荒壁塗付け@大阪府堺市/石場建て伝統構法の長屋門、数寄屋、手刻み、和風

4月に上棟した大阪府堺市の長屋門。
5月の中旬に荒壁(あらかべ)をつけました。

一口に土壁と言っても、大きく分けて3層(かそれ以上)によって構成されています。
簡単に言うと、3層とは下塗り・中塗り・上塗りの3つの層のこと。
荒壁はその中でも一番最初に塗りつける下塗りのことを指し、壁土の粘度も一番高い(=ネチャネチャの)土です。

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塗りつける直前の荒壁用壁土はこんな感じです(↑)。

壁土は最初赤茶色なんですが、水とワラスサを混ぜて寝かせておくと、徐々にこんなダークグレー色に変色します。
子供の時にドブで遊ばれた記憶がある方は多い(最近は少ない?)かと思いますが、あのドブの匂いがします。
(最近、ドブで遊んでいる子供を見かけない気がします・・・。そんなことありませんか?)

今回の壁土は、この敷地にもともと建っていた長屋門を解体した時に発生した100年前の壁土を50%、そして今回新たに購入した壁土を50%ずつ混ぜ合わせ、約3ヶ月寝かせました。
そしたらこんな色です。

古土を使わずに新しい土100%で寝かせる場合はもっと長い時間寝かせるんですが、古土を混ぜると早くこんな色になります。
(何でそうなるのかは知らないので、どなたかご存知でしたら教えて下さい・・・。
ずっと前から不思議で不思議でしょうがない~!)

ちなみに寝かせてから1.5ヶ月くらい経った時の状態はこんな感じ(↓)。
寒くて気温が低かったせいもあるのでしょうが、使うのにはまだちょっと早いかな・・・という印象です。

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この寝かせた壁土を一輪車に積み込んで、練り返して職人さんに渡すしんどい力仕事は新米の仕事。
先輩にヤイヤイ言われながら、重たい壁土をパスします。

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塗りつけている最中の動画も撮ってきました。
こちらです(↓)。

そして、塗りつけた土を裏側から見るとこんな感じです(↓)。
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竹小舞の間から、
「にゅ~っ」
と土がはみ出して、竹小舞に絡み付いている様子が良くわかりますね。
こうならないと、壁としてもしっかりしないんですよね。

20年ほど前、阪神淡路大震災の被害を受けた、大きなお屋敷の現場で長屋門の再建築をしたことがあるんですが、その時の壁土がものすごくしっかりしていて、どついてもどついても全然土が落ちなかったのを良く覚えています。

そうかと思うと、安普請の長屋の壁土などはチョンチョンとたたくと、ものの見事にバサッと全部落ちたりします。

やはり手間を惜しまずにやった仕事は違うなぁ・・・と身にしみて感じましたね。


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荒壁を全部塗りつけた現場の状況がこちら。

ここから土が乾くまで、しばらく現場はお休みです。

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