尼崎市H様邸」カテゴリーアーカイブ

尼崎で基礎工事が進行中です

兵庫県尼崎市内で新築住宅の基礎工事が進行中。
下の写真は、土間のベースコンクリートを打設した直後の写真です。

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このベースコンクリートを打設したときは、ちょうど最強寒波が来ていたときでした。

コンクリートが寒さで凍ったりしてしまっては大変なので、コンクリートに使うセメントを普通セメントから早強セメントにしたり、強度を2段階上げたり(←これを温度補正といいます)、コンクリート打設後は温度が下がりすぎないようにブルーシートで覆ったり、といろいろ手を尽くしました。

コンクリートという無機質な材料も
「ジャバジャバと流し込んでしまえば、あとはほったらかしでオッケー♪」
というような乱暴なものではなく、実はなかなかデリケートです。
( ↑ 今の時節柄だから・・・という事情もありますが)

また明日から寒くなるようなので、気をつけておかなければ、と思っているところです。

桧(ひのき)の丸太梁の加工

この秋から構造材の準備に取り掛かっている、尼崎市H様邸の墨付け・刻み作業が少しずつ進んでいます。

今日は2階の屋根を支える丸太梁の加工の様子をご紹介します。

 

 

まだ本格的に刻みの作業工程に入ったわけではなく、墨付け作業(※)の途中ですが、この丸太梁自身および、これに絡む梁の墨付けをするためには、丸太のフォルムを決めてしまう必要があり、削っています。
 
※【墨付け(すみつけ)】とは、木材を組み合わせるホゾや蟻(あり)などの位置・大きさなどを実際の部材にすべて記載していく作業のことです。
 全ての部材に対して、まずこの墨付け作業を施してから実際にノミなどを使ってホゾなどを刻んでいく【刻み】の工程に進みます 
 
 
 
今回H様のお宅で使うことになっている丸太梁は全部で9本あり、全て桧でご用意しています。
一般的に、丸太梁には松を使うことが多いのですが、今回のお宅では化粧梁として見えてくるので、仕上がった表面の光沢や艶など、後年の梁の美しさも考え合わせて桧を使うことにしました。

なお今回の桧の丸太梁も、東風では全て原木の状態で購入しています。

 

 
以下に現在行っている丸太の仕上手順をご紹介します。
 
 最初はこんな状態(↓)です。
 
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原木で購入した桧を、2面のみ帯鋸(おびのこ)で製材して面(つら)をつけます。
この写真ではわかりにくいのですが、製材の際にも2面を平行に挽くのではなく、木の元(もと:根に近い方)は厚く、末(すえ:天を向く方)は少しだけ薄く挽いて自然なテーパーがつくように挽いています。

上の写真は平積みしている状態なので丸太が横を向いていますが、実際には右に90度回転させた向きで梁として組み上げます。 

 丸太の製材はこんな要領(↓)でテーパーをつけて行いました。

 
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今回は丸太の断面を円形→八角形に削って仕上げます。
 
皮をむいた丸太のままの表面もおだやかできれいですが、8角形に削り落として仕上げると、ぐっと締まった表情になり、同じ材料とは思えないほど格が上がった雰囲気になります。
 
まずは丸太の木口に仕上がり位置の墨をつけ、鋸でざっと荒削りしてから電気鉋で少しずつ削っていきます。
(昔はこの作業を斧とチョウナで行っていました)
 
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 ↓ 電気鉋で削っている様子
 
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上の写真が、全ての梁を電気鉋で仕上げ終えた状態です。
部材の断面形状としてはこのような8角形になりますが、表面はこの後、墨付け作業+刻み作業を終えてから、手鉋で削って仕上げます。
 
ダイナミックでいて、なおかつ上品さも持ち合わせるような雰囲気にするため、今回は材料選定の際、丸太の曲がりが緩やかなもの(=直線に近いもの)を意図的に選んでいます。
 
 
 
