古典建築」カテゴリーアーカイブ

障子の引手

水曜日に京都へ行った折、事務所に置いておくサンプル用として障子の引手を買ってきました。

行ったのは室(ムロ)金物さん。
室金物さんは、京都のその筋の人の中では知らぬ人はいないという有名な金物屋さんです。


障子の引手


 


 


 


 


 


 


 



上の写真は今回買ってきた障子用の引手です。
全て材料は黒檀(こくたん)という木材です。

同じ形のものを4つ買ってきたのですが、見てお分かりのように、大きさがそれぞれビミョーに違います。

右の小さいものから順番に、大きさを書いてみますね。

巾 13mm × 長さ 60mm ・・・一番右の小さいもの
巾 15mm × 長さ 65mm
巾 16mm × 長さ 67mm
巾 16mm × 長さ 72mm ・・・一番左の大きいもの



これらの引手は、障子自身の大きさや、たて框の太さなどによって使い分けます。
あたりまえの話ですが、小さくて華奢な障子には小さな引き手を。
大きくてどっしりした障子には大きな引き手を使います。

実はこれら以外にも、さらにもっと小さな引手や、さらに大きな引手もありますが、今回はそれらは不要と考えて買ってきませんでした。



こんな違いは、並べずにバラバラに見たら見分けがつかないような微妙な差ですが、実際に建具にはめてみると、えらく違って見えるものです。



この写真のように黒檀で作ったもの以外にも、紫檀とか桑、ゴマ竹で作ったものなどもあり、結構面白いものです。

あなたのお宅の障子にはどんな引き手が入っているか、一度よ~く見てみてください。

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世界に、300年先も美しい風景を

滋賀・三井寺唐院の建具

先週のことですが、滋賀県大津市で近々新築住宅の提案を行う予定の現場を視察に行きました。

現場へ行く前に条例関係を確認しようと大津市役所へ行ったのですが、ちょうど昼休みに差し掛かってしまい、時間が空いたので近くの三井寺(みいでら)へ立ち寄りました。

三井寺へはかねがね行ってみたいと思っていたのですが、機会に恵まれず今回が初めてです。

現在、金堂(国宝)の修理が行われている最中で、外部には仮設の素屋根が掛けられていましたが、中は拝観することができました。

その後、同じ三井寺内にある唐院潅頂堂という建物に差し掛かった折、とても粋な建具を見かけました。
下がその写真です。
(画像をクリックすると拡大表示できます)

柔らかな表情を出すためにわざと太目に作った桟と、繊細な七宝の透かし彫りとの対比が生み出す緊張感、そしてアクセントに菱形に胡粉を塗った軽快なデザインが絶妙ですね。
蝶番にもきちんと心配りがなされていて、ため息が出そうです。

素晴らしいセンスです。
恐れ入りました。
脱帽。

三井寺には、光浄院客殿と勧学院客殿という名建築(ともに国宝)があるのですが、事前申込をすれば拝観許可が降りるということを初めて知ったので、近いうちにぜひ申し込んで拝観させて頂こうと思っています。

一緒に行きたい方、いらっしゃいましたら、さとうまでメール下さい。
( ↑ ちなみに、3名以上のグループでないと受け付けて下さらないそうです)

【お知らせ】
11/3(土・祝)に静岡市の山で
新月伐採現場見学会を開催します。
詳しくはこちらをご覧下さい。

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昔の人が建築に込めた思い~金沢・成巽閣にて

この週末、金沢へ行ってきました。

 

NPO法人・日本民家再生リサイクル協会主催の、民家フォーラム2005に参加するためです。

いろいろと感じることが多かったので何回かに分けて金沢でのことをご報告するつもりですが、とりあえず今日は、金沢に着いてまず一番に訪れた成巽閣(せいそんかく)という建物を見学した際に感じたことについて書いてみます。

 

 

成巽閣は1863年(江戸時代末期)に加賀藩・前田家13代当主が、彼の母12代奥方のために建てた奥方御殿です。

成巽閣では、現地の学芸員の方に解説をお願いしたおかげで、じっくり堪能できました。

(吉竹さん、どうもありがとうございました)

 

 

まず、奥方(女性)のために建てたため、建物の随所に施されているデザインが女性好みの柔らかなものでした。

例えば、お城の謁見の間などで権威を象徴する際には、松や虎など力強く豪華なものがモチーフとされるのに対し、成巽閣の襖・障子の腰板などに描かれていたのは、タンポポやすみれ、ちょうちょ、小鳥などの柔らかいイメージのものという具合です。

 

そして部屋の名前も、鮎の廊下、貝の廊下、亀の間、蝶の間などの名前がつけられており、建築主への温かな配慮をもって設計に取り組んだ、当時のデザイナーの粋な計らいを感じ取ることができました。

 

 

おそらく、今回の見学にあたってこういった説明を学芸員の吉竹さんがして下さらなかったら、建物の本当の価値や建築に携わった現場のみなさんの思い入れを、ここまで感じ取ることはできなかっただろうと思います。

