煙出し

塩尻に行ったときの続きです。

古材の実験の後、塩尻市内にある国指定の重要文化財「堀内家」を見学させて頂くことができました。

honmine

いわゆる「本棟(ほんむね)造り」の特徴をよく残した立派な姿です。
現在、このお宅は使われてはいません。

今回の見学に当たっては、ご当主の奥様でいらっしゃる堀内様が立ち会って下さり、往時のいろんなお話をして下さいました。

お風呂は五右衛門風呂のように浴槽の下に釜がある形ではなく、別の場所にある大きな釜で湯だけを沸かし、そこから男衆が湯を運んで浴槽に入れて使っていたこと。

今は「本棟造り」という名前が大変通っているが、もともとこの地方ではこの手の建物は本棟造りという名前で呼ばれていたわけではなく、「ホンミネの家」と呼ばれていたこと。 
(本棟造りという言葉は、後年、大学の先生が名付けられたものではないか?と奥様は仰っていました)

いろんなお話を伺いながら幾重にも重なった小屋組みの構造材を見上げていると、暗い小屋裏の向こうにふっと小さな明りが見えました。

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煙出しを通じて入ってきた外光が、煙り出しの中の壁を照らしています。

写真下半分が真っ暗なのは、吹抜け部分に全く照明などがないためです。
これは夕方5時ごろにストロボ無しで撮った写真ですが、 現場でもこんな感じで見えました。
 (露光時間が長かったので、手ブレしています)
暗い中にふっと浮かんだほのかな明りに、なんとなく心が安らぎました。

昔この家で生活されていた皆さんも、同じ明りを見ていたのでしょうね。

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