日本画

ここ1週間ほどの間に、立て続けに二人の巨匠の日本画を観てきました。



一人目は桃山時代の日本画家・長谷川等伯。

狩野探幽とともに僕が大好きな絵師の一人ですが、今回観てきたのは、京都市東山区・智積院(ちしゃくいん)蔵、国宝障壁画・楓図(かえでず)です。
(現在、智積院では特別公開として、寝殿を公開中。
 ここでは堂本印象筆の襖絵と長谷川等伯の羅漢図も観ることができます)

たまたま僕達が行ったときには、等伯に心酔している(と思われる)ボランティアガイドのおばちゃんが、この楓図や等伯の人生について説明してくれたので、より一層この名画を堪能することができました。

楓図の横には、26歳という若さでこの世を去った等伯の長男・久蔵が書いた桜図(これも国宝)が並んで配置されています。

等伯の息子・久蔵が25歳の時に書いた春爛漫の八重桜はとてもエネルギッシュでみずみずしく、華やかな美しさなのですが、これを描き切った翌年に久蔵は亡くなっています。
(久蔵のあまりの才能に嫉妬したため、誰かに殺されたのではないかという説もあるようです)

その悲しさをぶつけた渾身の作が、父・等伯55歳の時に描いた楓図だそうです。
秋の紅葉の盛りを色鮮やかに描き、老木の風情と迫力が迫ってきます。

絵の美しさもさることながら、その描かれた当時の背景や作者の心情に想いを馳せると、なお一層味わいの深いものでした。

長谷川等伯は南禅寺・金地院にある『猿猴捉月図』や上野の国立博物館にある『松林図』など水墨画が有名ですが、この楓図は金箔地に豊かな彩色を施した障壁画です。



そして一昨日東京出張の帰りに駆け足で観てきたのが、横山大観です。
(現在、東京六本木の国立新美術館で開催中。3/3まで)

僕は横山大観の作品展を観たのは初めてですが、とても繊細かつ大胆に自然を描く構図の素晴らしさと細やかな色使いに心打たれました。

その前に渋谷で一日中講習会に出席していたので、美術館に入ってから出るまで30分しか観られなかったのが残念でしたが、とても素晴らしい作品ばかりでした。
本当は3時間ぐらい観ていたかったくらいです。
観ているときは、感動でプルプルと小さく震えてしまいました。

なぜかは判りませんが、大観の作品を観ていると
「日本人で良かった・・・」
と感じました。

東京へ行かれる方は、ぜひこの機会にご覧になられることをおすすめします。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

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