(誤解のないように申し上げておくと、もちろん僕もプロの木造建築家ですから、どれだけ技巧を凝らして建物の造作がなされているのか?という技術的なことは読み取ることができます)

 

 

 

もしも説明を受けずに見学した場合、

「なんかすごく贅沢にお金をかけた建物だなぁ。つくった職人さんはきっと大変だっただろうなぁ。」

というレベルで見学を終えてしまったことでしょう。

 

 

つまり。

今回僕が何を言いたいか?というと、こういう(↓)ことです。

 

 

 

建物の価値というのは、使われている材料や、施されている細工の技術的な価値だけで決まるものではなく、そこに込めた製作者(建築主・施工者・設計者)の思い入れがとても大切だ、ということです。

 

一言で言うと、それは(建物の)コンセプトであり、(建物の)プログラムとも呼ばれるものです。

このコンセプト(またはプログラム)に基づいて設計がなされ、建物に課せられた目的に添ったデザイン、材料の選定などが行われていきます。

そして、建築主・施工者・設計者の3者が、まさに三位一体となって初めて、素晴らしいものができあがります。

 

僕はこれこそが建築の醍醐味だと思います。

一人だけの力でできることは、はっきり言ってたかが知れています。

やはりみんなで力を合わせて1つのものをつくり上げようと知恵を絞って考えて努力するからこそ、人の心を打つものができるのではないでしょうか。

 

 

 

あなたはどう思いますか?

もし何か感じることなどがありましたら、ぜひコメントを書いてみてください。

 

 

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奈良・御所のまちなみ

昨日、奈良県・御所(ごせ)市へ行ってきました。
御所へはこれまでにも何度か車では行っていましたが、昨日は

『さとうさん!木造建築家として、この本を読んでレポートを書くようにっ!』

と、某NPO広報誌編集女性担当者から頼まれていた本を読む時間を作るために、電車で揺られて行ったのです。



昨日は、あいにく雨でした。

近鉄御所駅で下車して何の気なしに、ボ~っとしながらテクテク歩いていくと、御所の町の中へ突入していきます。
ここでビックリしたのですが、実は御所の町にはすごい民家がゴロゴロ残っています。

古いまちなみがあることは知っていましたが、そのデザインレベルの高さには驚きました。
格子や構造材の木割(きわり)と瓦のバランス、軒の高さなど、町家としてのデザインセンスが非常に優れていました。
やはり奈良は侮れぬ・・・などと感じながら、

「この町はきっと、以前何かで大もうけした町に違いない」

と、そのあとの打合せでお会いしたクライアントに町の簡単な歴史を聞かせていただきました。
御所は決して活気に溢れているとは言えない街ですが、古いまちなみが残る場所としては、すごいポテンシャルを秘めていると実感しました。

今月後半には改めてお知らせできると思いますが、御所の町家を開放して気軽に中を見せていただけるイベントが、地元のNPO団体主催で11月に行われるそうです。

興味のある方はぜひ行ってみる事をおすすめします。



今度また、NPO法人・日本民家再生リサイクル協会 近畿地区主催で、まちなみスケッチハイク in 御所を開催しようかなぁなどと思いつつ、しとしと雨の中を返って参りました。

雨が降っていたので、写真を撮ることまで気が回りませんでした。
すみません。

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岡山・八塔寺の美しいかやぶき民家集落

 
 
 この日曜日に、岡山県備前市の山中にある、八塔寺(はっとうじ)ふるさと村というところへ行ってきました。
標高400mの山中にひっそりと佇む、十数軒のかやぶき民家がきれいに残されている小さな集落です。
上記の写真はそのうちの一軒ですが、僕の友人・K氏が撮ってくれた写真を使わせてもらっています。
(Kさん、ありがとう)
↑このK氏はなかなかいい写真を撮ります。
 実はこの人、ご自身でもブログを開設しているんですが、サボってばかり
 で全然更新しないので、ここでご紹介するのはやめておきます(笑)。

7/9()、10()の2日間にわたり、NPO法人・日本民家再生リサイクル協会近畿地区主催イベント、【ボランティアによる、かやぶき民家再生プロジェクト~第2回】を兵庫県赤穂郡で実施したのですが、その現場から車で約30分程度と近いところにこの集落があると聞き、参加者のみなさんと早朝ドライブがてらに初めて訪れました。
(↑上記のプロジェクトについては、近日中にこのブログで改めてご報告したいと思っていますので、お楽しみに)
山の懐に、ぽっかりと取り残された桃源郷のような佇まいは大変美しく、またとっても静かで心が洗われました。

日本各地には、まだまだこのような美しい山村になるポテンシャルを秘めた集落が人知れず残っています。
近畿地方では、奈良県室生、京都府上瀬谷などもその一つです。

美しい景観をつくりあげるのには、長い時間と大変なエネルギーを必要とします。

しかしそれ以上に、それを維持していくことがもっと大変です。
この写真のように、目の前に(休耕田ではない)田んぼが広がる、生活に根ざした美しい景観が、今後も増えつづけていってくれることを願ってやみません。
自分もその一助となるようにがんばっていこう、と思いを新たにして八塔寺を後にしました。

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かやぶき屋根の古民家が残るまち、在原をご存知ですか?

