建具の勝手(左右)

昨日、いつもの茶道の稽古がありました。

僕は西宮市内の草志舎というところでお茶を習っているのですが、ここの建物は僕が勤めていた鈴木工務店が施工させてもらった建物です。

そんな関係で、茶道の先生から、
「さとうさん、ここの建具が動かなくなってしまったんだけれど、何とかなりませんか?」
と言われ、詳しく聞いてみると、間口2間の柱がない(4枚引違い障子がはまっている座敷とホールとの間にある開口部)部分の2階に、かなりの重量のある家財を置かれているようで、それが原因の一端となった模様。

僕の手では完全には直りませんが(←僕は大工ではないので)、とにかく一旦建具を外せる状態にしてみましょう(←これくらいならできます)、と言って道具と材料を準備して行きました。

結局、鴨居にバリをかまして少し持ち上げ、建具を外してみたところ、当初吊り込んだ建具の位置と順序が変わっていたことが判りました。
どうもイベントなどの際に建具を全て外した後、戻す時に入れ間違えたようです。

建具の天端に番号が書いてあったので、その番号から当初の4枚の建具の順序が判り、とにかく正しい順序で入れ替えてみました。



すると、完全にではないにせよ、充分使えるくらいにまで建具が動くようになりました。

ということは、確かに2階の過積載荷重によって鴨居が少し下がっているものの、建具が動かなくなってしまった最大の原因は、建具の位置(順序)が間違っていたことだったようです。

きっとこれを読んだあなたは、
「なんで?」
と思われることでしょうが、実は鴨居と言うのは水平に取り付けるものではなく、少~しだけ起(むく)らせて取り付けることに、その原因があります。

鴨居の中央部分は両端部分よりも少し高くなるため、実はそれに合わせて建具の右の框の切り込み高さと左の框の切り込み高さは、実は微妙に異なっています。

そのため、建具の勝手が逆になってしまうと、建具が開かなくなったりしまらなくなってしまったりすることがあるのです。

上の説明では、なんだかヨクワカラナイ・・・、かもしれないなぁと思いますが、
「最近、どうも引戸が固くて動かない」
という方は、建具の順序がきちんと当初のままで入っているかどうかを再度確認してみると、もしかすると直るかもしれませんよ。

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