1戸建て住宅を担保にした老後資金融資サービスの記事を読んで思うこと

1/11(火)の日経新聞朝刊1面に、1戸建て住宅を担保に高齢者に老後資金を融資する「リバースモーゲージ」の取り扱いを、中央三井信託銀行が三井住友海上火災保険と組んでこの3月から始める、という記事がありました。
この記事からは2つの側面が読み取れます。
1つ目は、これを見たこれからの住宅購入者層のみなさんが
「老後のためを考えて、マンションではなく一戸建て住宅を入手しよう」
という、マンション→一戸建て乗り換え派が増えてくるのではないかという点。
なぜなら、この「リバースモーゲージ」という金融商品は、マンションを担保の対象にしていないからです。
おそらく、売却しにくいという点から、マンションは融資対象を外されているのでしょう。
2つ目は日本における住宅の資産価値についてです。


欧米諸国では、家の価値は住みながら手を加えていくことで、古いもの=文化的価値がある資産とみなされ、建物に対する評価額が上がっていくということがあります。
しかし、日本では新築から20年経ったら、どんな家であっても建物の資産価値は¥0(=タダ)になります。
リバースモーゲージは担保となった家のご主人が亡くなった時点(配偶者が生存している場合は一定期間経過後)で、担保である不動産(土地+建物)を売却して、融資額との差額を受取人に返金するというシステムですが、これが上記の日本のような制度の下では、より住宅を大切にしない風潮を助長しかねません。
「どうせ自分が死んだらこの家と土地は売却されて、建物も壊されてしまうんだ。
だから住宅は自分一代限りの使い捨ての資産だ」
という考えにもなりかねないからです。
ところで。
木造住宅にはたくさんの木が使われています。
木は燃やすとCO2を発生します。
ということは、木造住宅を焼却処分しないうちは、ある一定量の二酸化炭素を定着保存している、ということになるのです。
ここに着目して、住宅を二酸化炭素売却権取引の対象とし、有価証券化する・・・という風に考えるのは行き過ぎた考えでしょうか?
もしそうなれば、
「地球温暖化保全の観点から、木造建築物に限り、償却期間(20年)経過後にも一定の資産価値を有するものとする」
という条文が出来てこないとも限りませんね。
いずれにしても、建物を簡単に壊さない、長く大切に使いつづけて味わいのある街づくりを推進していきたいものです。

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