あなたは、かやぶきの里・在原(ありはら)をご存知ですか?
びわ湖の湖北にある、滋賀県マキノ町在原というところには、今もなおかやぶき屋根の古民家がたくさん残っている、とても静かなところです。NPO法人・日本民家再生リサイクル協会・近畿地区では、6/19(日)にこの在原を訪ねるイベントを開催します。

今回は、在原の景観に惚れ込んでこの地へ移り住むことを決意された方のお宅におじゃまして、セルフビルドにて古民家を改修しているその経緯や、実際の体験談などについてのお話をうかがいます。
古民家の中で参加者のみなさんでしし鍋を囲みながらのんびりと談笑したり、在原の集落の中をゆっくり散歩してスケッチをしたりして過ごす時間は、きっとあなたの心をちょっと豊かにしてくれると思いますよ。

上記のイベントは、現在下記ホームページにて参加申込みを受付中です。
実際の個人のお宅におじゃましてお話を聞かせていただける機会はなかなかないので、この機会にぜひご参加ください。
定員は15名なのですが、現在7名の方がすでに申し込まれており、お早めに申し込まれることをおすすめします。

NPO法人・日本民家再生リサイクル協会近畿地区
ホームページはこちら!

↓   ↓   ↓   ↓   ↓

http://kinki.minka.gr.jp/

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京都の名数奇屋建築・四君子苑が公開中ですよ

京都市上京区にある、四君子苑(しくんしあん)という建物が今週公開されています。

 

毎年、春と秋だけ公開しているのですが、この建物は、もう筆舌に尽くしがたい素晴らしさです。

 

 

 

 

 

入場料¥1500、入館は10:00~15:00(?)までと、これだけ聞くと、

 

『なんて高飛車なヤツ!』

 

って感じですが、そんな感情も行ったら吹っ飛びます。

 

現在、京都で見られる建物の中では最高にハイレベルな建物の一つと言っていいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

と言うのも。

 

京都にはほかにもいい建物がた~くさんあるんですが、もったいぶって見せないのですよ。

 

ちょっと口が悪いですが、これはただのケチだと僕は思っています。

 

桂離宮だって見学できると言っても中には入らせないし、国宝の茶室・密庵(みったん)だって、絶対に公開しないし・・・。

 

年に一回くらい見せろ!と声を大にして言いたいです。僕は。

 

(ちょっと怒りモード?そろそろ抑えます。笑)

 

でも、貴重な文化遺産はぜひ公開して欲しいものです。

 

超一流のホンモノに触れる(体感する)機会がないと、絶対に文化は継承できませんから。

 

 

 

 

 

 

 

話を四君子苑に戻しましょう。

 

この建物をつくった大工は、北村捨次郎(きたむらすてじろう)という、昭和の名工です。

 

その卓越したセンスにはただただ脱帽するのみで、あとから増築した部分を手がけた、ある著名建築家設計の別棟建物がおもちゃに感じられます。

 

この建物を見るたびに、やはり木造を極めるためには一生かかるんだなぁ、と感じます。

 

材料の選び方、取り合わせかた、各所の寸法、襖の引き手や床材の納め方に至るまで、すごい”気”が込められています。

 

興味がある方はぜひ一度ご覧下さい。

 

 

 

場所はココです。

 

最寄のバス停は、河原町今出川。←京都市営バス

 

最寄の電車の駅は、京阪出町柳(でまちやなぎ)駅下車。徒歩約5分

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サンマルコ寺院の床のモザイク

 

st_marc_1

 これから少しずつ機会を見つけて、僕の目
から見た(←ちょっと変わってるかも・・・)
建築のご紹介をしていきたいと思います。
タイトルにもうたっているように、僕は木造
建築家ですから、木造建築のご紹介が多く
なると思いますが、それ以外のものも採り
上げていきます。基本的に自分が行って感
じたことをお伝えしたいと思っています。

まず最初は、イタリア・ベニスにある、
サンマルコ寺院の床のモザイクです。
床一面にこんなモザイクが施されています。
材料はすべて大理石ですが、その色の鮮や
かさ、取り合わせ方、形のユニークさ、加工技術など、ただただ見つ
めているだけでタメイキが出てきます。さすがイタリアだなぁ・・・と感じ
ました。大理石はやわらかいので、たくさんの人に踏まれるうちに少し
ずつすりへっていったようなのですが、石の種類によってすりへる具
合が違って、微妙にでこぼこした感じがまた何ともいい具合でした。

st_marc_2

st_marc_3

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