月別アーカイブ: 2016年10月

石場建て新築工事・荒壁が乾きサッシを据付中/木造和風建築、奈良県葛城市

奈良県で工事中の、石場建て伝統構法新築住宅・H様邸。

夏前に塗り付けた土壁が乾いたので、サッシを取り付けています。
構造材に巻いていた養生紙も順次めくっていって、木材の表情も見えてきました。

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屋根には、ゆるくむくりをつけています。

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リビング吹き抜けの梁。
あまり重層させずに、あっさりした木組みにしています。

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通し柱を貫通する、胴差の長ホゾ+鼻栓

年内には内部の造作工事を一区切りつけて、中塗りまで仕上げます。
そこから3か月寝かせて壁を乾燥させ、最終の仕上げを行う予定です。

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静岡の山に入る/旬切り、伐採、天然乾燥、伝統構法(工法)、石場建て

2016/9/29(木)に静岡へ行ってきました。

静岡へは急用ができてしまって行ったのですが、
せっかく行くので無理を承知で
「今年伐る予定の杉の山に入りたい!」
と林業家にお願いすると、快諾してくれました。

大変暑い日で、しかも山に入る時間帯からずっと雨が降る
予報だったのですが、奇跡的に天候が持ってくれて、
下山するまでの3時間あまり、まったく雨に降られずに済みました。

今年の晩秋に杉を伐ってもらうのは、静岡市葵区梅ヶ島(うめがしま)
というところです。

標高は約600~650mくらい、西北向きの斜面で、樹齢はおよそ80年。
柱用の杉材を200本くらいお願いする予定です。

車を降りてから、かなり登る(歩く)と聞いていたので、覚悟して山に入りました。

一度谷へ降りて川を渡り、そこから尾根を1つ越えて、さらに上へ登ります。
道中は最初のうちはずっと桧や杉の人工林でした。

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ちょっと休憩した時、杉の木の幹に、小さな小さなキノコが寄生しているのを発見!

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1時間半ほど歩き続けて、ようやく伐採予定地へ到着。

全身汗だくになりましたが、幸い山蛭(やまひる)にかまれることもなく
たどりつけました。

杉の人工林は思ったよりも小さな範囲で、どうやら記録が間違っていた
のか、杉よりもヒノキがずっと多い林でした。

しかしその杉林を斜面に沿って横へ抜けると、筋状に広葉樹林がありました。

下の写真は、人工林と広葉樹林の境目です。

写真左半分は人間が針葉樹を育てるために木を植えた人工林。
右半分は人の手が入っていない広葉樹林です。
植生の様相が全く違うのがお分かりになって頂けると思います。

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広葉樹林は見ていてもとても楽しいです。

高齢になって枯れてしまった木が倒れて、地表面で朽ちていく様や
その後に芽生えた若木がすぐ隣で大きく枝を張っていく様が同時に見られます。

生と死が同時に存在していて、
木の枝ぶりも針葉樹のようにまっすぐ画一的ではなく、ぐにゃぐにゃ曲がっているので、
生命力を強く感じます。

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広葉樹林を少し登ると、とても美しい二股株立ちの木に出会いました。

サワグルミの木だそうです。

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もしこの木も伐るのなら、ぜひ譲ってほしいとお願いしましたが、

帰ってきて調べてみると、とても柔らかい木だとのことなので
さてもし伐るのであればどうやって使おうか・・・と考え中。

立ち姿が端正で非常に美しいので、製材せずにこのまま大黒柱にでもしようかな。

サワグルミとの出会いは全く予想外でしたが、とても豊かな気持ちになりました。
今年の伐採が楽しみです。

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