僕の教科書

こと建築のことに関して言うと、僕は最近の雑誌とかは全くといっていいほど読みません。

確かに最新の雑誌を読むことで得られる情報もあると思うのですが、本質的に重要で深い事柄が書かれている雑誌というのは、今発行されている雑誌の中では皆無だと思っていますし、実際手にとって読んでみても、

「おっ、これはすごい!」

と感じた雑誌はありません。



僕が

「これは必死になって読まなくては・・・」

と思う本や雑誌というのは、なぜかほとんどが絶版になっているものばかりです。



なぜだろう・・・と考えるとなぜだか本当によくわからないのですが、とんでもなく貴重で素晴らしく深いことを書いているものはアマゾンにも売っていなくて、図書館にもなかなか置いてないという本がほとんどです。

(でも、僕の母校の関西大学図書館に行くと、欲しい本が結構見つかるので、とても重宝しています。
 で、借りてみると僕以外に誰も借りていなかったりするので、ちょっと寂しかったりもするのですが・・・)



そんな中、久しぶりに押入の奥から引っ張り出してきた雑誌がこれ(↓)です。

月刊 『木』
発刊 1965.01~1976.03
発行者 篠田銘木店


テキスト


 


 


 




この雑誌には、すごい人たちのインタビューや寄稿がたくさん掲載されています。
堀口捨己、吉田五十八、北村伝兵衛、大熊喜英、伊藤平左衛門、西岡常一、小原二郎、(すべて敬称略)などなど。



しかもこの雑誌がすごいのは、銘木屋さんが自費出版したと思われる点です。
僕は大変恵まれたことに、ある人からこの雑誌の全巻を数年前に譲り受けました。

まだ読んでいないものの方が多いのですが、この雑誌の内容はすごいです。
木造建築の専門家であれば、垂涎ものです。

(でも、一般の方にとってはちんぷんかんぷんだと思いますが。苦笑)

他にも1980年代に季刊で発行された『和風建築』(全24巻)とか、もう国会図書館に行かないと観られないんじゃないか?というような本が、実はうちの事務所にはあるんですよ。

これらの雑誌は、これから一生かけて使っていく、僕の教科書です。
こういう骨太な雑誌、もう出てこないのかなぁ・・・。



僕が雑誌を読まない理由は、昨今店頭に並ぶ雑誌の内容は、情報の劣化が早すぎるものが多いからなんです。

建築の材料や工法などは、2-3年使ってみたってその耐久性はわからないものが多いですから、新製品や新しい工法に簡単に手を出すわけには行きませんしね。

結局信頼の置ける材料・工法は昔からすでにあるものだったりするわけです。



そんな最新の雑誌を読まない弊害として、僕よりもお客さんの方が最新情報に詳しい、なんていう状況に出くわすこともたまにあります(苦笑)。

お客さんに最新情報を教わることも多いんですが、そういうときには素直に
「すみません、僕知らないんですよ」
と言って教えてもらっています。

というよりも、あまり新しい情報に振り回されたくないから雑誌を読まないようにしている、という側面もあるんですけどね。

僕が新製品に飛びついたりするようになって振り回されて、お客さんに
「これ良さそうですよ。使ってみませんか?」
なんて簡単にお薦めすると、その製品が原因になってお客さんに迷惑をかけてしまったら目も当てられませんからね。

というわけで、みなさまどうぞお手柔らかにお願いいたします。 m (_ _) m

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