月別アーカイブ: 2011年10月

京都の北山杉、奈良の吉野杉

9月の末のことですが、日本民家再生協会の主催で日本建築研鑽会/京都奈良講座2011を行いました。
 
企画は僕が担当し、京都の北山杉(磨き丸太)と奈良の吉野杉(樹齢100~300年の大径木)の両方の林産地を訪ね、双方のつくり方を1泊2日で観て廻るというものです。

まず1日目は北山杉を観に、京都市の中川という場所へ行きました。
案内して下さったのは、中儀銘木店の中川さんです。 

京都・北山杉編では3ヶ所の山と中儀銘木店様の倉庫・店舗を見学しました。

kitayamasugi

上の写真は樹齢700年と言われている台杉の株です。

台杉というのは、上に真っ直ぐ生えている部分だけを伐って商品として出荷するもので、茶席の垂木や小径丸太などとして使うための磨き丸太を育てる木です。

この木は昭和天皇も見学に来られたことがあるそうです。

kitayamasugi2

次に、主に磨き丸太の柱を作っている山へ行きました。

1坪(畳2帖分の広さ)に3本の苗木を植えて密植し、若いうちから頻繁に枝打ちを施して木が太らないような環境を作って、細く長く育てます。
磨き丸太は末落ちが小さい(=根元と末の太さの差が少ない)ものが喜ばれるので、このような育て方になります。

この後、中儀銘木店様の倉庫と店舗を見学させて頂き、素晴らしい材料の数々を拝見して京都から奈良へ向かいました。

翌日、奈良県吉野では福本林業の福本様にご案内をお願いし、樹齢60年、120年、270年の吉野杉を見せていただきました。

下の写真は270年生と言われる吉野杉の木です。
デカイ!

yoshinosugi2

参加者のKさんが写真を撮っていらっしゃるところを後ろから撮らせて頂きました。
(Kさんごめんなさい)

胴回りは約4.5M、ということで直径は約1.5Mあるようです。

yoshinosugi1

最後にこのような250-300年生の超大径木だけをふんだんに使って作った、川上村森林組合のお座敷を拝見。
ここにはもんのすごい材料が贅沢に使われていました。

圧巻はやはり天井板でしたが、柱も赤杉の四方柾4寸角柱だらけで、しかも全ての木の色を合わせるために同じ山の木だけを集めて作ったという、森林組合のみなさんの意気込みがビシビシ伝わる座敷でした。

各所に細やかな配慮が行き届いた丁寧な職人の仕事が見られ、デザインも大変控え目で品のある美しい作りになっています。

よその木材関係者がこの座敷を見学に来たときに、あまりにも材料が美しいものですから
「なあ~んだ、この部屋は集成材で作った部屋ですか」
 と言ったそうです(笑)。

確かにそんな風にも見えるかもしれませんが、使われているものはもちろん全て無垢材。
たったの2部屋で数千万円かかったというのもうなずけます。 

2日間にわたって京都・奈良の全く性格の違う林産地を廻ったのには訳があります。
実は京都の数奇屋建築では、この両者を一つの部屋に取り合わせて使うことが多いのです。
それをみなさんにご理解いただきたくて企画しました。

来年の2012年講座は、今年の内容を踏まえて建物を拝観させて頂くプランを計画しようと思っています。
どこへ行こうかな ♪

尼崎市H様邸 構造材の選木・出荷作業を行いました

来月から尼崎市内でH様邸新築工事に取り掛かります。
久しぶりに構造材を全て手刻みにて行う現場です。

11月に既存建物の解体に着手し、年内には基礎工事を終え、
年明け早々に建て方の予定です。

来週からはついに大工さんによる墨付けを開始するのですが、
それに先立って9月末から10月初旬にかけて静岡のストックヤードへ行き、
一週間にわたって構造材を選別・出荷する作業を行ってきました。

 

 
山のように積まれた構造材の中から、必要な太さ・長さの物を選び出し、
一本ずつ木の目を見ながら、
 
 ○ どの場所に使うか
 ○ どの向き(天/地の方向や東西南北の向き)で使うか
 
などを決めていきます。

木材には元末(根元=元)という下から上への向きの他に、
山の斜面に応じて谷側が曲がるというクセが出ます。

その曲がりや元末の向き、そして節や割れの有無などを確認しながら
木材の配置と向きを決めていきます。

木が活きるように使ってあげること、美しく見えるように配置してあげること
お住まいになるご家族に幸せが集まってくるように材を組んでいくこと
などがこの作業の肝です。 

shizuokakidashi2011_1

これらの木材は3年前に伐採し、4ヶ月の葉枯らし乾燥後、2年以上かけて
ゆっくり天然乾燥させたものです。

北向き斜面の標高900mで育った樹齢130年生の杉・桧で、年輪がとても
詰まっている良材です。
東風自慢の木材です。

使う位置や向きを決めた材料には、下の写真のように一枚ずつ個別のラベルを貼りつけ、
曲がりやねじれなどを取るための修正製材作業時の加工寸法を書いていきます。
 
黒字は1階の構造材として使うもの、赤字は2階の構造材として使うもので、
黄色のラベルは鉋などで化粧仕上げを施すもの、水色のラベルは天井裏や
壁の中に隠れてしまうための化粧仕上を施さないもの、という風に分けています。

shizuokakidashi2011_2

一週間、早朝から日が落ちるまで、毎日毎日大工さんと2人で
ひたすら作業を続けたのですが、結局きっちり1週間かかりました。

 
10/4(火)の午前中から運送屋さんの15トントラックに積み込み、
吉野の製材所へ出荷しました。
 

shizuokakidashi2011_3

毎度毎度のことですが、15トントラックはデカイです。
荷台の長さ9.5m×巾2.3mが構造材だけで山積み一杯になりました。

これに積みきれなかった垂木などの細い材料を、東風の1.5tトラックに積んで
持ち帰ってきました。
来月にはもう一度静岡へ行き、野地板などの板類を東風トラック満載にして
持ち帰ってくる予定ですが、積みきれるかなぁ。
1.5トントラックではちょっと無理な気がしますが・・・(汗)。

これらの材料は先週末から修正挽き(製材)と表面の第1回目の
仕上げ作業(モルダー加工)に取り掛かっており、再来週の初めには
吉野の加工場へ搬入される予定です。

いよいよ来週からは墨付けが始まります。
今から楽しみです。