東風でつくる建物では丸太梁を見せることが多いのですが、こういう仕上を施すのも機械で刻むプレカットの際には行っていません。
手刻みならではの仕上げ方です。

よく、
「手刻みとプレカットとでは、どこがどう違うのですか?」
という質問を受けて、説明に困ることがよくあります。
( ↑ 一言では説明しにくいのです・・・)

手刻みには手刻みにしかできないことがあります。

建物の強度・仕組み・特性も、プレカットか手刻みかで変わるのですが 、こういった細やかな仕上作業に要する手間の違いもデザインに大きく関ってきますし、このように削って仕上げる場合にはそれだけ大きな材料が必要になってくるので、材料単価も上がります。

そういった小さなことを積み重ねていくと
「やっぱりプレカットではこういう風にはできないよね~」
という形になっていくので、当然費用も変わってくるのですが、やはりそれだけの意味や価値はあります。

手刻みとプレカットの違いを分かりやすく説明できる資料、作らないといけないなぁ・・・。

よし、この正月にはなんとか作って公開することに、今決めました。
どうぞお楽しみに。 

尼崎市H様邸 構造材の選木・出荷作業を行いました

来月から尼崎市内でH様邸新築工事に取り掛かります。
久しぶりに構造材を全て手刻みにて行う現場です。

11月に既存建物の解体に着手し、年内には基礎工事を終え、
年明け早々に建て方の予定です。

来週からはついに大工さんによる墨付けを開始するのですが、
それに先立って9月末から10月初旬にかけて静岡のストックヤードへ行き、
一週間にわたって構造材を選別・出荷する作業を行ってきました。

 

 
山のように積まれた構造材の中から、必要な太さ・長さの物を選び出し、
一本ずつ木の目を見ながら、
 
 ○ どの場所に使うか
 ○ どの向き(天/地の方向や東西南北の向き)で使うか
 
などを決めていきます。

木材には元末(根元=元)という下から上への向きの他に、
山の斜面に応じて谷側が曲がるというクセが出ます。

その曲がりや元末の向き、そして節や割れの有無などを確認しながら
木材の配置と向きを決めていきます。

木が活きるように使ってあげること、美しく見えるように配置してあげること
お住まいになるご家族に幸せが集まってくるように材を組んでいくこと
などがこの作業の肝です。 

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これらの木材は3年前に伐採し、4ヶ月の葉枯らし乾燥後、2年以上かけて
ゆっくり天然乾燥させたものです。

北向き斜面の標高900mで育った樹齢130年生の杉・桧で、年輪がとても
詰まっている良材です。
東風自慢の木材です。

使う位置や向きを決めた材料には、下の写真のように一枚ずつ個別のラベルを貼りつけ、
曲がりやねじれなどを取るための修正製材作業時の加工寸法を書いていきます。
 
黒字は1階の構造材として使うもの、赤字は2階の構造材として使うもので、
黄色のラベルは鉋などで化粧仕上げを施すもの、水色のラベルは天井裏や
壁の中に隠れてしまうための化粧仕上を施さないもの、という風に分けています。

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一週間、早朝から日が落ちるまで、毎日毎日大工さんと2人で
ひたすら作業を続けたのですが、結局きっちり1週間かかりました。

 
10/4(火)の午前中から運送屋さんの15トントラックに積み込み、
吉野の製材所へ出荷しました。
 

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毎度毎度のことですが、15トントラックはデカイです。
荷台の長さ9.5m×巾2.3mが構造材だけで山積み一杯になりました。

これに積みきれなかった垂木などの細い材料を、東風の1.5tトラックに積んで
持ち帰ってきました。
来月にはもう一度静岡へ行き、野地板などの板類を東風トラック満載にして
持ち帰ってくる予定ですが、積みきれるかなぁ。
1.5トントラックではちょっと無理な気がしますが・・・(汗)。

これらの材料は先週末から修正挽き(製材)と表面の第1回目の
仕上げ作業(モルダー加工)に取り掛かっており、再来週の初めには
吉野の加工場へ搬入される予定です。

いよいよ来週からは墨付けが始まります。
今から楽しみです。