屋さんに行って、「20人分の魚を切り身で下さい」 と言えば、適当にみつくろっていろんなものをバランスよく取り揃えてくれるでしょう。
これが材木屋さんなどで、製品化されたフローリングを必要な数量だけ買うイメージです。



一方、原木を買う方は、漁師さんに頼んで
「¥18,000-で尾頭付きの魚を採ってきて譲ってもらえませんか?
 そのあと¥2000-で採れた魚を調理してほしいのです」
というようなものです。

尾頭付きにすると、頭で兜焼きができたり、背骨やアラなどで汁を作ったりすることもできます。

また、
「本当はこういう魚は傷物でセリに出すと値が落ちるんだけど、直接買ってもらうんだったら絶対味は良いから持って行ってよ」
といって、普通はスーパーで見かけないような大きなヒラメを売ってもらうこともできるかもしれません。

その反面、要らない部位なども出てきたり、「もっといろんな種類の刺身も食べたかったなぁ」などという声も上がるかもしれません。

でも、スーパーでは決して得られなかった迫力や、話しのネタになる(=思い出に残る)ような食材・経験を得ることができるのです。
そして、きっと量も食べきれないようなものになるのではないでしょうか。



ここで木の話に戻します。
原木を買うと、根元の一番太い部分からは、節の少ない、幅広の板が採れます。
一方、末の方では節が多くて巾の狭い板しか採れません。

 i さんには、
「その幅広のいい板の部分をリビングなどに使って、末の細くてあまり良くない部分は2階や廊下に使っていけば、同じ値段で作っても、ずっと面白いものができますよ」
とお伝えしました。



どちらが良いか?という話ではありません。
それは各個人の考え方・価値観によって異なると思いますが、スリリングで印象深いのは間違いなく後者だと思います。

今日は、「そんなこともできるのか」という話を参考までにお伝えしたいと思い、記事にしてみました。

あなたはどう思いますか?

2 thoughts on “原木を買う醍醐味

  1. 南会津とんぼ

    残暑お見舞い申し上げます。
    いつも楽しく拝見させて頂いております。
    「尾頭付きの魚」の例え、とっても分かりやすいです。原木の伐採から家づくりに参加できたら、愛着もひとしおの家になりますよね。「簡単で手軽な家づくり」よりも「思いっきり関わりを持った家」、っていいです。

    返信
  2. さとう

    とんぼさん、コメントありがとうございました。
    例え話、うまく通じたようで良かったです。
    どう説明したら伝わるかなぁ・・・とだいぶ頭をひねって作った話しなので。
    原木から家を造るのって、全然違いますよ。
    その素晴らしさをなかなかうまく伝えられないんですが、みんなが普通にこういう家造りをできるようになったらいいのになぁ・・・と強く思います。

    返信

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